仮面ライダーW/L・R   作:キャメル16世

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何気に「オリジナルドーパント 設定」の方も更新しているので、良かったら読んでみてください。オリジナルで考えたドーパントやメモリの設定等が記載されております。



第37話「Fに別れを/雪が降る日に…」

「……今名付けよう、彼の名は……仮面ライダー…アクセル・ゼロ!」

「…さぁ、振り切るぜッ!」

漆黒のアクセル、仮面ライダーアクセル・ゼロへと変身した照井はボルテージに突っ込んで行った

 

「…ッ!?」

トライアルの数倍の速さ、その速さにその場の誰もが着いていけなかった

 

「……み、見えねぇ…!」

「…ゼロメモリとは、「無の記憶」を内包するガイアメモリだ。あらゆる物を「無」にする事が可能であり…今の彼は、あらゆる移動に対する抵抗を無に帰しているんだ」

「…照井…本当に大丈夫なんだろうな…?」

 

 

 

「はァっ!」

「…フッ!」

「はっ!はぁぁっ!」

アクセル・ゼロによる攻撃はボルテージを押していた

 

「…クッ…おかしななりですね……それが貴方の本当の力ですか…」

「…これは俺だけの力では無い。俺と、俺の仲間達が紡いだ…さしずめ、絆の力とでも言おうか」

「……絆の力…ですか」

 

エンジン!

 

エンジンブレードにエンジンメモリを装填するアクセル・ゼロ

 

「俺は独りではここまで来れなかった…だが、誰かと困難を乗り越える事で、俺は全てを振り切る事が出来た」

「……」

「……憎しみでは人は救えない。守りたいと思う気持ちが、本当に人を救う事が出来る。何より、人の心をな…」

「……人の心を…救う…?」

「…憎しみを振り切り、心を救う!それが仮面ライダーアクセル…俺の、流儀だ!」

 

エンジン!マキシマムドライブ!

 

「はっ!」

「…っ!」

アクセルはボルテージにエンジンブレードを投げ付けた

だが、エンジンブレードはボルテージに直撃する寸前で停止する

 

「……っ!?」

ここでボルテージは気が付いた

エンジンブレードの柄の先端から黒い鎖がアクセルの腕に繋がっている

 

「はぁっ!」

「…グッ」

エンジンブレードをまるで鞭のようにしなやかに舞い踊らせながら斬撃を加えるアクセル

そのままエンジンブレードを引き寄せキャッチする

 

「……終わりだッ!」

 

ゼロ!マキシマムドライブ!

 

アクセルドライバーのクラッチを引くアクセル

腕の鎖がボルテージを拘束、更には右足に鎖が巻き付く

 

「……はぁぁぁ…はっ!」

「……クッ!」

「はぁぁぁぁあ!」

 

アクセルは身動きの取れないボルテージの胸にキックを放つ。すると右足の鎖が解かれボルテージの周りを円形上に回転

 

「…フッ…はぁぁぁあ!」

降り立ったアクセルは再び後ろ回しで蹴りを放つ

ボルテージに「Ø」の文字が現れ、次第に爆発した

 

最後の言葉を、彼はボルテージに吐き捨てた

 

「……絶望がお前の、ゴールだ…!」

 

 

「やったぁー!やったよ翔太郎さん!刑事さんが勝ったァ!」

「あーもう!分かったから!」

「…まさか本当にゼロの力を使いこなすとは……ゾクゾクするねぇ〜…」

「……照井くんは、本当に全てを振り切ったのだな…」

私も見習わなくちゃいけんな……

 

煙が晴れた向こうには、無様に倒れるピンク髪の女が横たわっていた

勝負は決まった

だが、この女には聞き出さなくてはいけない事があると、照井は近付いた

 

「……っ!」

 

《 VOLTAGE!》

 

「…っ…何っ!?」

 

すると、姫蒲は再びボルテージメモリをアランドライバーに差し込みドーパントに変貌した

なんと、アクセルの攻撃をモロに受けたボルテージはメモリブレイクに失敗していた

 

「嘘だろ!?また変身しやがった!?」

「…いや、おかしい!そんな事は有り得ない!」

ボルテージの再びの変身を目の当たりにし、翔太郎とフィリップは衝撃を受けていた

すると、彼らの背後に以前感じたプレッシャーと同じものを感じた

 

