第一話
day1 00:00 quarter“saber”sideM
やっぱ戸塚マジ天使…ってあれ?
俺‐比企谷八幡はとある部屋の畳の上で目を覚ました。
つーかどこだここ。俺は雪ノ下やら由比ヶ浜やらと部室にいたはずだが。ここは明らかに部室じゃないし、テレポートか?
そう思っていると左手に鈍い痛みを感じた。なんだこれは。
俺の左手には刺青のように赤い紋章が刻まれていた。
ついに俺の中に封じ込められていた能力が覚醒したか…
すいません冗談です。そんな妄想したことないから。中学生の時
『闇の炎に抱かれて消えろっ!』
とか言ってないから。
「問おう」
そして俺は彼女の存在に気付く。
「問おう。貴方が私のマスターか…ってあれ?」
なんでしょうこの口上?と彼女が首を傾げているが俺は他のことが気になって仕方がない。家にいる女性がマスター…主人…ご主人様?ってことは…
「メイドさん?」
「だ、誰がだっだっ堕天使エロメイドですか!」
00:05 quarter“archer”
「こんなの無理ですぅぅぅぅ!!!」
赤い目をした白い少年がいかにも面倒くさそうな眼差しを向けている中、とある少女が絶叫した。
事の発端はほんの5分前に遡る。
00:00 quarter“archer”
「ここどこだろう」
と呟いた巨乳の女子高校生、佐々木千穂の中に目覚めから間髪入れずに流れ込んできたこの闘争に関する知識を彼女は瞬時に「理解」した。
聖杯戦争
万能の願望器たる聖杯を巡り、七人のマスターとそのマスターの従者たる七騎のサーヴァントにより行われる血みどろの戦争。勝ち残るのは一組のみ。敗北が死に直結しかねない正真正銘命を懸けた戦い。まさに死闘という言葉がふさわしい。
ここまではいい。‐いや全くよくはないのだが。それでもここまではまだいい。
問題は彼女自身…もっと言えば彼女の左手にあった。
そう、彼女の左手にはマスターの証明である『令呪』が刻まれていなかったのだ。
これが意味することはつまり…
「私が戦うんですかぁぁぁぁ!?」
そして話は冒頭へと再度戻る。
00:05 quarter“archer”
「こんなの無理ですぅぅぅぅ!!!」
と彼女にしては珍しく近所のことを考慮せず叫んだ言葉に
「うるせェな…」
と面倒くさそうに反応したのは彼女のマスターの一方通行である。
「だってだって、私が戦うとか無理ですよぉ…一方通行さんも私のステータスみたでしょう…こんなの死んじゃいますよぉ…」
と涙目で愚痴を溢す。そもそも、彼女は普通の女子高生だ。更に絶望的なことに、彼女が唯一『イェソドの欠片』により発揮できる天使の力も、あの時以来使えたためしがない。
そう。
彼女は今、悪魔大元帥『王佐の司教弓』チホではなく、ただの女子高生『マグロナルドバリスタ』佐々木千穂なのだ。故にステータスは
筋力/耐久/敏捷/魔力E幸運A宝具/
とご覧の通りの有様である。
/とあるのは不具合ではない。彼女の場合、そもそもステータスがサーヴァントとして召喚されるレベルの物ではないのである。Eにも満たない、つまるところ、最低以下である。
(いや…そもそもこいつが呼ばれたこと自体が…もっと言えば俺らが呼ばれたこと自体がでけェ不具合みてェなもンだな…)
と一方通行が考える。
そうこうしているうちについに千穂は涙を流し始めた。
無理もない。
いつもは真奥や恵美、芦屋や鈴乃に漆原といった自分を助けてくれる人々がいる。
彼らの存在があったからこそ、千穂は敵の前であっても気丈に振る舞うことができたのだ。
その支えを、失った。
誰にも頼ることに加え、さらに襲う死の恐怖。
ただの女子高生が涙を流すのも無理はない。
しかし。
彼女のステータスの中、唯一の高ステータスである幸運Aは伊達ではなかった。
「俺が戦ってやる。」
「…え?」
「生憎俺のこと待ってやがるガキがいるからよォ、俺は生き残らなきゃなンねェンだ。」
「で、でも…」
「俺がそこら辺の三下どもにやられるかっつーンだよ。」
そう。
学園都市の英知を結集した最強の能力者。
学園都市の184万人の中でも頂点である七人のレベル5の中の更に頂点。
学園都市第一位一方通行。
(理屈は全く納得できねェーが…俺は絶対に生き残る。あのガキのためにもなァ)
彼は自分の帰りを待つ打ち止めのため、そしてかつて憧れたヒーローにではできず、今ここにいる自分にしかできない役割を果たすため、その力を振るう。
00:10 quarter“caster”
(俺は市ノ宮グループの御曹司市ノ宮行。今は訳あってとある橋の下で恋人と生活しているが多数の会社を設立・経営していて更にその全てがその分野のトップレベルの企業。俺こそがエリートの中のエリート。男の中の男。なのに…なのに……)
「なんだこの状況はぁぁぁぁ!!!!」
リク‐市ノ宮行はシャウトしていた。
(俺もついに荒川住民の毒に感染したのか…?)
リクは突然自分に流れ込んできた知識に混乱していた。
リクが悶えている隣で
「飛車丸、角行鬼、いるか?」
と声をあげたのはリクの従者、キャスターである。
(こいつも電波かぁぁ!)
リクは思わず頭を抱える。が、
「はっ春虎様、ここに!」
「んだー?何が起こった?」
突如現れたケモ耳美女と隻腕の大男を目にし、ついに理解が追いつかなくなったリクは目の前が真っ暗になった。
「おいちょっとおっさん?!おーい?!」
00:00 quarter“????”
男は久方ぶりの黒い空を眺め、嗤った。
「存分に…楽しんでくれたまえ。」
展開をもっと早くできるように頑張ります!