この世界を生き抜く為に出来ることは……。   作:コクーン√

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温泉作製のお話です。



第三十話

 

 

「熱伝導管……?」

 

「ああ。これがあれば温かい水が何時でも使える様に出来る。」

 

アヴァロと工房で作業しながら雑談を挟んでいると、アヴァロから新しく制作したアイテムの話を聞かされる。

 

「だけど、肝心な設置場所が定まって無いのか?」

 

温かい水が使える……ふむ。

 

「そうなんだよなぁ、熱源の目処は立っているんだけど肝心な水源の確保がまだ出来ていなくてさ。」

 

「なるほど、それで城砦内の探索をか……。」

 

「急ぎって訳でも無いからどこかのタイミングで皆で探そうかと考えている程度なんだが。」

 

「いや、直ぐにでも取り掛かろう。」

 

「え?直ぐにか?」

 

「ああ、それはもう優先で行こう。」

 

「えっと、何か思うところがあるのか?」

 

「こういった生活を改善できるのは優先でした方が良いと思った。」

 

つまりそれを設置すれば温水が使える様になる。温かい風呂に入る事も可能という事だ……。

 

「まぁ、生活基盤を整えるのは確かに重要だよな。」

 

「早速皆にも話を通してくる。」

 

「え、今?」

 

「善は急げだ。」

 

 

 

「と、言う事でやって来てまいりました城砦内部の探索編。」

 

「急な探索……。」

 

「サイトウさんからいきなり探索に予定を変更って話があったので驚きましたよ……。」

 

「確かに珍しいね、サイトウさんから強く意見を通そうとしてきたのは。なにかあったのアヴァロ?」

 

「いや、工房で話している時に少し話題に出したんだ。そしたら急いで取り掛かろうってさ。」

 

「生活基準の向上は何よりも優先っ。これテストに出るからな。」

 

温かい水でお風呂……あわよくば温泉とかも出来ないだろうか?夢が広がる。

 

「なんだか楽しそうな顔をしているな。」

 

「あはは、そうだね。工房で新しい物を作っている時のアヴァロと一緒だ。」

 

「まじか、俺あんな怪しい笑みを浮かべていたのか……?」

 

「アヴァロはもっと子供っぽい笑顔だけど似たようなもんだよ。」

 

「そこ、イチャイチャしない。それで、どのあたりに水管を取り付ける予定なんだ?」

 

「そうだな……取りあえず実際の場所を見てから決めようかと考えてる。」

 

「ねぇねぇアヴァロ。もう管みたいなの置いてあるよ?もう設置したの?」

 

「いや、俺じゃないな。これは古い水管だな、以前は水を通して使っていたんだが……どうやら泥や石灰みたいなのが詰まって駄目になったみたいだ。」

 

「どうしよっか?」

 

「まずは俺が造った熱伝導管と交換していこう。」

 

「それなら先にこの周辺の安全確保しつつ管を伝って行くとしよう。」

 

方向性を決め、元々水管が通っていたであろう道を辿っていく。所々で駄目になっていた部分はアヴァロがその場で修復し繋げていく。

 

「よし、まず一か所目はこんなもんで問題無いはずだ。」

 

「お疲れ、後何か所か見て回るのか?」

 

「全体がどうなっているか把握しておきたいし、他の場所もここみたいになっているのなら修復しておきたいしな。」

 

「了解、今イオル達に他の場所までの安全の確保してもらっているからこのまま行くとしよう。」

 

一か所目の修復を終え、次の場所へと向かう。一旦来た道を戻り違う道へと曲がる。

 

「ん?戦闘か?」

 

この先で金属がぶつかり合う音が聞こえる。金属と……岩か、この音は?

 

「ちょっと先に行って様子見て来るからアヴァロとフィアさんは水管を確認しつつ来てくれ。」

 

「はーい、何かあったら呼んでね!」

 

二人から離れ音の場所へと向かう。少し開けた場所に着くと、イオルとミケユが謎の物体と戦闘を繰り広げていた。

 

「イオルっ、どう?切れそうかな?」

 

「難しい。こいつ硬い。」

 

「だよね、私の魔法も通りが悪そうだから軽減されてると思う……。」

 

「切り続ければその内倒せる。」

 

「二人とも無事か?」

 

見た感じ目の前の敵にダメージが上手く通らずどうしようかと考えていた所みたいだな。

 

「サイトウさん、そっちは大丈夫なんですか?」

 

「向こうはアヴァロとフィアさんに任せて来たよ。こっちの方が人手必要そうだったからな。」

 

「こちらの土精に上手いこと攻撃が通っていなさそうなんですよね。」

 

「それなら俺も参加しよう。属性が違うからそれなりに期待は出来るぞ。」

 

相手は土精なのか。雷通るのか不安だな……、エネを連れてくれば良かった。

 

戦闘を想定には入れていたが雑魚をあしらう程度で二人が居れば問題無いと考えていたんだが……、無いもんは仕方ないな。

 

「サイトウ……敵、増える。」

 

イオルからの申告と同時に奥から目の前の土精と似た見た目のが出てくる。こっちは黒ずんでいる様に見えるが……強化固体か?

