今回から次回予告のテイストを変えようと思います。
最後までご覧ください!よろしくお願いします!
「…千束ー!お皿片付けるの手伝ってくださーい!」
「ん?あ〜…うん…」
「……?」
「……」
あの日から千束の様子がおかしい
何か、不安を感じているような…
不信感を抱いているような…
とにかくいつもの千束とは違っていた
真島がエターナルに変身した事に関係があるのか
それとも……
「あいつもこれ持ってた」
フィリップが地球の本棚に入っていた最中、千束が胸のペンダントを握りながら呟いた
あいつ、というのは十中八九真島の事だろう
「凶悪犯も支援されるものなんですか!?」
「…アラン機関……」
「……」
この事を知っているのはその場にいた俺とフィリップ、照井に亜樹子、たきな
そして後日その話をリコリコの皆にも話したという
「その事に関しては、吉松シンジが関わっているに違いない」
千束の変化をフィリップに伝えると、開口一番そう言った
「…やっぱりそうだよな…まさか千束を救った奴が凶悪犯を…?」
「……当てようか。君は吉松シンジに対しても慈悲を与えようとしているね?」
「…あぁ…千束があそこまで言う人物だ……信じてやりたい気持ちもある」
「……相変わらずのハーフボイルドだね」
「あぁ〜また言う……」
「でも、君のその気持ちには同情するよ」
「……え?」
意外だった
フィリップなら、街にガイアメモリを支援しているアラン機関を恨んでいると思っていた
それは吉松シンジも例外では無い
「…かつて、鳴海荘吉も彼と行動を共にしていた実績がある上に、まだ彼の素性を把握出来ていない。悪人と決めつけるのはまだ早い。それに、彼がメモリを支援しているとも限らないしね」
「……フィリップ…!」
「…それよりも気になるのは、彼が言っていた『約束』というのが気になる」
「…約束…一体おやっさんとどんな約束をしたんだ…?」
「…それを知っている人物が、一人いるよね」
「……あぁ…気は進まねぇが、またあの人に頼るしかないな」
俺たちは早速行動に出た
外に置いてあるハードボイルダーに二人で跨り、喫茶リコリコを目指した
第33話「永遠のIを/大人の世界」
「……」
「……」
昼間の道をバイクで駆け抜ける俺たち
だが、俺は一つ違和感を持った
この道…やけに空いている……
「…っ!」
すると次の瞬間、俺たちの進行先の道路に火花が散った
驚いた俺はブレーキのクラッチを握る
「……なんで…」
「……っ」
ヘルメットを外し、道路の先を見詰める俺たち
そこには、十数人の銃を構えたサードリコリス達が立っていた
そして、その銃口はこちらに向かれていた
そしてそのセンターには、楠木が立っていた
「……楠木…?一体どういう事だ!?」
「何故今になってDAが僕たちを…?」
一切状況を把握出来ていない俺たちに、楠木は話し掛けた
「…上層部の決定だ。お前たち仮面ライダーを抹殺する」
「…っ!?」
「…っ!?」
なんで俺たちが仮面ライダーだって…!?
「メモリとドライバーを寄越せ。そうすれば命だけは見逃してやる」
「…どういう意味だよ楠木!なんで俺たちが仮面ライダーだなんて…!」
「黙れ。これは命令だ」
楠木も俺たちに銃口を向ける
「……」
「……」
睨み合う俺たち
しかし、フィリップがそっと楠木に問い掛けた
「…そうか…やはりね」
「……ん?どうしたフィリップ」
「…翔太郎…ここは1つ、僕を信じて変身してくれないか?」
「は!?」
訳が分からなかった
目の前にいる連中は俺たちを仮面ライダーと決めつけ…いや実際そうだけど、そんな事したら火に油を注ぐようなもんじゃねぇか!?
「…僕にひとつ案がある。ニンジャメモリを使ってくれ」
「…お前がそこまで言うんだ……ほんとにこの場を凌げんだよな?」
「……あぁ…恐らく…」
歯切れの悪い回答
だが、フィリップがこういう時はいつも悪い方か良い方にしか向かわない
今回は後者に掛けるしかないようだ
「…頼んだぜ、相棒」
「……あぁ…!」
俺たちは楠木の前に立ち塞がる
リコリス達が改めて銃を向けた
「…どうやら、覚悟は決まったようだな」
楠木も銃を両手で抑えながら標準を俺たちに合わせた
「…えぇ…貴方の言っている事は正しい。だが、僕らにもやるべき事がある。貴方たちに、それを邪魔される訳にはいかない!」
すると、フィリップは楠木やリコリス達を煽るように言い放った
「…くだらん事を……メモリを使う悪魔が…人の言葉を喋るな!」
「……翔太郎!」
「…えっ!?ここで!?」
『 CYCLONE!』
フィリップは俺の事を無視してメモリを起動させた
ただ、楠木ももう止められない
四の五の言ってる暇はないようだ
「…あぁ〜!分かったよもぉ!」
「 NINJA!」
「「…変身ッ!」」
サイクロン!ニンジャ!
