仮面ライダーアナザーディケイド    作:@蛇足

2 / 11
第2話 ライダー大戦 ふたたび

 

 

バックルがカードを読み込み音声が発せられると、ツカサの姿が変わった。

複数のカードの幻影がツカサの体を包み込む。

幻影が晴れて現れたのはマゼンタ色の仮面の戦士。

ツカサの予想通り、夢で見たあの悪魔と同じ姿。

仮面ライダーアナザーディケイド。

それがこの悪魔の…仮面ライダーの名前である。

 

 

 

 

怪しい女「はぁ…漸くどうにかひとつ。役割を果たせました」

 

Aディケイド「でぃああああああ!!」

 

 

 

 

アナザーディケイド(以下Aディケイド)となったツカサは己を奮い立たせるかの如く吠えると、迫り来る怪人の群れに向かって駆け出した。

束になってやってくる怪人の群れを肩を使って抱えるように押し出すと、女が出現させたオーロラカーテンの中へ飛び込んだ。

 

 

 

 

怪しい女「ですが…まだ完遂した訳ではない。次の使命を遂行せねば」

 

 

 

 

女はふらつきながらも乗ってきたバイクに跨るとAディケイドの後をすぐ追う。

オーロラカーテンを先に潜りディケイドと機械生命体が出てきたのは崩壊した高層ビルの中。

破壊されて間もない建物内は柱が何本か折れており、瓦礫で埋め尽くされた辺りからは土煙が舞っている。

閑散とした荒れ果てた場所には人の気配はなく、吹き荒れる風と滴る水音が聞こえてくるだけだった。

 

 

 

 

Aディケイド「よし…」

 

 

 

 

周りを見渡し、1人納得した様子で頷くAディケイドが駆け出した数十秒後。

 

 

 

 

怪しい女「まったく。いきなり飛び込むとか勘弁してください」

 

 

 

 

オーロラカーテンからバイクに乗った女が出てきた。

女はヘルメットを取りバイクから降りると、距離をとってAディケイドと怪人の戦闘を観察し始めた。

 

 

 

 

Aディケイド「はっ!おら!」

 

 

怪しい女「あれは機械生命体ロイミュード。1,2,3,4…全部で5体。さてディケイド。これがあなたの初陣です。どれほどの実力をお持ちなのか拝見させていただきますよ」

 

 

 

 

Aディケイドはロイミュード相手に拳と蹴りを繰り出し応戦する。

が、しかし。

ほとんどが空を切り、全くダメージを与えられなかった。

 

 

 

 

Aディケイド「はあ…はあ…くそ。数が多い…」

 

 

 

 

反対にロイミュードからの攻撃はヒットし、Aディケイドは防戦を強いられる。

Aディケイドと下級ロイミュード。

力量はほぼ互角。

だが数は相手の方が優勢のため、巧みな連携プレーの連続にじわじわとAディケイド側が劣勢となっていった。

 

 

 

 

Aディケイド「くそ。どうすれば…ぐっ…!」

 

 

 

 

数多の攻撃が降りかかる中、背後から不意をついて繰り出された下級ロイミュードの攻撃がクリティカルヒットしダウンしてしまう。

露わになったその隙を別個体の下級ロイミュードたちは見逃さなかった。

仲間がつくった攻撃の隙を容赦なく攻め入り、更なる猛攻を加える姿勢をとる。

下級ロイミュードがポーズを構えると、そこから不思議な衝撃波が繰り出された。

 

 

 

 

怪しい女「これは…マズい!」

 

 

Aディケイド「……?」

 

 

 

 

視覚が揺らぎ、ほんのり耳鳴りがし始める。

ただそれはほんの些細な前兆。

この攻撃の本来の効果がAディケイドと離れたところにいた女に襲いかかった。

 

 

 

 

Aディケイド「…⁉︎ 身体が…動かねぇ…なんだよこれ」

 

 

 

 

