FGO世界線と勘違いした一般アニムスフィア家長男 作:神崎せもぽぬめ
すみません、致命的な欠陥を見つけたので一旦削除し、書き直しました。指摘して下さった方、ありがとうございます。
あと、お気に入りが1500を超えました。正直やばくね?期待大じゃな?と思っていますが、自分が読んで楽しく思えるような小説を書きたいと思っています。よろしくお願いします。
サニアくんの一人称が「ボク」になってます。リーナが「ワタシ」となっているのでそれに合わせた形で。混合に気をつけてください。
春麗らかな入学式で、友が出来た
大輪の桜が我が世を告げる並木道。
その素晴らしき満開の桜たちを見ながらも、打って変わってボクの心は曇り気味。晴れる気配はなかったようだ。
「昨日の疲れが取れない………ぬぁー」
自分で出してて気色悪い声だけど、それも仕方ない。そう自分自身に納得させた。
だって入学式前日まで、購入したマンションの一室に移住することが出来なかったのだから。
親戚さん、めちゃくちゃいい人たちで、こんな四分の一しか血が流れてないボクを歓迎してくれた。
本家が京都方面なので早くお暇して荷造りを始めたかったのだが、祖父の兄君────つまり、大伯父さんが
「いっその事、ここから近い二高に入学したらどうだい?私なら手続きができるのだが………」
といって、仲良くなった一歳年下の男の子も
「そ、それってサニアさんと同じ学校に通えるってことですか!?ほ、ほんとに………?」
と、満更でもない様子でこちらをチラチラと見てきた。
やめてくれー!こんないたたまれない気持ちにしないでー!これじゃボクがこれから司波深雪ちゃんに意図して接触することが、まるで汚く思えてしまうじゃないかー!!いやまぁ、事実として汚いわけだが。
そんなこんなで。
めちゃくちゃ外堀埋めてくるから、完全に包囲されるまでに逃げ切って今に至るわけだ。
引越し会社の人には「遅くね?」みたいな怪訝な顔で見られ、未だ部屋には積み上がっている段ボール箱の数々……………穴があったら入りたいとはまさにこの事だ。
しかしいい加減に切り替えるべきだ。せっかく春うららな気候に恵まれた、晴れやかな入学式なのだから。
そう言って気合いを入れる為に身嗜みのチェックを改めてする。
アニムスフィア家の特徴の一つである白い髪は、不快と思われない程度にくせっ毛が抑えられていて、頭の後ろに結った短い三つ編みは妹とお揃いの髪型だ。
上にひょろ長い(179cm)けど、それに対応したサイズの制服のブルゾンを羽織り直す。
シャツがはみ出してないか、ネクタイは綺麗に縛ってあるか、あるいは…………と、半ば神経質にチェックをする。身嗜みを整えるのは紳士の基本だって、父が言ってたからね。当然の行為だ。
「さて、行きますか……!」
無意識に口からこぼれる勇み声に気付く事無く、入学式の会場である講堂に足を向ける。
そんなボクの胸には、一輪の花が咲いていた。
講堂に入った時間は、開式時間にギリギリといったところだった。
座席はその殆どが埋まっていて、とても選び好みしている場合でもなかったから、比較的空いている前列へ座ろうとする。
「ここ、空いていますか?」
もちろん確認する事は忘れない。
ボクとしてもこんな些細な事で争いになりたくなかったし、それは相手にとっても同じことなのだろう。
ルビーのような赤い光沢を纏った長髪が勢いよくなびき、モスグリーンの瞳がボクを認識した。
彼女は、ボクの髪を一瞥し、目を合わせて、
「はい、空席です」
貴族のような雰囲気を醸し出しつつ、丁寧に答えてくれた。
ありがたいと思いながら、目立つ容姿を影に溶け込ませるべく、さっさと椅子に座る。日本のみならず、外国ですら珍しいとも言える白い髪。そしてこの異国人感のある顔立ちが並べば、目立つに決まっている。そう、だから─────
「あの、ひょっとして、外国の…………留学生の方だったり?」
────うん、まぁ。想定してましたよ。しかも留学生だって分かってる人には分かるんだろうね。
司波深雪ちゃんに接触する時に、留学生というデータは非常に不利になる。うろ覚えの知識だが、深雪ちゃんの兄はこういう人に敏感らしい。ネットじゃ、すぐ分解するとかマテバするとか、恐ろしい単語が並び連ねてた。さ、さすがはお兄様ですぅ〜(萎縮)。
ボクの作戦の一つである「え?留学生ってダレ?ボクしーらない」は失敗に終わったようだ。
流暢な日本語でごり押せると思ったんだけど。どうやらそんなに甘くないらしい。
早々に思考放棄したボクは、隣に座る彼女の問いに答えるべく口を開く。
「えぇ、まぁ。ご察しの通り、アメリカからの留学生です。といってもボクには四分の一、日本人の血が流れているので、留学かどうかは怪しいところですね」
ボクの苦笑じみた言い訳を聞いて、何故か満足そうな笑みを返してきた彼女は、座席のギリギリに身体を寄せて顔から突っ込むように、こちら側に乗り上げてきた。
ちょっ、近っ、近くない????
