ここからはオリジナル展開も増えると思いますが、基本的にはリコリス・リコイル(第1期)のオマージュになっています。今後の展開もお楽しみにしててください
という事で、今回もよろしくお願いします!
「……ミカ…」
「…荘吉」
荘吉の前に現れたミカ
その目は、確実に荘吉を捉えていた
「……荘吉…お前が、「スカル」だったのか」
「…黙ってて悪かった…だが、俺は後悔していない。この力を恨む事もあったが、感謝している」
「…感謝…だと…?」
「……っ」
ミカは荘吉の胸ぐらを掴み、壁に押し倒した
「ガイアメモリの力が…今まで何人の人達を傷付けたと思っている!?今まで何人の人達が命を落として来たと思っている!?一体何人の…リコリス達が…!」
「……ミカ…確かにこの力は最低最悪かもしれねぇ……だが、この力を使わなければもっと沢山の命が亡くなっていたかもしれない…俺は、それだけは御免だ…」
「それでも!お前が怪物になってからでは遅い!」
「……っ」
ミカは両手で荘吉の服を掴み、額を押し当てて声を震わせた
「……だが…お前も今まで、独りで戦ってきたんだなぁ……風都タワー事件のあの日も…独りで…」
「……あの日は千束の活躍もある。俺はテロリスト共にトドメを刺しただけだ」
「…それでも……ありがとう」
ミカは涙を流し、荘吉に感謝を伝え続けた
「…千束を…この街を救ってくれて……」
「……」
すると、ミカは顔を上げ荘吉に訴えた
「荘吉!メモリを捨てろ!そうすればお前がDAに狙われる事は無い!もう1人で苦しむ事も無い!今のお前には私や仲間がいる!お前はもう独りではない!」
「……」
ミカは伝えたかった
メモリを使えば、DAに狙われる
スカルの正体である事が知れれば、命を狙われる可能性だってある
それだけは嫌だった
これは、数少ない親友を守りたいという本人の願いと
あの日以来姿を消した吉松シンジの為でもあった
メモリを捨てて普通の生活に戻れば、何不自由の無い生活が待っている
もうガイアメモリに悩まされる必要も無い
そう、これは全て荘吉の為であり
この街の平和の為でも……
「…断る」
「……え…今、なんと?」
即答で否定した荘吉
ミカの手を振りほどき、彼の肩に手を置いた
「…ミカ…俺はメモリを捨てるつもりは無い。確かにメモリを捨てれば、俺が狙われる事は無くなる。しかし、この街の未来はどうなる?」
「……っ」
「これからもガイアメモリ犯罪の事件は消える事はない…むしろ事件は加速していくだろう。その力に対抗できるのは、同じガイアメモリを使う者だけだ」
「……」
「……俺は覚悟を決めたぜ…ミカ」
荘吉はミカから離れ、翔太郎の元へ向かおうとした
「…俺はこの街を泣かす悪党を許さない。そして、この街を愛する者を守る…!」
「……っ!」
「…この街の涙を拭えるのなら、俺は怪物にでもなんにでもなってやる」
そう言い放った荘吉
ミカには彼の背中が遠く、そして大きく感じた
「……覚悟…」
「……」
「……私の…覚悟…!」
ミカは壁に寄りかかりながら歩む荘吉を捕らえ、懐からガイアメモリを抜き出した
「…っ…どういうつもりだ、ミカ…!?」
「……ハァ…ハァ」
スカルメモリを盗み取ったミカ
息を荒くしながら荘吉に訴えた
「これが私の覚悟だ…!荘吉!」
「……」
「…私はこの街が汚れていくのが許せない…だが、それよりも許せないのが…」
「……」
「…私の友が…ガイアメモリに犯される事だ!」
「……ミカ…」
拳銃を取り出したミカは荘吉に銃口を向ける
「…私は知っている。お前がこの街を愛している事を…千束をいつまでも想っていてくれる事を……そして誰よりも、この街の涙を拭おうとしていた事を……」
「……」
「……お前が怪物になる事を望むなら…私は、お前が怪物になる事を拒む!」
「……っ」
「…だから荘吉、もうメモリの力を使うのを辞めてくれ。そうすれば、DAが必ずお前を守る。もちろん、あの弟子くんもだ」
「……」
「……」
暫くの間、時間が空いた
すると、今度は荘吉が口を開いた
「…それがお前の覚悟…か」
「……そうだ…!」
「…ならば、ここで決別だな」
「…っ!?」
ミカに背を向ける荘吉
去り際にこう放った
「……お前は、自分の罪を数えた事があるか?」
「……え?」
「……ミカ…俺の弟子が、必ずお前を救いに行く」
「…何を言って…!?」
彼の質問に答えられないまま、ミカは彼との最期の会話をした
「…ミカ…さぁ、お前の罪を……数えろ」
「荘吉はその後私の前から姿を消して、私は必死に彼を追い掛けた。だが、次に彼を姿を見たのは……」
《おやっさぁぁぁん!!》
「……背中から血を流し、君の前で倒れていた姿だった」
「……」
「…そんなっ……」
ミカの話を一通り聞いた俺は出された酒を一口だけ飲んだ
「……そうか…そんな事があったんだな……ありがとな、話してくれて」
「…いいや…私が荘吉を裏切ったという事実には変わりない。彼からスカルメモリを奪い、彼から戦う為の力を奪った私が、間接的に彼を殺してしまったんだ」
「……いいや、おやっさんを殺したのは俺さ。俺があの時おやっさんとの約束を守れていたら、おやっさんは死ぬ事はなかったんだ…」