どんよりとした空気の重さ…いや時間の重さか。

思考と身体のスピードに大きな隔たりが生じた。

まるで時の流れが止まったかのようにAディケイドと女の動きが悪くなってしまった。

 

 

 

 

怪しい女「これは重加速現象…ディケイド!」

 

 

Aディケイド「あ!お前!なんでここに」

 

 

怪しい女「黙ってわたしの話を聞いてください。相手はロイミュードという怪人です!この現状を打破するためにはドライブの力が必要です!」

 

 

Aディケイド「はあ⁉︎ 何言ってるのか全然わかんねえんだけど!」

 

 

怪しい女「とにかく!ライドブッカーから『ドライブ』のカードを取り出して装填してください!」

 

 

Aディケイド「なんだよそれ!くっそ…!」

 

 

 

 

自由に動けないAディケイドへ下級ロイミュードたちの猛攻が続く。

自分たちの1番の状況が出来上がったと言わんばかりに、その足取りはとても軽やか。

なんとか立ち上がったAディケイドだが、喰らったダメージが多いに身体へ負担を強いていた。

 

 

 

 

Aディケイド「痛えな。けど、やられっぱなしでいられるかよ」

 

 

 

 

掠め取られる意識に気合いを入れて、攻撃を躱し後方へ後退るとAディケイドは夢中でライドバッカーに手を伸ばし1枚のカードを取り出した。

 

 

 

 

Aディケイド「ドライブ…これか?」

 

 

 

ネオディケイドライバー『KAMEN RIDE!DRIVE!』

 

 

 

 

カードがバックルに読み込まれると、Aディケイドの姿にまた変化が起こった。騒がしい音楽を奏でながら、マゼンタ色の姿のそれから赤い色を基調としたボディに胸元にタイヤが生えた怪人…もとい仮面ライダーへと変身した。

 

 

 

 

Aディケイドドライブ「また変わった…それに」

 

女「重加速現象の中でも自由に動くことができます。この隙に反撃を!」

 

 

 

 

女の言う通りドライブの姿に変わったAディケイドは身体の自由を取り戻したようだった。

手を結んで開いてその身軽さを実感している。

Aディケイドの突然の姿の変わりように下級ロイミュードたちは嫌な記憶を思いだしたのか、とても慌てた様子を見せ始めた。

そして統率の乱れた下級ロイミュードがAディケイドドライブへと突っ込んで行く。

 

 

 

 

Aディケイドドライブ「すげぇ。どうってことないぜ」

 

 

 

 

重加速の中、下級ロイミュードたちの無策な攻撃を難なく捌く。

滑らかに繰り出される攻撃に下級ロイミュードがあっけなく地に伏した。

これなら…いける。

 

 

 

 

怪しい女「よし。そのままトドメを」

 

 

 

誰かに聞こえるか聞こえないかくらいの声量で女が呟く。

それがまるで聞こえていたかのように、Aディケイドドライブはライトブッカーから新たなカードを取り出してドライバーへと装填した。

 

 

 

 

ネオディケイドライバー『ATTACK RIDE!MAX FLARE!』

 

 

 

 

カードの効果で姿がまた変わる。

胸元にあしらえられていたタイヤが炎を纏ったタイヤへと入れ変わった。

タイプスピードからマックスフレアにタイヤコウカーンしたAディケイドドライブは、タイヤから供給される炎のエネルギーを纏い下級ロイミュードたちへ渾身の連続パンチを叩き込んだ。

 

 

 

 

下級ロイミュード「…!!!」

 

 

 

 

全弾命中。

壮絶なダメージを受けた下級ロイミュードたちは堪らず倒れこむと5体全員が一斉に爆散した。

 

 

 

 

怪しい女「おー…お見事」

 

 

 

 

素早い攻撃に息が乱れていると、いきなりバックルが展開しカードが射出した。

飛び出したカードを掴み取り、Aディケイドはそのカードを見ると、

先ほどとは違い、ライダーの画の部分が色が抜けたようにモノクロに変化していた。

 

