この世界を生き抜く為に出来ることは……。   作:コクーン√

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リックベルの街に再訪問~。



第三十三話

 

 

「それじゃあ、そろそろ行ってくるよ。」

 

「ああ、気を付けてな。危険だと思ったらすぐに逃げて来てくれよ?」

 

「気を付けてね?」

 

アヴァロとフィアに心配されながらも城砦を出たのが今日の朝の事。俺が今どこに居るかというと……。

 

「また戻って来ることになるとはなぁ……。」

 

この世界での初めての街であり、ディートヘルムさんと出会いを果たした街、リックベルに来ていた。

 

今回の用件は敵情視察として訪れていた。どこかで一度は来る必要があったので準備も中盤を超えた今の段階で来た。他のメンバーでは目立つため一番特徴の無い俺が行くとこになったが、念のために一応外套を付け顔が見えない様にしている。

 

街の様子は以前とは違い少し緊張が走っている。街で兵士とすれ違う回数も多いのは城砦への準備を進めているのだろう、城壁外で列を作っている兵士たちを見たので間違いは無さそうだ。

 

既に街に近い渓谷周辺で駐屯地と思われる天幕が幾つか確認出来たので向こうもこちらを迎え撃つ用意は出来ていると思われる。

 

「状況確認はこの程度にしておいて……自分の用事を済ませようか。」

 

周囲を見渡し近くに王国騎士が居ないか探す。……見つけた。鎧を装備しているので大変分かりやすい。

 

「……っ、すみません!騎士さんっ。」

 

小走りで駆け寄り、焦っている様子でその騎士に話しかける。

 

「何かありましたか?」

 

こっちの焦りを見てただ事では無いと感じ取ったみたいだ。

 

「む、向こうで……っ、人が!すみませんが助けていただけないでしょうか!?」

 

「人が……?わかった。案内して欲しい!」

 

快く承諾してくれた騎士を連れて街の裏路地へ連れて行く。勿論人気など全くない。

 

「この先ですっ!そこを曲がった場所。」

 

指を差し奥へと誘導していく。

 

「分かった!……?見当たらないが、まだ奥なのか?」

 

角を曲がった先に誰も居ない事に立ち止まり周りを見渡す。

 

「エネ、この人で頼む。」

 

グローブを軽く叩きエネを呼び出す。

 

「すまない、君が言っている人は……んぐぅっ!?」

 

こちらを振り返ろうとした騎士の背後からエネが襲い掛かい頭から飲み込み始める。突然襲われた騎士は暴れる様に抵抗するが状況が掴めていない為無駄に終わる。

 

「ちゃんと鎧を残してくれよな?消すのは人だけで。」

 

俺の言葉に『了解』と答えるように伸びた手を振る。少しすると目の前の騎士は抵抗を止め、脱力していく。体の一部の処理が終わったのか足や腕などの鎧のパーツがエネから吐き出される。それを確認し袋の中に仕舞っていく。

 

「よし、証拠も残っていなさそうだし……戻ろうか?」

 

エネの処理が終え、何事も無かったかのように見える裏路地を出て表通りに帰る。

 

「皆の中で鎧の身につけ方とか詳しいの居るのかどうか……あるとしたらイオルか?いやアヴァロも知っているかも。」

 

一つ目の目的を完遂出来たため街から出ようとする。すると後ろから声を掛けられる。

 

「そこのあんちゃん、ちょっと良いかい?」

 

一瞬肝が冷えたが、声からして高齢の男性の声だったので振り返る。

 

「……どうかしましたか?」

 

警戒だけはしながら振り返る。そこに居たのは俺より若干小柄なじいさんが立っている……炭鉱夫?

 

「もしかしてこれから南の方へ行かれるのか?」

 

「ええ、そうですね。」

 

「グアラクーナ商会って知っているか?知り合いがやっている店なんじゃが。」

 

「え、ええ。知っていますよ?何なら関係者ですよ?」

 

突然商会の名が出て驚く。

 

「そうなんか?それなら尚良かったわい。実は商会に居るアヴァロと言う男に頼まれていたことがあってな。」

 

「アヴァロにですか……?」

 

なんだ、この人もしかしてアヴァロの知り合いだったのか。

 

「届けに行こうかと思ったんだが急遽行かなくてはいけない仕事が出来てな、それだとアヴァロからの要件が遅れてしまうのだから誰かに頼もうかと探していたんだが、まさか商会の関係者と会えるとはのぅ。」