女の子特有の『良いかほり』を感じる距離。そこで彼女は目を光らせて、言った。
「やっぱり!やっぱりそうだと思いました!その白い巻き毛、そしてアメリカからの留学生、貴方があのアニムスフィア家の長男ですね!!」
いやなんで分かるんだし。
てか個人情報保護法はどうした?大丈夫?息してる?まるで探偵みたいにズバズバ暴かれちゃうんだけど。
誰かこの名探偵を引き取ってくださーい!!!
「こらこらエイミィ………彼に迷惑じゃないか」
「ひぎゅっ!ちょ、スバル………く、首はやめれぇ〜!」
そんなボクの内なる訴えをキャッチしたように、ボクの隣の彼女のさらに隣、美少年…………のようにみえる美少女が芝居がかった振る舞いで、ルビー色の彼女の首根っこを掴んだ。
えぇ…………思ったより勢い良く引っこ抜いたけど大丈夫?今「ひぎゅっ!」っていったよ?淑女から出て良い声じゃなかったぞ…………。
「あぁ、いや、済まないね。ちょっとこの子、距離の詰め方が異常に速いんだ。そう思わないかい?」
「い、いやぁ、コミュニケーション能力が高くて羨ましいな、ってくらいしか思ってませんでしたよ」
「お、そうかい。ならいいんだ」
実に気のいい喋り方をしてくる彼女………たしかスバルと呼ばれた彼女は、エイミィと呼ばれていた少女を無理やり席につかせて、ひと仕事終えたようにやり切った表情を浮かべていた。
「あ、あの、アニムスフィアさん。すみません…………無理やりが過ぎました……」
「いや、全然構わないよ。腫れ物扱いされるくらいなら、
先程の晴れやかな笑顔が、一転して申し訳なさそうな曇り顔になる。
ボクの言ったことは真実、その通りだ。留学生という立場は、昨今の国際情勢から煙たがられるか、目立つかの二択しかない。
ボクだって高校生活を謳歌してみたい気持ちは当然あるから、こうして話しかけてくれるだけで飛び上がるほど嬉しい。心の中のイマジナリーサニアくんも『わーいわーい』と万歳三唱している。
座高に差があるからか、エイミィさんを見下ろす形になっているが、ボクは威圧感のないように努めて言う。
「じゃあ、改めて自己紹介。ボクはお察しの通り、アニムスフィア家長男のサニアエリー・アニムスフィアです。『サニアエリー』や『アニムスフィア』は長いから、『サニア』でいいよ」
ボクの自己紹介を聞くと少しばかりキョトンとした顔を見せ…………可笑しいとばかりに小声で笑い始めた。
「………!そういえば私たち、まだ自己紹介もしてなかったんですね。我ながらうっかり、あはは〜」
「僕はエイミィがしっかりしていた所を、みた覚えはないけどね」
「ちょっとスバル!せっかく人が第一印象を上書きしようとしたのに!!」
「ほらほらうっかりさん。キミの魂胆が丸わかりになっちゃったみたいだよ」
「!?!?!?」
慌てて口を塞ぐエイミィさんだが、もう遅い。
スバルさんの手の上で踊っているように、エイミィさんはその通りに誘導されて、口を滑らせたってわけだ。やるな、スバルさん。
ボクが胸中で少なくない戦慄を抱いていると、スバルさんはエイミィよりも一回り高いその長身で、彼女越しに軽い調子で自己紹介を返してくれた。
「とまぁ、既に分かっているだろうけども、僕は里美スバル。キミとは長い付き合いになりそうな予感がするよ、よろしくサニア君」
「うん、こちらこそよろしくね、スバルさん」
ボクは条件反射的に手を差し伸ばし…………日本ではそういった文化がないことを思い出して、中途半端に手を伸ばしたが、スバルさんはそれを予期したように手を取ってくれた。
「………………ちょっと二人とも。私の上でシェイクハンドのアーチを組まないでくれる!?身長が低いチビだって遠回しに言ってるの!?言ってるのよね!?」
