仮面ライダーアナザーディケイド    作:@蛇足

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第9話 Wの世界/悪魔との相乗り

 

 

小夜「……!」

 

Aディケイド「あれが、仮面ライダーW…」

 

 

ショウタロウの機転が功を制し、街のヒーローが再誕した。

身体の縦中央からセパレートされた緑と黒のボディ。

仮面ライダーW/サイクロンジョーカーが現れた。

 

 

W(レモーラ)『私を呼び戻すなんてやるじゃんショウタロウ!』

 

W(ショウタロウ)「ああ…相変わらず能天気だなお前は」

 

W(レモーラ)『でもどうして?どうして…』

 

小夜「どうして変身が…?どういうカラクリなのか。レモーラさんは今どういう…」

 

 

サイクロンメモリと一緒に戻ってきたレモーラの声と重なるように小夜の疑問の声が上がった。

レモーラは、目の前の(というよりひとつになった)ショウタロウの存在に驚きを隠せない様子だったが、ショウタロウはそんなレモーラの反応には返さず、後者の小夜の疑問にだけ答えた。

 

 

W(ショウタロウ)「Wの変身システムをちょっと応用してな。レモーラの意識をサイクロンメモリに乗せて呼び寄せた」

 

小夜「訳がわかりませんが…良いのですか?そんな事をしたら、精巧に稼働していたX bickerはメインプログラムを喪失して…」

 

W(ショウタロウ)「ああ。バグを起こして大惨事になる」

 

 

メインプログラムとして機能するはずだったレモーラを失い、X bickerは不協和音を奏で、過剰な光の明滅を繰り返し始めた。

完璧に起動していたX bickerが徐々に機能を低下させていく。

 

 

小夜「そんな。これほどの巨大なシステムがバグを起こしたら、いったいどうなるか…」

 

W(ショウタロウ)「質疑応答はここまで。そろそろ向かわないとあっちがやばそうだからな。アキコさんの質問は後で受け付ける。それと…レモーラが今言いおうとしたことも後でしっかり応えるから」

 

W(レモーラ)『うん…わかった』

 

ユニコーンドーピント「うがぁぁぁあ!やってくれたなぁ貴様らぁ!」

 

 

憤激しているユニコーンドーパントにAディケイドはなんとか食らいついていた。

それまで蹂躙していたAディケイドも他の敵とは違うパワーに全く歯が立たない。

注意を惹きつけ攻撃を織りなしていたが、それも厳しくなってきたころ。

吹っ飛んで転がるAディケイドの元に。

ようやく。

復活した仮面ライダーが合流した。

 

 

Aディケイド「よお。いい格好してんな。やけに遅かったんじゃねぇの?」

 

W(ショウタロウ)「おい。それが警察署から救ってもらった恩人への態度か?」

 

Aディケイド「何言ってんだ。これでおあいこだろ」

 

W(ショウタロウ)「嘘でしょ。悪魔かお前は」

 

W(レモーラ)『私レモーラ!よろしくね。ウチのショウタロウ迷惑かけなかった?この子カタブツで人付き合いが苦手な子だから不安で…。普段ならレモーラが見てあげてるんだけど最近一緒に居なかったからさ…」

 

W(ショウタロウ)「おいレモーラ!こんなときになに言ってんだ!」

 

W(レモーラ)『てか、キミ何者? 地球(ほし)の本棚で検索したのに全くヒットしなかったんだけど…』

 

W(ショウタロウ)「また始まった…好奇心の暴走が。こうなったらもう止まらない…」

 

Aディケイド「…おいお前ら。夫婦漫才なら他でやれ」

 

小夜「ちょっと3人とも!目の前の敵に集中して!」

 

W(レモーラ)「おっといけない!忘れてた!」

 

ユニコーンドーパント「貴様ら何をごちゃごちゃと…!ただではすまさん!私の崇高な計画を台無しにしおってぇえ!」

 

 

怒りに染まるユニコーンドーパントが咆哮を上げて2人(3人)の前に立ち塞がる。物陰に隠れる小夜に発破をかけられWがAディケイドの手を掴み立ち上げる。体制が整った2人の仮面ライダーは1体のドーパントに向かい、拳を構え…走りだした。

 

 

Aディケイド「久々の前線復帰に足引っ張るんじゃないぞ」

 

W(ショウタロウ)「そういうアンタこそ、素人だからって張り切りすぎるなよ」

 

ユニコーンドーパント「貴様を倒してもう一度 X bickerを起動させる!我がミュージアムの崇高なる目的のために!」

 

 

