この世界を生き抜く為に出来ることは……。   作:コクーン√

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戦え~、心臓を捧げよ。



第三十七話

 

 

「うおぉ……群がるみたいに寄って来てるな……。」

 

アヴァロと分かれた後、俺は城砦の最後尾、尻尾部分に来ていた。目的は後ろから城砦は追って来る王国軍を少しでも減らすためだ。

 

「崖際の罠は無事に掛かってくれたみたいだしな。」

 

敵の怒号が聞こえたかと思うと、崖側に以前仕掛けていた魔法陣が起動する感覚があった。タイミング的に見て騎士たちが踏んだと読んで続けて岩陰などに仕込んだのも一緒に起動しておいた。少しは歩みを止められたのなら御の字である。

 

「簡単に城砦に登れると思うなよ?」

 

俺の防衛地点には既にエネを置いている。俺よりか強いので変な心配はいらない。

 

こちらに馬に乗り向かって来る王国軍に目掛けて電撃を放つ。直撃には行かないが余波で別の馬に当たり馬がコケた。

 

「下手に狙うよりばら撒いた方が効果的だな。」

 

可能な限り範囲を広げ騎士が多く居る場所目掛けて魔法を撃つ。俺からの攻撃に気づき城砦から離れ崖際に寄る騎士には上の壁に魔法を撃ち落石をお見舞いしてやった。

 

「これ後で通路の掃除に行かないといけないな。」

 

岩や石などが散らばっているので交通者には迷惑である。今回はそれが助かるんだが。

 

後ろから追ってくるのは迎撃出来ても前や横から来る騎士には対応が出来ないのでここらで切り上げる。

 

「……お、俺の所で発動したな。」

 

感覚的にだが俺が担当する区画で魔法陣が発動するのが分かる。遂に侵入者がおいでなすった。

 

エネなら余裕だと思うが一応急いで合流する。その間にも様々な場所で魔法陣が発動するのが分かる。エネに合流すると、足元や壁際に倒れている騎士たちが目に入る。

 

「うーん、これは俺は要らなかったみたいだな。」

 

人数にして10人に満たないがそれでも割と瞬殺である。罠で足止め出来ているからってのもあるが。

 

「防衛ありがとな。」

 

近寄りエネの頭を撫でる。嬉しそうにしているエネは倒れている騎士たちをこちら側に引っ張る。

 

「よし、それじゃあこの騎士たちを適当に隠してしまおう。あ、鎧は剝いでおこうか。」

 

次の目的の為に邪魔なので後方へ移し、木精に渡す。足元から出て来た根っ子で騎士を簀巻きにすると奥へと消えていった。

 

「今の内に罠を仕掛け直すか。」

 

恐らく皆の所にも王国軍がやってきているのだろう。一番心配なのは近接戦で重い武器を振り回すアヴァロだが華燐結騎がそこはフォローしてくれるだろう。

 

そうこうしている内に外側の罠が起動する。

 

「来たようだな。」

 

王国軍が来たので先ほど倒した騎士から剥いだ鎧をエネに渡す。エネは鎧を受け取ると体の中に取り込む。素顔が見られない様にフードを深く被る。

 

「おや、第二陣のご到着ですか?ですが、少し遅かったみたいですね。」

 

俺の正面に騎士たちが到着する。人数はざっと……四人?少なくないか?

 

「居たぞ!この城砦の人間だっ!捕えよ!」

 

武器を構える騎士たちの足元の魔法陣を起動させる。俺を見ていたからか碌に防御も出来ずに全員が直撃する。

 

「がっああぁぁぁあ!!!」

 

体勢を崩す騎士に追撃でエネから水弾が放たれ直撃、二人ほど吹き飛び壁に叩きつけられる。

 

「がはっ!?」

 

「インフルース王国の竜顎騎士団ともあろうお方たちがこの程度でグロッキーとは……情けないですねぇ?」

 

「……っ、情報にあがっていた……!精霊使いか……!?」

 

