仮面ライダーW/L・R   作:キャメル16世

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前回までの「W」の意味合いは、「WALNUT(ウォールナット)」、「Wの秘密」、「WIFE(妻)」の3つから来ています。

今回少し話がややこしくなっています。
お気を付けて閲覧してください。



第7話「Hの正体/あの夜に何があったのか」

「『はっ!』」

「ぐぉぉ!」

「おらっ!」

「ぐはぁぁ!」

「ったくこのゴキブリ野郎!何体倒せば気にするんだ!」

『翔太郎、ここはヒートメタルで行こう』

「あぁ!」

 

ヒート!メタル!

 

街で暴れるコックローチ・ドーパントを倒す為、ダブルはヒートメタルへと変化する

 

メタルシャフトにメタルメモリを差し込む

 

メタル!マキシマムドライブ!

 

「『メタルブランディング!』」

メタルシャフトの先端から炎がブーストのように吹き出る

 

「『はぁぁぁあ!』」

「ぐわぁぁぁぁあ!」

メタルブランディングを喰らったコックローチは爆散し、中年の男へと変身が解けた

腕から破損したメモリが飛び出る

 

「……ふぅ…やったな、フィリップ」

『あぁ、ご苦労だったね』

「……」

『…どうしたんだい?翔太郎』

「…あぁ…実は昨日の夜な…」

 

 

 

「……仮面ライダーの正体は…君か?」

「……っ」

いきなりそんな事を言われて、動揺するなと言う方が無理だ

 

「……なんでそんな事を…?」

そうか…クルミなら俺が仮面ライダーだって知ってても無理はない…スーツケースから全部見てたとしたら、全然不思議な事じゃ……

 

「冗談だ」

「……は?」

「君の声が仮面ライダーに似ていたから質問してみたが、彼はもっと渋い声をしていた」

「……は?」

「忘れてくれ、ボクは中に戻る」

そう言ってリコリコの中に戻っていくクルミ

 

「……い…意味わかんねぇ…」

 

 

 

「ははは、それは冷や汗かいたね」

「笑い事じゃねぇ…」

鳴海探偵事務所に戻った俺は椅子の背もたれに倒れる

 

「…流石は、風都一のハッカーだ」

「…風都一のハッカー?なんだそれ」

「え?知らないのかい?」

「……?」

「彼女の正体を…」

 

 

「……ウォールナットが死んだ?」

「ダークネットの噂です。ですが、過去30年で何度も奴は死んでいますし…」

「得体の知れん奴だ…抜かれた情報諸共消えてくれたなら大助かりだが……ギークの噂では安心も出来ん」

DA本部、司令室にて楠木とその秘書が今回の事件に関して話していた

 

「どうやら、ドーパントがウォールナットを殺したようで…そのドーパントも仮面ライダーに討伐された、との情報です。」

「どちらも厄介な存在だ……特に、仮面ライダー…」

「…あの、前から気になってたのですが…司令は仮面ライダーになにか恨みでもあるのですか?」

「……」

楠木は座っていた椅子を半回転させ、秘書には背中を見せた

 

「…気にするな……ただ後悔があるだけさ」

「……あ、あと…リコリコから提出された、例の写真の解析結果ですが……やはり、作戦開始時刻の3時間前との事です」

「…偽の取引時間を掴まされたか……我々も躍起が回ったな…」

楠木はメモリの取引現場をおさえた写真を見つめる

 

「……結構ぼけてるな…特定出来るか?」

「まだ時間が掛かりますが…必ず」

 

 

 

第7話「Hの正体/あの夜に何があったのか」

 

 

 

「……彼のそばにいるのは護衛か?」

『殺した方が良かったですか?』

「…いや、いい仕事だった…先月からの依頼はこれで完全に終わりだ。長期間、お疲れ様」

吉松シンジはウォールナットがドーパントの攻撃を受ける瞬間の写真を見ていた

 

「…その内、また頼むよ」

『へっ!風都最高のハッカーとなったこのロボ太にご用命とあらば、いつでもまた…それでは…』ピピッ!

