仮面ライダーW/L・R   作:キャメル16世

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お久しぶりです
それでは今回もよろしくお願いします。



第32話「永遠のIを/あの日の全て」

「……で、フィリップくんは何を調べてるの?」

「風都タワー事件の事が少しづつ分かってきたから、今回はその全貌を知りたいと思ってな」

事務所の基地で地球の本棚に入ったフィリップ

それを見守る俺と疑問を持つ亜樹子

 

「…うん、まぁそれはいいんだけど……」

「……」

「……」

「なんでリコリスの2人も居るわけ!?私聞いてない!」

「…あ、お邪魔してま〜すぅ〜……」

「事務所の地下にこんな基地があったんですね…」

「いいからフィリップの検索を待とう。全部これにかかってるんだ……」

 

あの後、風都タワー事件の全貌を露わにする為、俺はフィリップに検索を依頼した

 

「…フィリップさんは何やってるんですか?白紙の本なんか見て楽しいの?」

「フィリップは脳内に「地球の本棚」という脳内空間を作り出し、そこで地球の全ての記憶を閲覧する事が出来るんだ」

「……へぇ〜…」

千束の疑問に対して答える照井

 

「…もしかしてそれが仮面ライダーと何か関係あるの?」

「俺たちが付けてるダブルドライバーには、装着者とフィリップを一体化させる力があるんだ。2本のガイアメモリを同時に使う事でフィリップの知識を兼ね備えた究極の超人…ダブルに変身出来る」

「……それが仮面ライダーか〜…」

「あの、変身する時フィリップさんが倒れるのって…?」

今度はたきなが質問してきた

 

「一体化と言っても、完全に1つになる訳じゃなくて、フィリップの精神が俺と組み合わさる事で完成するんだ。だから変身中はフィリップの身体は無防備になる」

「それを私が守ってるってわけ!」

「…お前調子いい時は図に乗るよなぁ……」

「ふんっ!」

「あ痛ァ!」

亜樹子が自信満々に言った事に対して俺が愚痴ると、亜樹子のスリッパが俺の頭に炸裂した

 

「……っ」

すると、フィリップの検索が終わったようだ

目を開け、俺たちの方を見た

 

「……風都タワー事件の全てを閲覧した…」

 

だが、その表情は浮いてはいなかった……

 

 

 

第32話「永遠のIを/あの日の全て」

 

 

 

ここからは、フィリップの検索結果によって導き出された

あの日の出来事……いや、記憶だ…

 

10年前、風都タワーがテロリスト集団「NEVER」によって占拠されその筆頭を張っていたのが「大道克己」

NEVERのリーダーにして、即戦力である彼は超人的な身体能力と動体視力であらゆる敵組織や国を滅ぼして来たらしい

 

そしてあの日、風都タワーに現れたNEVERはたちまちタワーを占拠

だが、そこに現れた謎の組織に仲間が次々と殺されていった

 

当時、真島も現場に居たという……

 

 

 

「……なに?俺たちの邪魔を…?」

『どうする大道!?このままじゃ全滅だぞ!』

「……安心しろ。俺がいる」

味方からの無線が入る

どうやらあっちは拮抗しているようだな…

 

風都タワーの頂上

大道克己はタワーの羽を見ながら嘲笑った

 

「……これが平和の象徴かぁ…平和とは、つまり不平等だ……この街には教訓が必要だなぁ……フッ」

 

克己は懐からエターナルメモリを取り出し、ロストドライバーを装着した

 

「 ETERNAL!」

 

「変身」

 

エターナル!

 

黒いマントが風になびく

仮面ライダーエターナルへと変身した克己はタワーの中に戻って行った

 

タワーの最上階

円形上に広がる空間

その中心には大きな椅子のような装置が置かれていた

 

「…あとは仕上げだな」

 

エクスビッカー…

こいつでこの街を地獄に変える…!

 

「……そうだよなぁ…お袋…」

克己は懐からフクロウのペンダントを取り出した

 

「……」

『…大道…!』

「…なんだ?」

『骸骨男だ…骸骨男が出た…!』

「……骸骨男…そうか…!」

 

 

「大道克己はエクスビッカーという装置でこの街を地獄に変えようとした。仕上げを終えた彼は、風都タワー内に現れた鳴海荘吉…仮面ライダースカルの前に姿を現した」

「……エクスビッカー…?」

「エクスビッカーには、風都タワーによって作り上げられる風力発電のエネルギーをそのままガイアメモリを強化する為のエネルギーに変換する力があったようだ。大道克己はその装置を使って更なる強化を目論んでいたんだろうね…」

「…だから風都タワーを狙ったのか……そんな膨大なエネルギーを作り上げ蓄積できるのは風都タワーくらいデカい装置じゃなきゃ出来ないからなぁ……」

「……ん〜…でもなんか引っかかるなぁ…」

フィリップの考察に関して、千束は何か引っかかる様子だった

 

