この世界を生き抜く為に出来ることは……。   作:コクーン√

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アヴァロ視点から始まります。

後は主人公視点ですかね。






第四十三話

 

 

「もうやめろ。これ以上続けても無意味だ。今何をやらなきゃいけないのか、少しは周りを見てくれ。」

 

攻撃を受け続け膝を付いた目の前のギルシュに向かって言う。

 

「クソがっ、何が、どうなっている……!!」

 

周りを見ると最早ギルシュに付き従う騎士団員の数も少なくなっており、多くの騎士は被害に遭った市民の救助や鎮火活動に従事していた。こちらも途中までイオルとミケユが来ていたが、鎮火を早く終わらせるためにそっちに回って貰った。

 

「完璧な作戦だったはずだ……っ!今頃は余が城砦を支配していたはずだった!!それもこれもキスニルや騎士団が裏切ったせいだ……!」

 

「馬鹿を言うな。兵士達だって人間なんだよ。この街に住んでいるのなら尚更だ。知り合いや隣人が困っているのに放って置ける訳ないだろ。」

 

「おいっ、きさまら!何を惚けている!目の前に街を破壊した賊が居るのだぞ!何を置いても復讐するべきであろうが……!!命を捨てて、余の役に立ってみせよっ。」

 

負けを認めずに周囲の人達に戦えと声を荒げるギルシュと止めようとすると、ギルシュの頭に石つぶてが当たる。

 

「ーーーぐっ、な、なんだ!?」

 

飛んできた方向を見ると、投げたのはまだ幼い少女だった。

 

「悪者はそっちだもん!」

 

「この、ガキがぁっ!誰に歯向かったのか分かっているのか!!」

 

「お姉ちゃんがたちは、みんなを助けてくれたもん!それをジャマしたのは、そっちだもん。」

 

「被害を増やしているのは、救助に参加していない騎士団の人達ですっ。」

 

「そうだそうだ!逆にあの人たちは助け出そうとしてくれたぞ!」

 

少女の声をきっかけに街の人達の声が上がる。

 

「馬鹿どもがっ、外壁を壊したのは誰だ!?この者たちを放っておくと更に被害が増えるのだぞ!」

 

ギルシュの声をかき消す様に周囲の人達の声が大きくなってくる。

 

「殿下、もやはこの戦いに意味があるとは思えません!」

 

街の人だけではなく騎士団からも声が上がる。

 

「な、何を言っている!」余はリックベルへ侵入した賊を退治しようとーー」

 

その声も虚しく周囲の人から非難の目が向けられていた。多くの視線を受け、言葉に詰まっている。

 

「ぐうぅ、き、貴様らぁ……っ!」

 

「観念しろよギルシュ王子。幾ら声高に叫んでも、周りはもうアンタの味方をしないんだよ。街の人を犠牲にして城砦を確保する作戦はもう失敗してるんだ!」

 

「まだだっ!まだ余の作戦は失敗した訳ではない!」

 

自らの作戦の失敗を否定するように叫び剣を構える……が、そこに何かが飛来し、ギルシュ王子から剣を弾き飛ばす。

 

「なっ!?何がっ!!!」

 

自分の剣が何かに弾かれ、驚いたかと思うと続けて胴体に被弾し横に転がる。

 

「殿下っ!!」

 

突然の奇襲に王子を守ろうと近くの騎士が間に割り込む。飛んできたであろう場所を見るとフードを被った男が立っていた。

 

「あれは、サイトウか……。」

 

手を前に出しこちらに顔を向け親指を立てている。

 

「サイトウさん!?城砦にいたんじゃ……。」

 

「大丈夫ってことなんだろうな。」

 

「貴様は……っ、あの時のっ!!」

 

サイトウの攻撃から立ち直ったギルシュ王子が怒りを向ける。

 

「余に、二度もこのような真似を……!殺してやる。」

 

もう一戦闘があるかと武器を構えると、王子の背後から物言わぬ霊体が現れる。

 

「……ロズリーヌ。退けと、言っているのか……?ちいぃっ。」

 

「アヴァロ……それにサイトウと言ったな。貴様ら、覚えてろよ。この屈辱は必ず返す。」

 

「はっ、何が屈辱だよ。ただの自業自得じゃねぇか。アンタは自分の駒だと思っていた騎士団や街の人達からも見限られたんだよ!」

 

俺の言葉に賛同するようにサイトウが上に向けてた親指を今度は下に向け上下に動かしていた。

 