 

 

 

Aディケイド「……。」

 

 

 

 

ドライブの姿が解け、再びディケイドの姿へと戻る。

困惑が続く中、彼の元に重加速現象から解き放たれた女がゆっくりとした足取りで近づいていった。

 

 

 

 

Aディケイド「なんでいる。俺がわざわざ場所移動してきたってのに」

 

 

怪しい女「あれが何なのか知らずに突っ込んでいくなんて、どんな神経しているんですか。並の人間だったら飛び込んだりしませんよ、普通」

 

 

 

 

悠々自適に語り出す女にAディケイドは警戒心を緩めることはしない。

まだ素性のわからない女だ。

目的がわからない以上、油断をするのは得策とは言えない。

 

 

 

 

怪しい女「ふふっ。なんともわかりやすい所作ですねぇ」

 

 

Aディケイド「どういう意味だ」

 

 

怪しい女「仮面の意味が全くないということです」

 

 

Aディケイド「……。」

 

 

怪しい女「まあ…まずは初陣お疲れ様です。総合的な評価はまあ及第点ギリギリといったところでしょうか。まだまだ動きが稚拙で見ていてヒヤヒヤする。しかし今回が初変身。伸びしろは充分にあることでしょう」

 

 

Aディケイド「言いたいことは済んだか?」

 

 

 

 

Aディケイドはのんびりと話す女に急かすように促している。

早く本題を話せ。

そういう意味かと思われた反応だったが、どうやら本心は違ったようだ。

時間の無駄だと言わんばかりに女に背を向け、オーロラカーテンへと進もうとする。

その行動に女の眉が僅かに動く。

しかしすぐに表情を正してAディケイドを呼び止めた。

 

 

 

怪しい女「どこにいくんです?片付いたら説明しろと言ったのは貴方の方では?」

 

 

Aディケイド「"全部"片付いたらと言ったんだ。俺には探さなきゃいけない人たちがいる。その人たちの無事がわかるまで、お前の無駄話に付き合ってる暇などない」

 

 

怪しい女「ほお…言ってくれますね。青二才が」

 

 

Aディケイド「……。」

 

 

怪しい女「確かに。あなたの言う通り全部片付いた訳じゃない。他にもいろんなところで、この世界に来た怪人たちが好き放題に暴れ回っている」

 

 

Aディケイド「なに?だったら早く…」

 

 

 

 

女は詰め寄ってくるAディケイドの言葉を待たずに、自分たちが出て来たオーロラカーテンを操り、自らの身体を潜らせた。

透明なカーテンに飲み込まれ、2人はまた空間を移動する。

今度出て来た場所は大型の複合施設の中。

吹き抜けのある開けた場所だ。

まだ日は沈みきっていない時間なのに、電気が着いていないとここまで暗いのか。

いや、1番の原因は空を分厚覆う暗雲だろう。

尋常ではない量が空一面を覆っている。

それでいて本来賑わってるはずの場所故に、この静けさが不気味さを一層醸し出している。

そしてここもまた人気のない場所だった。

 

 

 

 

Aディケイド「いきなりなにすんだ!危ねえだろ!」

 

 

怪しい女「貴方がそれを言いますか」

 

 

 

 

Aディケイドの物申しに声だけで答える女。

体を背にし、飄々とした様子で辺りを見渡している。

そんなリアクションに対し、Aディケイドは言葉を吐き捨てながら抜けていた腰に力を入れて立ち上がる。

ここもというべきか、屋内は全体怪人の襲撃でひとたまりもない有様だった。

 

 

 

 

怪しい女「ここも酷いですね」

 

 

Aディケイド「人の気配がない。運良く居合わせなかったのか?それとももう………ん?」

 

 

 

 