「それは、このドライバーに秘密があるからだよ…園咲来人…」

「……ジャック・ドーパント…!」

リコリコのメンバーを含めたその場の全員の動きが停止する

どうやらジャックが力を発揮しているようだ

 

「アランの支援により誕生した、通称『アランドライバー』…ガイアドライバーと同じくメモリの毒素の影響を受けない他、このドライバーの最大の特徴は…」

「……っ」

「…このドライバーを装着して変身したドーパントは、必殺技を受けてもメモリブレイクされないという仕様になっているのさ」

「……メモリブレイク…出来ねぇ…だと!?」

ジャックは翔太郎達を後ろから通りすがり、最後にミカのところに立った

 

「……フフッ」

「…っ」

ミカの袴の中を探るジャックは、ミカからスカルメモリを取り上げ、耳元で囁いた

 

「……これは返してもらうよ…?」

「…そ、その声は…!」

「……フフッ…それではさらばだ、仮面ライダーの諸君。ボルテージ、君も帰るよ」

「……はい」

ジャックとボルテージが消えると、全員の動きが正常になる

 

変身を解除する照井、そして顔を青ざめるミカ

 

「……」

その日は、雨に濡れた道路を走る車のタイヤの音が

やけに大きく聞こえた気がした

 

 

「…へ〜…ん?ぬわぁっ!?」

トイレから戻ると、いつも彼が座っている椅子に真島が腰掛けていた

 

「いつの間に!?」

「…奴が言ってた例の『ヨシさん』…?誰?」

「えっ?さ、さぁ〜?」

ここでロボ太は自身も関係している「吉松シンジ」については浸隠そうとした

だが、そんな事は真島にはお見通しである

エターナルバレットの銃口をロボ太に向ける真島

ロボ太の頭のパトライトが光る

 

「ぬわぁ!わかった!あいつを支援したアラン機関のエージェントだ!」

「…やはりそうか」

真島はエターナルメモリをペン回しのように回転させ掴んだ

 

「…ロボ太、作戦を思い付いた……」

「……へ?」

 

 

 

第37話「Fに別れを/雪が降る日に…」

 

 

 

「…マスター、この間はありがとな」

「…なに、私は真実を話しただけだ。なんの罪滅ぼしにもなってない」

「そんなの関係ねぇだろ?俺は、マスターが俺たちにちゃんと向き合ってくれてんのが嬉しいんだよ」

「……そうか」

数日後、その日は一人でコーヒーを飲みに来た翔太郎

ガランとした店内を見渡してふと気が付いた

 

「…そういえば、今日は千束とたきなは?」

「……2人で遊びに行っている。たきながDAに戻る前に、少しでも思い出が残せるようにな…」

「…そうか…たきなもなかなかやるな」グビッ

 

あの後、千束と再び遊びの約束をしたたきな

今日はマスター一人で切り盛りしているらしい

 

「……なぁ、マスター」

「…ん?」

「その間の話で一個気になったんだけどよ…どうしておやっさんは千束を大事にしてたんだ?そこの接点って何なんだ?」

「……荘吉と千束が出会ったのは、雪の日だった…」

マスターは俺に教えてくれた

千束とおやっさんの関係の始まり

そして、おやっさんが千束を大事にする理由

全て納得のいくものだった

 

 

 

「…千束〜待ってくれぇ〜!」

「ほらほらー先生〜!こっちこっち〜!」

その日、風都は季節外れの大雪に見舞われ、辺りは白銀の景色に包まれていた

その日、私と千束が2人で任務に向かっていると、千束は急に楽しそうに走り出し私はあの子を追い掛けていた

 

「…いてっ」

「……っ?」

すると、千束は白い帽子にロングコートを羽織った男にぶつかった

雪道に尻もちを付いた千束は彼を見上げた

 

「…荘吉っ!」

「……ミカ…」

「……」ジーーッ

振り向いた荘吉は千束を見る

 

「……娘か?」

「…い、いや…親戚の子だ。今日は私が面倒を見る事になっていてな……」

「……」

当時、千束がリコリスと知られる訳にはいかなかった私は咄嗟に嘘をついた

 

すると、千束は勢い良く立ち上がり荘吉に目配せをした

 

