この世界を生き抜く為に出来ることは……。   作:コクーン√

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リックベルの街に着きました。

クソ王子が統治している街だった気がしますね。


第三話

 

「此処がリックベルか……。」

 

あれから無事何事もなくリックベルの街へ辿り着くことが出来た。この世界に来て初めての街になる。

 

「さてと、一応街にも着いたし確認するか。」

 

紙を開き内容に変化があるか目を通す。

 

No1.新天地に降り立とう ★COMPLETE★

 

No2.リックベルの街を目指そう! ★COMPLETE★

 

new.今日泊まる宿を探そう!

 

「お、クリア出来ているな……次は寝る場所を確保か。」

 

詳細を確認すると、『袋に入れたお金を使って明日に備えよう!食料の確保も忘れずに!』と書いてあった。

 

「確かに水はあるが食べ物が心もとないな……、宿を確保出来たらそっちも買いに行かないとな。」

 

レンガの町中を見て回っているが、宿と思われる場所が見当たらない。それに……。

 

「なんて書いてあるか全く読めない……。」

 

建物に立て掛けられている看板や、路上販売的なお店の札を覗いてみたが文字が理解できなかった。

 

「数字は分かるんだが……。」

 

売り物の前に置いてある金額は読める。そこは一緒だった……が。

 

「俺が持っているお金の相場や価値が分からないんだよなぁ……。」

 

お金を持っているのは良いが、幾ら所持しているか全くわからないのである。

 

「そこは不便無くしていて欲しかったな。」

 

急に送り付けたあの自称女神はテンプレを分かっていない。普通は自動翻訳、インベントリ、鑑定、はマニュアルとしてあるべきではないのか?

 

取りあえず、お金の価値を知るために商売している人とそれを買っていく人を何回か観察し、更に複数の人に何枚で買えるか確認を取った。

 

それらを照らし合わせ、大体の所持金を予想した。

 

「二人ほど少し高く言ってきた人が居たが……。」

 

あれはぼったくりだった可能性があるため高くで売ろうとした店には今は近づかない様にしておこう。

 

取りあえず何となく明日の分の食料に必要なお金は把握出来たので、宿に泊まり余ったお金でやりくりしていこう。

 

「宿は多分、これなんだろうな……。」

 

お金の価値を聞いて回る中で泊まれる場所もついでに質問しておいた。何ヶ所かあったがここが安いらしい。

 

中に入り、一名の宿泊を希望する。二階の部屋のカギを渡され部屋に入る。

 

「意外と安かったが、こんなものなのか?」

 

想像していた金額より安かったが部屋の内装は普通……だと思う。寝床が一つと荷物を置くスペースがある程度。

 

「ようやく一息付ける感じだな。」

 

草原に飛ばされ、魔物と遭遇し、助けられ、何とか街に辿り着いた。

 

「今日は食料を買ったら寝よう……流石に少し疲れた。」

 

安心感からか、体に疲労が出始めたがあと一仕事と気合を入れ、外に出た。

 

 

 

 

 

「んん?ここは……?」

 

目が覚めると……と言えば良いのか、目を開けると白い空間に俺は居た。確か食料を買った後部屋に戻り寝た筈なんだが……。

 

「それにこの場所は……」

 

見覚えがある。そう呟こうとした時、後ろから声をかけられる。

 

「あら、いらっしゃい。」

 

声をした方向を向くと、そこに俺を飛ばしたと思われる元凶が立っていた。

 

「あんたは最初の……。」

 

「ちゃんと覚えていたようね。無事に街まで辿り着けて安心したわ。どう?私が上げた物たちは役に立ったかしら?」

 

「凄く助かった……と言っていれば良いのか……な?」

 

「あれ?何だか腑に落ちない言い方ね、ご不満でもあった?」

 

目の前の女神と思われる人物は不思議そうな顔でこちらを見る。

 

「いや、持ち物自体は凄く便利だった。でも……。」

 

「でも?」

 

「こう……異世界に来た時はその世界の人間と不便無くやり取りが出来るように配慮してもらっても良かったんじゃないのかと思ってさ。」

 

「んん?え、どういう意味?」

 

「だから、街に着いたは良いけど文字は読めないわ、所持金が幾らかすら理解できなかったから手間が掛ったと言いたかっただけ。」

 

「え……、そんなわけ……。」

 

こちらの発言に驚いた反応をする。

 

「ちょっと待って、こっちに来て貰える?」

 

手招きされるがままに向かう。

 

「少し……覗かせてもらうわよ。」

 

俺の頭に手の平を向ける。何をするのかと警戒した時、手の平が淡く光り出す。

 

「………あー、なるほどね。そういうわけかぁ……。そりゃ、現地の事何も分からないでしょうね……。」

 

一人何か納得したようにうんうんと頷く。

 

「何か分かったのか?」

 

「うん、ごめんね?こっちの確認ミスと言うか、手違いみたいなものだった。」

 

「手違い……?」

 

「貴方を送り出す際に、こちらの世界の知識を持っている状態になっていたと勘違いしたまま送り出してしまったってことかな?」

 

それってかなり致命的なのでは?