荒れ果てた建物の中でAディケイドが気になった点を見つける。

何ヶ所か抉れて、中身のコンクリが剥き出しになっている数本の柱にそれは巻きついていた。

装飾として置かれた植物ではない。

これは紛れもなく自然に生えてきた本物の草木と蔓。

 

 

 

 

Aディケイド「どうしてこんなところに植物が。しかもこれ、まるでついさっき生えたみたいに…」

 

 

怪しい女「……。」

 

 

Aディケイド「……?」

 

 

 

片膝立ちで植物を見るAディケイドが女が大人しいことが気になり振り返る。

女は眉を顰めて一点を見ていた。

しかし女は視線が向けられたことに気づくと咄嗟に姿勢を正してAディケイドの元へ歩き始める。

一瞬であったため全貌は見れなかったが。

女は間違いなく痛みを堪えるように左手で右腕を抑えていた。

 

 

 

 

Aディケイド「どうした。何かあったのか」

 

 

怪しい女「いえ。なんとも」

 

 

Aディケイド「…そうか」

 

 

怪しい女「…突然発生した植物ですか」

 

 

Aディケイド「おそらく。なんだ?見たことがあるのか」

 

 

怪しい女「ええ。実物は初めてです。これは………なるほど。大体わかりましたよ。ここを襲った敵の正体が」

 

 

Aディケイド「なに?」

 

 

 

 

直後。

ドゴーンと壁をぶち破る音が2人の背後で轟いた。

咄嗟に振り返った視線の先には土煙に塗れた怪人の姿が。

ゾロゾロ出てくる怪人のその見た目は、虫のような顔に大きな甲羅を背負っていて。

体組織に色の違いはあれど、大まかな体の特徴は共通している。

とても気持ち悪い怪人だった。

 

 

 

 

怪しい女「初級インベス。やはり思った通り」

 

 

Aディケイド「あれがここをめちゃくちゃにした奴の正体か」

 

 

怪しい女「早く手を打ちましょう。このまま奴らを放っておけば、人々がインベスへと変わり果ててしまう」

 

 

Aディケイド「だったら尚のこと、ぶっ飛ばしてやらなければな!」

 

 

怪しい女「奴らを相手にするには…ってちょっと!いきなり飛び出さないでください!」

 

 

 

 

Aディケイドが女の言葉を最後まで持たずに初級インベスの群れへと突っ込んでしまった。

闇雲に駆け出したAディケイドに初級インベスは驚いた反応を見せつつもすぐに臨戦体制へと移り変わり構える。

 

 

 

 

Aディケイド「でぃあ!おらぉ!」

 

 

 

 

無我夢中で拳を振り回すAディケイド。

しかしここでもまたAディケイドの拳は空を切り、さしたるダメージは与えられない。

初級インベスたちは難なく攻撃を躱し、しっかり反撃を与えてくる。

 

 

 

 

Aディケイド「痛えってくそ!」

 

 

怪しい女「だから言ったのに…。ディケイド!今のあなたじゃ手も足も出ません!インベス相手には鎧武の力が有効です。ライドブッカーから鎧武のライダーカードを!」

 

 

Aディケイド「ちょっと癇に障った言葉には目を瞑るとして…さっきからそのディケイドって呼ぶのやめろ!なんか気に入らねえ…」

 

 

 

 

Aディケイドは女に野次をとばしながらインベスから距離を取ると、ライドブッカーに手を伸ばした。

そして『GAIM』と書かれたライダーカードを取り出し、バックルへと装填する。

 

 

 

 

ネオディケイドライバー『KAMEN RIDE!GAIM!』

 

 

 

 

バックルから読み込まれた音声が轟くと、先ほどと同じようにAディケイドの姿が変化した。

マゼンタ色の身体を紺色のライドウェアが包みこむと…どこからともなく空に現れた、大型の果物がAディケイドへと降り注いだ。

 

 

 

 

Aディケイド「うわ!」

 

 

 

 

