最初のボスキャラも登場します。
「こういったのを採取して原料などにしてるんだ。」
「へぇー、なるほど、これが回復させる薬の素材に……。」
「アヴァロは物知りだからねっ!何でもできちゃうからびっくりだよね。」
現在、涸れた水源の調査の為に湿地森までやって来た。森の中を進みながら、薬や、工房に使う鉱石などの採取のレクチャーを受けている。いつか役に立つかもしれない。
「これなら自分でも採取出来そうですね。」
「そうだな、難しいことじゃない。まぁ強いて言うなら見つけれるかどうかぐらいか。」
「そこはまぁ、何とか頑張ります。」
二人が調査を進めてく中で、自分にもできることを考えた結果、採取だけでも……となった。薬だし無駄にはならないだろうしな。
「それにしても、一向に見当たらないねぇ……。」
井戸の位置からそこそこ深くまで進んだと思うが、未だに水精は見つかってないらしい。なんか変な動く木の魔物は何回か出くわしたが、二人が倒してしまった。明らかに俺が出会った小鬼より強そうなやつだった。やっぱりこの世界では戦えるのは前提条件なんだろうか……?
何回かアヴァロが怪我を負ったが、フィアが魔法で治していき危ない場面もなく森を進んでいく。良いなぁ、回復魔法。俺も欲しい。
「此処は水が深そうだな。落ちない様に気を付けて進もう。」
先頭を歩くアヴァロから注意が飛ぶ。横を見るとそこが見えないくらいには深い川があった。落ちたら終わりだなこれは……。
「うーん……多分だけどね、この先から水精の気配が感じるよ?」
「本当か、じゃあこの先に集まっているんだな。これで水源の確保が出来そうだ。」
どうやらこの先に目的の精霊たちが居るらしい。
「君は大丈夫?結構歩いたけど……?疲れたりはしてない?」
「俺は大丈夫だから気にしないでくれ、無理そうならその時言うよ。」
「了解っ、それじゃアヴァロ先に進もう!」
「ああ、気を付けていこう。」
俺も注意深く地面を見て居よう……採取出来るのがあるかもしれない。
「感じる……間違いない、この先に水精たちが集まってるよ。」
「ああ、間違いないな。水脈の流れが変わって、水精たちも居場所が変わってしまってたんだ。」
「それじゃあっ、早速水精たちと仲良く……ってあれ?なんか変だよ?こっちに気づいてるのに呼んでも返事がない。」
二人の後ろから覗いてみると、少し先にスライムみたいな流体の何が居る。多分、あれが水精なのだろう……が、なんか警戒している様にも見えるのは気のせいだろうか?
「環境が変わったせいで怒っているのかもな……。あそこが水源なのは間違い無いし、近くまで行って話を……。」
「アヴァロ、待って!」
話をしに行こうとするアヴァロを横からフィアが止める。その瞬間、水源の中から他の奴らとは明らかに見た目の違う強そうなやつが出て来た。
「我らに敵対するものよ、なぜこの地に踏み入れた。此度の異変も全て貴様らの仕業か。」
急に出て来たそれは、強い敵意を持ってこちらに問いかける。めっちゃ怖いんですが。
「え、違うよ。それは誤解だよ。水脈が変わっちゃったことについては謝るよ。お詫びにちゃんと直すし、まずは話を聞いて欲しいの。」
「戯言を。その様な姿を借り、我らを混乱させようとしても無駄だ。この水脈を守り、敵の足止めをするのがわが責務。ここを踏み越えようとする者には容赦はしない。ましてや我らの敵になど。」
あー、これは完全に敵対されましたね。フィアなんてめっちゃ睨まれてるし。
「我が名は流燐結騎。結騎の名において、絆を断ち切らんとする悪しき存在を滅するのみ。」
名前まで名乗っちゃったよ……。戦闘開始じゃん。周りも何だか戦闘態勢だし、離れて大人しくしておこ。
こうして、唐突に出て来たボスキャラと戦闘が始まった。アヴァロが使っているデカい鈍器で一撃を与え、フィアがそれのフォローと周りの精霊を足止め、もしくは大人しくさせている。……あれか、女神だから特攻とか持ってんのかな?
