昨夜、風都署が真島率いるテロリストに襲われた
リコリコの情報提供により、署内の監視カメラ映像を確認させてもらったが
風都署に乗り込んだテロリスト集団がドーパントとなり署内を荒らしに荒らしまくっていた
途中で照井が来てアクセルへと変身したが、マシンガン・ドーパントに目眩しに遭いテロリスト集団には逃げられたようだ
その監視カメラに写った、俺の描いた似顔絵に酷似している男が、カメラに向かってニヤッと笑った瞬間を俺とフィリップは凝視した
「この男が真島……これまでのいくつもの事件の首謀者か…」
「……許せねぇ…何の為にこんな事を…!」
「…翔太郎、追加で署内の監視カメラ映像を貰ったのだけれど…」
「……っ!?」
フィリップは1枚の写真を俺に見せた
その写真には、ボロボロになった署長室の壁に「勝負だリコリス!」と赤い文字で描かれていた
その字が血なのか赤いペンキなのかは知らないが、許さない事には変わりない
「…相手はリコリスしか眼中にないようだね」
「……やってくれたなぁ…!」
「事件後に署内を確認したが、如何せん奴らの目的が分からなかった。ただ、とんでもない事を企んでいる事は確かだ」
照井は俺たちに監視カメラ映像と事件当時の状況を詳しく教えてくれた
警察の調べによると、テロリスト集団は本当に署内を襲撃しただけで他の目的が不明との事だ
「…とりあえず、お前に怪我がなくてよかったよ照井」
「左、知らないのか…?何があっても、俺は死なん」
「…そうは言っても、うちの所長は心配みたいだぜ?」
「……」
見ると、金色で「成敗ッ!」と書かれた緑のスリッパを素振りする亜樹子が事務所内で暴れていた
呆れた翔太郎は亜樹子を抑えに行った
「……今のところこの事件もDAが揉み消したみたいだけど、世間では疑問が浮かぶだろうね」
「DAの化けの皮が剥がれるのも時間の問題か……しかしフィリップ、何故お前たちはそうDAに肩入りする?」
「……それは…翔太郎の過去と関係する」
「…左の…?」
「……君にも、いつか話す時が来ると思うよ…彼の苦闘と、葛藤の記憶をね…」
「……」
フィリップはそう言うと、亜樹子を抑え込む翔太郎を見た
そんな翔太郎のスタッグフォンに、着信が来ていた
第23話「Sとの関係α/大切な夜」
「……やっぱりそうか…」
「うん、きっと楠木さんと密会して私をDAに連れ戻す気だよ…」
「…いや、それは知らないけど……」
俺は千束に呼び出され、マスターが今夜「Bar Forbidden」で誰かと会う約束をしている事を教えてもらった
本人は千束には未だ何も言っていないようで、どうやら内緒の密会のようだ
「俺はともかく、そのバーは君たちは入れるのか?」
「そこは〜コンピュータの人の出番ですよ〜…ね!クルミ!」
「偽造は何ともないが……まぁ名前もテキトーに決めれば…」
「ん〜…偽名か〜…悩むな〜…」
「……ピッタリな名前がある」
俺はひとつ、ここで試したい事があった
マスターが本当にあの店の常連なら、奴の名前も……
「……シュラウド」
「…シュラウド?」
「……英語で覆うものを意味する言葉だ。偽名にはピッタリだな!」
クルミはその言葉の意味を察知し賛成した
「なるほど〜溢れんばかりのオーラを覆う魅惑の名前……確かにピッタリだな〜」
「あんたから溢れるのはリコリス特有のオーラよ」
「んあー!いい感じにまとまってたのに〜!」
いつも通り騒がしくなった千束とミズキ
すると、たきなが俺に耳打ちをして来た
「…左さん…店長の事を頼む間、鳴海探偵事務所を伺っても良いですか?」
「……あぁ…でもなんで…?」
「……確かめたい事があって……千束と店長をよろしくお願いします」
お辞儀をするたきな
俺はポンと頭に手を置く
「……任せな…マスターも俺にとっては大事な人だし、千束がこの店から居なくなるのも困る。きっちり調べるさ…探偵だからな」
「……ハードボイルドな、ですよね」
「…あぁ…よく分かってるじゃねえか」
今度はニコッと笑うたきな
俺はクルミ、千束、ミズキと作戦会議を開き、その時を待った
『…君も躍起が回ったね…友人をストーキングなんて』
「あ〜うるせうるせ…これも千束の為なんだよ」
『分かっている。君のハーフボイルドを褒めてるだけさ』
「誰がハーフボイルドだっ」
ハードボイルダーで待機中の俺
千束からの連絡を待ちながら、ダブルドライバーを装着してフィリップとも意識を繋げていた
『相手はおそらく楠木…錦木千束をDAに呼び出す為の密会…そう君たちは見ているのだろう?』
