仮面ライダーW/L・R   作:キャメル16世

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第11話「勝敗はMで/今は次に進む時」

「……」

「……」

たきなと同じセカンドリコリスのボーイッシュな子

乙女サクラはたきなに握手を催促し、それに応えるたきな

 

「……っ」

しかし、その手を掴んで話さないサクラ

腕を引き寄せて煽り口調で言った

 

「命令無視した挙句、仲間にぶっ放したって本当っすか?」

「…っ!」

彼女のその言葉に手を弾くたきな

 

「うーわマジなんすね〜!」

「違う…私は…!」

「やっぱ…敵より味方打つ方が燃える〜みたいな?」

「やめてください」

「おっと〜おっかなーい!撃たないで下さいよ〜?あ、殺しの時しか笑わないんだって?」

「……誰が…そんな嘘を…」

「いや〜あーしは好きっすよ?映画の殺人鬼みたいでカッコイイっす!あははは!」

「……」

「…まぁ、安心してくださいよ…先輩が抜けた穴は、後任の私がしっかり埋めますから」

「……後任?」

「…あれ?聞いてなかったんすかぁ?自分がこれからフキさんのパートナーを務めるっす……あんたの席はもうないっすよ〜?」

「……っ」

 

 

「……」

 

《この事件を解決すれば、お前が知りたい情報を教えてやろう》

《…あ?》

《…この街の真相をな》

 

「……この街の真相…一体なんの事だ…?」

俺は楠木に言われた言葉を反芻しながらDA内を練り歩いていた

考えるよりまずは行動の俺にとっては動きづらい場所だが……この際仕方ない

 

「……ん」トゥルルル トゥルルル

すると、スタッグフォンに着信が来ていた

相手はフィリップだ

 

『翔太郎、無事かい?』

「…どういう意味だ…?相棒」

この切り出し方…まさか何か分かったのか…!?

 

『いや、君が痴漢に間違われていないか心配でね…耐えきれず連絡をしてしまったよ』

「なんつー心配の仕方してるんだ!?あと、俺をなんだと思ってる!?」

『ごめんごめん、冗談だ。さっき君から貰った例の事件の資料…ぐちゃぐちゃだったけど何とか解読して一通り読んだよ』

「…うっ…すまん…」

俺は楠木と別れた後にフィリップに資料の写真を送っていた

 

『この光沢の光り方から考察するに、これは鉄ではなく銀だ』

「…銀?」

確かに…鉄にしては綺麗だな…

 

『これがドーパントの仕業なら、相手は銀に関連するメモリを所持している筈だ』

「…分かった、もしそいつが現れたら気をつけ……っ!」

すると、そこまで遠くないところから女子の悲鳴が聞こえた

 

『翔太郎!今の悲鳴は!?』

「…あぁ!噂をすればなぁ…!」

俺はダブルドライバーを腰に装着しながら悲鳴の方向に走って行った

 

 

 

「……ふふふ」

「…あうぅ…い、いやぁぁ…!」

「…さぁ…お前は人生に何を遺した?言ってみろ…」

「…わ、私はぁぁ…」

ドーパントに襲われそうになったリコリスは気を失った

 

「…やれやれ…所詮は3流リコリスか……お前にふさわしい処刑方法は……串刺しの刑だ…!」

「やめろォ!」

「…ん?」

現場に着くと、全身銀色のドーパントがリコリスを1人に襲いかかっていた

左腕が歪な形になっており、右肩はぐしゃぐしゃにしたアルミホイルみたいな見た目だった

 

「…男?…何故DAに入れた?」

「それはこっちのセリフだ!どっから入って来やがった!?」

俺はそう言うなり、ジョーカーメモリを構えた

 

「 JOKER!」

 

「フィリップ!」

『あぁ!』

 

『 CYCLONE!』

 

「『変身ッ!』」

 

サイクロン!ジョーカー!

 

仮面ライダーダブルへと変身する俺たち

 

「…仮面ライダー…?」

「『さぁ、お前の罪を数えろ!』」

 

 

 

第11話「勝敗はMで/今は次に進む時」

 

 

 

『奴が今回の事件の犯人か…!?』

「あぁ…なかなかにふざけた見た目しやがる……シンプルすぎて逆に気持ち悪ぃぜ」

『気を付けたまえ、この類のドーパントが1番厄介な可能性がある!』

「…あぁ、分かってるさ!」

 

俺は仁王立ちするドーパントに向かって拳を振りかざした

 

「はぁぁ…!」

「…っ」

「…なにっ!?」

ダブルが拳がドーパントの胸に直撃する瞬間だった

奴の胸がドロドロと波打ち、ダブルの拳がめり込むと同時にくぼみが出来た

そのくぼみが埋まり、ダブルの右手が奴の胸に埋まってしまった

 