仮面ライダーW サイクロンニンジャへと変身した俺たち
すると、リコリス達が一斉に発砲して来た
「『はっ!』」
サイクロンの風の力とニンジャの身体能力の影響で弾丸を全て避けるダブル
「……なにっ…!?」
流石の楠木も、これには驚きを隠せないようだ
『もっと凄いものをお見せしよう…!』
ダブルの右腕がニンジャメモリをドライバーから抜き出し、マキシマムスロットに装填した
ニンジャ!マキシマムドライブ!
「『はっ!』」
一瞬にして楠木の前から姿を消すダブル
「…っ!」
現れた先はリコリスの背後
その子の首裏をトンっと叩き、気絶させる
1人だけでは終わらず、ダブルはその場にいたリコリス全員の背後に現れては気絶させていった
「……クッ…」
リコリス全員を気絶し終えたダブルは再び楠木の前に姿を表す
「…貴様…今何をした」
『少し眠ってもらうだけさ。僕らの話し合いに、彼女等は邪魔になるからね』
「…一体何を考えてんだ?フィリップ」
『まぁまぁ、そのうち分かるさ』
楠木に向き合うダブル
彼女の手にはまだ銃が握られている
『…そんな銃で僕らを倒す事が出来ないという事くらい、貴方は分かっている筈だ』
「……」
『貴方の持てる全ての力で、僕らを倒しに来い』
「…おい!急に何言ってんだよ相棒!」
俺は小声でフィリップに問い掛ける
『安心したまえ。今はとにかく悪役に徹するんだ』
「悪役ってお前……」
「……小僧…それに、園咲の息子よ」
「『…っ!』」
すると、楠木が口を開いた
「…お前たちは知らないだろう…大人の世界を」
「……大人の世界…?」
楠木は手の銃を仕舞い、懐から赤色のトリガーマグナムと同形状の武器を取り出した
「…あれは…!?」
『……やはりそうか…!』
何故か納得するフィリップ
楠木は続けて赤いガイアメモリを取り出し起動させた
「 BOMB!」
ボムメモリをマグナムに装填する楠木
ボム!マキシマムドライブ!
「……貴様らに教えてやろう…大人の恐ろしさを…!」
「『…っ!』」
「……」
私の人生は窮屈だ
DAの司令官として日々リコリス達を戦場へと赴き、犯罪者共を抹殺する毎日
だが、そんな私にも
一つだけ楽しみと言えるものがあった
ドーパントによる被害が拡大すれば、私はいつもあの男を頼っていた
その日も、私は事務所に訪れた
「……ん?」
「…ゲッ!」
「…年上に対して「げっ」…とはなんだ小僧」
なんだこの小僧は…
荘吉はこんな小僧を飼っていたか…?
「…翔太郎…そんなとこで何やってるんだ」
「お、おやっさん!……そこに居たのか…!」
いつもの扉から出てくる荘吉
私の存在を確認し、内容を問うた
「ここからは大人の時間だ」
「……クッ…!」
事務所を飛び出す小僧
私は謎の優越感に浸っていた
これで邪魔者は入らない
「…荘吉…早速事件の概要なんだが……」
「……」
ふと荘吉に目をやると、荘吉はずっと事務所の扉を見つめていた
何かがいるわけでもない。何かが貼ってあるわけでもない
荘吉はただただ、その扉を見つめていたのだ
その理由が、私にはすぐにわかった
「……相変わらずだな、荘吉」
「…なんの事だ」
我に返った荘吉は私の提示した資料に目を通した
「お前は子供に甘すぎる。あれくらいの小僧なら、我々は一瞬で殺せる」
「……子供は街の宝だ。傷つける訳にはいかねぇよ」
「…初めてリコリスの存在を知った時も、そんな事を言っていたな……」
荘吉と私が出会ったのは数年前
あるドーパント事件を機に、荘吉はリコリスの存在を知った
「……なぁ、荘吉…」
「……なんだ」
「…一体いつになったら…メモリを手放すんだ…?」
「…ハッ!」
「『…っ!』」
楠木が放つ光弾はダブルの真横で爆裂する
「なんで楠木がガイアメモリを!?」
『…やはりそうか、楠木司令…貴方はスカルの正体を知っていたんだね!』
「…っ?どういう意味だよフィリップ!?」
『あの銃は以前シュラウドが所持していた物…それと同じものを持っているという事は、彼女なスカルの協力者だったという事だ!』
「…な、なんだって!?」
「くだらん戯言を言うな!」
「『ぐわっ!』」
サイクロンニンジャの瞬発力により、致命的な攻撃は避けるものの、それでも爆裂する光弾を完全に避け切る事は出来なかった
『いや!僕には解る!…貴方はスカルの正体を知り困惑した。だが、鳴海荘吉という人間に触れ、一点の疑問を感じていた。ガイアメモリを使う者全てが凶悪ではないと…』
