センスの欠けらも無いサブタイトルですが、そうとしか言いようのない内容になってしまいました
各々がする決断とは…?
それでは、お楽しみください!
『真島一味は、起爆予想ポイントの第一展望台を通過。現在は第二展望台でエレベーターを切断……』
リコリスが集まるバスの中
楠木は座席に映し出された映像から指示を送っていた
「……」
「……」
その外でスタッグフォンから同じ映像を見るフィリップと、不貞腐れたようにハードボイルダーにもたれかか翔太郎
「…なんで俺たちは戦えないんだよ……」
「…仕方ないさ…Wに変身すればガイアメモリの存在が更に世間に公になる事になる。それは僕たちが一番恐れていることであり…奴らの思うつぼだ。DAも、それだけは実力を行使してでも僕たちを止めるだろうね」
「……今の街の状況がわからない以上、じっともしてらんねぇよ…」
俺たちは風都タワーに向かおうとしているところをDAに止められていた。作戦を再び立てる為、一度集合しろとのことだ
そんなことを言われて従うことしか出来なかったが、俺はさっきからソワソワしっぱなしだった
「……っ!」
すると、フィリップがスタッグフォンの画面を凝視し驚愕していた
そして俺に画面を見して画面に人差し指を指した
「見たまえ翔太郎…!」
「……っ!?」
その示された名前を見て思わず会議中のバスに乗り込んだ
「……っ」
バスに乗ると、たきなも正面のスクリーンに向かって抗議していた
「千束を呼んだんですか…!?」
『席に着きなさい』
「司令!千束は…!」
『奴は来ない。連絡がつかなくなった』
「まさか、マスターもか…!?」
『…そうだ』
楠木の言葉に、俺まで会話に割り込む
「…何故です…?」
『知らん。我々には関係ない事だ』
「…この状況をみて、二人と連絡つかないなんて…!」
「うわっ!」
たきなは俺を押しのけてバスのドアを開いた
「絶対変ですよ!」
「お、おいたきな!」
「作戦までには戻ります!」
走り去るたきな
この状況本当に分かってんのか…?
「…翔太郎、彼女の事は任せた!僕は引き続きDAの指示に従うよ」
「そうだな…もしなんかあったらいつでも呼んでくれ!」
翔太郎はそういうと腰にダブルドライバーを装着した
そしてフィリップの腰にもドライバーが現れたのを確認し、翔太郎はたきなの元に向かった
『…携帯は置いて来たな?以降はこの通信だけを許可する。誘導に従え』
「……」
『おい、そこの警察もだ。お前はメモリも置いていけ。変身されたらひとたまりもないからな』
「……分かった」
リコリコのカウンターの上にビートルフォンとアクセルメモリを置く照井竜
「分かったからさっさとしろ、ロボ太」
『僕の事知ってるのか!?今やウォールナットを超える最強ハッカーだからな!』
千束とロボ太がそんな会話をする中、照井はロボ太の目を盗んで懐から一本のギジメモリを取り出した
《 ビートル!》
ビートルフォンにビートルメモリを差し込む。ライブモードにはさせず、ガジェットモードのままにしておく
そうすれば、タイミングを見計らっていつでもライブモードに変形出来る
「……あとは頼んだぞ、左」
ロボ太がハッキングする乗用車に乗り込む照井
千束は助手席に乗り、ミカが運転者だ
『おい遅いぞ警察!お前らは所詮僕達の足元にも及ばない雑魚…ぶぇっ!』
「早・く・し・ろ」
『は、発進しろ』
ナビモニタを蹴られた事で従順になるロボ太
千束のイライラは爆発寸前だった
『……』ピピッ
ライブモードに変形したビートルフォンは、リコリコの窓からある目的地に向かって飛んで行った
第40話「Dの囁き/運命の決断」
「待てよたきな!」
「千束と店長はリコリコに居る筈です!まずは現場を確認しないと…!」
「だが!今回ばかりは楠木の言う通りだ!今は作戦に集中するべき…」
「千束の命が掛かってるんです!」
「…っ」
勢い良く振り返り悲しそうな目で翔太郎を見つめるたきな
「もし、今あの状態で事件に向かっているのだとしたら…いつ千束の心臓に異変が起こるか分からない…いつ千束が…!」
「……」
肩を震わせながら語るたきな
「……っ」
「…いいかいたきな、落ち着いて聞け?」
そんな彼女の肩きそっと手を置く翔太郎は、彼女の目をじっと見た
「焦る気持ちは分かる…だが、もしここで君がドーパントに遭遇し、君の身に何かあれば…悲しむのは誰だ?」
「……っ」
「…たきな、まずは自分の命だ。千束が生きてる確証は無いが、死んだとも限らない。それよりも、彼女の帰りを待つ。それが、今の君に出来る事だろう?」
「……千束の…帰りを…?」
