もしもなのはに姉がいて、お互いシスコンだったら? 作:先名咲亜
なのはが魔法少女になって一週間くらい経った今日、お父さんがコーチをしているサッカーチームの練習試合を観戦し、その打ち上げをしているところ。
なのはが魔法少女になった日以来、銀髪と炎髪の二人組とは出会っておらず、特に私は何もすることなく、見守っていた。
それと最近激しい運動をすると、胸がチクッとするような痛みから息ができなくなるほど痛いというか苦しい時がある。
これまでも、たまにチクッと程度の痛みがあり、その時は修行のしすぎかと思って見逃していたのだが、どうやら違うらしい。
家族には心配されたくないし、もしかしたら……かもしれない。だから気づかれないように隠しているのだが、修行だけはやめることができない。
急に修行しなくなったら怪しまれてバレるだろうから、最近では体がなまらないように軽く動かす程度にしている……のだが、それでも、結構きつい。
しかし、幸いなことに痛みを気にさえしなければ、今まで通りにとはいかないが、ほぼ今までどおりには動ける。
「悠里、悠里! あんた大丈夫? さっきからボーッとしてるけど」
危ない危ない、どうやら考え込んでいて思ったよりも時間が経っていたらしい。
「うん、大丈夫だけど?」
「そう、ならいいわ。私は今から用事があるからそろそろ抜けるわね」
「私もお姉ちゃんと約束があるから抜けるね」
アリサはそう言うと、立ち上がりずっといじっていたフェレットをなのはに渡し、また明日と別れの挨拶をして迎えに来た高級車に乗ってどこかへ行ってしまった。
すずかもアリサと同じくお別れの挨拶をしたあと、翠屋に来ているすずかのお姉さんと一緒に迎えに来た車に乗ってどこかへ行った。
すると、なのはが急に立ち上がって、
「ごめん、お姉ちゃん。私も用事が出来ちゃったからいくね!」
そう言い残すとフェレットを握りしめて走り去った。
ここ最近、なのはは一人でも街をで歩けるようになり、直接会話とかでなければ結構近くまで接近しても耐えれる。
それでも触れるのは無理だし、話すのもまだ無理で、それ以外にもあの時の銀髪のような気持ちのやつが近くにいたりすると、すぐに反応して怯えてしまう。
少し前に、転生者じゃなく、普通のロリコンから更に進化しかけている男とすれ違ったことがある。
その時は、話しかけられたりしたわけではないけれども、その男の表情を見ればすぐにそういう趣味の人だとわかる表情をしていたため、怯えて泣き出しそうななのはをなだめるのはとても大変だった。
四人用のテラス席で一人残された私は昔のことを思い出しながら、まだ残っているりんごジュースを飲み干す。
それと同時に、ジュエルシードが発動し、ここから少し離れた場所から大きな木の根が波打つように広がっていき、広がる途中にぶつかった建設物は無残にも破壊される。
「よし、行きますか」
椅子から立ち上がり、なのはの魔力反応がある方へ向かう。
「ふぅー、今日も無事に終わりましたっと」
ジュエルシードは無事に封印でき、これといって悪いところはなかった。
まぁ、少し被害を抑えるために大樹を処理してたりしたんだけれども……。
「・……っ!! ごほっごほっ……」
突然の胸の痛み、そして突然の咳き込み。
とっさの痛みに右手を胸にあて、その後の咳は左手で口を覆った。
咳が治まったので、左手を口元から話そうとしたとき、手のひらにこびりつく赤いものに気がついてしまった。
それは、血。もしかしたら口から垂れているかもしれないと思い、手で拭い取る。
そして、ふと思いだし、周りを見渡し、誰も見ていないことを確認して安堵する。まぁ夕方の公園だしね。それも人気があんまりないところだし。
とにかく見られていなくてよかった。もし見られていたら家族全員に知られていたかもしれない。
一旦休もうと思い、公園に設置されているベンチに座わろうと、ベンチのある方へ歩いていると、進路上にある砂場で場違いなものを見つけた。
砂場で遊ぶ子供では絶対に持っていないであろう指輪、もしかしたら砂場で遊ぶ子供の親が落としたのかもしれないが、イヤリングやペンダントならいざ知らず、指輪を落とすことはないだろうお思い、好奇心に負けた私は指輪を拾ってしまった。
『・……あなたはあの時の・……・…………』
これが私とデバイス、リリスの人の一生を超えた関係の始まりだった。