この世界を生き抜く為に出来ることは……。   作:コクーン√

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最後の防衛戦ですね。王子死すべし。




第四十二話

 

 

「ようやくお出ましか。」

 

城砦入口で敵が来るのを待っていると、鎧の音と足音が近づいてくる。

 

「他から来てたりはするか?」

 

「今の所は居ないんじゃないかしら?」

 

「なら、目の前だけに集中するか。」

 

城砦の階段をガシャガシャと音を立てながら登って来る。……見た感じ10人位か?

 

「……!居たぞっ。城砦の人間だ!」

 

俺を認識した時点で足を止めたので一応確認を取っておく。

 

「ここに来たのは城砦を占拠しろとあのクソ王子に命令されたのか?」

 

俺の侮辱する台詞に何人か怒りを露わにする。

 

「我々はこれ以上街への攻撃を阻止すべくこの城砦を確保しに来た!無駄な抵抗はせずに大人しくしろ!」

 

「その攻撃すらもあんたらの王子の計画と言っても信じてもらえないんだろうな。」

 

「その様な嘘が通じるとでも思っているのか?馬鹿にするんじゃない。」

 

「ならこの街の現状を見てみろよ。混乱する市民をまず始めに助けに行ったのはこの城砦に居る人だ。折角守り切ったのにわざわざ敵に明け渡すような真似までしても……まぁそういうところがフィアさんらしいんだけどなぁ。」

 

「それに対して街に居る王国軍を見てみろ。市民を助ける所か、瓦礫を踏みながらここに向かって来ている。助けられる民を踏みながら……。」

 

街を見れば嫌でもよくわかる。鎧を着ている王国軍は倒壊した家や瓦礫を無視し城砦を確保することを優先している。……いや一部の騎士は助けているな、あれは……服装からしてキスニルさんか?

 

「……我々に下った指令は城砦の確保だ。それが何よりも優先される。」

 

「そうかい、じゃあそれは不可能な任務だな。」

 

これ以上の対話は意味が無いと決め、戦闘を始める。向こうもこちらが話す気が無くなったと感じ取り武器を構える。

 

「死んだら運が無かったってことにしてくれ。」

 

手を前に突き出し電撃の魔法を放つ。正面の騎士はそれを避けたが、後ろの何人かに当たる。

 

こちらに攻め込まれない様に続けて正門予め仕掛けていた魔法を起動する。

 

「っ!?魔法が来るぞっ!回避しろ!」

 

俺の後ろから複数の魔法が放たれ騎士たちは各々回避を取る。先ほど電撃を食らった騎士は避けれずに直撃コースだった。

 

「この……っ!」

 

一人の騎士が距離を詰めようと此方に向かって来る。

 

「木精、あいつの足を。」

 

近くにいる木精に指示を出す。走って来る騎士の足元に根っこが生えたかと思うと足に巻き付く。

 

「っぐ!?なんだ!」

 

足が取られその場で盛大に転ぶ。魔法を撃とうとすると、更に根っこが地面から大量に生え、そのまま騎士を覆って行く。

 

「くそっ!はなせっ!」

 

その光景を見て仲間の騎士が援護に来ようとするが周囲の根がそれを邪魔する。

 

「なっ!なんなんだこれは……!?たすけ……っ。」

 

完全に覆われると中から呻き声の様な声が聞こえ続ける。……ホラーじゃん。

 

「さて、次は誰かな?」

 

一応弁解しておくが、足を引っ掛けて転倒してくれればこちらで処理したんだがそのまま一人持って行った。でも思惑通りと言わんばかりの態度を見せる。

 

目の前の騎士達はお互いに目配りをし、俺を挟むような陣形に変わっていく。キスニルさんと同じやり方か。左、右、正面にそれぞれ二人ずつ。

 

「またそれか……。」

 

動き出される前にこちらから仕掛ける。右に居る騎士たちに電撃を放ち、即座に左と距離を詰める。

 

「木精っ、嵐燐結騎、右と正面の相手は任せた!」

 

左の二人の剣の射程に入る寸前で地面に魔法陣を敷き一歩後ろに下がり一人に向け魔法を撃つ。フリーの方の騎士がチャンスとばかりに攻撃を仕掛けてくるのを更に後ろに下がる。

 