大型の果物…もといオレンジがAディケイドの頭上に落ちると、パカっと展開して鎧に変形し上半身を覆う。

装着が完了すると彼の右手にはオレンジをスマイルカットしたような見た目の武器、『大橙丸』が握られた。

先ほどとはまたガラッと姿が変わったAディケイド。

現れたのはフルーツ鎧武者、仮面ライダー鎧武。

ドライブ同様、カードに描かれた同じ姿の怪人だった。

 

 

 

 

Aディケイド鎧武「びっくりした。今度はなんだ」

 

 

怪しい女「それが仮面ライダー鎧武。かつてインベスとの長い戦いを制し、討ち破ったとされる鎧武者の姿です」

 

 

Aディケイド「随分と奇抜な見た目をしてるな。まあこれでコイツらと戦えるってんなら文句はない」

 

 

 

 

Aディケイド鎧武は大橙丸を振り回して自身に迫り来るインベスの群れに対して身構えた。

そして大橙丸で容赦なく初級インバスを切り付けていく。

その動きはとても野蛮で武士の洗練された動きとはまるで違う。

粗雑でとても破天荒なものだった。

だが。

先程の空振りが嘘のように、怒涛に襲ってくるインベスの魔の手を大橙丸で応戦し切り返していく。

 

 

 

 

Aディケイド鎧武「はあ…はあ…」

 

 

怪しい女「未熟ですね。でも…勇猛果敢に行くだけあります。荒削りながら戦いに順応していっている。期待通りです」

 

 

 

 

Aディケイド鎧武の攻撃でインベスの数が確実に撃破されていく。

女が賞賛するようにロイミュードと戦っていたよりも早くも成長が見られ始めていた。

そのはずなのだが。

 

 

 

 

 

Aディケイド鎧武「くそ…!埒があかねえ。どれだけいるんだよ」

 

 

 

 

彼の前に立つインベスの数が一向に減らない。

それどころか徐々に増えている。

よく見てみると、戦っている場所から少し離れたところ。

最初にインベスが湧き出てきたあの穴から絶えず初級インベスが湧いて出てきていた。

撃破するインベスの数を上回る初級インベスがゾロゾロと出てきている。

次第に通路が塞がれるほどまでとなり、通路は密集し始めた。

やかてAディケイド鎧武の撃退が首を回らなくなると、遂に奥へと追いやられていってしまった。

 

 

 

 

Aディケイド鎧武「あーもう!どうすりゃいい!」

 

 

怪しい女「ディケイド!ライドブッカーからカードを。新たなカードでこの状況を打破してください」

 

 

Aディケイド鎧武「新しいカードってもっと具体的な………ん?」

 

 

 

 

先ほどより遠くから女の声が聞こえてくると感じ、Aディケイド鎧武が振り返る。

声の主である女が先程までいた場所にいない。

視線を上げて見ると、女はなんと2階のフロアからこちらを見下ろしていた。

 

 

 

 

Aディケイド鎧武「いつの間にあんなところに」

 

 

怪しい女「何をぼーっとしてるんです!集中してください」

 

 

Aディケイド鎧武「あいつ…あとでぶっ飛ばしてやる」

 

 

 

いつの間にかちゃっかり離れたところへ避難していた女からアドバイス(?)を貰い、Aディケイド鎧武は言われるがままライドブッカーへ手を伸ばした。

そしてバックルを展開すると取り出したカードを勢いよく挿入した。

 

 

 

 

ネオディケイドライバー『ATTACK RIDE!DANDE LINER!』

 

 

Aディケイド鎧武「さて、お次はどんなカードだ?」

 

 

 

 

カードを読み込んだバックルから音声が読み上げられると、側に停めていた女が乗ってきたバイク…マシンネオディケイダーが変化した。

 

 

 

 

Aディケイド鎧武「なんだよ。俺にじゃないのかよ」

 

 

 

 

