ユニコーンドーパント「なに⁉︎身体が2つに分かれただと⁉︎」
サイクロンサイクロン「すごいこれ…。私だけで変身してるの?」
ジョーカージョーカー「これがWとディケイドの力…」
Aディケイド「1人でダメなら2人。2人でダメなら3人でってことか。行くぞショウタロウ。レモーラ!」
小夜「……。」
Aディケイドのファイナルファームライド(以下、FFR)の力でWはサイクロンサイクロンとジョーカージョーカーへと変わった。これで戦況は3vs1。ひとつの的への3人の攻撃の応酬は乱れのない連携攻撃で織り成してゆく。
止まらない連携攻撃にユニコーンドーパントは自身の能力を使う暇もなく追い詰められる。
Aディケイドの"切り札"はユニコーンドーパントに対して圧倒的な効果を発揮した。
そして遂にユニコーンドーパントの身体が地に伏した。
ユニコーンドーパント「まだだ…まだあきらめんぞ…」」
ジョーカージョーカー「次でとどめだ」
『FINAL ATTACK RIDE ! DA・DA・DA・W !』
Aディケイドの新たなカードの効果で力を纏った3人の仮面ライダーが一斉に飛び立った。高い吹き抜けのあるフロアにて相当な高さを誇るジャンプから、ユニコーンドーパントに3人によるライダーキック『ディケイドエクストリーム』が炸裂した。
ユニコーンドーパント「ぐぁぁあああ!」
三位一体のライダーキックになす術もなくユニコーンドーパントは身体からスパークを起こして…爆散した。
中野「ううっ…ううっ……」
Aディケイド「よし。やったな」
W(ショウタロウ)「ああ。だが…」
小夜「X bickerの方が間に合いませんでした。風都スカイタワーが崩壊する…」
ユニコーンドーパントの撃破に時間を大いに取られてしまったツカサたち。
Wの姿に戻ったショウタロウから雲行きの怪しい声色が溢れた。
ずっと懸念していた瞬間がついに訪れてしまったのだ。
X bickerによる暴走に手をつけることが間に合わず、風都スカイタワーは振動による負荷に耐えきれずに少しずつ音を立てて崩壊をし始めた。
Aディケイド「この揺れ相当大きいぞ…。急いでここから脱出しなきゃ」
小夜「それが…」
小夜の曇る表情が気になりAディケイドとWが彼女の元へ駆け寄ると、目の前ではここまで登ってきていた非常階段が今まさに目の前で倒壊していく瞬間だった。
Aディケイド「くそ!これじゃここから出られない!」
W(ショウタロウ)「脱出の手立てなら他にある。レモーラが作ったユニットを使えば、俺のバイクをカスタムしてここから脱出できる」
Aディケイド「ほんとか!」
W(ショウタロウ)「ああ。自慢の愛車だ」
Wは両手でぽちぽちとクワガタ虫のような形を思わせる特殊な携帯電話を取り出して操作すると、しばらくして空中をホバリングする羽のついたショウタロウのバイクがやってきた。
小夜「あれが、そうですね」
Aディケイド「残る問題は今隣でぐつぐつと身を滾らせているX bickerだな。このまま放っておいたらこの街があっという間に消えちまう。オマエずっとあの機械触ってたろ。何かわかったのか?」
戦闘中ずっとX bickerを操作していた小夜。
システムの強制シャットダウンを実行するため、あらゆる機能にアクセスしていた。
そんな小夜にツカサは解決案を期待したのだが、残念ながら小夜の顔は横に張るばかりだった。
小夜「様々なアプローチからアクセスを試みましたが…制御は全くできませんでした」
Aディケイド「ちっ。だったら無理やりにでも壊して止めて…」
小夜「ダメです!そんなことしたらレモーラさんが!」
W(ショウタロウ)「なんだよ。なら早くレモーラの身体取り返してX bicker止めれば…」
ツカサとショウタロウがどうにかレモーラを救出してX bickerを止めようと画策する中、小夜と当人であるレモーラは何故か手を動かさなかった。
W(ショウタロウ)「何ぐずぐずしてるんだよ!早くレモーラを!」
W(レモーラ)『それが出来ないんだよショウタロウ。今私がX bickerから完全に離れたら、起動装置はメインプログラムを喪失し、暴走する』
小夜「未だにどうにか暴走せずにいるのも、不完全ながらメインプログラムが残ってるからなんです。だからここから完全にレモーラさんを取り出せば、レモーラさんは無事でも街が…」