「……立つ鳥、あとを濁さず…それが君のいい所だよ、ロボ太くん…」

吉松は街に沈む夕日を見つめる

 

「……道具らしくてね」

 

 

「ウォールナットは死んだ。改めて…クルミだ、よろしく頼む」

喫茶リコリコにてみんなの前で自己紹介をするクルミ

 

「探偵、君に言いたいことは沢山ある。まず、余計な動きでボク達の計画を邪魔したこと。そして、ボクが入っていたスーツケースを重いと言ったことだ」

「……」ギクッ

ちゃぶ台席で正座された俺

クルミはそんな俺を見下し虚無の表情で見つめていた

 

「まぁまぁ!許してあげてよクルミィ!翔太郎さんも知らなかったんだからぁ〜」

「全く…ミカの提案で探偵も雇って臨場感をあげれば雰囲気も出てボクが死んだ時のリアルさが倍増するって算段だったが……」

 

《ウォールナットォォォ!》

 

「あそこまで絶叫するか?君とボクはそこまで親しくないだろ」

「いやそこまで言うか!?」

思わずツッコミを入れる俺をミズキは高らかに笑った

 

「だっはっは!良いじゃない!あんた結構良い表情してたわよ〜?こんな風に〜」

「あっ!?」

ミズキが見せたスマホの画面にはとてもハードボイルドとは程遠い泣きっ面をした男…いや、俺が映っていた

 

「やっ…やめろォ!」

「だっはっは!流石のハーフボイルドねぇ〜!」

「うるせぇ!」

取っ組み合いを始める俺とミズキをマスターが止めた

 

「やめんか、二人とも」

「…今回ボクを襲ってきたドーパント…そいつを雇った人間が、今回の黒幕だ」

「…そいつの正体を知ってるのか?」

「……あぁ……ロボ太だ」

「…ロボ太?」

 

ネーミングセンス……俺も人の事言えないか…

 

「ロボ太はボクの次点に来ている凄腕ハッカーだ。まぁ、今となってはボクは死んでいるから、ロボ太が現状風都一のハッカーだな」

「……あれ、翔太郎さんクルミの正体知ってるんだっけ?」

「あぁ…風都一のハッカーで、これまでにいくつものリーク情報の入手やハッキングを行ってきたってな」

「へぇ〜詳しいんだ〜」

「……クルミ、敵の正体が分かっていながら、何故反撃をしないんですか?」

「ボクは戦いは好まない。こんな身体だしな…死を偽装する方が得意だ」

「あぁ〜確かにお前は身長が…あぁぁ!足がぁ!」

俺の右足を思いっきり踏むクルミ

 

「身長が低くても敵を怯ませる事くらいは出来るっ…それが出来なくてここまで生き残ってはいないっ!」

「分かった!俺が悪かった!」

 

めっちゃ根に持つじゃんっ!

 

「……」

だが、この少女…クルミがただの凄腕のハッカーでない事は、この世の誰よりも知識の本を持つ俺の相棒にはお見通しだった

 

 

 

「…彼女の正体は、ハッカーだ」

「ハッカーか……確かに、車がハッキングされた時に対応出来てたな…そういう意味だったのか…」

フィリップにクルミの事を聞いた俺は

幾つか質問した

 

その中で、とある事が判明した

 

「…リコリスの本部をハッキング?」

「正確に言えば、公的秘密組織…DA」

「…DA?」

何処かで聞いたことがある…

あれは確か……

 

「…僕たちが初めてジャッカルと対峙した日の事を覚えてるかい?」

「あぁ…あの日はリコリスの正体が女子高生って事に驚いて……」

「あの日、DAはウォールナットによりハッキングされ、情報が抜き取られている」

「…でも、なんで千束ちゃん達がそのウォールナットの護衛を?」

「きっと彼女自身からの護衛依頼だったんだろう…喫茶リコリコの人達は彼女がDAにした事を知らないんだ…」

「……DAについて、もっと分からないか?」

「……すまない、それは出来ない」

「…なぜ?」

「僕の「地球の本棚」のいくつかには、鍵が掛かって閲覧出来ない記憶がある。この間「DA」「リコリス」について検索をかけてみたが……見事、両方とも鍵がかかっていたよ」

「何か鍵を解くキーワードは?」

「残念ながら皆目見当もつかない。なにしろ相手はDA、秘密裏に活動する治安維持組織だ…情報を操作する彼らにとって特定されない事など造作もないのだろう」

「……」

 

 

1か月前──

 

『リコリスと知り合いか?国家に仇なす者を消して廻る噂の処刑人が、まさかこんな少女だったとは驚きだ』

「流石はウォールナット…博識だな」

その日、メモリの取引現場の写真を収めた女を殺す為

吉松シンジはその女をウォールナットのドローンを通して見ていた

だがあいにく、ドローンはリコリスの1人に撃ち落とされ

その後事件は収束していた

 

そのドローンの映像に映りこんだ少女に反応した吉松は

またそれをウォールナットに反応された

 

