ご注意ください!
「…さっきから着いてきてる奴……ジン、暗殺者。その静かな仕事ぶりから「サイレント・ジン」とも呼ばれている。ベテランの殺し屋だとさ」
「…サイレント…?」
「知り合いか?」
「……15年前まで、警備会社で共に裏の仕事を担当していた。私がリコリスの訓練教官にスカウトされる前だ」
「…どんな奴?」
「本物だ。サイレント…確かに声を聞いたことがないな」
「……」
無線で聞こえてくるクルミとミカの会話
サイレント・ジン…どこかで聞き覚えが…
『30メートル先に確認、こっちは顔がバレてない…発信機付けに行くよ』
『…上から確認出来ない。ミズキの方からは?』
『柱の横で止まった』
『……あ』
「…どうした?」
『ドローンが射撃された。こっちの存在がバレてる』
「……」
相手はなかなかの強者のようだ…
もし奴がドーパントなら……
『予定変更、避難させてこちらから一人討って出るべきだ。予備のドローンとミズキでジンを見つけ次第、攻撃に出る』
『そっちが美術館出たら車回すよ』
「……了解」
俺は松下さんの車椅子を押す千束とたきなの方に視線を送る
俺と目が合ったたきなは頷き、俺も頷いた
千束は暗い表情になっていた
きっと、せっかくの松下さんの観光を邪魔してしまうと思ったからだろう
「……ハァ…ハァ」
『ミズキー急げードローンがなきゃ何も出来ないぞー』
「あんたも現場に来てサポートしなさいよ!」
「……」
「うっ…!」
ドローンを運ぶミズキを、ヘルメットと長いローブを羽織った長髪の男が蹴りあげた
ドローンを振り払われたミズキ
『どうした?』
「…ジンだ!」
必死に逃げるミズキだが、簡単にジンに腕を掴まれた
「くっ…このっ!こんにゃろっ!」
「……」
抵抗するミズキだが、彼女のパンチでは彼を盲ます事は出来ないようだ
「誰かぁ!変質者がいま──」
「……シー…」
ジンは人差し指を口の前で立てると、ガイアメモリを取り出して起動させた
《 SILENT!》
メモリを首に指したジンはサイレント・ドーパントへと変貌した
見た目はとてもシンプルで身体の所々に口や人差し指を立てた出などがモールドされている
「──!?」
何これ…!?
何も喋れない!?
途端に何も喋れなくなるミズキ
それだけではない
ミズキの耳にはなんの情報も入ってこなかった
つまり、何も聞こえない
「──!」
これがこいつの能力なの!?
「……」
無言でミズキを拘束するジン
プレハブ倉庫に閉じ込めてその場を去ろうとした
その時
「……?」
遠くの方からバイクの音が聞こえた
赤いバイクの男はジンの前に止まるとヘルメットを外しその顔を顕にした
「…貴様がサイレント・ジンか」
「……」
「聞いていた通り何も喋らないのか……だったら…!」
アクセルドライバーを装着する照井竜
「 ACCEL!」
「……変…身ッ!」
アクセル!
仮面ライダーアクセルへと変身した竜はエンジンブレードを構えた
「…力ずくで吐かせるだけだ!」
第17話「おかえりA/素晴らしいガイド」
「はぁっ!」
「……っ」
「はぁぁぁあ!」
エンジンブレードを振り回すアクセル
しかし、その攻撃を次々と躱していくサイレント
「…何故反撃してこない!?ふざけているのか…!?」
「……」
「……どうやらふざけているようだな…!」
アクセル!マキシマムドライブ!
「はぁぁぁ…はぁっ!」
アクセルグランツァーを繰り出すアクセル
しかし、その攻撃さえも命中しなかった
「……っ!」
「なにっ!?」
「……シー…」
「貴様…いい加減に──!?」
なんだ!?
急に声が出なく…!
「──!!」
「……」
そうか!
これがコイツの能力か!
だが…物理的攻撃でない限り、俺は負けん!
「……っ!」
「──!?」
なにっ!?
一気に距離を縮められ、懐を取られたアクセル
「……!」
「──っ!!」
ぐわぁぁぁあ!!!
奴の足音も、動きのタイミングも分からない…!
音が聞こえなくなるだけで、こんなにも戦闘が不利になるのか!?
「……っ!?」
どこに行った!?
