仮面ライダーW/L・R   作:キャメル16世

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番外編「千束のB/怪しげな二人」

「……よ、たきな」

「左さん…本日もよろしくお願いします」

「おう、よろしくな」

「待ちましたか?」

「…いや、俺も今来たところだ」

「……ベタですね」

「…フッ…だな」

 

とある休日

私服で隣並んで歩くたきなと翔太郎

 

人混みのない公園の近くで待ち合わせ、翔太郎はたきなをエスコートしながら歩いていた

 

「……むむむ…?」

「……ほぅ」

それを双眼鏡で影から覗く千束とフィリップ

千束は漫画に出てきそうな探偵のコスプレをし、フィリップは口髭を生やして変装していた

 

「…ワトソン君!これは大事件だ!」

「……だね…まさかあの二人が…」

「……デートをするなんてぇ…!」

 

二人のデートを目の当たりにした千束とフィリップはとても動揺していた

 

 

 

番外編「千束のB/怪しげな二人」

 

 

 

事の発端は、数日前に遡る

 

「……ん〜…」

「…どったの?」

「…ミズキ、クルミ…最近たきなの様子がおかしいとは思わんかね?」

最近のたきなの行動を踏まえ、ミズキとクルミに意見を求める千束

 

「何の話だ?」

「そうよ、あの子ならいつもと変わらないじゃない」

「そぉじゃなくて!なんか最近出掛けること多くない!?しかも私と行くんじゃなくて!」

「あの子が何処に行こうがあの子の勝手でしょ?変な詮索しないで、仕事に集中しろ集中ぅ!」

「ん〜…クルミはどう思う!?」

「……んー…まぁ、彼氏でも出来たんじゃないか?」

「…っ……カ…カレシ…?」

クルミの口から放たれた言葉の弾丸が千束の心臓を撃ち抜いた

 

「……か、彼氏…?たきなに限って…?」

「そんな驚く事でもないだろ。今はDAに居ないしお店にいれば必然的に出会いもある。彼氏が出来てもおかしくは無い」

「ミズキでも彼氏出来ないのに!?」

「コラァァァー!!」

 

彼氏……

千束の頭の中には想定出来ていなかった項目だが、あながち間違ってはいないのかもしれない

 

この間だって……

 

《…たきなぁ〜今度の休みにまた水族館行こうよ〜!》

《…あ、ごめんなさい千束。今度の休みは予定が入ってて…また機会があったら是非……》

 

「私との予定を蹴ってまで行きたい相手って事…?」

「ま、そういう事だろ」

「……」

「…だから余計な事はしないで、静かに見守ってやるのが……」

「…いや、何言ってるのさ……」

「…えっ?」

「その男がろくでもない男だったらどうすんのさ!?たきなが悪い男に騙されてるのかもよ!?」

「……あ、あぁ…」

千束の圧に少々引くクルミ

ミズキはそれを見て呆れていた

 

「…よし!こうなったらあの方法だ!」

「……何をする気だ?」

「…ふふ〜ん…探偵を雇います!」

 

 

「……たきなを尾行?なんで?」

翌日、千束に呼び出された翔太郎とフィリップは千束から依頼を受けていた

 

「そう!最近のたきなの様子がおかしいから、様子を見て来て欲しくて!」

「……そっとしておけば良いんじゃないのか?」

「ダメだよ!もし仮にたきなに彼氏がいて、その彼氏がろくでもない男だったら……」

「……そ、そんな相手いないんじゃないか〜?ただの気のせいだろ〜」

「……ん?」

「そ、それじゃあ俺は急用を思い出したから先に帰るなー……」

突然カタコトになった翔太郎は、逃げるようにその場から立ち去った

 

「……怪しい…フィリップさん、何か知ってる!?」

「……んー…」

考え込むフィリップ

千束の圧を感じる

 

「…僕としても、最近の翔太郎の様子が気掛かりでね。探偵業を僕に任せる事が増えてきたんだ。誰かと買い物に行ってるとかでね…」

「……え?」

「……」

「…そんなに気になるんだったら、あんたが見に行けば良いじゃない。店はこっちに任せて良いから」

「だな、お前の目で確かめて来い」

「……むむむ…」

 