『無知である事は嫌いなんだ…だからもっと知りたい事がある。』

「報酬だね?依頼したDAのハッキングには満足している。十分報いる額を用意しているよ…」

『そうじゃない』

「…ほぉ…なにかね?」

『…どうしてメモリ取引なんざに関わる?施しの女神はタブーなしなのか?アラン機関…』

「……」

 

吉松は秘書である姫蒲にジェスチャーでタッチパネルの操作をさせた

 

すると、向かいのビルから爆煙が立ち上る

その瞬間、ウォールナットとの通信が途絶えた

 

「…無知であるほうが、人は幸福なんだよ…ハッカー…」

 

 

 

「……」

あの日の夜

ボクの家は何者かによって爆撃された

 

幸いボクは逃げ隠れることに成功し生き延びたが

すぐにあのドーパントが襲って来た

 

ロボ太…彼がアラン機関にボクを売った

以前から風都一のハッカーになるとほざいていたが、まさか本当に実現させるとは……なかなかやるな、あいつも

 

 

「…つまり、ウォールナットはDAをハッキングしたが深追いしすぎてアラン機関に消されそうになり、その結果ドーパントに追われ喫茶リコリコに依頼に来たと…」

「ドーパントは僕たちが倒し、彼女も今では喫茶リコリコに匿われている。彼女の完全勝利だ」

「……そっか…」

「…皮肉なものだよね…自分たちの組織を危険に晒した張本人を守るなんて…それにあのハッキングの事件で、井ノ上たきなはDAを左遷されたのに…」

「DAを左遷?どういう意味だ!?」

「…本当に何も知らないんだね……あのメモリ取引事件の日、リコリス達の中で一つ事件が起きていた。それがウォールナットによるハッキング…更にそれによるリコリスとDAとの通信障害…そして……」

「……」

「…それにより井ノ上たきなは射撃許可を得ていないのにも関わらず銃を乱射し、ドーパントを刺激…彼女は元々DA所属のリコリスだったようだけど、その一連がきっかけでDAの支店である喫茶リコリコへの転属が決まった」

「……そうだったのか…」

 

《今日からここで働かせて貰うことになりました》

 

通りであの時違和感があったわけだ…

彼女からはなにか決意のようなものを感じていた

 

「…じゃあ、あの左頬は?」

「当時同じチームにいた春川フキというリコリスに殴られた跡だろうね、命令を無視したんだ。無理もない」

「……」

 

 

 

「……」

俺はフィリップとの話を終えると、風都を眺められる高台に来ていた

ここからは夜景が本当によく見える

 

「…左さん?」

「…あ、あぁ…たきなちゃん」

すると、買い出しの帰りであろうたきなちゃんが話しかけてきた

 

「こんなところで何してるんですか?」

「…あぁ…嫌な事とか悩み事とかある時は、毎回ここで風都の風に当たってるんだ……ここにいれば、自然と風になれる気がする…」

「……」

「…どうした?」

「…左さんにも、悩み事とかあるんですね」

「…そりゃーあるさ…完璧な人間なんかいねぇからな…」

「……」

「…でも、いずれは決断を出す時が来る」

「…え?」

俺は飛ばされそうになる帽子を抑えてこう言った

 

「男の仕事の八割は決断だ。そこから先はおまけみたいなもん……俺の師匠の言葉だ」

「…左さんの…師匠…」

「おやっさんは厳しい人でさ…俺はいつも怒られっぱなしで……おやっさんの言ってる事がたまに分からなくなった…」

「……」

「…でも、その意味が段々分かってきたんだ…最近な、色々あったから…」

「……」

たきなちゃんと俺は風都の夜景を見つめた

 

「…最後の大事件」

「……」

たきなちゃんがそう言った

俺はそのまま彼女の言葉を待った

 

「…10年前、風都タワーが半壊するテロ事件が発生。そこに1人のリコリスが現れ事件を収束させた……でも、この事件にはまだ続きがあった…」

「……」

「…当時、風都タワーに現れたのはリコリスだけじゃなかった……もう1人、その事件を解決させた男がいる」

「……」

「彼はその後は誰にも語り継がれることなく、そのまま消息を絶った……それこそが…」

「…仮面ライダー…って言いたいんだろ?」

「……はい」

「…10年前、風都タワーで起きた事件……俺が知ってる事でいいなら、話してやるよ」

「……」

「…あの日の夜に、何があったのか……」




次回

第8話「Hの正体/仮面ライダーとは」

これで決まりだ!
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