「……」
『彼と協力していくうちに、貴方は鳴海荘吉に心を委ねるようになった……だが、ビギンズナイトのあの日、鳴海荘吉の死を知った貴方は、再びガイアメモリを根絶する事を誓った』
「…一体…どうして…?」
俺は疑問をフィリップにぶつける
『…それが、鳴海荘吉との約束だったからだ』
「…っ!」
「……」
「…組織のアジトに…!?危険すぎる!我々もリコリスをそちらに…!」
『落ち着け楠木…俺にも心強い友がいる。ここは俺たちでなんとかしてみるさ』
「……しかし…!」
『…言った筈だ…子供は街の宝だ。傷つける訳にはいかねぇ……もっとも、こんな地獄になんか来させてたまるか』
「……」
受話器の奥に聞こえる荘吉の声
『…楠木…ひとつ、俺と約束してくれ』
「……なんだ」
『……もしこの戦いで俺が死んだら…』
「……そんな事…」
『…俺の家族を…翔太郎を…そして、この街の事を頼んだぜ……』
「……え?」
そこで電話が途切れる
私の荘吉の会話は、それが最後だった
ミカから荘吉の訃報を知らされ、私はその日から躍起になってドーパント事件を抹消していった
だが、訃報と同時に知らされたのは
新たなるガイアメモリを使う戦士、「W」の誕生だった
『貴方は僕らの正体にも気が付いていたんですね…』
「……黙れ!」
楠木は構わずトリガーを引いた
銃口から光弾が発射される
ニンジャ!マキシマムドライブ!
ニンジャソードにニンジャメモリを装填したダブルはその光弾を全て避けながら楠木の目の前に来る
「『はっ!』」
「…っ!」
ダブルの右足が楠木の顔の横で止まる
それと同時に、楠木の銃口がダブルの顔の前で止まる
「『……』」
「……」
「……昔のあんたなら、迷わず撃ってただろうな」
「……っ」
右足を下ろすダブル
楠木はまだ銃口を向けたままだ
『貴方は僕らの正体を知っていたのにも関わらず、それが世間や他のリコリス達に知られないようにし、更には幾度か僕らを見逃していた…それが鳴海荘吉との約束だから……』
「俺があんたを嫌ってた理由がやっと分かったぜ…あんたはおやっさんとそっくりだった。グゥの音の出ないあんたの正論が、おやっさんに叱られる時みたいで釈然としなかったんだ…でも、それ以上にあんたのその大人のオーラが俺を苦しめた。俺も早く大人になりてぇって……俺はあんたに憧れてたんだ……」
「……クッ…」
楠木は耐えきれず銃を下ろした
悔しかったのだ。荘吉の命を守れなかった事が…
沢山のリコリス達を犠牲にしてしまった事が…
そして何より…
「…だがあんたは間違った…沢山のリコリス達に命を落とさせ、この街を泣かせた……」
『今の貴方を見て、鳴海荘吉は許さないだろうね……』
「……」
荘吉との約束を守れなかった事だ
「…だからこそ、今のあんたにこの言葉を掛ける……」
「『…さぁ、お前の罪を数えろ……』」
「……荘吉…!」
膝から崩れ落ちる楠木
涙こそ流さないものの、自分の無力さに落胆し
同時に自分を責めた
心の中で、何度も…何度も何度も何度も謝った
他でもない、そんな事を思わせてしまった、自分自身に…
「『…っ』」
すると、俺たちの近くにリコリコの車が留まり、その中から千束とたきな、ミカにミズキが飛び出して来た
「ちょいちょいちょい〜!」
「一体何があったんですか!?」
「えっ…ちょっ…あれって仮面ライダー!?なんか紫なんですけど!」
「……仮面ライダー…」
4人が俺と楠木、そして周りに倒れているリコリス達を見て仰天した
どうやら千束達はクルミの情報によって来たようだ
『……翔太郎』
「…あぁ…もう覚悟は決まったぜ」
『…うん、僕もだよ』
そして俺たちはマスターの目を見た
マスターも同じように俺たちを見詰めて…というより睨んでいた
「……」
ダブルドライバーに手を掛けたダブルはドライバーをたたみ、ニンジャメモリを抜き出して変身を解除させた
次回 仮面ライダーW/L・R
「私は大切な物を見失うところだったよ……」
「……私は守れたのだろうか…」
「……誰だ…!一体誰が俺をこんな所に…!」
「…それが君の…弱さだよ……」
「…ありがとうございます。なんだか少しだけ、わかった気がします」
「……さて、始めましょうか」
第34話「Zを振り切れ/最悪なギフト」
これで決まりだ!