「…自分の命も守れない奴に、街を守る資格は無い。おやっさんが言ってた事だ……死ぬ覚悟じゃなく、生きる覚悟と…生かす覚悟で街を守れってな…」
「……左さん…」
翔太郎が一頻り語り終えると、空から虫の羽の音のようなものが聞こえた
「…っ!あれは…!」
翔太郎の頭上を飛ぶビートルフォンは、いきなり別の方向に飛んで行く
「…照井のビートルフォンじゃねぇか!なんでこいつがここに…!?」
「……千束と連絡が取れなくなった事と、関係あるのでしょうか…?」
急いでビートルフォンを追いかける俺とたきな
だが、その行先は道中の風景からなんとなく察知した
『翔太郎!聞こえているかい?』
「どわぁっ!いきなり話しかけてくんなよ相棒!」
『君たちの元に、照井竜のビートルフォンが来なかったかい?』
「…え?あぁ…今丁度追いかけてるところだ」
『…やはりね…さっき僕のところにも来たけど、何故かすぐに君たちがいる方向に飛んで行ったんだ。ビートルフォンは僕に用があった訳ではなく、君たちを探していた。ここから推測するに、ビートルフォンの目的は…』
「……たきなか…!」
「…っ?」
ビートルフォンが辿り着いた場所は俺の予想通り、リコリコだった
「…アクセルメモリ……照井は何処に行ったんだ?」
「これ、千束と店長のスマホです…なにかあったんでしょうか…?」
カウンター席に置かれた二つのスマホとアクセルメモリ
何か手掛かりはないかとビートルフォンを開くと、いきなり写真フォルダに繋がっていた。そこにはリコリコのカウンター席に置かれた千束とミカのスマホが映っていた
「なんで照井はこれを俺達に直接渡さなかったんだ…?」
その答えは、次々と映し出された写真の中に揃っていた
店を囲う大量のドローン
リコリコ制服に着替えた千束
赤い車に乗り込むミカ
「…なるほどな。どうやら真島の仲間が3人を何処かに連れて行ったようだな」
「…でも、何故…!?」
『……真島は錦木千束が吉松シンジを探している事を知っていた…』
「…こうなったら本人に聞くしかないな。真島は風都タワーに居る」
「……すみません。私、戻ります」
「…そうだな」
戻る以外に選択肢のなくなった俺達は再びバスに向かっていた
悔しい選択ではあるが、たきなは俯きながらも前に進んでいた
『……ふぅ…』
「地球の本棚」から出て来たフィリップは自身に近寄る翔太郎に気が付いた
「特に異常ねぇか?相棒」
「あぁ、彼女達ももう既に現場に向かったようだね。今度は占領されたエレベーターを奪還するらしい」
帰ってきてそうそう質問した俺にフィリップは答える
「…そうか……ところで、今何調べてたんだ?」
「ハートメモリについて、もう少し詳しく調べようと思ってね。でも、確かな情報は掴めなかった」
「……」
「…もっと…もっと沢山の情報が必要だ…」
珍しく考え込むフィリップ
そうか…こいつもこいつなりに必死なんだよな…
千束とフィリップの境遇は似ている。一時期は記憶を失い、大切な人を思い出せずにいたり、ガイアメモリによって人生を狂わされたという共通点を持つ
だからこそ、かつての自分と面影が似ている千束を助けたいという気持ちが、誰よりも強いのだろう
「…どうしたんだい?翔太郎」
「……いや、なんでもない」
その気持ちは俺だって、たきなだって変わっちゃいない
ようやくおやっさんの記憶を取り戻してくれた千束には、もっと長生きさせてやりたいし、たきなももっと長い時間千束と居たい筈だ。その為にもまずはハートメモリ…
ボルテージ・ドーパントとジャック・ドーパントが本当に繋がっているのだとしたら、ジャックの正体はおそらく吉松シンジだ。だが吉松の消息が不明な為、そう簡単に事が運ぶとは思えない
それにジャックの能力も凄まじい物だ。あの照井でさえも適わなかった相手だ…相当な強さの筈……
くっそ…真島の件もあるが、こっちはこっちで……
「……ん?」
待てよ…?
「…翔太郎?」
「……フィリップ…確か、真島は千束が吉松を探している事を知ってるんだよな…」
「あぁ、モニター越しでの会話だったが、有力な情報だと思うよ?」
「…それだよ…!もし仮に真島が吉松と接触していたら…?」
「…っ!」
ここで、フィリップの中でも一つの仮説が生まれた
「…真島が千束を連れ去ったのには前線から排除する事以外に理由があった。それがなんなのか……っ!」
俺はある事を思い出し、ビートルフォンを取り出した
「まだ見てない写真がある筈だ……何処だ…何処だ…?」
写真フォルダを漁る俺
正直申し訳ないと思っているが、これも事件解決の為
許せ!照井!