「おじさん誰!?先生と知り合いなの!?」

「…俺は鳴海荘吉、探偵だ。リトルレディの名は?」

「私!千束!よろしく荘吉さん!」

「…フッ…そうか、千束」

荘吉はその大きな手で千束の頭を撫でた

 

「……俺にも娘がいてな、少し懐かしいと思ってしまった」

立ち上がった荘吉はミカに視線を移す

 

「…あぁ、だが…子供の世話は大変だ。つくづくそう思うよ」

「そうだな……だが…」

荘吉は楽しそうに雪だるまを作る千束を見て微笑んだ

 

《おとーちゃん見てや!でっかい雪だるま出来たでぇ!》

 

「見て見て荘吉さん!おっきい雪だるま出来たよ!」

「…あぁ、立派だな」

「…えへへっ」

嬉しそうに微笑む千束、何故だか故郷においた娘の事が浮かんで来た

 

「……千束、お前は…自由に生きろ」

「…え?自由に?」

「あぁ…やりたい事を、お前のやりたいように。ただ忘れるな?一つだけ大事な事を教えてやる」

「うん!なになに!?」

「……何事も、『いのちだいじに』だ」

「…いのちだいじに…?」

まだ小さい彼女に説明するのは少し早いとわかっていたが、荘吉の仕事柄上、それを言わずにはいられなかったのだろう

 

 

「荘吉は、千束を自分の娘…大阪に置いてきた亜樹子くんと姿を重ねていたようだ」

「……そっか…だからおやっさんは…」

一つ間を置いて、俺は切り出した

 

「…どうにか、千束を生かせられる方法は無いだろうか」

「それならあるよ!」

「どわぁっ!?フィリップ!?」

突如来店してきたフィリップ

どうやら、あの後に千束の心臓について調べたようだ

その時得た情報を俺たちに共有しに来たようだ

 

「錦木千束の心臓をまた再起させる方法はただ一つ、彼女の中に入っていたメモリ、ハートメモリを…また彼女に差し込む事だけだ」

「…ちょ、ちょっと待ってくれよ相棒!それじゃ千束はドーパントに逆戻りじゃねぇか!俺が欲しいのは、千束がドーパントになること無く生きれる方法であって…」

「もちろん、それは一時的な話だ」

「…えっ?」

フィリップの言葉に、翔太郎は不思議そうな顔をする

 

「ハートメモリについて調べると、ある特徴を見つけた。それは…ハートメモリはエクストリームの力に干渉出来るという事だ」

「…ハートメモリが、エクストリームに干渉?」

「つまり…彼女の身体にまたハートメモリを差し込み、彼女の身体とメモリが融合している状態で、僕らのエクストリームの力で、ハートメモリの情報を彼女の身体ごと書き換えれば良いのさ!」

「…そうすれば、千束の心臓は元に戻るのか!?」

「…あぁ…おそらくね。彼女の身体の情報を書き換えた後で、彼女の意思でメモリを抜き出せば、万事解決だ!」

「おぉ!!」

「……だが、そう簡単にいくのかい?」

すると、ミカが落ち着いて答えた

 

「…どういう意味だい?」

「相手はアラン機関だ…そう簡単に行くとは思えん」

「おいおいマスター…あんたが卑屈になってどうする?千束に一番生きてて欲しいのは、他でもないマスターなんじゃないのか?」

「……私は…」

「……」

「…私は、千束が生きたいように生きてくれれば…それで良いんだ……」

「……」

「……」

 

 

「…なんか、今日のマスター元気無かったな」

「まぁ、ジャックにスカルメモリを奪われ…錦木千束の現状に進歩が無い事を考えると、納得だね」

「…進歩が無い?さっきお前が解決策を……」

「確かに、僕はハートメモリの特徴を捉えた上であの策を講じた。だが、所詮は僕の推測に過ぎない…彼も、それを理解していたんだろうね」

「……そっか…」

帰り道、俺たちは俺たちはマスターの変化に気付きながらもリコリコを後にした

 

「…まさか、不殺の心得が吉松シンジから来ていたとはね…想定外だった」

俺達はその道中、先日のミカからの証言をおさらいしていた

 