どうやら既に敵には知れ渡っている様だ。そりゃそうか。

 

「先ほど戦った騎士も大したことは無かったですね。この子の良い栄養になってくれたみたいですし。」

 

「……!仲間たちを……!?」

 

「ああ、鎧はお返ししておきますよ?流石に溶かして精錬するのは面倒なので……。」

 

エネに視線を向けると、体に取り込んでいた鎧を正面での騎士達に飛ばす。頭部と右足の鎧が目の前に転がる様子を見てこちらを見る。

 

「……化け物が……っ!」

 

殺意に満ちた目でこちらを見てくる。こわい。

 

「人の住居に武装した集団が許可なく乗り込んで来たので当然の対応をさせてもらっただけですが?」

 

「大人しく投降していれば身柄の安全は保障していた!」

 

「それは目的が城砦の拿捕だから?それならこれの使い方が分かれば俺たちは用済みで殺されると思いますが?」

 

城砦の壁を小突きながら質問をする。

 

「その様な命令な出来ていないっ、捕縛せよと言われている。」

 

「それはあくまで上官のキスニルさんのでしょう。」

 

こちらを殺したそうな目で見ながら向かって来ない。多分、増援待ちと周りの味方が立て直せるまでの時間稼ぎ……あと罠を警戒して迂闊に飛び込めないとかか。

 

「さてとお喋りはこの辺りにしておいて……次にもやる事が沢山あるので終わらせていただきますね?」

 

「くっ……!このっ!」

 

これ以上時間稼ぎを出来ないと理解した騎士が剣を向け向かって来る……が、エネの水弾であっけなく倒れる。

 

「エネ。この人たちも急いで運んでしまおう。」

 

騎士たちを後ろに連れて行き木精に渡す。

 

「あ、ついでにこいつらが来ている鎧を出来るだけ持って来てくれ。」

 

俺にお願いされた木精は頭を下げどこかへ向かう。……やっぱり怖がられているよな?

 

戻ってくるまで防衛区画に罠を再度設置し直す。

 

「エネ、後はここを頼んだ。」

 

『了解!』と手を上げるエネに手を振りながら後方に下がり、木精を合流し再度城砦の最後尾に来た。下を見ると未だに城砦に乗り込もうとしている騎士が居る……が、よくよく考えてみると数が少ないような気がする。

 

「………本隊はもっと後に来るのか?今の部隊できっかけを作りそこから一気に攻め込む……?」

 

キスニルさんが居る本隊がどこかで乗り込んでくると考えるならその少なさも納得できる。相手は一国なのだからもっと兵士の数はいる筈。

 

「ま、取りあえずは……。」

 

隣に居る木精から剝いだ鎧を受け取り下に居る騎士に目掛けて落とす。

 

「おらっ、お前らの仲間が着ていた大切な装備だぞ!拾えや!」

 

適当に投げているが、数撃ちゃ当たるのか何人かの馬に直撃し落馬していく。

 

「……負傷兵落とした方が効果的……か?木精っ、急いで捕縛している騎士を連れて来てくれ!」

 

『はいぃぃいっ!』と背筋を伸ばし手を上げる。体の一部が蠢くと遠くから簀巻きにされている騎士が根っこに運ばれてきた。

 

「流石にここからだと即死だから、もっと下に向かおう。」

 

最後尾から降り、落としても死なない程度の高度まで下がる。

 

「よし、ここらへんで良いだろう。」

 

外を見ると、馬を走らせている騎士たちが目に入る。……よし。

 

「インフルース王国の騎士達よっ!愚かにも神に逆らった者たちを返すぞ!」

 

俺の声に反応した騎士たちの前で簀巻き状態の騎士を地面に転がす。動くのが遅い城砦ではあるが、歩みを進めた時の速度はそこそこあり勢いよく回転し転がって行く。それに巻き込まれ落馬する騎士や、避けて減速していく騎士が居る。

 

「それじゃ、引き続きここは任せた。」

 

