仮面ライダーアナザーディケイド    作:@蛇足

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第5話 Wの世界/話題を攫うダブルを探せ

 

 

ツカサ「ここが風都スカイタワーか。間近で見るとすげー迫力だな」

 

小夜「いつまでそうして突っ立ってるんです。早く行きますよ」

 

 

他の建造物をも類さない唯一無二の高さとデザインを誇る電波塔件観光名所。風都スカイタワー。

その存在感を十二分に味わったツカサと小夜が建物内に入るとそこは多くの利用客でごった返していた。

入館料を支払い中に入ると、とある一点のブースに人が集中しているのが見えた。その部屋の壁面には『RADIO BOOTH』と書かれている。

綺麗で気品のある女性DJと仏頂面でやり取りを行う堅物そうな男。

言うまでもなくそこではラジオの公開収録が行われていた。

 

 

ツカサ「番組はまだ終わっていないようだな」

 

小夜「どうやら案内板を見る感じ、番組が終わるのはだいぶ先のようですね」

 

ツカサ「そんなの待ってられるか。他に手掛かりがないか探しに行くぞ」

 

 

有無を言わさない姿勢でツカサは風都スカイタワーを後にしようとする。しかしそんなツカサの様子にびくともしない小夜を見てツカサは苛立ちをあらわにした。

 

 

ツカサ「なにのんびりしてるんだ。急げって言ったのそっちだろ」

 

小夜「いったい何を焦っているんです?現在この世界に『滅びの現象』は現れていません。つまり、まだ急を要する事態に陥っていないと言うことです。余り事を急ぎすぎては事態は暗転してしまいますよ」

 

ツカサ「あんたこそなに悠長なこと言ってるんだ。アンタ見てたよなその目で。俺らの世界が怪人にメチャクチャされていたのを。俺は自分の世界を救うためにアンタの話にノッてここにいるんだ。ひとりでも少ない犠牲で早く問題を解決しなければ意味ないんだよ」

 

小夜「なるほど。そういうことですか」

 

ツカサ「あ?どういうことだ」

 

小夜「こうしている間にもあなたの世界が滅びへと向かっていると思われているようですが、問題はありません。私共が旅を終えるまで、私の仲間達がアナタの世界を生きながらえさせています。あの時アナタに見せたような…チカラを用いたりしたりね」

 

ツカサ「なに?」

 

小夜「というわけで、少しリラックスしていきませんか。ずっと糸が張り詰めていては、いざという時切れてしまいますからね。ほらこの上。展望フロアにもこの街のヒーローを取り扱うブースがあるようですよ。行きましょう」

 

ツカサ「……。」

 

 

中に入ってすぐ目に入った中央エレベーターは展望フロアへと直通となっていた。小夜は煮え切らない表情を浮かべるツカサに特に声をかけることなく先を進む。そしてエレベーターに乗ることおよそ30秒ほど。この世界の街を一望できる展望フロアへと到着した。

 

 

小夜「まあ。意外と良い眺めですね」

 

 

地上から相当高い位置にあるにも関わらず中々広めのスペースを誇る展望フロア。街を見下ろしてみている観光客の他少し足を進めると仮面ライダーであろうキャラクターの特大パネルがあしらえた『仮面ライダー特集』なるブースが存在した。

 

 

ツカサ「これがアンタの言うこの世界の仮面ライダーか」

 

小夜「ええ。仮面ライダーW。この街の悪から平和を守った仮面ライダーです」

 

ツカサ「へぇ。このハンブンコ怪人みたいなのがねえ」

 

???「はっはっはっ。ハンブンコ怪人とは。中々斬新なセンスをお持ちですな」

 

 

キャスター付き有孔ボードで作られたお手製仮面ライダーブースの掲示物を見ていると、首からスタッフの証明書を下げた白髪混じりの老齢の男が声をかけてきた。

 

 

中野「いや失礼。私はこの風都スカイタワーのスタッフの中野というものです。皆がキラキラとした眼差しで展示物を見ていた中でふとお二人のやりとりが風に乗って聞こえてきましてね。お宅の彼氏さんのセンスに思わず吹き出してしまいました」

 

ツカサ「いや。別にコイツとはそういう関係じゃない」

 

 

後ろに腕を組みガバガバと笑いながら話す中野。その人当たりの良さと笑うと目がなくなる笑顔は初対面の人間の緊張をもほぐす、不思議な力があった。

 

 

中野「お二人さんこの街の人じゃないね。観光客?」

 

小夜「…えぇ。まあ、そんなところです」

 

中野「やっぱりねぇ。そうだろうと思ったよ」

 

 