「だって、自分の強化の為にわざわざ風都タワーを狙うなんておかしくなーい?エターナルの力があるならそのまま街を襲えばいいじゃんっ!」

「…千束お前…恐ろしい事言うな……まぁでも、確かにそうだな。大道のメモリの使い方がいまいちピンと来ねぇ……」

「……君たちの考察は正しい」

「「…え?」」

すると、フィリップが俺たちの意見を肯定した

 

「エクスビッカーには、ガイアメモリの力を増幅させる力がある。それは確かだが、君たちの言う通り大道克己は自身の強化の為にそのエネルギーを使った訳ではなかったんだよ」

「……どういう意味だよ…」

「…詳しく説明しよう」

 

 

風都タワーの羽が切り落とされ、タワーは酷く崩壊していった

 

「大道!お前も逃げるぞ!」

「……俺の事は放っとけ…だが、必ず忘れるな」

「……っ」

「…地獄に行ったら、この名を告ろ」

「……っ!」

「……大道克己……ふははは…ふっはははははは!」

 

真島とはぐれた大道克己はエクスビッカーに腰掛けた

 

「……風都タワーに眠るエネルギーよ…俺に集まれ…!」

 

大道は腰のマキシマムスロットにエターナルメモリを装填した

 

エターナル!マキシマムドライブ!

 

「……ふぬぁぁぁ!!」

すると、エクスビッカーが発光しだし、その光がエターナルを包む

風都タワーの中に蓄積されたエネルギーがエターナルに吸い寄せられ、エターナルには膨大なエネルギーが蓄積された

 

「……ハァ…ハァ……この力で…俺は…ハァ…」

膨大なエネルギーを吸ったエターナルはその量に耐えきれず変身が解除される

 

 

 

「……お袋…」

風都タワーの頂上に再び訪れた大道克己は、懐から古いハーモニカを取り出し、それに唇を合わせた

 

「……スゥ」

ハーモニカから流れる音色

その音色は、崩れるタワーの音が掻き消されるかのように辺りに響き、大道はそのメロディに耳を傾けながら

後ろに迫る気配を感じ、それでも演奏を続けた

 

「……」

「……その曲は…?」

タワーを登ってきた鳴海荘吉は大道に語りかける

 

「…この曲は、お袋から教わった曲だ……何故だかこの曲を聞くと妙に落ち着く」

「……」

「……だが、お袋は死んだ」

 

大道マリア

大道克己の実の母にして、克己の最愛の存在でもあった

 

「…俺が16の時だ…お袋は交通事故で命を落とした。不慮の事故なんかじゃないさ…相手は飲酒運転だとよ……なぁ、どうしてこの世の中はこんなにも不平等なんだ?」

「……」

若くして母を失った克己は、生活保護を受けながらも軍に入るため訓練を重ねて来たという

 

「…あの日から、俺の心が満たされる事は無くなった。ただ、俺の存在をこの世に永遠に刻み込む為…俺は軍のトップに上り詰め、俺の全てを奪ったこの世の中に復讐するのさ……ははは…はははははは!」

「……それがお前の目的か…?」

静かに訊いていた荘吉だったが、ついに口を開いた

 

「……なに?」

「…違うな…お前の中に溜め込んだそのエネルギーをどう使うつもりだ?」

「……」

「…俺の友が言っていた。風都タワーに蓄積されたエネルギーを有効活用すれば、とてつもない事が出来るようになる。例えば、人を甦される事も出来る…とな」

「……悪いか?お袋のいない世界で生きるなど、死んだも同然だ!それ以前に、お袋との記憶が消えていくのが俺には耐えられない。過去が消えていくなら、俺はせめて明日が欲しい!だから足掻き続ける…永遠になぁ!」

手持ちのコンバットナイフで荘吉を切りつける克己

 

「…ふっ!」

「……っ…っ!」

「…はっ!」

「…ぬっ…!」

2人の攻防がタワーの頂上で交差する

 

「…俺にも、失った大切な者が居る。だが、俺は覚悟を決めた」

「…あ?」

「……お前のような悪党を、俺は許さない」

荘吉はスカルメモリを取り出しロストドライバーを装填した

 

「 SKULL!」

 

「この街が不平等であるなら、俺は弱き者を守る。それが俺に与えられた、使命だ」

「……やはり、俺とお前は同じようだな…」

克己もエターナルメモリを取り出し、ロストドライバーを装填した

 

「 ETERNAL!」

 

「…だが、弱き者を守る?笑わせるな!そんな事では世界は救えない!この街もなぁ!」

「……ならば、俺は…俺の利己の為に戦う」

「…っ?」

「…変身…!」

「…変…身」

 

スカル!

エターナル!