「あちゃぁ………。どうやらお姫様の機嫌を損ねてしまったみたいだね。どうかな王子様?」
「うーん、エイミィさんはチビってほど低い訳じゃないし…………弱ったなぁ」
エイミィさんの身長は目測で155cm前後。一方ボクは170cm台、スバルさんもだいたいそのくらいだ。
相対的に見ればチビって言えるかもしれないが、それはボクは男で、スバルさんは女性の中でも高い方だから。小さく見えるのは当然のことなのだ。
それからボクたちはヤケになっているエイミィさんを宥めて、漸く本来の会話の軌道に乗ることが出来た。
「私は英美=アメリア=ゴールディー=明智。長いしどう呼んでいいか分からないでしょ?だからみんなエイミィって呼んで!よろしくね、サニア君!!」
「よろしく、エイミィさん。ところで───」
「エイミィ」
「はいエイミィさん。ボク聞きたいことが───」
「エ イ ミ ィ !」
「は、はいぃ………エイミィ………」
「うん、よろしい!」
…………なんだ、あの圧力。
「エイミィって呼んで!」
「はいィー!!」
───え、エイミィが発生させたと思われる謎の
あっ、そうそう。エイミィがサイコメトラーか否かは置いといて、聞きたいことがあったんだった。
「あの、エイミィ?君の名前にある《ゴールディ》ってあのゴールディでいいんだよね?」
「!!うん、そうっ!私は四分の一しかゴールディの血が流れてないけど、れっきとした本家の人間なの!」
ゴールディ家、やっぱりあの《
「よかったぁ気付いてくれて。これで気付いてくれなかったら本家の名折れ、ゴールディの名を返上するところでした……………」
「いやいや、流石に気付くよ。そこまで世間知らずじゃないからね」
「ちょっと話についていけないんだけど…………そんなにエイミィの家は凄いのかい?彼との繋がりもよく分からないんだけれども」
「えっとねスバル、簡潔に言うとね─────」
普通、魔法の名家には一家相伝の秘術、もしくはそれに付随する知恵が伝わっている。
日本の十師族やその下にある百家がそうであるように、魔法先進国とも謳われているアメリカやイギリスもその例に漏れない。
日本よりも広く、また古式と現代の魔法師の交流も比較的寛容と言える両国では、名家同士の交流もまた盛んに行われている。
ちなみに日本で言うところの二十八家に位置するのが、イギリスの《
どちらも現代魔法、古式魔法に精通していて、特に秘術関連の魔法系統には造詣が深いとされている。
「へぇ…………なるほど。じゃあ二人は一条家の【爆裂】みたいに秘術を持っているってことなのかい?」
「もちろん。ゴールディ家では秘術は本家の証でもあるのですから……………だからスバル、そんな目をしたって教えることは出来ませんよ?」
「…………参ったね顔に出てたかい?」
基本的に、魔法師へのそういった質問はタブー扱いにされる。これは暗黙のルールでもあって、魔法師の権利を守るためでもある。
流石に今の話をされたら誰だって興味が湧く。ボクがそういった目をしているのがバレなかっただけで、奇跡のようなものだ。
いくら友達であっても、家の秘密を守るためにはそういったラインを踏まないように気を付けなければならない。魔法師の世界は意外と窮屈なのだ。
ちなみに
ただ、《
『只今より2095年度、魔法大学付属第一高校の入学式を────』
おっと、始まったみたいだ。
少し気まずい雰囲気が流れていたボクたちだったが、この開始がきっかけとなり、そんな空気が霧散していった。