中野は笑いながら『そうでなければ街のヒーローをそんな風に呼ばないからね』と付け加えた。

 

 

中野「何か調べ物かな?探偵さん」

 

ツカサ「おぉ…。」

 

小夜「そんな構えないでください。この街で有名な仮面ライダーを一目でも見ようとやってきたのです。ですがどうやらもう居ないようですね。ラジオでも拝聴しましたが、役目を終えた仮面ライダーはどこかへ姿を消してしまったのだとか」

 

中野「えぇ。ほんとうにどこへ行ったのやら。街の平和のシンボルが居なくなってしまうとはの人々が不安に襲われてしまうと言うのに」

 

小夜「ですが、平和だからこそ姿を消して良かったのではと言う声も聞きました。平和を脅かす悪が居なければそもそも必要なかった存在なのですから」

 

中野「ほお…お嬢ちゃん。中々独特な感性をお持ちですね」

 

小夜「お嬢ちゃんはやめてください。私は立派な大人の女性ですよ」

 

 

和気藹々とした雰囲気の中にどこかどんよりとした雰囲気が交わったような感覚を覚える。

その正体が何なのかツカサは分からなかったが、これ以上ここにいるのが気まずく感じ、中野への挨拶をそこそこに小夜を連れこの場から無理矢理離れていった。

 

 

ツカサ「おいおい。何言ってんだお前。仮面ライダーはこの街の人たちの希望なんだぞ?あの掲示物見てただろうが。ああいう人たちにヒーローを貶すような言葉をかけるなんてバカか?」

 

小夜「そうでしょうか。少なくともあの中野という男はそうは思ってないと思いますよ」

 

ツカサ「は?何を根拠に」

 

小夜「ただの私の印象です」

 

ツカサ「お前な…」

 

小夜「私が仮面ライダーの不在に対して肯定的な発言をした時、どこかあの男の目に力が宿ったように感じたのです。それはどこか『同志を見つけた』というような…そういう類のもの」

 

ツカサ「おい。本当なのかそれ」

 

小夜「本当も何にもこれは私の印象の話にすぎません。それよりも私は先程からこちらをずっとつけてくる男の存在が気になります」

 

ツカサ「⁉︎」

 

 

下へ行くエレベーターを待つ中、後ろを振り向こうとするツカサを小夜が落ち着いた様子で制した。

 

 

小夜「振り向いてはダメです。私たちがあちらの存在に気づいたことがバレてしまいます」

 

ツカサ「いったいいつから」

 

小夜「ブースであのスタッフと話している時からです」

 

ツカサ「でもなんで後を着けて…」

 

小夜「分かりません。もうすぐエレベーターが来ます。気づかないふりをしてやり過ごしてください」

 

 

観光客に紛れてツカサと小夜は中に入る。

観光客たちの楽しそうな会話に包まれながらエレベーターは1階フロアに到着する。

ツカサと小夜をつけていた男は乗り込んだ順番的に2人の目の前にいる。そして男は先に降りると他の観光客の姿に紛れて姿を眩ましてしまった。

 

 

ツカサ「おい。どっか行っちまったぞ」

 

小夜「そのようですね」

 

ツカサ「ほんとに後つけられてたのか?」

 

小夜「そうだと思ったのですが」

 

ツカサ「……。」

 

 

 

 

キャーーー!

 

 

 

 

 

ツカサ&小夜「⁉︎」

 

 

ラジオブースの方から悲鳴が聞こえた。

そこには1人の男が奇妙なアイテムを持って奇声を発している姿があった。

観光客が男の周りを後ずさっている。

恐怖のあまり場は混乱に陥ってパニック状態と化していた。

 

 

ワカナ「キャーー!」

 

ソウキチ「白南風さん!下がって!」

 

発狂している男「ワカナ姫〜なんで逃げるのぉ〜?俺が幸せにするって言っただろぉぉぉぉぉ!」

 

 

ガイアメモリ『VIOLENCE』

 

 

男が握っていたガイアメモリからガイアウィスパーが轟くと男は自分の身体に突き刺した。

男の姿が禍々しい姿へと変わる。

筋骨隆々とした姿の怪物。

バイオレンスドーパントが現れた。

ただなるぬ事態にツカサと小夜の身体が動き始める。

 

 

小夜「ディケイド!」

 

ツカサ「ああ!」

 

 

ツカサは懐からネオディケイドライバーを取り出して腰に巻いた。

出現したライドブッカーからカードを取り出すとバックルに装填する。

そして。

 

 

ツカサ「変身!」

 

 

『KAMEN RIDE!DECADE!』

 

 

仮面ライダーアナザーディケイドに変身したツカサはパニックに陥る観客をかき分けて、今まさに白南風ワカナに飛びかかろうとしたバイオレンスドーパントに向かってる強烈なタックルを繰り出した。