二輪のバイクからタイヤのないエアーバイクへ。

さながらたんぽぽのような見た目のスタイリッシュなエアーバイクへ変化した。

ぼそぼそとごねりながら、マシンネオディケイダーが変化したダンデライナーへ跨るとAディケイド鎧武は手探りで操縦を試みる。

 

 

 

 

Aディケイド鎧武「くっ。この」

 

 

怪しい女「……。」

 

 

Aディケイド鎧武「なるほど。上から一斉に攻めろってことね」

 

 

 

 

勝手がわかった様子のAディケイド鎧武がおぼつかない操作で浮上する。

下からの放たれる攻撃を躱しながら旋回して最高高度まで浮上すると、一点に狙いを定め一斉にビームを掃射した。

 

 

 

 

初級インベス「……!」

 

 

 

野太い一本線がインベスの群れへ伸びていく。

強力なビームを浴びた初級インベスたちは声にならない悲鳴を上げると、連鎖して爆散した。

 

 

 

 

Aディケイド鎧武「はあはあ…!よし」

 

 

怪しい女「お見事」

 

 

 

 

 

初級インベスを撃破。

Aディケイド鎧武はそのまま女のいるところまでダンデライナーを操縦した。

ひとこと文句を。

そのつもりで着地した直後、バックルからカードが射出する。

慌ててカードを手に取ったAディケイド。

先程と同様、その姿はまた元に戻っていた。

カードを見てみるとこちらも同じように、色が抜けてしまっており、力が消えてしまった状態となっていた。

 

 

 

 

Aディケイド「またか」

 

 

怪しい女「やはり…ダメですか」

 

 

Aディケイド「…ダメ?あのな、別に丸腰のアンタにずっと危険な所に居ろって言う訳じゃないが、こっちが命削って戦っているってのにそうふんぞり返られるのも………」

 

 

 

 

 

???「ぎゃあー!」

 

 

 

 

 

Aディケイド&女「⁉︎」

 

 

 

 

怪しい女が何かを感じ取った直後。

Aディケイドの言葉を遮るようにフロア全体に誰かの叫び声が響き渡った。

若い女の声か。位置からして結構近いところにいる。

まさか、生存者がいるのか。

 

 

 

 

Aディケイド「行くぞ」

 

 

怪しい女「ええ」

 

 

 

 

僅かなやり取りを交わし、急いで向かう2人。

同時に駆け出した2人だったが、Aディケイドの圧倒的な脚力で女とみるみる距離を突き放して行く。

あっという間にちぎり、1人先に辿り着くとそこには。

初級インベスに囲まれ、絶体絶命な状況に追い込まれた生存者…リョウタとカンナの姿があった。

 

 

 

 

Aディケイド「リョウタとカンナ⁉︎なんでこんなとこに…!」

 

 

 

 

初級インベスの数が多すぎてはっきりと見えないが、端まで追いやられてしまったせいで逃げ場を失ってるようだった。

チラチラと影から見え隠れする2人の表情は絶望の色に染まっている。

このままでは2人がやられてしまう。

Aディケイドは考えるより先に身体を動かしていた。

 

 

 

 

Aディケイド「リョウタ!カンナ!」

 

 

リョウタ「その声…ツカサか?近くにいるのか⁉︎」

 

 

カンナ「ツカサー‼︎ここだよ!助けて‼︎」

 

 

 

 

群れに突っ込むAディケイドは勢いをつけてタックルを決め込むと無我夢中で殴りかかった。

突然の敵の来訪にリョウタとカンナを狙っていたインベスの意識が逸れ、Aディケイドの方へと集ってゆく。

インベスの群れがターゲットを変え、別の動きを見せた。

 

 

 

 

Aディケイド「てめえら誰に手出そうとしてるかわかってんだろうなあ…!」

 

 

 

 