 

「天使を見て驚くはまぁ良いとして、看板の文字や金銭感覚が分からなかったのはそのせいね。ちょっと待って、今送るから。」

 

「送るって何を……あがががあっ!?」

 

急に脳に痛みと呼んで良いのかよくわからないのが襲ってくる。が、体は全く動かせない。

 

「えーっと、こんなもんかしら?」

 

漸く痛みから解放され、その場に座り込む。

 

「い、今のは……?」

 

「貴方にこの世界にある文字の読み書きとお金の情報を送ったわ。いまなら簡単に理解できると思うわ。」

 

痛みが残っている頭に手を当てながら言われた通りに思い浮かべる。

 

「……確かに、今なら記憶の中の文字が理解出来た……。」

 

「無事に送り込めて安心したわ、これで話が進めれるわね。」

 

いや、俺の頭痛は問題では……?というか文字は助かるが、金銭に関しては俺の予想は当たっていた。つまり半分は全くの無駄で、痛み損である。

 

「それしても、少し驚いたわ。確かに南に向かえと私が指示したけど、まさか魔物と出会っちゃうなんてね。しかもそれを単独で倒すとは……。」

 

呆れたようにやれやれと首を振る。

 

「予定通り……では無かった……?」

 

「そうね、本当なら助けて貰ったあの子に何事もなく出会う予定だったわ。それがあんな有様だもの。でも……ワクワクもしたわ。」

 

まるで映画を見てたみたいな感想を述べている。

 

「普通はね、幾ら雑魚の小鬼一匹だからと言って村人程度の身体能力を持つ貴方が勝てる相手では無かったの。」

 

マジかよ。いや、確かに運が良かったのは認めるけど……普通なら殺されていたのか?

 

「まぁ、運も実力の内と言うし結果オーライだった……そうじゃなければ、天使のあの子が見るのは死体だったわけなんだけどね。」

 

「偶々、生き延びた……。」

 

「そう言う事。でも、私的には楽しめたからグッジョブ!と言っておくわ。」

 

人を見世物みたいな言い方を……。

 

「そう嫌な顔しないでよね?それに、楽しませて貰ったからご褒美をあげようと考えているわ。」

 

「褒美を……?」

 

「そう。嬉しいでしょ?貴方の旅に役に立つものと思うわ。ほら、これを受け取って。」

 

パチン。と指を鳴らすと、俺の目の前に光る何かが降ってくる。

 

「これは……?」

 

何かのリングに見えるが……。

 

「これは疲労回復効果が付いている、簡単に言えば長旅でも疲れにくくなるアイテムね。足にでも付けると良いわ。」

 

なるほど、便利グッズと言うわけか。となるとアンクレットになるのか?

 

言われた通りに足に装着する。

 

「これで貧弱なあなたでも多少はましになるかと思うわ。」

 

確かにこれはありがたいが……これを渡すという事は……。

 

「食料を買っておけと指示したり、これを渡す辺り……また移動があるってことか?」

 

「察しが良くて助かるわ。元々理解力があるのかしら?それとも……。」

 

面白そうにこちらを見てにやにやしている。

 

「まぁいいわ。取りあえずお疲れ様、次なのだけれども……。」

 

「やっぱり次があるのか……。」

 

「そうね、目的地はまだ南だもの。ここから更に南にある『クミル』という村を目指してくれる?まずはそこが次の目的地よ。」

 

「なんで……と聞きたいのだけど?」

 

「理由?そうね……、行けば面白そうなことが待っているからよ。ふふふ。」

 

「面白そうな事……?」

 

「そう。貴方の人生に華と色が付くような出来事がきっと。」

 

「そう言って、さっき言っていたみたいに、自分が楽しむために……とかだろ。」

 

「勿論、それが第一だけれども。」

 

面白そうに微笑んでいる目の前の彼女を見て、怒りよりも前に呆れが来る。

 

「と言っても……何も分からない俺にはいう事を聞くしかなさそうだけど。」

 

こいつの身勝手だが、一人では間違いなく生きていけない。嫌でも従うしかないというわけだ。

 

「ふふ、ちゃんと楽しませてくれるなら、またご褒美も上げるわよ?」

 

あんな出来事、今後はごめんだけどな。

 

「でも、また同じことがもし起きたら今後は生きれるか分からないし……そうねぇ……。」

 

急に何かを考えるように悩みだす。

 

「……貴方の安全を確保する為の案があるわ。」

 

「ありがたい提案だが、どういう?」

 

「丁度、今この街にディートヘルムと言う名前のイケおじが一時的に滞在しているの。『水闘獣の針団』っていう組織のトップでね、この国を拠点に辺境の村を回りながら公共施設などのインフラを作ったり点検して回ってるの。」

 

「イケおじって……。えっと、インフラ工事をして回ってる団体……で良いのか?」

 

「その認識で概ね合わってるわよ、その人に会ってクミル村まで連れて行って貰いなさい。」

 

「え、村を回るついでに?」

 

「そうそう、見た目は……一目で分かるわね。葉巻をふかしてて、右目に眼帯付けたイカしたおじさんが居たら声をかけてみて。」

 

そんな適当な説明で分かる物なのか……?

 

「一目でね。……今日はこの位にして、また今度にしましょ。」

 

「いや、まだまだ聞きたい事があるんだが……?」

 

「それはまた今度にしましょう?私の気が向いたら会えるから安心して。」

 

それのどこに安心できる要素があるんだ。

 

そう言おうと思ったが、その瞬間には目の前から姿は消え、白い部屋が崩れていった。





次回はイケおじ団長に会いに行きます。目指すはクミル村。
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