「……でも、奴の言葉がなければ千束は今頃殺人兵器になってただろうよ。それを考えれば、奴の言葉も…」

「…本当に?本当にそんな事を思っているのかい?翔太郎」

「…えっ?」

「…彼女に影響を与えた人間は吉松シンジだけでは無い。記憶はなけれど、鳴海荘吉の意志もしっかりと彼女に受け継がれている。僕はそう思うよ…」

「……フィリップ…」

フィリップはすっかり暗くなった空を見上げる

 

「…以前の僕もそうだった……」

ビギンズナイトのあの時…組織の作り出した「ガイアタワー」の中枢部に囚われていたフィリップは、おやっさんの力によって救われた。フィリップから聞いた話だと、「地球の本棚」に強引に干渉したおやっさんは、当時名前も思い出せていないこいつに「フィリップ」という名を付け、フィリップの意志でガイアタワーの装置から脱出させる事に成功した

だが、その後におやっさんは撃たれ、倒れるおやっさんと泣き叫ぶ俺を見て悟ったという。自分の罪が、決断をせずに生きてきた結果、街を…沢山の人を泣かせたという事実を…

 

「鳴海荘吉は、多くの人間に影響を与えた人間だ。きっとその魂は永遠に生きるものだ。とても曖昧で、楽観的な意見だけれど…」

「……」

「…それが…“漢の浪漫”というものなのだろう?翔太郎」

「…あぁ、流石は俺の相棒。わかってんじゃねぇか!」

「へへっ…あ、見たまえ翔太郎!」

「…あ?」

フィリップは上を見て口角を上げていた

 

「……っ」

俺もつられて上を見ると、空から白い粒がゆらゆらと降ってきている事に気が付いた

 

「……雪だ…」

「……翔太郎、きっと戦いは始まったばかりだ。真島、そしてアラン機関との決着の日が、必ずやってくる」

「……」

「…だが、その時が来たら…僕らは決断を下さなければならない。例えそれが、残酷な選択であっても……」

「…分かってるさ。この街の人々の笑顔を守れるんなら、俺はなんだってやってやる。だからそん時まで…半分力貸せよ、相棒…!」

翔太郎はフィリップに握り拳を突き出した

 

「……フッ…当然さ、だって僕らは…」

フィリップは翔太郎の拳に拳を当て返した

 

「「二人で一人の仮面ライダーだからな!」ね!」

グータッチをしたまま微笑む彼らの頭上には、白く煌びやかな雪が、優しく降り注いでいた

 

 

「…やったな!」

「……やったぜ」

一方、拳を軽くぶつけ合う千束とたきな

 

21時から降る予定だった雪を見に高台の公園に来たが、予定通りとはいかず、落ち込むたきなを千束は慰めていた

 

「…あ、今日中にDAに連絡しないと…!」

「うん、ほら行って!」

DAへの復帰の報告をたきなから受けた千束は、喜びに満ち溢れていた

 

「…あ、これ!」

「餞別だ持ってけ!」

「…ありがとう。行ってきます」

軽いステップで階段を下りるたきな

そんな彼女を千束が見ていると…

 

「……お?…わぁ…」

空から降る雪

まるで二人を祝うように、そして見送るようにして更に街灯の明かりで幻想的に輝く

 

「…っ!」

たきなもこれには気付き、思わず足を止め千束を見る

彼女に見せたかった雪をようやく見せる事の出来たたきなは、DAに向けて足を運んだ

 

「……はぁ〜…雪かぁ……積もったら明日店の前に雪だるま作──」

 

《…千束、お前は…自由に生きろ》

 

「……」

たきなを見届けた千束は店に向けて足を進めた

不意に、何処か懐かしげのある声が蘇る

長らく忘れていた、()()()の声が…

 

「……キチさん…?」

 

 

「……」

シンジの車を囲む真島の一行

降りてきたシンジに対し、真島は微笑んだ

 

「…初めまして……ヨシさんっ」

 

これが悪夢の始まりである事を、まだ誰も知らなかった…




次回 仮面ライダーW/L・R

「リコリコは閉店しまーす」
「…世話になった」
「俺は、この店が好きだったよ…」
「…見つけ出し、殺せ」
「私はお前に興味は無い!吉松の居所を…!」
「…一つ…一つだけ、思い出した事があるの」

第38話「Fに別れを/それぞれの道へ」

これで決まりだ!
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