「殺す……!次は確実にその身を八つ裂きにしてやるぞ……!」

 

剣を収め、この場を去ろうとする。ようやく終わりみたいだな。

 

と、一息つこうとしていると、サイトウから魔法が撃ちだされる。

 

「サイトウっ!?」

 

ギルシュ王子に向けて撃ちだされた魔法は背後に居た霊体が前に出て全て塞ぎ切る。それを見て更に魔法の数を増やさんと手を出すと複数の魔法陣が出現する。

 

「サイトウさんっ!もう攻撃しなくて良いから!戦いは終わりになったよっ。」

 

フィアの声を聞き、手を下げ魔法陣を消す。……サイトウって割と敵に対しての殺意高いよな。

 

「あ、止めてくれた!良かったー。」

 

攻撃を止めたサイトウを見てフィアが安心する。その隙にギルシュは霊体と一緒に俺たちの前から去って行く。

 

「サイトウさんってこういう時攻撃的だよねー。敵って決めたら止まらない……!みたいな感じがする。」

 

「俺も同意だ……。城砦の時もそうだったが、今のを追撃してくる所とか容赦ないよな。」

 

多分だけど……俺たちが甘い所を補おうとしてくれている気がしている。俺もなんやかんやでフィアの言葉を選んで行動してるしな。

 

家の屋上からどう降りようかと悩みながらうろうろしているサイトウを見ながら、そう考えていた。

 

いや、どうやって登ったんだよ……。

 

 

 

 

「キスニルさん。それじゃ後の処理は任せた!」

 

「ああ、この後の事は我ら騎士団に任せて欲しい。」

 

街での戦いも終わり、場を収める為にキスニルさん率いる騎士団が積極的に動いてくれた。俺たちは流石にこのまま城砦をここで置いておく訳にも行かないので一旦離れた場所に移動させることになった。幾ら問題無いと言っても外壁を破壊した元凶があるのは街の人も怖いだろうしな。

 

街から出ようと城砦に向かうと、街の人達から感謝の声が聞こえる。それを嬉しそうにフィアが手を振り返していた。

 

城砦に戻り各々落ち着き始める。一応念のためにまだ城砦に敵が残っている可能性を考え、精霊達を一緒に見回る。

 

「あ、サイトウ。」

 

「サイトウさん?もしかして私達と同じですかね。」

 

「二人とも。という事は、見回り?」

 

「はい、まだ城砦に兵士が居るかもしれませんから。」

 

「ここはイオ達の家。安全を確保するのは当たり前。」

 

当然と言わんばかりに胸を張る二人。

 

「そりゃ頼もしい。後はこの辺りだけだから任せても良いか?」

 

「はいっ、任せてください。」

 

「俺はアヴァロとフィアに報告しておくよ。あ、もし簀巻きにされてる騎士を見つけたら適当に外に捨てて置いてくれ。」

 

二人に最後を任せ、生活区画へ戻る。

 

「二人は……。部屋か?」

 

部屋に向かおうとすると、城砦の端に二人を見かける。

 

「アヴ……。」

 

声を掛けようと口を開いたが、その続きを止める。

 

外を見上げ、手を繋ぎながらフィアがアヴァロと話していた。チラッと見えた横顔はどこか不安そうな顔に見えた。

 

……報告は後にしておくかぁ。今は二人きりの絆でどうぞご自由にお深めなすってくだせぇ……って感じだな。

 

二人に気づかれない様に静かに踵を返す。今回は色々あった。自分の願いを叶える為にどこを目指そうとしているのか分かっただろう。城砦を確保するためのこちらが嫌がる手段を取る人間など幾らでも居る。今後もそれは無くならないだろう。それを知り、これからの事が不安になっている筈だ。

 

それを勇気付ける役目はアヴァロが果たすだろう。なんせ使徒様だ。それにそこまで心配する必要もない。

 

なんやかんやフィアなら……、二人ならお互いを助け合って前に進んでいける。そう思えるだけの信頼は既に構築されている。俺はそのサポートして行きつつ、あの女神からの任務をこなしていけば大丈夫だろう。

 

袋から取り出した紙に書かれたコンプリートの文字を眺めながら静かにほほ笑んだ。

 

 

No17.リックベルの街の人達を瓦礫から助けよう! ★COMPLETE★

 

 





王子死すべし(三回目)

後は街の修繕と、キスニルさん参戦イベント。最後に四章へ必要なイベントをこなしたら三章も終わりですね。

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