FGO世界線と勘違いした一般アニムスフィア家長男 作:リーナたん可愛いやったァァァ!
皆さん覚えてますか?この作品は勘違いの要素も含んでいることに……………
ちなみに自分は割と忘れかけてました()
今日で二話目の投稿です。ご注意を
「さ、どうぞ。遠慮しないで入って」
生徒会室は一年A組と食堂があるフロアより二つ上────四階の廊下、突き
見た目は他の教室と変わらない合板の引き戸があり、しかし中央に埋め込まれた木彫りのプレートと壁のインターホン、巧妙に隠された数々のセキュリティ機器にありありと他教室との差異を感じた。
プレートに刻まれている「生徒会室」の四文字。少しだけデカくみえるその扉を、真由美先輩と共にくぐった。
生徒会室は多分、ボクらのクラスと同じくらいの間取りで、人と机がない分かなり広く見えた。部屋の中央付近には長大の木造の方卓、壁隅には驚いたことにダイニングサーバーが設置してある。空港の無人食堂や長距離列車の食堂車両に置かれている自動配膳幾が、一般高校にあっていいのか?ボクは訝しんだ。
「じゃあ、そこに掛けてもらって…………水だけでごめんなさいね?」
「いえとんでもない、ありがとうございます」
冷水の入ったコップが目の前に置かれる。生徒会長が直々に注いだ飲み物だ。多分売れる。
「まずは、入学おめでとうございます。本校の生徒会長としてお祝いします」
「いやいや、こちらこそワタシのような留学生を受け入れてくださり、尚且つワタシのわがままを聞いて下さったことに、感謝しかないですよ」
総代のスピーチを次席の人に任せたいこと。二つ返事で引き受けてくれたのは、この人だった。記憶に残った印象からもっとごねられるかも………と思っていたがそれは杞憂で、予想以上の快諾ぶりに拍子抜けもした。記憶は宛にならないことを再度学んだ。
「私としても貴方の意志を尊重したい。けれど、生徒会の歴史に倣って言わせてもらいましょう。サニアエリー・アニムスフィアさん、生徒会に入りませんか?」
「申し訳ないですが、謹んで辞退させていただきます」
「そう……………やっぱりね」
しかし、こればっかりは断るしかない。
生徒会は拘束時間が長いという欠点があるし、ボクが入ってしまうと司波深雪さんが加入しない可能性が高い。彼女との接点がさらに少なくなってしまうのはいただけない。
以上の理由から、ボクはかなり自分勝手な理由で断らさせていただいた。
でも、ボクが即答で断った筈なのに、何故か真由美先輩は少し微笑ましいような者を見たように、生暖かい視線を向けてくる。
そんなボクの疑問が伝わったのだろう。真由美先輩は微笑を堪えながら、口を開いた。
「ふふっ、ごめんなさいね。少し分かりきっていたことだったけど、改めて貴方の口から聞くとつい、ね?」
「────ッ、そ、それは、どういう………?」
「だって、わかり易すぎるわ。こんなの何か意図があるに決まっているじゃない。で、そしたら案の定って訳よ」
「…………なる、ほど。その通りです、流石は生徒会長」
………………思わず絶句する程の天才だ。どのような思考回路を辿ったら、その結論に至り、ボクの目的を看破することが出来たのか、分からないことが多すぎる。
そりゃそうだろう。天才の思考なんて
「?よく分からないけど、褒められてるのかしら?………まぁ、いいわ。それより実はここからが本題なのだけれど────」
なるほど、弱みを握られたという訳、か。しかし、ボクをそんな簡単に飼い殺せると思うなよ。まだ未完成でも、二秒もあれば天体魔術でこの生徒会室ごと吹き飛ばして──────!!