 

「一体、増えましたね……。」

 

「そうだな……因みになんだが、二体同時相手って可能か?」

 

「イオルなら避けるだけなら可能ですが、倒しきれないですね。私達で攻撃をしないと不利になっていきます。」

 

「だよな。」

 

どうするか、ここは一旦引いてアヴァロ達を呼ぶか、イオルにタゲ取りをお願いして魔法で押し切るか。

 

「……うーん、じゃあさ、そこに居る片方は俺が適当に時間稼ぐからもう片方を相手してくれないか?出来れば強そうな黒い方を。」

 

「え、サイトウさんお一人でですか?」

 

「一人は危ない。」

 

「遠距離から魔法打って逃げ回るだけだし何とかなると思う。その間にもう片方を倒しきって欲しいかも。」

 

「アヴァロさん達を呼びに行った方だ安全ではないでしょうか?」

 

「どうせ二人なら音で駆けつけてくれるさ。ここで一人抜ける方が危険だと思う、二人が来てくれるようにデカい音でも鳴らすさ。」

 

「そうですね、危険だと思ったらすぐに逃げてくださいね?」

 

「善処するよ。」

 

自分より年下の女の子を置いて逃げるとか出来るわけ無いじゃん。

 

「それじゃ、二人ともそっちは任せた。」

 

「はい、任せてくださいっ。」

 

お互いに距離を置いてから最初に居た土精に向けて電撃を撃つ。煩わしかったのか直ぐにこちらにヘイトが向く。

 

「短気かな?もっとこっちに集中してくれ。」

 

続けて二発目を撃つ。動いて避けようとするが相手の動きよりこっちの方が明らかに早いため直撃とは行かなくても余波は食らう。

 

俺に向けて突進をしてくるモーションに入ったため、つま先で地面を叩き魔法陣をセットする。

 

「お、鬼さんこちら……。」

 

結構な質量が自分目掛けて走ってくる。大丈夫だと分かっていても怖いもんは怖いので即座にその場から退避する。

 

先程まで俺が居た場所に土精が通ると魔法陣が浮かび上がり地面から電撃が放たれる。

 

「はは、痛かろう痛かろう。」

 

意識外からの攻撃からだったのか、その場で硬直しうなだれる。

 

「今の内に与えられるだけ……くらえこの野郎。」

 

服に予め仕込んでいる魔法陣を解き放つ。計三発の電撃が土精に直撃する。多少はダメージが通っただろうと考えていたが、土精は悲鳴を上げその場に崩れ落ちる。

 

「……え、死んだ?」

 

ピクリとも動かない土精を警戒しながら見る。その隙に袋から瓶を出し飲み干す。

 

「これで魔力は満タンと……。」

 

魔力が元通りになったので確認のため一発土精目掛けて撃つ……が、直撃してもうんともすんとも言わない。どうやらさっきので死んだようだ、イオル達が思っていた以上にダメージを入れていてくれたようだ。助かる。

 

二人を見ると、イオルが攻撃を避けながら隙を見て切り付け少し離れた場所からミケユが魔法で援護していた。

 

「加勢するっ!隙を見て俺も魔法を撃つ。」

 

「サイトウさん!?そっちは終わったのですか?」

 

「二人が思った以上に削っていてくれたおかげで楽に倒せたよ。助かった。」

 

「私達がですか……?そんなに攻撃を与えれたとは思わないのですが……いえ、今は目の前の敵ですね!」

 

「そろそろアヴァロ達も来ると思うし、安全に立ち回ろう。」

 

「そうですね、敵は後一体だけですし油断せずに戦えば勝てます。」

 

「ああ、もしくはアヴァロ達が来るまでに俺たちでさっさと倒してしまうか……どっちが良い?」

 

「安全第一で行きましょう。今回は急ぎではありませんし。」

 

「了解。」

 

その後、戦いの音を聞いて直ぐに駆けつけて来たアヴァロ達も加わり全員で土精をボコった。

 

 

 

 

「さてと……これで大体の交換は終わったかな?」

 

「これでお仕事は終了?」

 

「いや、最後の仕上げが残っているんだ。水源の起点場所の修復もしておかないと。それが終わったら無事終了だな。」

 

「やったー、それじゃあ早速そこに向かおう!」

 

「しかし城砦の中がこんなになっていたとはな……。」

 

辺りを見ながら奥へ進んでいく。デカいとは分かっていたが中は迷宮の様に入り組んでいる。初見だと絶対に目的の場所に辿り着けないと思う。

 

「待った。いま、なんか動いた。」

 

最前列で斥候役をしているイオルからの言葉で全員がその場で動きを止める。

 

「……あれ、もしかしてゴーレムか?」

 

アヴァロからの疑問の声を聞きながら前を見ると、道を塞ぐように石が立っていた。

 

「この先を通さないと言わんばかりの立ち位置だな。」

 

「これは凄いな……良い物を見つけたぞ。」

 

正面のゴーレムを見ながらアヴァロが驚きの声を上げる。

 

「あのぉ、お喜びの所申し訳無いのですが、こっちに向かって来てる気がするのですけど……。」

 

「うん。向かって来る。完全に攻撃態勢。」

 

俺たちが一定の距離に入ると、体を動かしてこちらに向かって来る。その歩みは早くないが地面に響き渡る音で質量のやばさが良くわかる。

 

「フィア、取りあえず停止させてくれ。あれもお前の一部だから簡単だろ?」

 

「はーい、任せて。ゴーレムちゃんゴーレムちゃん。私の言う事を聞いて大人しくしてねー?」

 

ゴーレムに向かって止まれと命令するが、一向にその歩みを止めない。

 

「止まって無いな。」

 

「ですね、まだ向かって来ています。」

 

「あ、あれー?ちょっとゴーレムちゃん?私、神様だよっ、分からないのー!?」

 

フィアの必死の呼び声も虚しくこちらに向かって来る。寧ろ加速すらしている。

 

「……迎え撃つぞ。」

 

アヴァロの何とも言えない声に全員が武器を構える。そんな中、フィアの声とゴーレムの足踏みの音だけがまだ響いていた。

 

 




一旦区切って二話に分けようかと思います。

ちょこっと戦闘も入るかも?
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