「くそっ!抜けねぇ!」

「…ふふふ…仮面ライダー、貴様は人生に何を遺した?」

「あぁ!?」

「…それすら言えない奴に、生きている資格などない!」

「『っ!?』」

 

すると、奴の身体の一部がまた波打ち

やつの周りにドロドロした銀の球が浮く

 

「…フッ!」

「『だぁ!』」

それが変形し銀の槍のようなものが飛び出す

それが何度も何度もダブルの身体を突いた

 

「『ぐわぁ!』」

「……ふはははは…!」

「…なんだよ今の攻撃…!?」

『あの特徴は…奴はただの銀を使ってるわけじゃないんだ!』

「どういう意味だフィリップ!」

『奴のメモリの正体が分かった!奴は「マーキュリー」だ!』

「マーキュリー?なんだそれ!?」

『水銀さ!奴は水銀を操って、リコリスを生き埋めにしたり、変則的な攻撃が出来る!これまでにないくらい厄介な相手だ!』

「…なるほどな…近接戦闘は難しいって事か……だったらコイツだ!」

 

「 TRIGGER!」

 

サイクロン!トリガー!

 

ダブルの左半身が青色に変化し、サイクロントリガーへと姿を変える

左胸に生成される「トリガーマグナム」を構え、引き金を引いた

 

「はっ!」

「……っ」

攻撃は当たるも、ダメージは無い様子だ

 

『早打ちのサイクロントリガーでは、奴には攻撃が効かないようだね…』

「だったら火力で勝負だ!」

 

『 HEAT!』

 

ヒート!トリガー!

 

ヒートトリガーへと変化するダブル

トリガーマグナムにトリガーメモリを装填し、マキシマムモードに変形する

 

トリガー!マキシマムドライブ!

 

「『トリガーエクスプロージョン!』」

「…っ」

「『…はぁぁぁあ!』」

トリガーマグナムの銃口から超高熱のエネルギーが放たれ、その炎がマーキュリー・ドーパントを包んだ

 

「…ハァ…ハァ……どうだ!?」

「……」

『なっ…!?』

マーキュリーは全身に水銀のバリアを作り上げ、攻撃を防いでいた

澄ました声のまま、マーキュリーはこう言った

 

「…今のはなかなかの攻撃だった……しかし、貴様が守ったその命も、その街の枷となる存在だ…」

「…なにっ?」

「いずれわかる事だ…彼女たちがどれだけこの街にとって罪な存在なのか……」

「まっ…待てっ!」

『……逃げられたか』

マーキュリーは全身をドロドロに溶かし、床に消えて行った

 

 

『マーキュリーも、誰かに依頼されてリコリス狩りをしていると思うね』

「リコリス狩りって……まぁ、どっちにせよあの能力は厄介だ。エクストリームで行きたいところだが……」

『…あぁ…彼はあの日から僕たちの前から姿を消した……今頃何処にいるのやら…』

「エクストリームの家出かよ〜…勘弁してくれこんな時に…」

『…仕方あるまい、犯人を見つけてメモリを回収する他ないね』

「いつも通り、検索頼めるか?相棒」

『あぁ、もちろんだ…1つ、見当もあるからね…それも試したい』

「あぁ、頼んだぜ」

 

俺は腰からダブルドライバーを取り外し、さっきマーキュリーに襲われていたリコリスの所に駆け寄る

 

「……外傷は特になしか…良かった…」

紺色の制服にオレンジ色の髪色

この子どっかで見たような…?

 

「……ん」

「…お、起きたか…大丈夫か?」

「…っ…さっきのドーパントは!?」

「逃げた。でも君が無事でよかった」

「……ごめんなさい…私、弱くて」

「…何言ってんだよ…リコリスでも、強いも弱いも関係ねぇだろ?」

「……違うんです…私が弱いのがいけないんです」

「…どうして?」

「だって…私が強ければ……あの日たきなを…」

「……たきな…?」

俺はたきなの名前を聞いた瞬間ピンと来た

さっき受付でたきなを見ていた子だ

 

「君!…名前は?」

「……蛇ノ目エリカ…です」

「……その名前…!」

この間マスターから聞いていた

たきなが転属になったのは指令を無視してドーパントを刺激したからと聞いたが、実はその時たきなはドーパントに人質として囚われたリコリスを守ろうと銃を撃ったと…

その人質に取られたリコリスが、蛇ノ目エリカ

 