「────やっぱり生徒会に入ってもらいたいの」
「………?それは一体、」
「要するに貴方は次席の司波深雪さんに後ろめたい感情があるんでしょ?」
「それは……………」
「あぁ、言う必要は無いわ。私がそう思っているだけかもしれないから」
真由美先輩は口に冷水を含み、一つ間を置くと、さらに続けて、
「本来主席が辞退したなら、権利は次席の人に移ります。でも貴方は『留学生』という立場があるわ。だからこれを利用するってわけ。司波深雪さんの生徒会入りは入学式時点では好感触だったから、彼女は多分入る────いいえ、入れてみせるわ。そして主席のアニムスフィアくん、貴方は『自国以外の高校の自治組織を体験する』という名目でなら生徒会に堂々と入れると思うの」
空いた口が塞がらない、とはまさにこの事だろう。彼女はどういう
『自国以外の高校の自治組織を体験する』、さしずめ《臨時生徒会役員》とでも言うことか。そしてその臨時の期間は、真由美先輩の任期終了まで続くわけだ。
「真由美先輩、貴女は一体…………」
「これで問題ないはずだわ。どうかしら私の提案、受け入れてもらえる………?」
彼女の狙いは未だ不明瞭だ。こちらからすれば優秀な日本の魔法師の魔法を、国外に流出させる手助けをしているようにしか見えない。彼女にメリットが生じるわけが……………いや、そうか。今回でボクというUSNAの魔法名家に恩を売るのが目的なのか?だとしたら大成功だろう、ちくせう。
「…………そんな、一体ボクは何を返せば…………」
「アニムスフィアくん……………いいえ、そんな大きく考える必要は無いの。私がそうしたかったから。ほんの少しでも背中を押したい、そう思っただけなのよ」
そうしたかったから…………背中を、押す……………そうか、そうかっ!そういう事か!?
さては真由美先輩、貴方も
いやー、どんなこと要求されるかと思ったら、とんでもない。利害一致じゃないか。
真由美先輩がまさか
「真由美先輩、ボク………ボク!生徒会に入りたいです!!」
「そう………良かったわ!今日から私たちは生徒会の一員よ」
「はい!
今日からボクたち、親友だァ!!
♦♦──────♦♦
最初に会った…………いえ、声だけだし、電話越しなのだけれど、それだけでどんな人なのか、分かってしまったわ。
『生徒会、ですか……………いや、でも…………やっぱり………………うん、すみません、入れません!』
新入生の総代は毎年、入学式にてスピーチが行われる。一般的に名誉ということもあり、その年の新入生の顔でもあるから、生徒会が優先して勧誘するというのがお決まりのことだった。かくいう私も、二年前の入学式に話を持ちかけられて以来生徒会に所属し、生徒会長にまでなったわけだけれども。
そして今年の新入生の主席は、この学校初の国外からの生徒に選ばれた。実技二位、筆記二位のシルバーコレクターだが、実技一位の
けど、電話口でのその声を聞くと。
私には彼の声に、不安・後悔・期待が入り交じっているように感じてしまった。
そしてその勘は正しかった。
「私としても貴方の意志を尊重したい。けれど、生徒会の歴史に倣って言わせてもらいましょう──────サニアエリー・アニムスフィアさん、生徒会に入りませんか?」
「申し訳ないですが、謹んで辞退させていただきます」
電話口越しに聞いたあの時より、強い信念を感じさせる声音で即答された。…………でもその中に、少しの優しさを感じたのは身贔屓が過ぎるのかしら………?
「そう……………やっぱりね」
そう。やっぱり断ると思った。
彼はきっと日本の魔法師の
私の反応が意外だったのか、ちょっと気の抜けた表情をする彼は、意外と────元々の顔の構造がイケメンよりカワイイ系だから────愛嬌があって笑ってしまった。
「ふふっ、ごめんなさいね。少し分かりきっていたことだったけど、改めて貴方の口から聞くとつい、ね?」
「────ッ、そ、それは、どういう………?」
まるで致命的な秘密を掴まれた、みたいな顔をしちゃって。
どういうも何も、貴方がホントは生徒会に興味があるのはわかってるのよ?こればかりは人生経験の差だわ、あとはあの狸親父に連れ回された政治の世界の経験も、ね…………………
あぁもう!考えただけで腹立たしいわ!