思ったよりも厳かな空気で、自然と背筋が伸びる。諸先生方はそんなボクの背中の強ばりを見ていないだろうが、いつ見られてもおかしくないようにこのままの姿勢をキープする。いやホント、申し訳ないからね。
実はボク、入学試験でなんと主席を取ってしまった。
これは想定外の出来事だと言えよう。
実技二位、筆記二位というシルバーコレクターじみた成績開示を受け、そんなボクが総代の挨拶をするなんて烏滸がましいと思い立ち、粛々と総代挨拶を辞させてもらった。
あとは日本の魔法師の顔を立てたのもある。
「わ…………すごっ」
「これはっ…………魂消たね」
その少女が登壇した時、まるで冬空の下に吹く風が肌を撫でた気がした。
一目見た者は口から無意識に言葉が漏れ、二言目には美しいと言う。三言目に続かないのは、恐らくその超常たる美を言葉で表現しきれないからだろう。実際に初めてあったボクも、知識としてではなく、漸く感覚が伴う『実感』としてその美を味わった。
そして彼女は、その声も麗しいものだった。
どんな些細な音も雑音に聞こえる。今はそう思えた。
今日この日、この瞬間、世界の中心は彼女のものだと言わんばかりに響く司波深雪の晴れやかなステージは、心臓の音にすら気を遣う静寂な観客のもとで行われた。
周囲の人間が彼女に目を奪われている中、ボクはそれはそれはもう…………すごく感動していた。
だってやっとなんだ。やっと彼女に会えた。
司波深雪。ボクの目的の為の魔法を、
最低だ、人を見て魔法のことしか考えてないのは本当に最低だ。そう自分でも思ってしまう。
だけど、だけどっ……………人が人でいられるように、ボクがボクであるためには、彼女の協力が必要なんだ。
歪みに歪んだ心情を内心で冷静に処理をしつつ、平静さを取り戻していく。
「どうかしたかい?」
「いや…………なんでもないよ」
その感情が、体に表れていたのかは知らないが、スバルさんが目ざとく問いかける。ボクは咄嗟に嘘をつくが…………なんかバレてそうな予感。スバルさんも名探偵なのか。やばいな
司波深雪さんのスピーチが終わる。
みんなはその余韻に浸っていて、特に男連中はあと2日間は徹夜で動けますみたいに、狂気を孕んだ瞳を輝かせていた。男って単純なんだよ、だからそんな目で見ないであげてくれエイミィ、スバルさぁん……………。
あとは校長先生のふくよかなお腹を見ていたり、講堂の天井のシミを数えてみたり、今晩のご飯を考えたりと色々していると、直ぐに入学式が終わった。
その後は直ぐにIDカードの配布がされる。
このIDカードは学生証みたいなもので、配布されると同時に今年のクラスも分かるわけだ。
レディーファーストを心がけ、前をエイミィ、スバルさんに譲り、2人の後でIDカード受け取る。さてさて、クラスは─────
「二人ともクラスなんだった!?私はB組!」
「僕は………うん、D組だね」
「うわぁぁ、スバルと別れたぁ!?サ、サニアくんは…………」
「────A組。残念、一緒じゃないみたいだ」
「神様のいじわるぅぅぅ!?」
オーバーリアクションで実に笑いを誘うエイミィの動きだが、彼女はもちろんのこと、ボクもスバルさんも、クラスが違うことを残念に感じたのは言葉で伝えなくても解った。
素晴らしい友に出会えた。今はただ、その事に感謝を。
「じゃ、またね二人とも!」
「なぁに、一生の別れというわけじゃないんだ。また会おう」
「うん、また」
一抹の寂しさを感じさせた別れ。しかしボクたちは再会を誓いあった。
主人公サニアくんはカルデアを作ってごっこ遊びがしたいだけの凡人です。
皆さん、子供の頃ヒーローごっことかやったことありますよね?それと同じです。
ただサニアくんは度が過ぎているだけであって……………………本当はいい子なんですよ……………