この世界を生き抜く為に出来ることは……。   作:コクーン√

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嵐燐結騎をお仲間にしに行くお話……かと思えば主人公は別行動です。
皆がウラガル双山に行く間、せこせこと準備を進めて行きます。


第三十二話

 

「それじゃあ、俺たちはそろそろ行ってくるよ。留守番をよろしくな。」

 

「了解、気を付けて行ってきてくれ。」

 

俺以外のメンバーを城砦入口から見送る、どこに行くかと言うと此処から離れた山『ウラガル双山』である。そう、嵐燐結騎が居ると言われている例の山である。前日アヴァロと温泉に入りながら新しい資材の話が出た時に山になら取り扱っていない鉱物がある可能性が高いと話し合い、調べる事となった。その時にウラガル双山という名前を聞いた事があるとだけ話した所イオルがその山を知っていた事もあり、早速探索に行くことになった。

 

流石に全員で行くと城砦の安全が確保出来ないので俺が残ることした。皆の中なら俺が一番拠点防衛が楽だし妥当だろう。

 

「流石にエネは送り出せないが、あいつが居るし足しにはなるだろ。」

 

今回俺の代わりに以前に仲間?にした木精をお供として渡した。本人は俺が頼んでみると何故か全力で首を縦に振っていた。多分まだ怯えられているんだろうか?城砦にはかなり慣れてきていると思うんだが……。

 

畑に根付いてはいるが根っ子?足?の部分はその周囲にまで広がっている。根を張るとはああいう事なんだろうなと適当な事を考える位には領域を拡張している。

 

「さてと、俺もお仕事をして行きましょうか。」

 

最近は城砦内の敵が侵入するであろうポイントに魔法陣で罠を片っ端らから仕掛けるという作業を繰り返していた。地面、壁、天井、オブジェクト、階段……この馬鹿でかい城砦に無駄なく仕込むのはそれはもう途方もない作業である。魔力がある限り少しずつ進めて行く。

 

そして、最近この魔法陣の研究というか勉強をしていて気が付いたことがあった。なんと魔法陣の上に別の魔法陣を重ねて置くことが可能だった。何が言いたいかというと最悪この作業を一周では無く更に周回することが出来るのだ……地獄である。

 

「いや、超便利なんだけどね……。」

 

なんせ二重トラップや魔法を同時に二つ発動が可能である。二重魔法(ツインマジック)とかかっこいい。

 

さらにさらに……だ、一つ目の魔法の上に二つ目を重ねる時に二つ目の魔法の発動条件を『一つ目の魔法が発動して○○後に発動』とかの設定も可能になる、遅延魔法(ディレイマジック)とかロマンしかない。まぁ使うにあたってかなり考えないと無駄撃ちに終わるから気軽には出来ないと思うけどさ。

 

そんなこんなで城砦内に魔法陣を仕掛けながら、時たま来る来訪客の対応をしつつ作業を続ける。魔物とか倒してレベル上げみたいのをした方が良いのかもしれないと思いつつも事前準備を優先する。仮に自分が行動不能になっても役に立てる方法が個人を強くするより今回の防衛戦では活きると思う。相手は軍隊だし俺一人が強くなったところで敵の進行を止めるのは難しいと思う。

 

敵は動くこの城砦に乗り込み、俺たちの身柄……最低はフィアの身柄を捕える必要がある。そうすれば城砦の動きは止められそれ以上の進行は無くなる。大してこっちは渓谷を超え無事に街を通過出来れば勝利である。向こうがかなり不利な条件での戦いではある。土地勘など無い動く城砦に乗り込み相手を捕える、更に時間制限付きでだ。

 

「罠だけでなく、もう少し相手の動きを遅らせる方法も用意しておいて損は無いよな……?」

 

一応どの様に動こうかはある程度決めてはいる。その準備も進めてはいるしアヴァロ達とも話し合ってはいるので今の所順調ではある。多分……。

 

 

 

 

 

「あ、サイトウさん。ただいまっ。」

 

「ん?ああ、お帰り。どうだった?成果は?」

 

一区画の設置が終わり、そろそろ夜になりそうな所で探索に行っていた皆が戻って来た。正直今日は帰って来ないと思っていたが……。

 

「取り敢えずは山の麓の探索が終わった感じだな。山に入ってみたんだが風が結構強かったぞ?」

 

「確かに荒れてそうな見た目だもんなぁ。」

 

イオル曰く強風のせいで石などの物体が飛び回っているらしい。台風かな?