W(ショウタロウ)「それって…なんだ。つまりどういうことだ?」
W(レモーラ)『私が同期してしまった時点でもう手遅れなんだ。だからここは私を置いて…皆は逃げて」
W(ショウタロウ)「何バカなこと言ってる!…そんなことあるわけないだろ!」
W(レモーラ)『……。』
W(ショウタロウ)「絶対!絶対連れて帰る!…レモーラも救って、街も救うんだよ!」
これまでずっと街を救ってきた街のヒーローにあまりにも辛い現実が待ち構えていた。
相棒を救うのか、街を救うのか。
2つに1つ。
どちらか一方を選んでもどちらかを必ず失ってしまう。
愛する相棒か。
愛する街か。
W(ショウタロウ)「そんなの…あってたまるか。まだ助けられる方法を探そう。そうだ。この装置を作ったやつに聞けば良い!あそこに伸びてる中野を叩き起こして吐き出させればまだ…」
W(レモーラ)『ショウタロウ…』
小夜「ショウタロウくん。両方を救う手は他にないんです。それはこの装置と一体化してしまったレモーラさんが1番よくわかってる…」
W(ショウタロウ)「どけ!今から連れて来てやる!あのクソジジイよくも!」
何とか形を保っている風都スカイタワーの中でショウタロウの悲痛な叫びがこだまする。
そんな中でもメキメキと悲鳴をあげる風都スカイタワー。
徐々にだが確実にカウントダウンは迫っている。
W(レモーラ)『ディケイド。さっきのカード使って』
小夜とレモーラに身体を抑えられてるWから左目が赤く明滅した。
Aディケイド「いいのか。レモーラ」
W(レモーラ)『大丈夫だよ。私こう見えて結構大人なんだからね。可愛くてスタイル良くて頭もいいからさ。周りから天使って呼ばれてたんだよ?ふふっ。…ってそんなこと今はどうでもいいか』
Aディケイド「………。」
W(レモーラ)『なに貴方まで悲しそうな顔してるの?私平気だよ。この街を…ううん。この地球を消させたりはしない。今まで何度もこの街の危機が訪れてきたけど、その度に私たちは守って来た。けど今回は違うみたい。この
W(ショウタロウ)「おい!」
W(レモーラ)『今からもう一度メインプログラムとなってひとつになる。チャージされたエネルギーをこの街に絶対に落とさせない』
幼い天真爛漫な子だと聞いていたのに。
その少女から発せられてるとは思えないほどその決意は固く揺るぎそうになかった。
寧ろ少女より大人であるはずのショウタロウの方が相棒との別れを受け入れられないようだった。
W(ショウタロウ)「何言ってるんだ!そんなことは…」
W(レモーラ)『お別れだよ。ショウタロウ』
W(ショウタロウ)「ダメだ!」
W(レモーラ)『大丈夫だって!私が居なくなってもこの地球がなくならない限りずっと私とショウタロウは相棒だから!」
W(ショウタロウ)「ダメと言ったらダメだ!レモーラとまた一緒に過ごす!離れてしまってたからわかったんだ!そのために俺は…」
W(レモーラ)『ディケイド!』
Aディケイド「……わかった」
覚悟を決めたレモーラになおも反対の意思を示し続けるショウタロウのそばでツカサは絞り出すような声を出してレモーラの気持ちに応えた。
『FINAL FORM RIDE ! DA・DA・DA・W !』
サイクロンサイクロン「さよなら。ショウタロウ」
ジョーカージョーカー「レモーラ!レモーラァァ!!」
半ば強引にレモーラをショウタロウから切り離したAディケイド。
レモーラがショウタロウを突き飛ばすとAディケイドと小夜はが外でホバリングして待機していたハードタービュラーに中野と共に飛び乗った。
X bickerの椅子に座るレモーラにサイクロンサイクロンが同化した次の瞬間。
ツカサたちがいたそのフロアが瓦礫の雨に覆い尽くされた。
そしてメインプログラムを取り戻したX bickerは瞬く間にライトグリーンの光に包まれる。
闇夜に聳え立つ形を失いつつあった風都スカイタワーが建物諸共光に包み込まれると、街全域を光が照らし出し、はるか上空に目掛けて蓄えられたエネルギーが放射された。
ーーーーーーーーーー
???「えー!」
パイント「ほぉ。これはこれは」
光る泉に映し出されるツカサとショウタロウたちの戦いの模様を眺める大小の影が2つ。
何枚も重ね着した特徴的なデザインの白装束を身に纏う色白な青年と少女だった。