 

 

バイオレンスドーパント「ぐわぁ⁉︎」

 

ソウキチ「……!」

 

Aディケイド「お前ドーパントだな。さっき上で勉強してきたばっかだ」

 

 

ワカナの前に立ち塞がったソウキチよりも先に先手を打ったAディケイド。パンチや蹴りを乱打し、風都スカイタワーの外へと追いやる。

ワカナの身を案じつつもソウキチは、突然現れた存在に驚きを隠せなかった。彼の他に、ツカサと小夜の後をつけていた若い男も変身したAディケイドの姿を目で追っていた。そして、騒ぎを掻きつけて1階へやってきた中野も。

 

 

Aディケイド「はっ。ここならまだ暴れられても大丈夫だろう」

 

バイオレンスドーパント「な、なんだお前は!この俺の前に立ちはだかるとは…失せろぉ!」

 

 

バイオレンスドーパントの豪快な大振り攻撃は戦闘に慣れていないツカサですらも難なく避けられるものだった。軽快な身のこなしで次々と降りかかる攻撃を躱しきると反撃のパンチと回し蹴りをお見舞いした。

 

 

小夜「……。」

 

 

『ATTACK RIDE!SLASH!』

 

 

バイオレンスドーパント「ぐわぁ!!」

 

 

小夜 (まだドライバーを手にして間もないと言うのに。少しずつ、だが確実に適応していってる。私のサポートも無しにその場そのタイミングで適切なカードの選択を行っていることからも…これは思ったより早い成長が見込まれますね…)

 

 

百発百中。Aディケイドの斬撃は全てバイオレンスドーパントにヒットした。

度重なるダメージに相手の身体が遂に地に伏せる。

小夜をはじめ、この戦いを見守っていた観光客が皆『謎のドーパント』が勝つ。

そう確信するくらいAディケイドは圧倒していた。

 

 

Aディケイド「パッと見た感じアンタあのラジオDJの熱烈なファンか?とてもじゃないが誉められたアプローチには見えなかったがな」

 

バイオレンスドーパント「黙れ黙れ黙れ!なんでどいつもこいつも邪魔をする⁉︎オレがワカナ姫を幸せにするんだぁぁ!」

 

 

もはや捨て身とも取れる攻撃を仕掛けてくるバイオレンスドーパント。こちらに無鉄砲に突っ込んでくる相手に対し、Aディケイドは冷静な態度でライドブッカーからカードを取り出すとバックルへと装填した。

 

 

『FINAL ATTACK RIDE!DE・DE・DE・DECADE!』

 

 

バイオレンスドーパント「ぐあぁぁぃぁぁぁあ!」

 

 

Aディケイドが繰り出したライダーキックはバイオレンスドーパント目掛けて盛大にヒットした。

相手が今までで1番の断末魔の悲鳴を上げるとその身体はゆっくり倒れて…爆散した。

 

 

Aディケイド「ふぅ。これで一件落着か」

 

小夜「……。ん?」

 

Aディケイド「なんだ。手際がいいな。警察のお出ましか」

 

 

ガイアメモリが砕け散り、男が元の姿に戻った頃。

誰かがこの騒ぎを通報したのか、サイレンを轟かせて複数台の警察車両が風都スカイタワーの目の前に停まった。

意識が朦朧とする男へ駆け寄った警官たちが男の容体を確認して救急車両へと運搬する。

そして残りの警官たちはSATと共にAディケイドへ一斉に振り返るとゾロゾロと近づいてきた。

 

 

Aディケイド「なんだガイアメモリ犯罪の解決への礼か?参ったな。感謝状を送られるほど大したことはしてないんだが…」

 

 

Aディケイドもまた警官へ歩み寄ろうとした時。

警官とSAT達が一斉に拳銃をAディケイドに向けて構えた。

そして現場の長とみられるスキンヘッドの渋い顔した男が拡声器を使いAディケイドへ声をかける。

 

 

Aディケイド「……。え?」

 

倉野「私は超常犯罪捜査課の倉野だ。善良な市民を代表して告ぐ。今すぐ無駄な抵抗をやめて武装を解きなさい。こちらの要望に応じない場合は強行手段を取ることもやむを得ない。我々は平和的解決を望むため手荒な真似はしたくない。繰り返す。今すぐ無駄な抵抗をやめて…」

 

ツカサ「ちょっとちょっと。どうなってるんだよ!」

 

小夜「……?」

 

 