 

「後は山を登るためにちゃんと準備をして出直すことにしたんだ。」

 

「つるはしとか命綱とかか?」

 

「傾斜を上るためのと、飛んでくる石などから身を守るための道具をな。」

 

「あの山は危険。覚悟無しでは命はない。」

 

イオルから物騒な言葉が飛ぶ。そこまで言う程なのか?

 

「ま、今日の所はお疲れさん。回収した資材はこっちで処理しておくから置いといてくれ。皆は身支度でも整えて来てくれ。」

 

「ありがとな、目新しい物は無かったがあの土地での魔法石が少し採れたぐらいだな。」

 

「あ、それ私のやつだー!」

 

「へぇー、フィアさんが見つけたのか。こういうのはいつもアヴァロの担当だと思っていたが……。」

 

「あー、いやー……見つけたというわけでは無くてね?」

 

「風で飛んできた鉱石が頭に当たったんだよ。」

 

「あはは、お恥ずかしい。でも私の功績には変わりないよね?」

 

「一応そうだな、フィアに当たらなければ手に入らなかったし……。」

 

「なぁなぁ、ミケユさんよ。」

 

「何でしょうか?」

 

イチャイチャしている二人を見ながらミケユに声を掛ける。

 

「鉱石を手に入れた功績だってよ、一応突っ込んだ方が良いのかな?」

 

「……お好きにして下さい。」

 

若干呆れた顔で俺を見る。あれ?俺が悪いのかこれ。

 

「サイトウ、たまにおっさんみたいなことを言う。」

 

「まじか、これでも心は若いつもりなんだが……。」

 

もしかして座る時とかによっこいしょとか無意識で言ってしまってんのか?

 

「それじゃわたしとイオルは先に行きますね。すみませんがお願いします。」

 

「ごゆっくりー。」

 

手を振りながら二人を見送る。

 

「アヴァロ、明日も山への探索は続けるか?」

 

「少し迷っている所だな、先に何があるか分からないから良い成果が得れるか……。」

 

「フィアさんはどう?」

 

「私はアヴァロに任せるよ?」

 

「サイトウは続行で良いのか?」

 

「寧ろそれを推奨したい。聞いた話だと山の奥には迷宮と思われる場所があるらしい。可能ならそこまで探索に行って欲しい。」

 

「へー、あの山に迷宮が……。」

 

「普段人が立ち入らない場所だしお宝が眠っているかもしれないぞ?ワクワクしてくるな。」

 

それか新しい仲間だな。嵐燐結騎とか。

 

「新しい迷宮……!楽しそうだねっ、是非とも行こうよ。」

 

「フィアさんもそう言っているし決定だな。引き続き頑張ってくれ。」

 

「みたいだな。」

 

「あ、そういえばお供に送った木精はどうだった?」

 

「良い子だったよ!私と一緒に弓を沢山撃ったし、あの子が根を張ったりしたおかげで風の影響あまり受けなかったしね。」

 

どうやら結構好評らしい。確かにガッツリ地面に根を張れば飛ばされたりしないもんな。

 

「それなら良かった。明日からもよろしく頼むよ。」

 

「任せて!沢山可愛がってあげるね?」

 

楽しそうに手をワキワキさせているが……そういう意味ではないけどなぁ、まぁいっか。

 

「サイトウの方は?」

 

「いつも通り城砦内に色々仕込んでたぐらいだな。変わった事は無かったぞ。」

 

「ああ……、私の身体がアヴァロ以外の人に……でも、安心してアヴァロ!心はアヴァロの物だから!勿論体もだけどね!」

 

何やら面白そうな顔で言い出す。急に何かと思えば……そうなると俺は間男に……いやこの場合はNTRか?

 

「わかったわかった、それよりさっさと行くぞ。」

 

「ああん、反応が冷たいよぉー……、亭主関白だよぉ。そんなところも素敵かな?ポッ。」

 

ううん?無敵かなこの人。

 

アヴァロに付いていくように二人も見送る。

 

「んじゃ、今日の成果でも集計しながら待つとでもしましょうか。」

 

双山からの採取物を手に取りながら、みんなが戻ってくるまで作業を始めた。

 

 





準備期間ですね。もう少し続きます。
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