アクセルの前からサイレントは居なくなっていた
そして、声が出せるようになった事に気付く竜
「……クッ…逃げられたか…!」
『ミズキとの連絡が途絶えた、ジンが仕掛けてくるぞ!』
「…私に任せてください」
「ちょっ…たきな!」
「おい…!」
ミカからの一報を受けて行動に出るたきな
翔太郎はそんな彼女の後を追う
『……どうしました?』
「と、トイレ〜に行ってくるみたいで!」
「……おい、どうするつもりだ?たきな」
「相手はドーパントに違いありません。私たちで何とかしましょう」
「何とかって…君にどうこうできるのか…!?」
「……確かに私はドーパント相手では戦力にならないかもしれません……でも…!」
「……っ」
「…誰かの為に…いや、松下さんの為に戦うのが…私たち喫茶リコリコのリコリスです!」
「……たきな…」
そうか……守りたいって気持ちはたきなも千束も同じなんだな……
『たきな!探偵!ミズキがジンに発信機を付けてた…死んでもこっちに情報を遺した…!』
「いや、死んだと決まったわけじゃないだろ…」
「今奴はどこに…!?」
『もう美術館に来てる……』
「中ですか?外ですか?」
『……あ』
「……っ」
俺は振り向き、曲がり角を曲がってくる大柄の男見た瞬間に叫んだ
「後ろだ!」
「…っ!?」
「……っ!」
銃弾を放つジン
俺はたきなを庇いながら避け、たきなはジンに銃を発砲した
どうやらコートが防弾のようで、服に当たった銃弾は弾かれた
「……っ」
危機感を覚えたのか、ジンは逃げるように走り去った
「追いかけましょう!」
「…あぁ!」
あれがサイレント・ジン…
やっぱりアイツが…!
「……」
アクセルから変身を解いた照井竜はミズキが閉じ込められたであろうプレハブ倉庫の鍵を開け扉を開けた
「…おわっ!」
「……怪我はないか?」
勢い良く飛び出てきたミズキ
「えっ!?誰!?ってかイケメン!超タイプ!」
「仲間に連絡するべきなんだろう?早くしろ」
「…えっ?あ、そうだったァ!」
竜のビートルフォンを受け取ったミズキはクルミに電話をした
『…はい、喫茶リコリコ…』
「やられたわぁー!」
『なんだミズキ、生きてたのかー』
「なんだとはなんだ!?」
『ミズキ、たきながジンを追いかけてる。風都駅ホームで松下さんを迎えに行ってきてくれ!』
「わ、分かったわよ!」
でも、ここからどうやって…!?
「おい」
「…わわっ!」
すると、竜からヘルメットを渡されるミズキ
「急ぐんだろう、早く後ろに乗れ」
バイクに跨りエンジンを掛ける竜
そんな姿にミズキは魅了された
「ハ…ハードボイルドぉ…」
誰かさんとは大違いだわ!
「……」
『千束』
無線で呼ばれる千束
「……松下さん、ちょっと待っててください」
『…えぇ……』
車椅子から離れ、無線に耳を貸す千束
『千束、ミズキが無事だったぞ』
「…よかったぁ〜…」
『そっちに迎えに行ってる。松下さんとすぐに帰ってこい』
「うん、無事でよかった。ミズキと待って電車で帰るよ」
無線を切り、振り返る千束
しかし、そこには松下の姿は無かった
「……松下さん…?」
「…ハァ…ハァ!」
「…目標は前方20メートル程前!このままでは逃げられます!」
『この際しょうがない、そのまま千束の元から遠ざけろ』
「そんなんで終われるか…!」
「あっ…左さん…!」
「うおぉぉぉぉぉお!待ちやがれぇぇ!」
全速力でジンとの距離を縮める翔太郎
「……っ」
「うおっ!?」
しかし、足元を撃たれたため急ブレーキを掛ける
「……左さん…!」
「…悪ぃたきな…逃げられた」
「問題ありません!このまま追い詰めます!」
「……お、おう…」
「……」
『15メートル先の室外機の裏にいるぞ』
「……」
敵の姿を確認したたきなは着実に距離を縮め、その場所に拳銃を突き付けた
「…っ!?」
しかし、そこにあったのは発信機付きのコートだけだった
「…クルミ!」
「……松下さん…!」
『……』
やっとの思いで松下を見つけた千束
風都駅を見上げながら何かを悟っていた
『……ジンが来ているんだね…』
「えっ」
『……あいつは私の家族を殺した…確実に私を殺しにくる筈だ』
