前々回の『名前を呼んで』を前編、中編、後編で分けましたが、今回の『九尾の狐の恩返し』は前編1、前編2、後編1、後編2で分けることにします。
シン達の目的地・アーシア村の近くにあるマダイン・サリ。
その途中、九尾の狐の討伐の為に訪れたハンター、ロックスレイ・グリーンアローと会う。
アーシア山に九尾の狐が出没し、旅人の食料を奪われたという情報を知る。
その時、シンとの顔見知りであるフルーラが現れ、シン達と一緒に自分の妹を探しにマダイン・サリに向かった。
そして30分後・・・
「ハァ、ハァ、ハァ・・・しんど・・・」
真理奈は体力が限界らしく呼吸が乱れていた。
「全く情けないわね。もうヘトヘトなの?」
「うるせぇ・・・」
真理奈はフルーラに反論しようとしたが、息が切れて話す気もなかった。
「真理奈、見えてきたぞ。」
「あそこがマダイン・サリ・・・」
フーカ達が指を指した先には、古代都市遺跡である。
その遺跡がマダイン・サリなのだ。
「マダイン・サリは召喚士と呼ばれる一族が暮らしてた。でも、空に浮かぶ巨大な一つ目の力で荒廃されたの。召喚士はその一つ目に成す術もなく、自滅されることになったわ。生き残った召喚士は遠い地に逃げ延びて、今も尚生き続けてる。」
「その一つ目って?」
「それはアーシア村に住む人達も分からないわ。」
フルーラは大昔にマダイン・サリで起きた出来事を話した。
「マダイン・サリの近くに登山道があって、そこから山に入っていけるけど、その前に聖獣壁見に行きましょ。その為にここに来たんでしょ?」
「そうだけどさ、妹探ししてんのに道草食っていいの?」
「大丈夫!そんなに時間かからないわ!九尾の狐の事もちょっとだけ忘れよ?」
真理奈はフルーラに妹を探しに来たのに聖獣壁を見に行っていいのかと聞くと、フルーラは構わないと言い出す。
「どうする、シン兄さん?見に行く?」
「そうだな。そうするか。」
「・・・」
ミコトとセレナはシンがフルーラと同意しているのを見て、嫉妬心が燻る。
「あ、そうそう。言い忘れた。」
フルーラは何かを思い出したのか、ミコトとセレナをシン達から数十m離れるように連れていく。
「ミコトとセレナとだっけ?さっきのあれは只の挨拶。シンさんとは何でもないから。」
フルーラはミコトとセレナの肩を組んで、シン達に聞かれないように小さな声で話す。
「何でもないって・・・」
「わざとあんなことをしたというのなら、尚更質が悪いです。」
「ごめんね。シンさんの周りに女の子が沢山いるから、みんなの反応を見たくって♪シンさんを好きになったの、二人だけじゃないみたいよ?」
フルーラはリンネの方を見て言う。
「えっ!?」
「まさか!?」
「そういう事♪先を越されないようにね?」
(フルーラちゃんがシンさんに好意を持ってないのはよかったけど・・・)
(リンネ殿がどんな理由でシンに好意を持ったのか気になるわ・・・)
ミコトとセレナはフルーラの話を聞いて、リンネがシンの事を好きになった理由が知りたくなった。
話しを終えた後、ミコトとセレナとフルーラはシン達と合流し、改めてマダイン・サリへ行った。
その頃・・・
「人里に降りた形跡はなさそうですね・・・」
「ご足労かけてしまい、申し訳ありません。」
「いえ、僕達は山火事が起きた現場に行きます。何か分かったら教えてください。」
「分かりました。どうかお気を付けて。」
村近辺に九尾の狐の捜索をしていたロックスレイとラーサー達だが、未だ痕跡が見つかっていない模様。
ラーサーは昨晩焼き払われた現場に行くことにした。
ラーサーが乗る小型飛空艇が去っていった頃、ロックスレイは薄ら笑いを浮かべる。
「漸く邪魔者がいなくなったか。急いでアーシア山に入らなければな・・・」
ロックスレイはジープに乗り込み、アーシア山に入るルートに向かった。
一方・・・
「急いで薬草を見つけないと、ヨハンに皆がいる場所がバレちゃう・・・」
異国情緒なワンピースを身に纏い、神々しいデザインの髪飾りで纏めた少女はキョロキョロと探索していた。
「!?あれは!?」
異国情緒な少女は何かを見つけたのか、木陰に隠れる。
彼女が見たのは、シン達である。
シン達は今、聖獣壁の壁画を見ていた。
そう、彼女が今いるのは、マダイン・サリである。
「こういった壁画を見たの、ジュエル鉱国の時以来だな・・・」
真理奈は聖獣壁の壁画を見て、ジュエル鉱国で見たキュアエレメントとイビロンを思い出す。