 

それぞれ仮面ライダースカル、仮面ライダーエターナルへと変身する2人はタワーの頂上で対峙する

 

「……はぁぁ!」

「…トォ!」

互いの拳が互いの胸にクロスカウンター

エターナルはマントを脱ぎ捨て、訓練で培った戦闘技術をスカルに見せつけた

 

「……クッ…!」

「…はっ!はぁっ!」

「…ぬおっ…!」

押されるスカルはスカルマグナムを取り出し、トリガーを引いた

 

「…っ!」

スカルマグナムの攻撃に躊躇するも、すかさず反撃するエターナル

エターナルエッジを用いて近接での戦闘がぶつかる

 

「…トォ!」

「ぐはっ!」

すると、スカルのパンチがエターナルを怯ませた

 

「…お袋を失い…全てを失った俺は、常に孤独に生きて来た。だが、周りの連中はみんな幸せそうだった…なぁ、同じ人間同士なのに、何故こんなにも格差が生まれてしまうんだ?」

「……人は皆、自分の幸せを見つけて生きている。自分にとっての幸せを抱く事で、人は生き抜く事が出来る…」

「……」

「…人の幸せを奪う奴に、この街に生きる資格は無い」

「……なん…だと…?」

「…さぁ、お前の罪を…数えろ…!」

「……今更…今更数え切れるか!」

 

スカルはメモリをスカルマグナムに装填する

 

スカル!マキシマムドライブ!

 

「……フッ!」

「ぐぬぁぁぁあ!」

スカルマグナムから放たれるスカルパニッシャーがエターナルを空へと飛びあがらせる

 

「死神のパーティータイムは…まだ終わっちゃいない!」

エターナルエッジにメモリを装填するエターナル

 

エターナル!マキシマムドライブ!

 

「…グッ!」

すると、スカルの動きが完全に停止した

 

「このメモリには、他のガイアメモリの力を永遠に無力化させる力がある。さぁ、地獄を楽しみな!」

「……ならば…!」

 

スカルの力が完全に無力化される直前

マキシマムスロットにスカルメモリを装填するスカル

 

スカル!マキシマムドライブ!

 

「……っ!」

「…なにっ!?」

スカルの中から骸骨型のエネルギーが放出され、エターナルに突っ込んで行く

 

「……トォ!」

「…っ!」

「…貴様に相応しいのは、永遠の死だ…!」

「……永遠の…死だと…!?」

「…トォォォ!」

エターナルよりも高く飛び上がるスカルは、骸骨型のエネルギーと共にエターナルにライダーキックを放つ

スカルの足がエターナルの胸に直撃し、エターナルの中に蓄積されたエネルギーが暴走し始めた

 

「…ぐぬぁっ!…そうか……これが…!」

「……そうだ、これが……“死”だ…!」

「…これが本当の死か……ははは…ふはははははははは!ふぬああぁぁぁぁあ!」

エターナルは笑いながら断末魔を吐き、爆散した

 

 

 

「……ハァ…ハァ……翔太郎…」

消耗した荘吉は崩れるタワーの中、翔太郎を探した

すると、そこに現れた

 

「…探し物は、この子かな?」

翔太郎を抱えたジャック・ドーパント

荘吉を煽るようにそこに立っていた

 

「……誰だ貴様は…」

「…私の名はジャック…君の力には感心した。是非我々アラン機関の支援を受けてみる気はないかい?」

「……断る。その子を返せ」

「…フフフ…想像通りお堅い人物だ。まぁ、切り札はこちらにもある。またの機会に……“仮面ライダー”…」

翔太郎を荘吉に預けたジャックは姿を消した

 

「……」

 

 

「…これが、10年前のあの日の全てだ」

「…なるほどな…大道克己にも、人の心はあったんだな」

「…でも、それを師匠さんは許せなかったんだね……でもまぁ、仕方ないよ……」

全てを語り終えたフィリップは、ふぅと一息ついた

 

「…あの…エターナルがその時に倒されているんだったら、真島が変身したあのエターナルって…?」

「あのメモリは、正真正銘大道克己が使用していた物だ。エターナルの攻撃によって弱体化したスカルの攻撃は、エターナルを撃破する事は出来ても、メモリブレイクとまではいかなかったようだね……」

「それを真島が持ち出してたって事か…」

「…その後だけど、エターナルメモリを所持した真島は海外に逃亡。そして10年後の現在、この街に再び姿を現した」

「……あいつはこの街をどうするつもりなんだ…?」

「……」

「……っ」

俺は珍しく考え積める千束の表情に少しだけ違和感を持った

 

 

「……」

「…ありがとう。美味しかったよ姫蒲くん。君はコックの才能があるよ」

食事を終えた吉松シンジのグラスに、姫蒲がワインを注ぐ

 

「調理の道を選んでいたら、機関は支援しましたか?」

すると、姫蒲から素朴な質問が飛んで来た

シンジにとっては愚問だった

 

「…選ぶ?機関が支援する才能は神のギフトだ。選ぶ事など出来ない」

そう言うと、シンジはワイングラスを持ち、中のワインを揺らす

 

「…生まれながらに役割が示されている」

「人生の意味を探す必要はありませんね」

「そうだ、幸福な事だ」

 

 

 

「……」

荷物を纏める姫蒲

その中には、ガイアドライバーとは違うドライバーも入っていた

 

「……千束の扱いは、丁重にな」

「状況次第です。お約束は出来ません」

「…出来るよ、君なら」

「……はい」

 

「…あんなところでいつまでもままごとをさせてはいかんのだ……」




次回

第33話「永遠のIを/大人の世界」

これで決まりだ!
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