好機と捉えたのか更に距離を詰めてきたところを足元の魔法陣を起動させる。どうせ避けられると次を構えていたが避け切れずそのまま直撃した。

 

「じ、地面からっ!?」

 

俺とは距離がある一人目の騎士が驚くような態度を取っていた。こちらも想定外だったがそのまま二人目の騎士と距離を詰め追撃をする。

 

「ぁあああっああぁ!!!」

 

剣を手放し痙攣するようにその場に倒れ込む。1人目。残り一人はすぐそこまで来ていた。

 

その隙を狙う様にが剣を振りかぶる。それに合わせてその場でしゃがみ込み、倒れている騎士の身体を持ち上げ盾にする。くそ重いっ……!

 

斬りかかろうとする手が反射的に止まる。その隙に今度はこっちが攻撃を仕掛ける。

 

「ぐっ、うぅぅっ!」

 

一撃を何とか耐えたが、その場で膝を付いたのを見てトドメに正面から魔法を放った。

 

「ふぅ……これでこっちは終わりだな。」

 

袋から瓶を取り出し飲み干す。後ろをみると残りの騎士四人が一か所に集まっていた。そこへ嵐燐結騎の不可視の攻撃が飛び交う。逃げようにも周囲にある根っこがそれを妨害する。

 

「逆に詰んだなあれ。」

 

死角を無くすために集まったと思われるが……もはや的でしかなかった。

 

その間に倒れている騎士一人一人に安全確認のため魔法を一発ずつ撃っておく。二人ほど意識があったので静かになってもらう。

 

二人の方の騎士達も片付き落ち着きを取り戻す。

 

「二人とも助かった。」

 

「あの程度余裕よ、ねぇー?」

 

嵐燐結騎が隣の木精に同意を求めるとまたもやこちらに敬礼をしてくる。……取りあえず俺も敬礼をかえしておこう。

 

「まだ敵は来そうだよな……。」

 

袋から紙を取り出し見たがまだクリアとはなってはいなかった。つまりアヴァロ達がまだ頑張っているという事だ。

 

「木精、今の内にこいつらを外に捨てて来てくれ。」

 

邪魔になる騎士達を運ばせ、再度魔法陣の設置に取り掛かった。

 

 

 

 

 

「フィアッ、そっちの方はまだ居るか!?」

 

「ううんっ!こっちももういないよ!キスニルさんの方も全員助けたって。」

 

「よしっ。サイトウの方もまだ大丈夫そうだな。」

 

城砦の方を見上げると、入口付近でサイトウのと思われる魔法が何度も見える。

 

「エネちゃんこっちに来ちゃったから心配だったけど問題無さそうだね!」

 

「そのお陰で安心してフィアと別行動が出来たしな。助かったよ。」

 

「エネちゃん凄かったよー?敵が近づく前に全部やっつけてくれたの。」

 

「救助も手伝ってくれたからその分早く市民を助けることが出来た。後でサイトウにお礼を言っておかないとな。」

 

「そうだねっ!そのために早くこの混乱を収めないと。」

 

「未だに城砦を狙おうと動く王国軍は居る、中には俺たちを手伝ってくれる人も居たが……。」

 

あの王子が街に居る限りは城砦を狙う動きをするはずだ。それを止めないと。

 

「フィア、元凶の王子を探そうっ。この混乱を収めるために!」

 

「うん、わかったよ。でもどこに居るか分かるの?」

 

「多分騎士たちが来ている方向だと思うんだが……。」

 

周囲を見渡し敵の居場所を探していると、城砦方面から一直線に街に向かって魔法が飛んでいく。

 

「あれは……。」

 

間違いなくサイトウの魔法だろう。しかもさっき王子を倒すために最初に使った奴だ、もしかして……。

 

続けて二発、三発と同じ場所に向かって魔法が撃たれていく。

 

「フィア。恐らくサイトウが魔法を撃っている先に居るはずだ!」

 

「うん、そうだよね。サイトウさんがイタズラに街を攻撃するはずないもんね!」

 

「急ごうっ。」

 

魔法の着弾地点に向かって走り出す。その間にも風の魔法と思われるのが街を目掛けて飛び、激しい炸裂音と雷が周囲に飛び交う。徐々に発生場所が動いている事から敵も移動していると予想できる。