そんな内心をおくびにも出さないまま、私は口を開く。
「だって、わかり易すぎるわ。こんなの何か意図があるに決まっているじゃない。で、そしたら案の定って訳よ」
そう、顔も声音も、乗っている感情がわかり易すぎる。
じゃあそれにはどんな意図が?彼はどういう人物?どういう性格?……………それらを少し精査しただけで、分かるもの。
メンツを考えた彼は総代を辞退。代わりになったのはあの可憐すぎる少女、司波深雪さん。本人以外は彼女のことを総代=入試の主席と思っているから、生徒会役員という名誉役員に入ることを彼は好まない。そして彼女に総代を任せたのに、名誉役員の称号だけを得ようとするのは彼の流儀に反している。
だから、彼は電話口越しの時よりも、強固になった信念を表すように即答の辞退をした。
冷静に考えを繋げば、案の定、って感じね。
「…………なる、ほど。その通りです、流石は生徒会長」
うーん?なんかおかしい褒められ方をしてる気がするわ…………
「?よく分からないけど、褒められてるのかしら?………まぁ、いいわ。それより実はここからが本題なのだけれど────」
そう、ここまでは前置き。彼の性格を改めて確認するだけの作業。
「────やっぱり生徒会に入ってもらいたいの」
「………?それは一体、」
困惑するのもわかる。これじゃさっきの質問の焼き直しだから。
だから────
「要するに貴方は次席の司波深雪さんに後ろめたい感情があるんでしょ?」
「それは……………」
「あぁ、言う必要は無いわ。私がそう思っているだけかもしれないから」
彼の反応はホントにわかりやすいわ。
私は改めて自分の理論に確信を抱き、口を開く。
「本来主席が辞退したなら、権利は次席の人に移ります。でも貴方は『留学生』という立場があるわ。だからこれを利用するってわけ。司波深雪さんの生徒会入りは入学式時点では好感触だったから、彼女は多分入る────いいえ、入れてみせるわ。そして主席のアニムスフィアくん、貴方は『自国以外の高校の自治組織を体験する』という名目でなら生徒会に堂々と入れると思うの」
完全な理論武装。これなら彼も生徒会に入れて、尚且つ司波深雪さんの名誉を保てると思うわ。
「真由美先輩、貴女は一体…………」
……………外見が大人のように見えるけど、ここ辺境の島国で、彼は一人ぼっち。その負担は、親がいる私には想像もつかないものでしょう。
魔法師の世界は権利と欲で雁字搦めの世界だから、頼れる人がいないことに、どうしようもなく不安を抱くでしょう。
「これで問題ないはずだわ。どうかしら私の提案、受け入れてもらえる………?」
「…………そんな、一体ボクは何を返せば…………」
「アニムスフィアくん……………いいえ、そんな大きく考える必要は無いの。私がそうしたかったから。ほんの少しでも背中を押したい、そう思っただけなのよ」
そう。当校に入学したのなら、それはもう国籍に関係なく仲間であり、そしてその三年間の唯一無二の時間を守るのが、生徒会長としての役目。
この学校に蔓延る差別意識の撤回も、何れは果たしてみせる。
その覚悟で私は彼に言い放った。
そして……………
「真由美先輩、ボク………ボク!生徒会に入りたいです!!」
まるで
一人相撲にならなかったことに、密かに安堵しつつ、私は改めて宣言する。
「そう………良かったわ!今日から私たちは
「はい!生徒会の一員ですね!」
何故復唱したのかしら?でもそんな事、些細なものよね!
今日から私たち、生徒会よ!!
彼も学校改革に必要な人になるのかもしれないし。ね?
サニアくん「まゆみん鬼つえぇぇ!!カルデア一ファンに悪いやつはいねぇよなぁ!!」(SAN値チェック失敗)
まゆみん「優しい留学生くん…………助けてあげなきゃ!でもそれはそれとして学校改革手伝ってね!!」
読者「「「ちがう、そうじゃない」」」
簡単にわかる今回の話。