少女「どうしてどうして⁉︎レモーラが犠牲になってハッピーエンド?この世界はこれで救われたけど…仮面ライダー居なくなっちゃったじゃん!」
パイント「まさかこの世界でディケイドが為すことがこういうことだったとは。私も驚きを隠せませんね」
少女「確かにただ会うだけじゃダメって言ってたけど…まさか仮面ライダーが死んじゃうなんて」
泉に映る映像が消え、洞窟内が暗くなる。
パイントが少女に施す『教育』は今回はこれで終わりなのか、2人は映像の途切れた泉を見届けると帰路につくため歩き始めた。
少女「ねぇパイント〜」
パイント「なんでしょうお嬢様」
少女「ずっと泉から見て勉強して思ったんだけど、あそこでずっと見るの飽きちゃった。私も『外』に出て直接見たい!」
パイント「何をおっしゃいますか。お嬢様にはまだ早いですよ。第一、万が一許可が下りたとしてもヤード様が許してくれるはずがありません」
少女「なんでー!最近だってパイントどっか行ってたじゃん!私だってヤードやパイントみたいに外に行きたい!行きたい!」
あからさまな不貞腐れ顔をする少女。
一度損ねたら最後、『神殿』に帰るまで機嫌を治すことはなかった。
パイントの努力虚しく少女は繋いでいた手を彼から振り解くと自分の部屋へ向かって閉じこもってしまった。
パイント「やれやれ。年頃のお嬢様のご機嫌をとるのは一苦労ですね」
???「数いる教育者から選ばれたパイントさんでも、お嬢さんの奔放さには手を焼いているみたいだね」
パイント「おや。噂をすれば」
少女が消えていった方向と正反対の方向から右手に分厚い本を抱えたパイントよりも背の低い青年がのっぺりとした抑揚のない口調で声をかけてきた。
彼の名はヤード。先ほど少女とパイントのやりとりの中で名前が出てきた、同じ『組織』のメンバーである。
ヤード「へ?なに噂?」
パイント「いえいえ。こちらの話です。あれ?ヤード。どちらか出掛けてらしたんですか」
ヤード「まあ…そんなところですね。仕事の最中移動してたらちょっと嫌な気配を感じてね。寄ってみたらその世界にディケイドが生まれる瞬間に出くわしちゃってさ。ほら。君も知ってるだろ?」
パイント「ええまあ。お嬢様の教育の一環でさっきまで泉で彼の様子を見ていましたから」
ヤード「そのことをつい先ほど『あの方』に報告してきたんだ。骨が折れるよ。こっちはこっちで片付いてない仕事が山積みなのに」
パイント「そうですか。君たちが所属する分野の仕事はまだ当分落ち着くことはなさそうですね。あの方が自由に動けるようになるまではまだ肩の荷が下りそうにないですね」
ヤード「そう言う君も自分自身の役目の重さに頭を抱えているようだけど。そこら辺はお互い様なのかな」
ヤードは話を終えるとそれじゃあと片手を上げてその場を後にしようとした。
しかしそれをパイントの方が呼び止める。
パイント「ヤード」
ヤード「なんです?パイント」
パイント「ダメ元で聞くんですが、教育の一環としてお嬢様を『外』に連れ出すのは…」
ヤード「ダメ。絶対ダメですから」
パイント「まぁ…そうですよね」
今度こそその場を後にしようとするヤードの背中を見届け、パイントはため息をつき天を仰ぐ。
そして大きく息を吸い込むと何やら意を決したような顔つきに変わった。
パイント「今はダメでもディケイドの旅はまだ始まったばかり。教育が進めば否が応でも『外』に出る機会はやってくる。その時までお嬢様が今のように従順であれば良いのですが」
その場に1人になったパイントはこれからの展開を憂いてその姿を消した。
ツカサと小夜の旅を観察し続ける彼らと、ツカサたちとは別で何やら動きを見せるヤード。
皆が共に共通した白装束を身に纏っていることから組織的な団体を形成していることが伺える。
そしてその組織の長と思われる存在の示唆。
今はまだ接点はない2人。
しかしそう遠くない未来でパイントとツカサは邂逅する。
未だ全貌が見えない彼らの目的はいったいなんなのか。
それはこれからのツカサたちの旅の中で明らかになるかもしれない。
次回。仮面ライダーアナザーディケイド。
「もう終わったんだな」
「ええ。この世界での我々の役目は完了しました」
「実は俺…街を出ようと思ってな」
「ちょ、おい。どこいくんだよ…ん?」
「…あれ?ここどこだ?」
第10話 Wの世界/この街に門出の花束を
すべてを破壊し、すべてを繋げ。