「…私が捕まらなければ……たきなは…」

「……いいか?お嬢ちゃん」

「…へ?」

「…君たちの間に何があったかは詳しくは知らない……だがな、これだけは言える…」

「……」

「…君のせいじゃない」

「…え?」

「完璧な人間なんていねぇんだ…人は誰かと支え合うことで、初めて人になれる……それが、Nobody's Perfect…俺の憧れの人の言葉だ」

「……支え合って…?」

「そうだ…君たちリコリスはこれまで支え合って生きてきたんだろ?…だったら、一生懸命に生きてる人を…君が応援してやんねぇとな…」

俺はエリカの頭をポンポンと叩き、その場を去って訓練所へと向かった

 

 

 

「……」

俺は知っていた

人を守るという事が、どれほど大変で

どれほど凄いことなのか…

 

《おやっさぁぁぁん!!》

 

あの時おやっさんとの約束を破ったから…おやっさんは…

俺はおやっさんを守る事が出来なかった…

 

……

 

たきな……俺たちがした事は、間違いだったと思うか?

 

「………俺の……罪…」

 

 

「……っ」

訓練所に着いても誰もいなかった

俺は仕方なく施設内を歩き、噴水がある大広間に出た

 

道中すれ違うリコリス達がウキウキしながら何処かに向かっていた

 

「……あ」

そこにはたきなと千束がいた

なんだか邪魔しちゃいけない雰囲気がしたから仕方なく遠くから2人を見守る事にした

 

静かな空間から、彼女たちの声がよく聞こえた

 

「この棟で暮らす事は、DAに拾われた私たちみんなの憧れ…この制服に袖を通した時も…」

「嬉しかったよね…」

「……」

「…そんな意外そうな顔しないで、私だってそうだよ」

「なら、千束さんにも分かるでしょ…ここが目標だった……それを私は奪われた!…どうしてこんな…」

 

井ノ上たきなは転属処分を受け、DAに戻る機会を探っていたが、それも虚しく彼女の後任がもう既に居た

 

「…たきなを必要としている人が、街には沢山いるよ」

「貴方はDAに必要とされてるから良いですよね!?私には…私の居場所は……もうここにはない…」

 

ごめんなさいと謝るたきな

そんな彼女に千束はあの夜何が起こったのかを話した

DAの気密性を担う「ラジアータ」がハッキングされた事

だが、そんな事は報告できない為リコリスの暴走という事で手が打たれていた

それを聞いてすぐさま足を動かすたきなにそれを止める千束

 

「理不尽です!司令に話して…」

「ちょーいちょいちょい!シラ切られるだけだって!」

「ならどうすれば…!」

「……」

 

たきなを落ち着かせる為に彼女の背中に手を回す千束

 

「…っ」

「たきな、今は次に進む時……失う事で得られる物もあるって…」

「……」

「たきながあの時あぁしてなかったら、私たちは出会えてなかったよ?」

「……」

 

そしてたきなを抱き抱える千束

 

「私は君と出会えて嬉しい!」

「…ちょっ…ちょっと…!」

「嬉しい!嬉しい!」

「……っ」

「誰かの期待に応えるために悲しくなるなんてつまんないって!居場所はある。お店の皆との時間を試してみない?それでもここがいいなら戻って来るといい。遅くない、まだ途中だよ…チャンスは必ず来る。その時、したい事を選べばいい…」

「…したい事…?」

「そう!私はいつも、やりたい事最・優・先っ!今は!たきなに酷いこと言ったあいつらをぶちのめしたいので〜?ちょっと行って来ますよ〜…」

「……」

 

そう言ってたきなの元を離れる千束

 

「……」

一方、翔太郎は彼女の言葉を胸に抱えた

 

「……まさか…女子高生に気付かされるとはな……」

俺は迷っていた

自分が何をするべきなのか…

何が出来るのか……

 

でも、違うんだ…

俺がしたい事を、俺のしたいようにやればいい

それが俺が…自分で決めた事なのだから…

 

「……」

男の仕事の八割は決断、そっから先はおまけみてぇなもん

 

「……ありがとな、おやっさん……千束」

 

 

「……はぁ〜あ〜…私にもそろそろいい男が現れねぇかなぁ〜!」

喫茶リコリコで留守番をわかされたミズキ

婚活雑誌を片手に理想の彼氏の妄想を膨らませていると

入口のすずが鳴ると同時にドアが開いた

 

「…あ、すみませ〜ん…お店午後からなんですよ〜!」

手を合わせて客に平謝りしながら大胆な嘘をつくミズキ

 

しかし、お客はそのまま中に入って来た

 

「……問題ない、僕は君に用があって来たんだ」

「……へ?」

「…元DA情報部……中原ミズキ」

喫茶リコリコに来たフィリップ

そんな彼を見てミズキは思った…

 

「……」

 

……イケメンだ




次回

第12話「勝敗はMで/これが私の罪」

これで決まりだ!
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