シン達が見た聖獣壁には、某怪獣映画に出てきそうなカメのような怪獣の画、某カードゲームのカードにありそうなティラノサウルスのような怪獣の画、世界三大美蝶の一つであるモルフォチョウのような怪虫の画、ガルーダとフェニックスを合成したような怪鳥の画、2本の角を持つ太い腕をしたライオンのような怪獣の画、ナーガとコカトリスを合成したような怪獣の画、ユニコーンとペガサスを合成したような怪獣の画、そして、ハニカム模様の目をした竜人のような怪獣の画が描かれていた。
「八体の聖獣か・・・」
「この蝶々も聖獣の一体なんですね・・・」
聖獣壁の壁画を見て壮観さを感じるシン達。
尚、ミコトは蝶々の画を見て顔が青くなっているが・・・
「ん?これは学会から認められていないカタカムナ文字ね・・・」
「カタカムナ文字?」
「独自の文字で綴られた古史古伝の一つよ。この文字の存在は信憑性がないから偽書として学会から認められてないのよ。」
真理奈は聖獣の壁画の下に古代文字を発見し、それをカタカムナ文字だと気づく。
「読めるの、真理奈?」
「えぇ。妖精の世界、フロントワールドの研究をやってんの。その為に色々調べてんだからね。」
「なんて書いてあるんじゃ?」
「ちょっと待ってて。」
真理奈はカタカムナ文字で記されていた古代文を読み明かす。
【大地の聖獣、水の聖獣、雷の聖獣、炎の聖獣、風の聖獣、太陽の聖獣、月の聖獣、命の聖獣がこの世に眠る。然れど彼等の怒りに触れし時、天地震え、世界が破滅へと向かわん。優れたる変わり身人、世界を救わんと現れる。然れど世界の破滅を防ぐことならず。八つの至宝を納め、聖獣達の怒りを鎮めん限り・・・】
「・・・って書いてあるわ・・・」
「聖獣の怒りに触れた時、世界が破滅へと向かう・・・」
「優れたる変わり身人って?」
「八つの至宝も気になるな・・・」
真理奈に解読された古代文を聞き、それぞれ気になる事を述べる。
「ただの言い伝えよ。最近怪獣が現れたりしたけど、聖獣達とは関係ないわ。」
「楽観的ね・・・」
「それに、私達は他にやることあるでしょ?」
フルーラは楽観的な事を言い、聖獣壁を後にする。
その時、突然草を搔き分けるような物音が聞こえる。
「今の音!?」
「あそこ!」
物音に気付いたシン達。
なのはは何かを発見したのか、指を指す。
なのはが発見したのは、九尾の狐である。
「九尾の狐!」
「追いかけるわよ!」
シン達は九尾の狐を追いかける。
しかし、狐という動物は瞬発力が高く、時速50㎞超のスピードを誇る為、追いつけるわけがない。
もう追いつけない、追って来れないと判断した九尾の狐は足を止める。
「ルナ!」
「!パドメ!テッド!」
「薬草は見つけたのか!?」
「いいえ、それどころじゃなくなってるの!」
「まさか人間達が!?」
ルナと呼ばれた九尾の狐が足を止めた直後、2匹の九尾の狐、パドメとテッドがやってきた。
『ストラグルバインド!』
「あぁっ!?」
ルナは光のリングによって動けなくなる。
空からバリアジャケットを身に纏ったエクセルが降り立った。
「こいつ!空を飛べるのか!?」
「テッド!」
「あぁ!」
パドメとテッドはエクセルの登場に驚くも、ルナを助けようと、パドメの尻尾から火の玉を出し、それを飛ばす。
『ラウンドシールド!』
エクセルはラウンドシールドで火の玉を防ぐ。
テッドは尻尾を一転に集中すると、パドメが飛ばした火の玉より大きいのを出し、それを火炎放射の如く発射する。
その時、エクセルの前になのはが割り込み、なのはもラウンドシールドでテッドの攻撃を防ぐ。
「パドメ!」
「テッド!」
パドメとテッドは振り返ると、4匹の九尾の狐、ロロ、リーシャ、ナム、ナハトが駆けつけてきた。
「エクセル!」
「なのは!」
エクセルとなのはもパドメとテッドと同様に振り返ると、真理奈達が合流してきた。
「こいつら!あいつらの仲間か!」
「すぐに追い払いましょう!」
「あぁ!その後、クゥラを連れてここから離れるぞ!」
「えぇ!ルナ!今助けるわ!」
ロロ、リーシャ、ナム、ナハトはパドメとテッドの横に並び、臨戦態勢をとる。
「!?ルナ!?」
フルーラはナハトの口からルナという名前を聞き、先程エクセルが捕らえた狐を見る。
「アンタ達、待ちなよ!私達はアンタ達を駆除しに来たんじゃないのよ!」
「嘘をつけ!そんなの信用できるか!行くぞ!」
真理奈は臨戦態勢を取っている九尾の狐達を止めようとするが、聞く耳持たず、攻撃を仕掛けようとする。
「待ちなさい!」
「!?」
パドメ達は誰かに制止する声を聞き、振り向くと、白い和服にマゼンタの袴を装う大和撫子と思わせる美女がいた。
「ママ!」
「ダイアン!」