 

そして本日に至る

 

今は二人はカフェでコーヒーを嗜んでいた

千束とフィリップはそれを窓の外から覗いていた

 

「……フィリップさんごめんねー巻き込んで〜」

「問題ない。僕は彼らの行く末を見届けたいだけさ」

「…行く末、ね〜……」

 

カフェで微笑みながら話し合う二人を見て、千束は何故だか複雑な気持ちになる

 

「……ん〜…モヤモヤするぅ…」

確かに翔太郎さんとたきなはお似合いかもしれない…

私もたきなの恋を応援したいけど……でも何この感じ…

 

「君はきっと、翔太郎に嫉妬しているんだろうね」

「…えっ?」

すると、突然フィリップが話しかけて来た

 

「僕もよく、翔太郎と一緒にいる人にジェラシーを感じてしまう事がある。でも、それは何も不思議なことでは無いと、亜樹ちゃんが教えてくれた」

「……」

「…僕は女性にはなれない。そして、君も男性にはなれない。相棒との距離を容易く飛び越えられたのを、僕達は面白く思えなかったんだよ」

「……フィリップさん…」

「…でも、それは僕らが彼らを想っている事に比例している。それはきっと彼らも同じさ…」

「……っ」

「それって、素晴らしい事だとは思わないかい?」

「……っ!」

笑顔で千束に話しかけるフィリップ

千束はフィリップの言葉に衝撃を受け、未だカフェで話す二人を見る

 

「……そうですね……そういうものですよね…」

「……」

 

 

 

まだ、色々と気持ちの整理はついていない…

 

たきなの恋を応援したいという気持ちは本当

でもいつも一緒にいたたきなを取られるのが嫌なのも本当

 

私はただ、たきなにずっと一緒にいて欲しかった…

 

でも今は、この言葉を…彼女に言いたい…

 

「…たきな、おめでとう!」

「えっ?」

店に戻って来たたきなの手を握り、目尻に雫を溜めながら微笑む千束

 

「…やっと…自分の気持ちに素直になれたんだね……良かった…本当に良かった…!」

「……千束…」

目から涙を流す千束

たきなはそんな彼女の手を解き、肩に手を置いて顔を前に向かせ千束の目をじっとみた

 

「…これ、何の話です?」

「…え?でも、翔太郎さんと……」

「…なんで左さんの話が出てくるんですか?それに、さっきのセリフはなんです?」

「……え?…おめでとうって…」

「それは、こちらのセリフですよ」

「……えっ?」

「…千束、お誕生日おめでとうございます!」

「……え?」

 

今、頭が混乱してる

なに?何が起こってるの?

 

「…え?誕生日…?」

「何言ってるんですか?今日は9月23日、千束の誕生日じゃないですか…」

たきなはバックから包装された小箱を取り出した

 

「…え?そう…だっけ…?」

「あんた自分の誕生日忘れてたの〜?」

「まぁその方が好都合だったけどな」

「ミズキ…クルミ…!」

「君が二人に交際疑惑を持ち出した時はヒヤッとしたよ」

「ホントだぜ〜…それにまさか尾行されてたとは……」

「フィリップさん…翔太郎さん…!」

「これも全部、私の作戦だがね」

「先生まで…!なに!?何がどうなってるの!?」

更に混乱する千束

 

しっかりと説明を貰い、状況を把握した

 

「…つまり、私の誕生日をサプライズで祝おうとして、小芝居打ったってわけね〜」

「ま、あんたがたきなの異変に気付いて色々作戦変わったけどね〜」

「僕の役目は、君の井ノ上たきなに対する疑問を解消す事と、翔太郎たちの邪魔をさせないというものだ」

「どうだった?ボクのナイスアシストは!彼氏と言えば流石の千束も黙っただろ?」

「何言ってんのよ!更に事態加速する事になったでしょうがァ!」

クルミを羽交い締めにするミズキ

 

「……んで?翔太郎さんは?」

「俺はたきなと一緒に千束の誕生日プレゼントを選んでたんだ。でもまさかバレるとはな…」

「バレバレだし…それにややこしい!」

「す、すまん…!」

手を合わせて謝る翔太郎

それを見た千束は、微笑んでみんなの顔を見た

 

