この世界を生き抜く為に出来ることは……。   作:コクーン√

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城砦内探索の回です。短いですが、新たな出会いが……!?


第九話

 

城砦に住むとなって数日が経った。今の所家は完成していないので雨風を凌げる適当な場所で寝ていた。

 

「城砦内の探索……?」

 

「うん、私の女神力が増えた事で城砦の行ける場所とかが増えたりするの。今回それの探索にアヴァロと行くんだけど一緒にどうかなって。」

 

「戦闘面で役に立つか不安が残るけど……それでも大丈夫?」

 

「全然大丈夫だよ、そこは私とアヴァロでしっかりと守るからね?」

 

俺だけのけ者にしたまま行くのは気が引けるという事なのだろう。断るのは失礼か。

 

「それなら喜んでお供するよ。」

 

「ほんと!?やったーー!。アヴァロっ、サイトウさんも一緒に行くって!」

 

「本当か?魔物とかは俺たちが倒すから安心してくれ。」

 

では俺は後方で、のそのそと採取でもしておこうかな?

 

潜ることが決まり、探索に行くため入口へ向かう。その道中で、水精が着いてくる。

 

「こいつも一緒に行きたそうなんだが……大丈夫?」

 

「ん?その子?うん、大丈夫だよ?多分その子戦えると思うからサイトウさんの事守ってくれるよ?」

 

マジかよ、いや、確かに湿地森では同族喰らってたしな。俺よりか強いのは間違いねぇわ。

 

「期待しているぞ?」

 

俺の肩に乗り、服を湿らせている水精を突く。それに答えるようにこちらに勢いよく体を頭から被せて来た。

 

「ごぼぼっ!!?」

 

「だから頭は駄目だよーー!?探索前に死んじゃうからっ!」

 

「ぷはっ!!……はぁ。俺いつかこいつに殺されそうだな……。」

 

顔に纏わりついたのを無理やり剥がして肩に戻す。突くの止めようかな。

 

「これから行くところは城砦内の崩れた区域になる。前回ある程度進んだんだが、途中で引き返しててな。今回はマップ図を作成しながら全部回ろうかと考えている。」

 

「ピクニックだねっ!楽しみ!」

 

「いや、また魔物が湧いててもおかしくないからな。気を付けて行こう。」

 

「わかったっ、それじゃあ出発進行ーー!」

 

初めての探索だが、二人の様子を見る感じ前回の湿地森よりか簡単な物なんだろう。軽い調査程度の空気だ。

 

既にマッピング済みのエリアは確認だけを済まして素通りしていく。少し進んだ辺りで、休憩スポットがあったのでそこで小休憩を挟む。

 

「この先はまだ未開拓のエリアもあるはずだ。勿論敵が出てくる可能性もあるから充分に注意してくれ。」

 

「了解、でも前に居た親玉みたいなのはアヴァロが倒しちゃったし問題無さそうだよね?」

 

「多分な、流石に直ぐには湧かないとは思うけど。」

 

二人のやり取りを聞きつつ、後ろから付いていく。一応後ろとか天井を気にしながら進んでいるが、薄暗い場所もあるため完全とは言えない。

 

「二人とも、止まってくれ。」

 

先頭を歩くアヴァロから指示が飛び、その場に留まる。

 

「どうしたのアヴァロ?何かあった?」

 

「……あれを見てくれ。」

 

指をさした先に、不定形な生き物……スライムと思われる魔物が、何かを捕食している様に見える。

 

「あれは……小鬼……?」

 

俺が戦った事のある唯一の魔物さんがスライムに捕食されているという何とも言えないシーンに出くわした。

 

「しかも、数も少なくない……。」

 

よく見ると、小鬼に群がっているのは一体では無くて数体で群がっていた。その周囲にも蠢くのが見えるからあれもそうなんだろう。

 

「分裂しているなら一体一体は大した強さじゃない。俺とフィアで蹴散らそう。」

 

「うん、了解っ。女神パワー見せてあげるからね。」

 

恐れることなく戦闘を仕掛けに行く二人を後ろで眺める。数が多いから大丈夫かと思ったが、難なく吹き飛ばしていた。

 

「一応残党が居ないかだけ警戒しておこう。」

 

不意打ちを喰らいやすい生き物で有名なのだ、しておく事は間違いではない。

 

道の端や、岩場の影などを安全確認していく。

 

「あ、居た。」

 

大きな岩場の裏に、他よりか小さなスライムがポツンといた。こちらを見るや否や怖がるように隠れようとするが、逃げ場がなくあたふたしている。

 

「なんかこっちが申し訳無くなるなぁ……。」

 

肩に持っている奴の小さい時のを思い出して攻撃する気が無くなる。

 

「大丈夫、俺から敵意は無いからさ。安心してくれ。」

 

こっちに敵意は無いとゆっくり近づくと、落ち着きこちらを見上げる。

 

「お、こいつも実は言葉が通じるのか?」

 

新しい仲間の予感を感じながら、ゆっくりと近づく。

 

「ふふ、こう見ると可愛いな。」

 

俺が手を差し伸べると、向こうもそれに答えるように体を伸ばしてきた。これは……行ける!!