パドメ達から呼ぶママと、ルナが呼ぶダイアンである和服の美女はパドメ達に近づく。
「この者達は敵ではありません。」
ダイアンはパドメ達にシン達は敵ではない事を伝える。
「アンタも九尾の狐なの?」
真理奈はダイアンにパドメ達と同じ九尾の狐なのかと質問する。
「えぇ。そこにいるルナは私達を守ってくれているのです。ロックスレイ・グリーンアローから。」
「ロックスレイのオジサンからアンタ達を?」
「アンタ、本当にルナなのね?」
「はい。」
すでにバインドを解かれ、自由の身になったルナは九尾の狐の姿から異国情緒な少女の姿に変わった。
「お久しぶりです。フルーラ姉さん。」
「えぇっ!?じゃあ、この娘がフルーラの妹さん!?」
「えっ!?この人、ルナのお姉ちゃんなの!?」
エクセル達は九尾の狐の姿から少女の姿になったルナがフルーラの妹だという事に驚き、パドメ達はフルーラがルナの姉である事に驚く。
その頃、九尾の狐によって焼き払われたと思われる現場に到着したラーサーはその現場にいるセシルとローザと会っていた。
お互い、国の事や旅をしてきた仲間や友、世界の情勢の事を話し合っていた。
そして、本題である九尾の狐騒動の事も・・・
「ロックスレイさんの話だと、九尾の狐がアーシア山に潜んでいて、それも8匹いるそうです。その山にヨーデルさんとフルーラさんの妹さんが入山したとか・・・」
ラーサーはアーシア山に潜んでいる九尾の狐、そしてフルーラの妹・ルナの事をセシルとローザに話した。
「その子、見つかるといいわね。」
「そうだね。」
ラーサーの話を聞いたセシルとローザはルナの心配をする。
その時、セシルのポケットから着信音が鳴り響く。
セシルはポケットから通信スフィアを取り出し、通信を繋げる。
『あんちゃん!久しぶり!ミシディアの天才児パロム様の登場だぜ!』
『パロム!そうやって驕り高ぶってはいけないって言ったでしょう!』
通信スフィアの映像に出てきたのは、マッシュルームカットの髪型に特徴的なお下げを残し、髪飾りを付けた少年とピンクの髪をしたポニーテールに、シースルーな衣装を身に纏う少女である。
彼らはパロムとポロム。
ミシディアに住む双子の姉弟。
暗黒騎士だったセシルをパラディンになるのを見届けた。
「久しぶりだね、パロム、ポロム。」
『エブラーナでエッジさんとリディアさんの結婚式を挙げた時以来ですね。』
『ナンパ癖は変わんなかったけどな。』
セシルはパロムとポロムとの通信越しでの再開に嬉しく思う。
『おっと、忘れるトコだったぜ。ロックスレイっておっちゃんの事だよな?』
「あぁ。何か分かったのかい?」
『はい。ロックスレイ・グリーンアローは3ヶ月前に亡くなられたことが分かりました。』
「亡くなった?」
パロムとポロムはロックスレイについて話した。
二人の話によると、ロックスレイは3ヶ月前にすでに死んだ事を突き止めた。
『彼はカルナックで魔物の襲撃により殺されたそうです。それも、人型の異形の魔物だとか・・・』
『しかも、その魔物はボムの指輪で沢山のボムを放って、町を火の海にしちまったらしいぜ。結果はアレクサンドリアのプルート隊に消し止められたけどな。』
パロムとポロムの話によると、ロックスレイはカルナックにいた時、謎の魔物によって殺され、その魔物はカルナックの町にボムの指輪を使ってボムを放ち、町を放火させたそうだ。
「ボムの指輪・・・道理で見覚えがあると思った。」
『セシルさん、それって・・・』
「あぁ。僕達が今いる現場でその指輪を拾ったんだ。」
「でも、昨晩ここにいたのは、ロックスレイさん達と九尾の狐なんでしょう?それに、ロックスレイさんが死んだのなら、どうしてアーシア村にいたの?」
セシルは現在地に見つけた指輪の正体がボムの指輪だと知る。
ただ、ロックスレイがすでに死亡されたのなら、アーシア村にいたロックスレイは何故、生存が確認されているのか、そこが疑問だった。
「恐らく、ラーサーが会ったロックスレイは偽物、それも、本物のロックスレイを殺した魔物かも知れない。そう考えればこの地の火災の説明がつく。」
「でも、その理由って・・・」
アーシア村でラーサーが会ったロックスレイは謎の魔物が成りすました偽物。
セシルが今いる現場で、昨晩ボムの指輪を使ったのは、その魔物。
九尾の狐はその魔物を追い払おうとしただけだった。
そう考えれば、九尾の狐は有害な動物ではない事を理解する。
しかし、謎の魔物が化けたロックスレイがそのような事をする理由とは・・・
次回は新しいオリジナルプリキュアを二人出すつもりです。