「…やっぱり何か引っかかるか?」
『……あぁ…何故このタイミングなのか……これまでタイミングは沢山あった筈だ、それに…』
「……それに?」
『…錦木千束をDAに呼び戻す動機が分からない。急激に戦力が必要になったのか…?』
「…真島と何か関係があるのか…?」
『さぁね…それも追々考えないとね……』
「……そっちの準備は整ったか?フィリップ」
『あぁ…既に風都ホテルに待機済みさ』
「オッケー…んじゃ……」トゥルルル トゥルルル
すると、俺のスタッグフォンに着信が届いた
『翔太郎さん!先生店から出ていったよ!今から私たちも向かうから!』
「……あぁ……作戦開始だ!」
「ようこそいらっしゃいました。恐れ入りますが、お名前をお聞かせ頂けますか?」
「左翔太郎」
「シュラウド」
「…確認致しました。左翔太郎様、ご案内します」
ウェイターは何の疑問も持たずに俺たちを接客した
俺はともかく横の奴はどう見ても未成年だけどな…
俺は黒いタキシードに身を包み、いつもの帽子を被っていた
一方真っ赤なドレスに身を包んだ千束、胸にはあのペンダントが掛けられていた
「ごゆっくりお寛ぎ下さい…」
店内に案内された俺たちは、お通しにシャンパンを入れてもらった
お通しがこれって……流石は高級バーだな…
などと日和っていたら、千束が肩を叩いて来た
「……来たか」
「うわぁ…先生なんかめっちゃキメてんだけど…」
「……」
カウンター席に座るマスター
お洒落な格好で本当に今から合い挽きでもするかのような格好だった
こちらの存在にはまだ気付いていないようだ
本当に楠木が来るのか…?
フィリップの推測が正しければ……マスターの相手は…
「…あっ…誰か来た!」
「……あの人は…!」
「…えっ?ヨシさん?」
なんと、マスターの横に座ったのは吉松シンジだった
「……っ」
まさか……まさかそんな事が……
「あ〜合い挽きだな〜これは〜…私とした事が〜……翔太郎さん行こう、邪魔しちゃ悪い……翔太郎さん?」
「……ん…あ、あぁ…」
思わず歯切れの悪い返事をしてしまった
だが、動揺を隠せずにはいられなかった
「……」
2人の後ろを静かに通る俺と千束
そこで、2人の会話が聞こえて来た
「急に呼び出して悪かったな…」
「…良いさ」
「…君に、尋ねたい事があってな」
「……改まって何だ?」
「前にも聞いたと思うが……約束は守れているのか…?」
「……」
「……私と…君と……荘吉との約束を…」
「……っ!」
その言葉を聞いた瞬間、俺の思考は完全に停止した
それ以降の話は一向に入って来なかったが、千束のテンションが上がっていたのに気が付いた
「…お、おい…千束…?」
「ヨシさん…ヨシさんだよ…!」
すると千束は2人に近付こうとしていた
今バレるのはまずい……いや、むしろここであの偽名が役に立つかもしれねぇ…!
「……ヨシさ…」
「…待て!シュラウド!」
俺がその名を叫ぶと、マスターと吉松シンジが思いっきり振り返った
「…っ!?」
「…っ!?シュラウド…だと!?」
「……あ」
振り返った2人の視線には千束がいた
「……千束…!」
「……っ……ミカ」
シンジはマスターを疑いの目で睨んだ
「…いや、違う!」
「ごめんなさい!…先生のメールをうっかり見ちゃって……」
「…謝る必要なんてねぇよ…千束」
「……翔太郎くん…!」
俺はいてもたってもいられずに2人の前に姿を表した
さっきの2人のあの表情
「……もう解っちまったぜ……全部」
「……何が…?」
「…マスター……あんたがおやっさんを裏切ったんだな」
「…っ!」
俺の怒りは、とうに限界を超えていた
ジリリリリン ジリリリリン
鳴海探偵事務所の電話の音が鳴り響く
「…はい!こちら鳴海探偵事務所ですっ!」
元気よく電話に出る亜樹子
しかし、そんな元気を出したのも束の間
電話の相手がフィリップだった事に少しだけ落胆した
だが、彼の口から放たれた言葉はただ一言だった
『亜樹ちゃんにお客が来るから、しっかり対応してね』
……と
「…ん〜?私にお客ぅ〜?もしかして私のファン!?え〜!私聞いてない〜!」
ウキウキで事務所内を踊っていると、事務所の扉が開いた
「あっ!いらっしゃいませ〜!鳴海探偵事務所へよぅ…」
「…こ、こんばんわ……」
扉を開けたのは、井ノ上たきなだった
「……」
「……あの…貴方が、鳴海亜樹子さん…ですか?」
「……」
私……聞いてな〜い〜……
次回
第24話「Sとの関係α/あの日の約束」
これで決まりだ!