千束に振り向き、声の質を変える松下
「……っ」
すると、千束に無線が入る
『千束、たきなと探偵が撒かれた…気を付けろ』
「……」
『日本にいる限り、あいつは絶対に殺しにくる』
「…な、なら!1度お店に戻って避難しましょう!それから…」
『私には時間がないんだ…!』
「……っ!?」
千束は風都駅の屋上から松下を狙っているジンを捉えた
「千束!逃げてぇ!」
「…うおぉぉぉお!」
「……ウッ!」
ジンの銃を弾で弾くたきなとタックルでジンを屋上から突き落とす翔太郎
たきなと翔太郎も勢いで落ちてしまった
「たきなぁぁ!翔太郎さん!」
「…クッ…ククッ…」
「…クッ…大丈夫か?たきな」
「…え、えぇ…何とか…」
運良くクッションになるものが地面にあったおかげで大した怪我はしなかった2人
「……っ!」
「あれは…!」
2人は地面に横たわるジンを見た
すると懐からガイアメモリを取り出していた
「……っ」
《 SILENT!》
ジンはサイレントメモリでドーパントへと変貌する
「…やっぱり、ドーパントだったのか…!」
「……左さん、頼めますか?」
「…あぁ…ここからが俺たちの本領発揮だ!」
翔太郎はダブルドライバーを装着し、ジョーカーメモリを起動させた
『 CYCLONE!』「 JOKER!」
「行くぜ相棒!」
『あぁ、翔太郎!』
「『変身ッ!』」
サイクロン!ジョーカー!
「『はぁぁぁあ!』」
「……っ」
仮面ライダーダブルへと変身する翔太郎
サイレントへと突っ込み、取っ組み合いをする
「…千束!松下さんを避難させてください!」
頑張ってください…左さん…!
「…分かった!…たきなと翔太郎さんが引き付けている間にここから離れましょう!」
『……私の本当の依頼はジンを殺してもらう事だ』
「…えっ?」
『君のそのペンダントの意味を私は知っている。君には使命がある筈だ!』
「……っ」
使命……!
「おーい!お待たせぇ!」
「…ミズキ…!?」
すると、赤いバイクに2ケツで来たミズキ
運転をしていたのは赤い革ジャンを来た男性だった
「あ、貴方は…!?」
「…俺に質問をするな」
「…えっ?」
ヘルメットを取った竜とミズキ
「お兄さん!ミズキ!松下さんをお願い!」
『……』
「了解〜…」
『……これだけは見届けなければ…』
「おい、待て」
『…離してくれ、私はあの子がジンを殺す瞬間をこの目で見たいのだ』
「…何故そこまでして見たいんだ?」
『あいつは私の家族を殺した…復讐してやる為さ!』
「……復讐…だと?」
すると、工場現場の方から爆発が起こった
すぐにダブルが戦っている事に気が付いた竜はその方向に走った
「えっ!ちょっとぉ!?」
『…………千束…』
「『はぁっ!』」
「…っ」
「おりゃぁ!」
「……っ…シー…」
「あ?なんだ静かにしろってか?そいつはお断──っ!」
なんだ!?急に声が出せなくなったぞ!?
『──』
サイレント…これが奴の能力…!?
対象の聴覚を麻痺させる事が出来るのか!?
「──っ!」
ぐわぁ!
何も聞こえねぇからタイミングが取りずれぇ!
『──』
なんて厄介な相手なんだ!
「……っ!?」
「…変…身ッ!はぁぁあ!」
アクセル!
「──っ!?」
照井…!?なんで!?
「はぁぁぁあ!」
「…グッ!」
アクセルへと変身した照井竜が後ろからサイレントに斬撃を加えた
『……翔太郎、今なら会話が可能だ!』
「照井…!来てくれたのか!?」
「…俺に質問するな」
「…ははっ…ハイハイそうですか!」
『君の頼み通り、彼にも話を通しておいたよ。リコリスの事をあんな風に言っていたのに…どんな風の吹き回しかは知らないが、ここに来たって事は…僕たちに協力するって事で良いんだね?』
「…だから言っているだろう。俺にくだらん質問をするな、と…」
「…その言葉、妙に安心するんだよなぁ〜……行くぜ、照井」
「……あぁ」
ダブルとアクセルはサイレントに目を向けた
「……さぁ…振り切るぜッ!」
「『さぁ、お前の罪を数えろ!』」
ここに、風都の仮面ライダーが2人揃った
次回
第18話「おかえりA/復讐の果てには」
これで決まりだ!