もしもなのはに姉がいて、お互いシスコンだったら? 作:先名咲亜
私たちが家に帰って事情を説明した後は大変だった。
私が事情を話している時、なのはは思い出してしまったのか、突然泣き始めたときはとても焦った。すぐになのはを抱きしめながら大丈夫、大丈夫と何回も言いながら泣き止むのを待ったのだが、泣き止んだ途端に私となのはがお母さんに抱きしめられ、ごめんなさいと謝られた。
その後すぐに兄さんと姉さんの二人からも謝られ、三人がいろいろ言いながら謝ってきて、気がついたら、泣き疲れたのかなのはが寝ていて、一度なのはを部屋にお母さんが運びに行ったり……。
なのはを部屋に寝かせて戻ってきた後、今度はなのはを守ってくれてありがとうとお礼を言われ、その時に剣を教えてくださいと頼みたかったのだが、ここにはお父さんがいなためその日は諦めた。
そして、それから一週間位たった日、お父さんが目を覚ましたと病院から連絡が来て、すぐに翠屋は臨時休業になり、家族全員で飛んで会いに行った。
お父さんが入院している海鳴り病院の集中治療室201に入ると、そこには真っ白なベッドが一つだけ置かれており、その上に複数の機器につながれたお父さんが寝かされていた。
しばらくお父さんと話した後、ついにあの時の事を話す番がきて、私が全て話した。
「―――――それが原因でなのはは男性恐怖症になってしまったの。小さい時からずっと一緒に暮らしてる兄さんやお父さんは平気なんだけど・……」
そう、あの一件が原因でなのはは男性恐怖症になってしまい、外で男の人とすれ違うたびに、震えて、私に引っ付いてくる。その度に私はなのはの頭を撫でながら大丈夫だよと言って、少しでもなのはの恐怖心を取り除けるようにしている。
「・……くっ、そんなことが・……。なのは、すまない、私たちがもっとかまっていたら公園で一人で遊ぶなんてことにはならなかった……。悠里、なのはを守ってくれてありがとう」
「お父さん」
今のままではなのはを守ることなんてできない。再び転生者はなのはのところにやってくるだろう。それに他にも転生者がいるかもしれない。ならば力はいくらあっても足りない。
もっと強くなるために、強くなってなのはを守るために。
「私に御神流を教えてください」
「わ、私にも教えてください!」
えっ、と声に出すほど驚いてしまい、なのはがいる方へ振り向いて、そう言ったなのはの表情を見てしまった。
「もっと大きくなってからと言いたいのだが、今回のこともあるしいいだろう。聞くけれど悠里、なのはなんで御神流を習いたいと思ったのか教えて欲しい」
私はもちろん――
「強くなってなのはを守るためです」
そして、なのはは、
「もうあんなことにならないようにしたいから。そして、もし私みたいに困ってる人がいたら助けてあげたいから」
そう言った時の表情はさっきよりも強くなにかを決意した表情だった。
小学一年の夏休み、今日も私となのはは御神流の修行をしていた。あれから一年が経ち、大分強くなった。最初の半年は基礎ばかりをして体作りをして、その後ようやく技を教えくれるようになった。
そして今は、二人で素手で組手をしておりなのはが勝負を決めに来た一撃を受け止め、そのまま背負投げでなのはを地面に投げ落とす。
決着がついたので組手を終了し、道場の隅に置いておいたタオルを二つ取り、一つをなのはに渡す。
「はぁ、はぁ、はぁ、お姉ちゃん強すぎだよ……。一緒に始めたはずなのに一回も勝てないの・……」
「でも、私たちより何倍も長くやってる姉さんには勝ててるじゃない。姉さんにでさえ勝てる一般人はまずいないと思うけれど……」
そう、たった一年しかまだ御神流を習っていないというのに、私たちの何倍もの時間御神流を習っている姉さんより強くなっている。
元々あった才能なのか、それとも決意の強さなのかわからないけれど、そうとうすごいことだと思う。
これで魔力は一切使っていないというのだから驚きだ。
私は使えるけれども、こういう勝負では使わないようにいている。
それでも差が出るというのは、魔力負荷や御神流を習う前の練習の有無のおかげだろう。
そろそろなのはにも魔力について教えておこうかと思う。もちろん強制なんてしたくないから、なのはが望むなら教えるということで。
「なのはは強くなりたい?」
「うん」
即答するなのは。もう一度念を押して聞く。
「今から教えるのは、お父さんたちも知らない事だとしても?」
そう尋ねると、うーん、としばらく考え込むなのは。
「それでも強くなれるなら教えて欲しいの。それにお姉ちゃんなら信頼できるから大丈夫なの」
「ん、なら今から教えるよ。なのは、あなたにはとてもすごい量の気が眠っている。この気は持っている人も少ないけれど、持っていればとてもすごいものなの」
「ふぇえ、わたしそんなの持ってるの?! ・……もしかしてお姉ちゃんも?」
自分にすごい力が眠っていると知り驚くなのは。その表情がとても可愛くて可愛くて・……。
「もちろん。でも勝負の時とかは使っていないけれどね。じゃあまずは、その力を感じてみるところから初めて見よっか」