 

「多分あれは嵐燐結騎のだよな……?」

 

小さくてよく見えないが、風の魔法で何かを飛ばしている様に見える。

 

「それにしてもよくあの距離から撃てるな……。」

 

敵からしたら堪ったもんじゃないに違いない。遠くから一方的に攻撃され自分らからは何も出来ない。

 

「フィアっ、そろそろ接敵する!気を引き締めて行くぞ!」

 

「うんっ。悪いことした子にはお仕置きしないとね!張り切っちゃうよー!!」

 

街の裏路地を抜け広場に出る。そこには警戒のため城砦を見上げながら進む騎士たちが居た。

 

「見つけたぞっ、ギルシュ!!」

 

その中心で騎士に隠れながら前に進む姿が目に入る。

 

「っ!?貴様は……城砦のっ!」

 

「てめぇだけは絶対に許さねぇ!何が王族だ!自分の目的の為に自国の民を犠牲にしやがって!」

 

「黙れっ、民など幾らでも湧いてくる。多少減った所で何も変わらない!……寧ろ王の為に生贄と役に立つのだ。誉れと言えるだろう。」

 

「この……っ!どうやら、根本的に性根が腐っている様だな……、守るべき民を犠牲にしているお前に王を名乗る資格なんてねぇよ!」

 

「支配者たる我に王を語るなど何たる罪か……。ーー下賤の血がっ!お前ら、こいつらを殺せ!近くに仲間が居れば向こうの奴も下手に撃てないだろう。」

 

「簡単にやられるかよ。逆にふん縛ってやるぜ!」

 

「よーしっ、やっつけちゃうよ!一緒に頑張ろ、エネちゃんっ。」

 

隣もフィア達も準備万端だ。

 

「行くぞ!」

 

 

 

 

 

 

「うーん。どうやらアヴァロ達との戦闘が始まったみたいだな。」

 

「どうするの?私はまだまだいけるけど。」

 

隣で浮遊している嵐燐結騎が水の瓶を飲みながら返事をする。

 

「これいいわね、すっごく飲みやすい。私に頂戴?」

 

「駄目だ。それは俺の生命線の一つだからな。」

 

「え~ケチね。」

 

「そんなに良いのか?なんかエネ達も良くあげると喜ぶけど。」

 

「そりゃそうよ。私達にとっては直接摂取出来る物だから。」

 

「へぇー、そんなにか。」

 

多分精霊の栄養?源的な物を言っているのだろう。女神産だしそれくらいあってもおかしくないか。

 

「それで?結局どうするの?」

 

「そうだな……アヴァロ達に変な横やりが入らない様に周囲から集まって来る敵さんでも狩るか。」

 

一応イオルとミケユ、それにキスニルさんもアヴァロ達に向かって移動をしている。全員が集まればあのクソ王子など敵では無いだろう。俺はただこっちから妨害しておけば良いだけ。

 

「それじゃ引き続きイタズラをしましょ。」

 

「だな。次はアヴァロ達から一番離れているあの騎士でも狙おう。こっちからも攻撃してストレスを与えれば意識を割かざる負えなくなるしそれが隙になる。」

 

手広げ魔法をイメージする。今回は威力と範囲は最小限に抑え、遠くまで飛ばすための速度と形を造る。

 

「……こんなもんか?」

 

結局弾丸や弓矢みたいな感じになってしまうのは想像しやすいからだろうか?

 

手を前に出し、後方に居る騎士に向けて放つ。風切り音が鳴り見えなくなる。

 

「……どう?当たった?」

 

「残念ながらハズレたわね。相手は一切気がついてないし。」

 

「お試しだしな。取り敢えず届くのが分かれば問題無し。」

 

「次からは私が調整してあげる。アヴァロ達に当たらなければ問題無いでしょ?」

 

「ああ、直撃したらラッキーぐらいでいこう。」

 

今の所、次のお客さんは来ていない。流石に民の惨状を見て行動に移したか、それともこれ以上の兵力は居ないのか。

 

「精々ムカついて惨めに負けてくれ。」

 

アヴァロ達と対峙している金髪クソ王子を呪いながら攻撃を続けた。

 

 





王子死すべし。(二度目)

次で街の防衛戦も終え、街の修復作業やらなんやらして行きます。


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