「……君も、独りで抱え込んでいたのか?」
「……そうだなぁ…でも、独りじゃない」
「……」
「…今の俺には、相棒や…沢山の仲間たちがいる。だから、俺は独りじゃない」
「……っ」
ミカが驚いたのは、今の翔太郎の姿が
10年前の彼の姿にそっくりだった為である
今の顔、帽子の仕草……
そうか…彼の意志はちゃんと……
「それはそうと、あの爆発からどうやって脱出出来たんだ?俺たちはおやっさんの助っ人が助けてくれたから無事に脱出出来たんだが……」
「…あぁ…あの爆発の中、一体の恐竜の機械ようなガイアメモリが私を助けてくれてな。きっとメモリ同士が惹かれあって私を見つけてくれたのだろう」
「……」
そうか…ファングメモリがマスターを……
「その後、DAの助っ人船が迎えに来てくれてな。私はあの島から脱出出来た」
「なるほどな……」
「……これ」
ミカは懐からスカルメモリを取り出した
あの日から肌身離さず持っている
これを持っていると、不思議と彼を忘れる事を忘れていた
彼の言葉が頭をよぎり続け、まるで呪いのように私を奮い立たせていた
だが、同時に彼の意志を…魂を常に感じ
彼の分まで頑張ろうと、不思議と安心感も与えてくれる
そんな御守りのような存在でもあった
「これを君に」
「…え?」
「私はもう、彼に囚われずに生きて行きたい。彼を忘れて生きる事。それが私が荘吉に出来る最後の務めだと思うんだ」
「……マスター…」
スカルメモリを渡そうとするミカだったが、翔太郎はその手を拒んだ
「…いいや、こいつはマスターが持っててくれ」
「……え?」
「確かに、あんたはこれからもおやっさんに縛られながら生きる事になるかもしれない。だが、俺は1人でもいい…おやっさんを覚えてくれる人がいるのが嬉しいんだ。ましてや、あの日のおやっさんを知ってるのなら…おやっさんの事を忘れないで欲しい」
「……翔太郎くん…」
スカルメモリをミカに握らせる翔太郎
そして優しく微笑みかけた
「…マスター…ありがとな、おやっさんを忘れないでいてくれて」
「……クッ……荘吉っ……私は…っ…!」
スカルメモリを強く握り締めるミカ
その目には涙を浮かべ、メモリに涙が垂れる始末である
「……先生…」
「……千束、君がおやっさんを忘れてしまったのは痛ぇが、今の話を忘れないで欲しい。君を救った戦士は、いつまでもこの街の平和を願っていたって事をな」
「……うん、私忘れない…」
その後、店を出た俺は外で待っていたフィリップに声を掛けた
「……良かったのか?マスターの話聞かないで」
「あぁ、問題ない。君が覚えてくれているのなら、それでいいのさ」
「…ったく…相変わらず変わった奴だな、お前は」
「君に言われたくないね〜、最初に会った時の君は本当にろくでもなくて…」
「あーあー!それ以上は俺の癇に障るぞ!?あん時の俺はなぁ!」
「……フフッ…でも、今となってはそれもいい
「……そうだな…」
ハードボイルダーに跨る俺たち
俺は酒を飲んでいた為俺が後ろに乗り、フィリップがハンドルを握った
「……おやっさんの意志は、俺たちに託された」
「……」
「……俺たちで、必ずこの街を守るぞ…フィリップ」
「…あぁ…勿論さ、翔太郎」
バイクを走らせ、夜の街を進んで行く
今日の夜の月は、いつもより輝いて見えた
第27話「Sとの関係β/全ての始まり」
「……」
「…スカルメモリを探す件に関してですが……」
「それはもう良い、忘れてくれ」
窓を締め切った車
吉松シンジは素朴な街を眺めながら呆れたように言い放った
「……何故です?」
「……」
彼は才能の塊だった
《シンジ、紹介するよ。鳴海荘吉だ》
《はじめまして、吉松シンジです》
《鳴海荘吉…探偵だ》
私は彼の才能を愛していた
《素晴らしい…これが君の力か!》
《……シンジ…》
だが、彼は道を踏み外した
《その力は、何の為にあるのだ!?》
《……》
だから私はあの日……
《…鳴海荘吉を殺せ》
《……了解しました》
《おやっさぁぁぁん!!》
「……彼の事は、もう忘れてしまったのでね…だが、あの力は惜しい……アラン機関の支援に使えそうだ」
「……」
「……使命を全う出来ないものに、価値など無い」
「……ハッカーからの情報ですが、彼がまた動きを見せたようです」
「…そうか……彼の今後に期待だな…フフッ…」
「……俺たちには使命がある…」
ビルの上、真島は夜風に当たりながらフクロウのペンダントを見詰めた
「…ヘッ…奴の使命はなんだろうな…」
『…風都署さ…あそこまで派手にしなくても…やっぱり隠蔽されてたし……あ、よし!接続出来たぞ!』
「オーケー、良くやったハッカー…」
ロボ太との通話を終え、真島は大きくそびえ立つ風都タワーを見詰めた
「……次は…もっとド派手に行くぜ〜…」
真島は懐から1本のガイアメモリを取り出した
マシンガンメモリではない、別のメモリ
更にはそのメモリは、次世代型メモリだった
「…なぁ〜……大道…」
カラーはホワイト、イニシャルは「E」
「……10年振りに…暴れようぜ」
エターナルメモリは、月夜に照らされ輝いていた
次回
番外編「千束のB/怪しげな二人」
これで決まりだ!