おれはと言うと、少し離れた場所でそれを見ながら採取をしていた。一応周囲にを警戒はしている。離れた場所で水精が居るが、今の所こちらに意識を向けている様子は見えない。
「お、これか。」
アヴァロから教わった時と同じ植物をみつけ、採取しようとする。
「ここをこうやって………ん?」
根元から採ろうとした時に植物の根元に何か蠢く生き物が居た。
「これは……水精か……?」
見た所、アヴァロ達と戦っている水精に見えるが……めっちゃ小さい。手の平に乗ってしまうサイズである。しかもなんかグッタリとしている。
「もしかして、水源の影響で弱ってるのか……?」
上手く栄養が蓄えられなかった個体なのかもしれない。
「う~ん……。」
これを放置するのは可哀そうである。こちらが原因でそうなってしまったのに助けない訳にはいかない。
考えた結果、取りあえず水を与えることにした。袋からご用達の瓶を取り出し、少し垂らす。
すると、それに反応したように蠢き、垂らした水を吸っていく。
「おおお……。」
その姿に驚きながらも、追加で水を与えていく。目の前の水精は与えた分だけ吸収していく。暫く与えていると子猫程度の大きさまで膨れ上がった所で吸収するのを止めた。
「元気になったで良いのか……?」
大きくなった水精は踊る様にプルプル震える。その動きが可愛らしく、つい指で突いてみる。
「うおっ。」
突かれたのに反応してこちらの指にほおずりをしている。頬なのか分からんが……。
次第に指から手へと動物が愛情表現をするようにスリスリとしている。
「実際はべちょべちょなんだが……。」
水で出来ているのだ。お陰で手は濡れまくりである。
「まぁ、回復出来たから良しとしよう。」
当初の目的を果たし、戦っている二人を見る。一応優勢に見えるが、周囲に居る水精が邪魔をしてボスへ上手く進めていない様に見える。
「なぁ、そこの君。」
足元で靴に纏わりついている水精に声をかける。
こちらの声に反応して動きを止める。どうやら話は通じるらしい。
「あそこにいる君の仲間をどうにか説得とか出来たりしないか?」
こいつは割と友好的に見える。俺が助けたからだと思うのでその恩を返すという意味でも役に立って貰いたい。
足元に居る水精は、俺の言葉に、『了解!』と言わんばかりに伸びてから、戦闘している渦中へ向かって行った。
一番近くに居る水精の元に向かい、立ち止まる。どう説得するのかと様子を見ていると、いきなり後ろから襲い掛かる様に覆い被さり始めた。
「………は?」
急に後ろから来たことに抵抗するように暴れるが、それを抑え込むように包み込んでいく。
いや、どう見ても捕食している様にしか見えないんだが……。
一匹目を取り込んで、続けて近くに居た水精に襲い掛かる。
急に戦場に謎の勢力がに現れたことで敵のボスもアヴァロ達も困惑してる。
「アヴァロ!多分そいつは味方だと思う!今の内に攻めてくれっ!」
こちらの意図を組み取り、ボスへ攻め込む。
「精霊の説得って、あんな感じにするんだろうか……?」
そうだと思いたいが、どう見ても喰らっている様にしかみえない。今の水精なんて怯えている中取り込まれたでしょ絶対。
同族を喰らうと言う阿鼻叫喚を見ている内に、二人がボスキャラを撃破してくれていた。
「此度は我が退くが、神々との戦いに終わりなどない……。いずれまた会おう。」
意味深な言葉を残して去って行く。取りあえず戦闘は終わりで良さそうだな。
「すまないっ!援護助かった。」
「二人だけだと、あの子に辿り着けなくてどうしようかと思ってたよー。」
一段落着き、二人が感謝を伝えてくる。
「いや、俺の方は何もしてないからな。それより、水精の方は大丈夫なのか?その……取り込んでいたが。」
「うん、そっちの方は問題ないよ。正常に戻したからまた集まって来るよ。」
それは良かった。これで数が減った事が原因で……とかになったら目も当てられなかった。
「まぁ、お礼はこいつに言ってくれ。」
戦闘が終わり二人が水源の修復をしている中、ずっと俺の足元に纏わりついていた。お陰で靴の中までぐちょぐちょである。
「すっごく懐かれてるけど、何かあったの?」
「あー……、いや、なんかぐったりしているのを見つけてさ、今回のせいでそうなったのかと思って水を与えたんだよ。そうしたらめちゃくちゃ懐かれた……。」
「なるほど、その水精は命を救って貰ったってことか。」
そういう事なのか?それなら懐かれても仕方ないのか……?
「取りあえず、これで一件落着だねっ!」
「そうだな、村に戻って井戸造りをしよう。」
「そうだね。頑張るぞ、おーー!」
原因は解決出来た。後は村に新しく水源を牽けば目標も達成できるだろう。
達成感を感じている二人を後ろから見ながら、村へと引き返した。
やばい奴に懐かれてしまったご様子……。