死を覚悟していたリョウタとカンナは、怪人の意識が自分たちから逸れたことを知り、安堵する。

ツカサが…ツカサが助けに来てくれたんだ。

涙を流し待っていると、怪人がどんどん倒され徐々に視界が開いていく。

そんな2人の目に飛び込んできたのは。

襲ってきた怪人と何ら見た目の変わらない化け物が荒々しく怪人を蹴散らしている様だった。

 

 

 

 

リョウタ「⁉︎」

 

 

カンナ「ぎゃあああああ!」

 

 

 

 

悲鳴と唸り声が交差する戦場でばったばったとインバスが倒れていく。

その近くで遅れてやってきた女がようやく姿を現した。

 

 

 

 

怪しい女「まだインベスがこんなところに…。鎧武の力を使ってしまった今、彼はどうするのでしょう」

 

 

 

息を切らして到着し、戦況を把握する。

彼女の目に飛び込んできたのは荒々しく戦うAディケイドがライドブッカーからカードを取り出している瞬間だった。

 

 

 

 

ネオディケイドライバー『ATTACK RIDE!SLASH!』

 

 

 

 

Aディケイドがカードを取り出したライドブッカーを今度はまるごと手にとって構える。

ライドブッカーはソードモードに変化したことでインベスの撃破に拍車が掛かった。

先ほどまでの未熟さが嘘のように澱まない身体捌きで仕留めていくAディケイド。

そして。

最後のインベスを倒すと、地に伏していたインベスと同時に爆散した。

 

 

 

 

Aディケイド「大丈夫か!2人とも!」

 

 

 

ライドブッカーを納刀しツカサが2人の元へ駆け寄る。

ずっと探していた2人。

安否を確認する声をかけつつも、特別大きな怪我がないことがわかり安堵のため息を吐き出した。

けれど。

助けられたリョウタとカンナからは想像とは違った反応が帰ってきた。

 

 

 

 

カンナ「来ないで!」

 

 

リョウタ「や、やめろ!それ以上近づくな…!」

 

 

Aディケイド「は?こんな時に…」

 

 

 

 

2人の反応にツカサは理解ができなかった。しかしその後すぐに悟った。カンナを守るようにリョウタ前に塞がっている。まるでこちらに敵意を示すように。

 

 

 

 

怪しい女「どうやら既に片付いてしまったようですね」

 

 

リョウタ「や、やめろ!それ以上近づくな…!」

 

 

怪しい女「ん?あれは」

 

 

 

 

遅れてやってきた女が目撃したのは蹴散らされた大量の初級インベスと2人の男女に迫ろうとしているAディケイドの姿だった。

男と女はAディケイドに怯えている。

女は急いで駆け寄ると双方の間に割って入った。

 

 

 

 

怪しい女「ディケイド」

 

 

Aディケイド「…!」

 

 

怪しい女「ここはもう片付きました。次の場所へ行きますよ」

 

 

Aディケイド「…ああ」

 

 

 

 

腕を伸ばしオーロラカーテンを手繰り寄せる女。

顔を歪ませながら力を込める。

画面の奥で彼はどんな顔をしているのだろうか。

落ち込んでいるのか泣いているのかわからない。

そんな事情など露ほども知らないリョウタとカンナは人間の女が現れたことで多少は安堵したのか、先ほどより警戒心は無くなったように見えた。

旧知の仲でも見た目が違えば容赦ない感情を向けられる。

Aディケイドは悲しい仕打ちに堪えながらオーロラカーテンに包まれるその瞬間まで2人から目を離すことはなかった。

 

 

 

 

 

 

 




次回。仮面ライダーアナザーディケイド。


「私立探偵…森谷アキコ?」

「ガイアメモリにドーパント…。どうやらここは『W』の世界のようです」

「仮面ライダーに最も近い男か。なんだかゾクゾクしてきたな」

「存分に成果を発揮してくれよ。仮面ライダーの片割れよ」




第3話 Wの世界/ようこそ。清き風吹くこの街へ


すべてを破壊し、すべてを繋げ。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。