 

「それなら喜んで受けとりますよ?」

 

「すまんなぁ、これじゃ。よろしく頼む。」

 

じいさんから小さめの包みの物を受け取る。……さっきから思っていたんだが。

 

「あ、あのすみません。」

 

「ん?どうかしたのかい?」

 

「これから街を出て行かれるのですよね?」

 

「そうなるな、少し北の方に行くつもりだ。」

 

「お願いがあるのですが……、よろしいでしょうか?」

 

「ん?儂にか?聞こうじゃないか。」

 

「ありがとうございます。実はですね……人捜し……みたいなことをしていまして、迷子の竜人族の女の子をなのですが。」

 

「竜人族の子供をか?これはまた……そもそも住処から出ないと聞いているが、何か訳ありなのかい?」

 

「そう、ですね。かなり訳ありかと思います。もしどこかで巡り合えたら是非私達の城砦を訪ねて欲しいのです。」

 

「それは良いが……見つけられるか可能性はかなり低いぞ?」

 

()()()()()。少しでも可能性を上げたいだけなのです。」

 

「なら良いが、お前さんとその嬢ちゃんはどんな関係があるんだい?……まさか親族か?」

 

「残念ながら正真正銘の人間ですよ、そうですね……その子が困っていると思うので人助けをしたいと思っています……って言っても意味わからないですよね。」

 

「……まぁ、事情は何となく理解出来た。もしその子を見つけたらだがな。」

 

「それで結構です。その子の生活金……恐らく食事代になるかと思われるお金は私から前払いしておきます。」

 

そう言って袋からお金を取り出しじいさんに渡す。

 

「おいおい、まだ見つかっていないって言うのに払うんかい?もしこれで見つからなかったらどうするんだ。」

 

「その時はおじいさんの足しにでもして下さい。手伝って頂いた報酬だと思っても構いません。」

 

「しかしだな……あー、いや、分かった。その位探しているってことなんだな。了解した、可能な限り儂の方でも探しておくさ。」

 

「ありがとうございます。それではよろしくお願いします。」

 

「ああ、期待はせずにな。そんじゃ儂はそろそろ行くことにするよ。」

 

俺から受け取ったお金を大事に仕舞いながら馬車へと向かうじいさんを見送る。姿が見えなくなった所で袋から紙を取り出し中身を確認する。

 

 

No15.技師のお年寄りにお金を渡そう! ★COMPLETE★

 

 

「お、クリア扱いってことはちゃんと例のじいさんで当たっていたみたいだな。」

 

ここに来てようやく三つの内一つがクリアである。因みに嵐燐結騎の件は俺が戻り次第最後の迷宮に突入する予定である。残るは防衛戦への備えのみである。

 

紙を袋に戻してから城砦へ帰るために来た道を戻る。戻る際に適当に渓谷の崖に魔法陣を仕込んでいく。もしかすると役に立つ場面があるかもしれない。

 

一、二時間程歩きながら渓谷を抜ける。流石に入口までには騎士の配置はまだされていないみたいだった。好都合である。

 

「ここらにも沢山仕掛けておこう。」

 

崖際や岩場に向けてなど発動すれば落石による妨害が出来そうな箇所に仕掛けていく。お陰で袋の中には空の瓶がドンドン出来上がっていく。

 

「一先ずはこんなもんか……。」

 

渓谷の両サイド側とその地面に一定の感覚で魔法陣を敷き、満足したので帰ることにする。予定とは違う事をしたのですっかり日が落ちていた。

 

渓谷を抜け、城砦に戻ると入り口でイオルと出会う。

 

「イオルか。ただいま帰ったが……入口で何か用でもあったのか?」

 

「サイトウが帰って来た気配を感じたから迎えに来た。神様とたいちょが心配してた。帰りが遅いって。」

 

「それはすまん。少し道草食ってた。」

 

「サイトウ、お腹減っても草を食べるのは良くない。」

 

「あ、いや、実際に食べた訳では無くてな……。」

 

「……?」

 

「何でもない。んじゃ皆のとこに行こう一応今日の事を報告しておこうかと思う。」

 

「分かった。こっち。」

 

イオルに案内されながら後を付いてく。……意味、通じないんだな。

 

この世界に慣用句的な言葉は無かったのか?それともイオルに通じなかっただけなのか?と疑問に思いながらも皆がいる場所へ向かった。

 





次ぐらいに一応カトリトのシーンをちょこっと挟んでおきます。一応ね……。
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