続けて騎士たちを捨てる木精に任せ城砦の中央に戻る。他のみんなは無事撃退は……多分出来ているみたいだな。魔法陣がまだ健在だし。

 

今の所はうまく迎撃出来ていることに安心しながら次へ向かった。

 

 

 

 

 

「沢山来ていますね……。」

 

「こんなに攻めて来ちゃって、何がそこまで駆り立てるのか理解できないよねぇ。」

 

「わたしたちはここを通さない様に王国軍を倒せば良いのです。よろしくお願いしますね、嵐燐結騎さん。」

 

「まぁ私だって早々に主人が居なくなるのは勘弁したいからそれなりにやってあげるわよ。」

 

話し合っている内に王国軍が正面まで攻めてくる。

 

「それじゃあ行きます……えぇーーいっ!」

 

周囲に居る雪だるまを騎士たちに突進させる。先頭に居た騎士は突然迫って来た雪だるまを避けれずに当たり後ろに倒れる。

 

「くっ!……なんだ?これは……?」

 

自分に突撃してきたのを見て一瞬困惑する。

 

「まだまだいきますよっ!」

 

ほんの少し王国軍の歩みが止まったのを確認し更に雪だるま達を突撃させる。

 

「総員っ!敵だ、迎え撃つぞ!」

 

迫って来た雪だるまを切り捨てるかその場から回避を選ぶ。

 

「流石にこれだけでは上手くは行きませんよね……。」

 

ミケユは近くに傍に居る小柄な雪だるまを手に持つと、ポケットから札を一枚取り出し貼る。

 

「これなら……えーーいっ」

 

手に持っている雪だるまを敵に向け投げつける。最前線に居た騎士に当たり雪だるまが崩れる……と同時に札の魔法陣が起動し周囲を巻き込むように電撃が飛び交う。

 

「がぁああぁああ!??」

 

電撃が当たった騎士達数人がその場で膝を着く。そこに再び雪だるま達が突進してくる。

 

「ぐああぁっ!」

 

避けられず衝突し弾き飛ばされる。

 

「まだまだ行きますよっ!」

 

 

 

電撃の罠に足止めされながらもなんとか後続の王国軍が到着する。すると戦場には突進して仲間を轢く雪だるまと、飛んで来たと思えば電撃を浴びせてくる小さな雪だるまが目に入る。更に言えば突進をしてくる雪だるまですら電撃を浴びせてくる個体もいた。しかもそれを行使しているのは小さな猫獣人一人だという事実。

 

「術者を直接狙えば……!」

 

中心地から離れ、奥で魔法を使っている少女目掛けて一気に駆け寄る。目の前の1人を倒せば済む話だ。

 

「ざんねん、ここから先はいけないわよ。」

 

女性の声が聞こえたかと思うと横から見えない何かがぶつかり壁に叩きつけられる。

 

「がっ……!?」

 

前を見ると宙に浮く女性が目に入る。昨日聞いていた精霊だった。

 

「一応守ってって言われてるからちゃんと働かないとねー。」

 

パチン。っと指を鳴らすと見えない攻撃に切り刻まれ倒れる。

 

「さってと、今みたいに来た人間を適当にあしらえば問題ないでしょ。」

 

倒れた騎士を一瞥しミケユの方へ視線を戻す。

 

「ま、今の調子だと私は要らなそうだし~楽できそうかな?」

 

こちらに向かって来る王国軍の取りこぼしに対して適当に旋刃や風で弾くだけの簡単な仕事であると分かり、少し機嫌が良くなる。そして敵から見えない様に姿を消した。

 

 





主人公とミケユサイドですね。

主人公側は正直エネ一人と罠だけで事が足りる感じです。
ミケユに関しては降り注ぐ絨毯爆撃と神風雪だるまで一方的に合わせ嵐燐結騎の守りとあちこちに仕掛けられた罠パーティーですね。

次はイオルとアヴァロサイドとかですかね?
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