「…フフッ…でも嬉しいよ……みんな、ありがとう!」

「……千束」

たきなは先程の包装された小箱を千束に渡した

 

「ギリギリになってしまいましたが、これを…」

「え〜やったぁ!開けていい!?」

「どうぞ」

「わぁ〜い!」

元気良く小箱を開ける千束

それはさながら、サンタからもらったプレゼントボックスを開封する子供のようだった

 

その中に入っていたのは……

 

「…ふうとくんの…キーホルダー…?」

箱のサイズには見合わないキーホルダー

「ふうとくん」は風都のマスコットキャラクターであり、翔太郎も気に入っているものである

 

「やっぱ風都といったらふうとくんだろ〜」

「うわダッサ」

「もう少し良いのはなかったのかよー」

「そこ!うるさいぞ!」

「……これ、たきなと翔太郎さんで選んだんだよね?」

「え?は、はい」

「……フフッ」

千束はその答えを聞き、リコリス用のバックにふうとくん

キーホルダーを取り付け、それをたきなに見せ付けた

 

「……たきなっ…ありがとう!」

「…いえ、お礼なら左さんに」

「……フッ」

 

何かと安心した翔太郎はカウンター席でミカにコーヒーを注文した

 

「…良かったな、結果的に上手くいって」

「あぁ、助かったよ翔太郎くん」

「……まぁ…」

翔太郎は微笑み合う二人を見て自然と頬が緩んだ

 

「…あの笑顔が見れるのなら、俺はそれだけで充分だ」

「そうかい?今回は僕のアシストもあってこその成功だと思うけど」

「…フィリップ……」

すると、今度はフィリップが翔太郎に茶々を入れた

 

「君がもう少し事を上手に進められれば、僕が動く必要もなかったのに…」

「あーもうフィリップゥ!それ以上からかうのやめてくれよォ!結構根に持ってんだぞ!?」

「…ふはは…でも、これで判明したね」

「……ん?」

「…やはり僕と君は、()()()()()だと」

「……あぁ、そうだな」

「…はいよ、二人ともお疲れさん」

ミカは二人分のコーヒーをカウンターに並べ、翔太郎とフィリップはそのコップを持って乾杯した

 

 

 

「……あれ、なんか他に入ってる…?」

先程の小箱にまだ何か入ってる事に気が付いた千束

中に入っていたのは紙袋

千束はその紙袋を取り出し、更にその中身を確認した

 

「……っ」

「……千束?どうかしました?」

「……たきな…これは?」

「下着です」

「……ブゥゥゥゥ!」

カウンター席でコーヒーを堪能していた翔太郎がコーヒーを吹き出した

 

紙袋の中に入っていたのは上下の女物の下着

サイズは勿論、千束のもの

 

「……翔太郎さん…?」

「いや!知らん!俺は全然知らん!」

「以前貰った下着のお返しになればと思ったのですが…ダメでしたか?」

「…え?ううん〜大事に付ける〜……ギロッ」

「……っ」

翔太郎を睨み続ける千束

額から汗が止まらなくなる翔太郎

 

「……はぁ〜…全く、相変わらず騒がしい子たちね〜」

「やれやれだ…全く……」

「……でも、楽しそうだな。三人とも」

「…そうだな…さぁミズキ、店の戸締り手伝ってくれー」

「えぇ〜なんで私がァ〜?」

 

喫茶リコリコ

ここには、様々な人達が集まる街の憩いの場

看板娘の錦木千束と井ノ上たきなが出迎え、店長であるミカのコーヒーは街でも評判の一品である

店員の中原ミズキやクルミが店を盛り上げる、活気のある店構えである

 

これは、そんな彼女達が織り成す

ちょっとした日常のお話であった──

 

番外編 おわり




ちょっとした箸休め回を書いてみました。
お褒めの言葉があると嬉しいです。

というわけで次回からはいよいよ後半戦!

次回
第28話「Eの異能/新メニュー爆誕!」

を投稿致します。暫しお待ちください。

これで決まりだ!
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