変身を解いたツカサは倉野の支持に従い、両腕を後頭部に組みながら地面に頭をつける。そして一斉に警官たちに取り押さえられると警察車両へ連行されてしまった。

まるで台風が過ぎ去ったような静かさが訪れる風都スカイタワー前。

場が騒然としている中小夜は息を殺していると、現場確認を行なっている警察関係者の中で先ほどの倉野と名乗った男がソウキチのもとへ近づいていった。

 

 

倉野「ご協力に感謝します。善良市民どの」

 

ソウキチ「なにが善良市民どのだ。大袈裟に敬礼なんかしやがって」

 

 

2人のやりとりを物陰から見ていた小夜は確信した。

警察に通報したのはあの佐川ソウキチという男だと言うことを。

そしての雰囲気からしてどうやらただの刑事といち一般人ではないということも。

 

 

倉野「またドーパントか。敵の大ボスは仮面ライダーが倒したんだし、おかげでゆっくりできると思ったんだがな。まだ残りがいやがったとは」

 

ソウキチ「お前が来てくれたおかげで事態は大きくなることなく収拾がついた。感謝する」

 

倉野「なに。新しい警視が来るまでの間だけだ。上も敵の本腰を叩いたことでガイアメモリ犯罪は減少する見込みだと睨んでいることから、ウチの課ももうすぐ人事異動がはじまる。要は規模の縮小だな。そうなったら今回みたいにすぐ駆けつけてやることが出来なくなるかもしれねぇ。上が入知恵してる新しい警視殿はきっと俊敏に動いてくれないだろうからな」

 

ソウキチ「そうか。今回の件でその"上”が考え直してくれればいいけどな。それと、この彼女なんだが。外傷は見られないが先ほどのドーパントに襲われた被害者だ。念の為そっちで見てもらえないか?」

 

倉野「わかった。部下たちに手配させる。それと例の"件"だが…ちょっと付き合え」

 

小夜「……?」

 

ソウキチ「…あぁ。わかった」

 

 

白南風ワカナを連れてソウキチと倉野がこの場を後にした。

1人になった小夜はソウキチたちの後を追おうと足を進めようとした時だった。

誰かに肩を掴まれ、動きを止められた。

腕の正体は展望フロアでみた怪しげなあの若い男だった。

 

 

小夜「……。」

 

若い男「おい。少しいいか?」

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 

 

???「はい。今日はここまでです」

 

???「えーっ。パイント〜続き見せてよ〜」

 

パイント「これ以上ここに居てはあの方に怒られてしまいますよ。続きはまた今度」

 

 

ツカサが警察に連れていかれる様を、プロジェクターの如く泉に反射した映像で見ていた人物が2人。

そこは井戸とも取れる形をした洞窟のような所で色白の青年ととても幼い幼女がツカサたちの動向を見ていた。

 

 

???「やだ〜!もっと見たい〜!仮面ライダーの歴史を勉強する為に必要なんだもん!」

 

パイント「こういうときだけ都合の良い物言いを…。いけない方ですね」

 

 

パイントと呼ばれた青年は不貞腐れてしまった幼女の手を引き、洞窟を後にしようと歩き出した。

 

 

???「………。」

 

パイント「どうしましたお嬢様。何か考え事ですか?」

 

???「んー…。でぃけいど達があの世界でやることってなんなのかな〜って考えてた。普通に仮面ライダーに会うだけで良いのかな?」

 

 

幼い子がディケイドが訪れる先々の使命について考えを馳せている。

それを知って青年はとても不気味な笑顔を浮かべた。

 

 

パイント「いい質問ですね。お嬢様が思考を深めて下さって私はとても感慨深いです。先ほどの疑問ですが、当然それだけではいけません。仮面ライダーと出会って何を為すか。そこがポイントです」

 

???「何言ってるかわからない!もっとわかりやすく言って!」

 

パイント「おやおや。お嬢様にはまだ少々難しかったみたいですねぇ…」

 

 

仮面ライダーの歴史を学んでいるといった幼い女の子。

その幼女の側を歩くこの青年はいったい何なのか。

答えのわからない謎が浮かび上がる中、2人は洞窟からでて地平線の彼方まで歩いて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 






次回。仮面ライダーアナザーディケイド。


「どうだ?身元は割れたか?」

『俺はドーパントじゃねぇ!!!』

「俺は佐川ショウタロウ。職業は学生だ」

「俺は認めねぇ。ヤツが仮面ライダーだなんてな」

「アンタに依頼をしたい。内容はこの子の奪還だ。」

「レモーラ?」

「あんたら仮面ライダーを探してるんだろ?俺は知っているぞ。仮面ライダーがどこにいるのか」



第5話 Wの世界/飛んで火に入る風の虫


すべてを破壊し、すべてを繋げ。


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