 

と思った瞬間、視界の端から何かが飛び出し、目の前のスライムを取り込んだ。

 

「………え?」

 

何が起きたのか理解しようとしている間に、スライムは水精に取り込まれ消えていった。

 

「……おいてめ。」

 

取り込み終えた水精は満足そうに俺の肩に戻る。いや……お前はそういう奴だったな。うん、取りあえず襲い掛かるもんな。知ってた。

 

「大丈夫ーー?こっちは終わったよーー!」

 

後ろから戦闘終了の合図が来た。

 

「ああ……今行くよ。」

 

何かを失ったようなもやッとした気持ちを抱えたまま、先に進んだ。

 

その後は特に危なげもなく探索は終了となった。が、俺の心には分かり合えたかもしれないあいつとのことが忘れられなかった。

 

「取りあえず今日はここまでとして解散としようか。」

 

「つかれたーー!でも城砦が元気になったってわかるのは気持ちいいねっ。」

 

二人は清々しい表情をしているのに、俺と来たら……。それもこいつのせいか。

 

八つ当たりも込めて、肩に乗っている水精を突くと、中から何かを吐き出す。

 

「ん?なんだこれ?」

 

落ちた物を拾い見てみるが、何かの実か?水色に見えるけど……?

 

「アヴァロ、これってわかるか?」

 

「ああ、それか。今日倒した『プテテット』が落としたんだと思う。怪我とかを治す『治癒の水』の素材になるんだ。」

 

「んん?これがか?」

 

「そうだな、多少の怪我はそれで癒せるんだ。流石に重傷は時間が掛かるけど。」

 

なん……だと?これが回復薬になるのか?

 

「因みに試しに作ってもらえる事って可能か……?」

 

「全然良いぞ?そんな手間じゃないしな。」

 

アヴァロと一緒に工房に向かう。何事かと後からフィアも付いて来た。

 

「……これをこうして、よし、完成だ。出来たぞ。」

 

完成した緑の液体を受け取る。

 

「これが……。」

 

こんな簡単に治療が可能な薬を造れるとか……。

 

「アヴァロって実はすごいのか……?」

 

「そうなんだよっ!!私のアヴァロは凄いんだよ!えっへん。」

 

「なんでそこでフィアが偉そうにするんだ。」

 

「アヴァロは私の使徒兼夫だからね!それは私の功績にもなるのです。」

 

「作ること自体大したことじゃないからな。素材があれば簡単に作れるよ。」

 

「私の言葉はスルーですか……ぐすん。」

 

「素材を集めれば作ってくれるのか……?」

 

「え?まぁ……そうだな。」

 

これは大量にストックしておきたい。怪我を治せるとかファンタジーじゃん。いや、ここ異世界だったわ。

 

今の俺は雑魚に等しいからな。1人では適当な魔物にすら殺されかねない。心の余裕の為持っていた方が良いだろう。

 

「了解、その時になったらお願いする。」

 

家が完成したら貯蓄しよう。予備を袋にと腰辺りに幾つか装備しておけばもしもの時に役に立つかもしれない。

 

魔物は肩に乗っているこいつに狩って貰えば安全だろう。

 

さっきまでの心残りなど既に無く、自分の安全を如何に保てるかを考えていた。人間、そんなもんである。

 

「さっきの場所にまた探索しに行く必要が出て来たな……。」

 

二人に確認と報告はしてから出ることにしよう。水精付きなら多分許可が出ると思うし。

 

「取りあえず、今日は終わりにするか。」

 

二人と解散し、水精を水場まで運ぶ。

 

「また明日もよろしくな?」

 

すり寄ってくる水精に袋から水を出して与える。なんかこれ上げると喜ぶんだよなぁ……。女神仕様でバフでもあるのか?

 

満足したのを確認し、明日に備えて寝る準備を始めた。




水精は食いしん坊。きっとそうなんだ。


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