第一高校?来たくてきた訳じゃないですよ? 作:BRACK COFFEE
作者はとんでもない程の弱々メンタルなのでそこら辺気にしてくれるとありがたいです。
魔法。
それが伝説や御伽噺の産物ではなく、現実の技術となったのは何時のことか。
確認できる最初の記録は、20世紀末に人類滅亡の預言を実現しようとした狂信者集団による核兵器テロを、特殊な能力を持った警察官が阻止したという事件が、近代以降で最初に魔法が確認された事例となっているらしい。
当初は超能力と呼ばれたそれは先天的なものであるとされたが、国家が主導して研究を進めると魔法を伝えるものが表舞台に現れ始めた。多くの非合法な研究により超能力は体系化し現代魔法として完成した。だが現代魔法以外以外にも魔法は存在する。
それが古式魔法だ。現代に神話や伝承が残っている様に陰陽師や祈祷師、神官が前身となり長い間受け継がれてきたもの。古式魔法は形作られてきた経緯から宗教等に関係することが多い。それゆえ日の本の数多くの土地にて多種多様な古式の術式を扱う家が存在する。
現代に生きる魔法師達のまとめ役である十師族の内の一つである九島家、二十八家の次に力を持つ百家の中で最強とされる十六夜家や関東近辺では名家とされる吉田家(因みに吉田神社で有名な吉田家やその他の有名な吉田の性を持つ家とは全く関わりはないらしい。)あたりが有名だがそれはあくまで現代の魔法師社会と関わりがある為、名が上がりやすいだけで京都や奈良の辺りを中心に長い歴史とそれに見合う実力を持つ家は存在する。
此処、北海道の北海道弟子屈町の屈斜路湖周辺に居を構える小蝶辺家もその一つだ。
北海道は国防軍所属の魔法師の縄張り意識が強く、十師族も簡単には手を出せないという地理的状況がある為、ウチの家は十師族体系を是とする魔法師からは目の上のたんこぶとして扱われ、軽く見られる場合も多いがアイヌという生活自体が宗教と言っていい民族が生き延びる為にまとまった末に生まれた家なので実力自体は魔法師としての規定では相当上澄みだ。
実際に古式魔法を扱う家からの評価では、ウチの家に生まれた術者は血を媒介に家伝の術を使うので、古式の一芸に秀でたものを評価する傾向がある古式ではまあまあ評判が良い。
そんな今から憂鬱なところに向かうのを現実逃避する為に考えていることを敷居の前まで来てしまったので打ち切る。
「遅い、いつもより30分は遅いぞ。」
「そう言わないでくれよ。憂鬱な気分になるのがわかっているのに行きたがる奴はいない。」
お叱りで下校したばかりの俺を出迎えたのは小蝶辺家の当主であり俺の父親である小蝶辺 紀だ。
魔法師の名家は大抵の場合表で何らかの事業をしているものだがウチも父も例に漏れずレンジャーを経由した後、林業技術者•研究者の経営者として働いている。
「そう言っても仕方がないだろう。お前が魔法科高校に行かないと皆からうるさいし八高はもうダメだ。関係は未だ拗れたままでどうしようもない。」
魔法師の名家は基本自分の家に近い魔法科高校への入学を望むが、正直言って俺は魔法科高校には別にそこまで興味がない上に家の仕事に関する大学附属高校への入学を望んでいた為、中学生の早めの段階で親にそれを話しておき渋っていた父を何とか説得して進路に同意させたのだ。
俺が将来的に学びたい学科は当時苦手だった理系科目だったことや大学の試験方式が理系有利だったものが多いので、早めに同意させて勉強に集中したかった。同意させるまでは順調だったのだが、その事が周りに漏れ始めるとその後小蝶辺の一族の内から文句を言い出すものが現れた。
ウチの父や叔父は進路に関してはあまり口出しせずに俺の自由にさせてくれたのだが、(高校に口を出したのは当時あまりにも理系科目の評価が下だったから)他の大勢は俺の魔法師としての能力が規定に則れば古式だけでなく現代魔法の分野でも評価が高いとわかっていたので家の魔法師社会全体での評価を上げて欲しかった様だった。
皆のいうことも理解出来たが流石に進路に関しては自由にさせてほしかった。
だがそれでも一族のほぼ全てのものが望んでいるのを無視は出来ず、魔法科高校へ進学するのは決定になってしまった。だが此処で一つ問題が出てきた。それはウチの家と最寄りの魔法科高校… つまり国立魔法大学付属第八高校の仲が悪い事が原因だった。仲が悪くなった原因は叔父のとある一言が原因なのだが、そのせいで学内でちょっとした暴動もどきが起こった位なのでその件で学校側に迷惑をかけてしまい未だに八高からは嫌われたままなのだ。
俺は自分から嫌われている所に行きたいと思うような奴ではないので、仕方ないので次の考えとして2番目に近い第五高に行こうとしたのだが、一族の皆はどうせなら九高戦で2連覇という実績と魔法大学に近いという理由から第一高校への進学を進め始めたのだ。一つ目の理由はともかく二つ目は第一高校を卒業後、そのまま家の中の多数決のゴリ押しで魔法大学に入れてしまおうという考えからだろう。
だが以前に年が近い親族で第一高校を卒業後に魔法大学に進学した人がいたのだが、その人がいうには第一高校は第八高校の倍の人数が募集される代わりに一科と二科という制度をとっている様で互いの差別意識が強いのだそうだ。なんでも一科生は自らを
「高校はともかく大学に関しては自由という約束はしたんだ。これ以上は諦めろ。」
父のいう様にこのままでは大学まで行く気のないところに進学するかもしれないと危機感を抱いた俺は正月の親族が全員集まるタイミングで高校は親族の皆のいう様に第一高校へ進学するが大学は自分の思うように決めるというように宣言した。多少の反発は出たが第一高校に進学するという要求は叶えている為、それらの意見は父と叔父に封殺してもらった。
そのあと叔父には何度も謝られた。正直、叔父も同じ理由から望みでない進路の高校へ生かされていたそうなのでそこまで謝らなくてもいいのにと思っていたが自分の過去の失敗の所為で甥が行きたくない高校へ進学してしまうことに罪悪感を抱いているのだろうと父から言われた。
「わかってる。もう諦めてるから、進路の件で呼び出すのはやめてくれ」
「ならいい、受験勉強でわからない事があったら権生に聞きに行け。俺は魔法科高校を出てないから質問には答えられん、すまないな。」
「ああ、大丈夫。後は試験形式に慣れるだけだな。」
俺はそう言って部屋から出て行き、叔父である権生さんのところへ向かい始めた。
第一高校の試験、小論文と魔法理論はいいけど魔法工学がむず過ぎるんだよなあ