「…っ!」
その写真を見て、俺は驚きを隠せなかった
「…これは…吉松シンジ!?」
フィリップもその写真を見て驚く
写真には椅子に縛り付けられ、脱力した吉松シンジが映っていた
「…錦木千束はこの写真を真島の仲間に見せられ、人質を取られた。吉松シンジは彼女にとっては命の恩人……ここから推測される事は…」
「……千束は風都タワーに向かってる」
「…だが、吉松シンジがハートメモリを持っているのなら、ハートメモリの方に本人が向かっている事になる。万事解決だよ翔太郎!」
「……いや、違う」
「…え?」
「……なにか、嫌な予感がする」
俺はスタッグフォンを開き、とある人物に電話した
「…誰に用だい?」
「……情報のエキスパートに、解析を頼む」
俺は今朝のフライトで風都を離れたと聞いていたクルミにダメ元で電話した。だが、幸い飛行機は運休。しばらくの間離陸を見合わせしていた
『…なるほど。要は吉松の居場所を暴く為の情報が欲しいんだな』
「あぁ、必要なキーワードを教えてくれれば、あとはこっちで検索する」
『分かった。解析しながらそっちに向かう』
すると、俺のスタッグフォンをフィリップが取り上げる
「ウォールナット…いや、クルミ。君と僕の力が合わさればどんな難題にも立ち向かえる。協力しよう」
『愚問だな。千束の為だ…異論は無い』ピッ
通話を終わらせ、スタッグフォンを返してもらう
「こうなれば戦闘は避けれない。僕達も向かおう」
「…あぁ…この際四の五の言ってられない。だが……」
「…まだ何かあるのかい?」
「……もし戦いが激化して沢山のリコリスの命が奪われたらと思うと、怖くてな…」
ここに来て怖気付く翔太郎
そんな彼を見かねたフィリップは優しく声を掛けた
「…翔太郎、ダイヤモンドという鉱石を知っているかい?」
「……なんだよ急に…知ってるに決まってるだろ」
突拍子もない質問に、翔太郎は呆れながら答える
「ダイヤモンドは元々は炭素の塊だ。だが、その塊が凄まじい輝きを放つ。一部では、その二面生が美しいという者もいる」
「……」
「…リコリスは平気で人を殺す、悪魔だ」
「……っ」
「だが、その信念は僕らと変わらない。出世の為?違う。生きる為?違う。彼女達は守る為に戦っている」
「……フィリップ…」
「リコリコの二人と関わり、DAと関わり、僕はまた新しい彼女たちを見つける事が出来た。今彼女たちに対する憂いは無い。むしろ知りたいと思っている。僕はそんな彼女たちの二面生が美しいと思う」
「…っ」
「……彼女たちは悪魔だ。だが、その悪魔と相乗りする…僕はその勇気を振り絞る事が出来たよ。翔太郎、君はどうだい?」
今度は翔太郎の目をじっと見て質問する
「……俺は……出来ることならリコリスも守りてぇ…もう誰の血も涙も見たくねぇ……でも、彼女たちも同じ事を思っているなら…」
「……」
「…悪魔と相乗りする勇気、か……なんだかお前と初めてあった日のことを思い出すなぁ…!」
「……」
「……決めたぜ、フィリップ。俺は彼女たちと…リコリスとこの街を守る。これがもし間違った決断だったとしても、俺は悔やまない。迷わず進む」
「……あぁ…!」
ようやく決断を下した翔太郎は再びスタッグフォンを手に取る
「…こうなったら…楠木に直電だ!」
「…何の用だ」
『楠木。俺達にも戦わせてくれ!』
「それは出来ない。街中にばら撒かれたメモリは1000本。最低でも300体程のドーパントが現れる可能性がある。もしお前たちが変身し、市民を刺激したらどうするつもりだ?取り返しのつかない事になるぞ」
『そんなもんはしょっちゅうだ!あんたは街の涙より、組織の秘密を優先するのか!?』
「……上層部からの指示だ」
『俺は今!あんたに聞いてるんだ!』
「…っ!」
モニターの前で楠木が絶句する
翔太郎はそのまま続けた
『…あの日、俺おやっさんに言われたんだよ。「あの子を頼んだぜ」って…おやっさんが言ったのはフィリップの事だったのかもしれねぇ…でも今なら分かる。おやっさんは、あの時千束の事も想っていた筈だ』
「……」
『……おやっさんとの約束守るんじゃ無かったのか!?』
「……っ!」
《…俺の家族を…翔太郎を…そして、この街の事を頼んだぜ……》
『…楠木…
「……ったく…お前は何も変わってないな。小僧」
『…え?』
俯いていた楠木は翔太郎が映るモニターに顔を上げる
「…良いだろう。だが、リコリスの存在は秘匿する。これが絶対条件だ。ドーパントの相手をしたいなら、好きにすればいい」
彼女のその言葉に、その場の全員が驚いた
『はいはいそうですか〜……サンキュ、楠木さん』ピッ
そこで翔太郎との通信は途絶えた
「……はぁ…」
すると、机に両手を着きため息を着く楠木
「……私もまだまだ甘いな…これがハーフボイルド、か……フッ」
「よっしゃぁ!楠木からの承諾も得た所で、たきなを迎えに行くぞ!」
「うん、そうだね!」
二人でハードボイルダーに跨り、ヘルメットを被りバイクを発進させた
次回 仮面ライダーW/L・R
「さぁ、第二幕だ…」
「たきな!千束を救いに行くぞ!」
「……お前が決めた事なんだろ?」
「どうやら仲間がやってくれたようだ…」
「…さぁ思い切り…振り切るぜ」
「……行ってきます」
第41話「Dの囁き/振り切る覚悟」
これで決まりだ!