ひとりでは歯が立たなかった強敵に2人がかりで立ち向かうAディケイドとW。

2人から繰り出される拳と蹴りの応酬では先程とは違い確実にユニコーンドーパントを追い詰めていた。

 

 

Aディケイド「くそ。やっぱ早くて強い。だが!」

 

W(ショウタロウ)「ああ。このまま押し込めば勝てる!」

 

 

先ほどから風都スカイタワーを猛烈な揺れが襲っている。

振動だけで言えばこのフロアに向かう時に襲った揺れもあったが、これは明らかに質が異なるもの。

原因は風都スカイタワーの支えとなる柱に交わるように造られたX bickerだった。

このタワーを発動装置にするため、タワーを構成するありとあらゆる柱に、その『根』が張り巡らされているため、タワー全体が悲鳴を上げていたのだ。

メインプログラムを失い制御が効かなくなった起動装置は蓄えたエネルギーを放つ行方を失い、タワーは崩壊の危機に陥っていた。

 

 

Aディケイド「なんだよこの揺れは!」

 

W(レモーラ)『私が中途半端に抜けたせいで…X bickerが暴走し始めた。今のX bickerは言うなれば手綱を手放した競走馬のようなもの。このまま放っておいたらX bickerは爆発し、風都スカイタワーのみならず…街全体が火の海に包まれる…!』

 

ユニコーンドーパント「そんなことはさせん!その前にお前をもう一度X bickerにぶち込む!」

 

Aディケイド「悠長に戦ってる時間がなくなったみたいだな。急いでアイツをぶっ倒すぞ!」

 

倉野「中野慶夫!そこまでだ!」

 

 

揺らぐ風都スカイタワーの関係者専用の螺旋階段から、警察と複数の特殊部隊が現れた。それはショウタロウたちにゆかりのある顔ぶれ

 

 

 

W(ショウタロウ)「あれは…」

 

W(レモーラ)『来てくれたね。私たちの仲間が。それにソウキチのおじさんも』

 

真刃「どうしてドーパントの姿に?あのドーパントは前に仮面ライダーが倒したはず」

 

ソウキチ「どうするんだよリーダー。そっちの計画じゃ"生身である"先生を取り押さえる算段だっただろ」

 

倉野「計画に変わりはない。…中野慶夫!無駄な抵抗はやめろ!貴方はもう完全に包囲されている。今すぐ身体からガイアメモリを抜き取り降伏しろ!」

 

 

 

 

涙を流してユニコーンドーパントに倉野は訴えていた。

そんな様子を戦いながら聞くツカサと物陰に隠れて聞く小夜。

研究員以外にもこのドーパントのことを先生と呼ぶ人間がいることにツカサと小夜は少し引っ掛かりなるものを覚えた。

 

 

ユニコーンドーパント「何故だ…何故だ何故だ!もうすぐ目的が達成できるというのにどうして皆邪魔をする!私が育て、導いてきた恩を忘れて無能の分際が威張り散らかし罵る!だから私が道を指し示すのに!どうして真っ当に育ってくれない!どうして目の前に立ち塞がる!」

 

 

計画が頓挫し、復活した仮面ライダーと悪魔が手を組んだことで劣勢に立たせられるユニコーンドーパント。

先ほどの洗練された動きとは異なり、ただ闇雲に突っ込んで殴り込んでくる。

そんな動きをツカサはソウキチと倉野の姿を捉えながら受け止めた。

 

 

Aディケイド「だいの大人が泣いて訴えるなんて…滑稽だね」

 

W(ショウタロウ)「なに?」

 

Aディケイド「だが、もっと笑えるのはアンタの方だ。中野先生殿」

 

ユニコーンドーパント「なんだと⁉︎」

 

Aディケイド「見てる感じアンタ教職者か何かか?何があったか知らねえが、自分の指導した人たちが教えた通りに動かなかったらワーワーギャーギャー喚きやがって」

 

ユニコーンドーパント「貴様…ガキの分際で何がわかる!」

 

Aディケイド「ああ!ガキだから分かる。これまでずっと先生や大人たちから学んで成長してきた立場だからな。アンタが言ってるのは指導でも躾でもなんでもない。ただのエゴの押し付けだ!」

 

倉野「……。」

 

Aディケイド「人間は学習する生き物だ。だけど、文字の読み書きだけで全て理解するそんなできた生き物じゃない。学習を通して自分頭と身体をつかって、体験して、失敗や成功を繰り返して吸収する。それが自信となり糧となる。そうして人は成長し、個性が出来上がるんだ。アンタが言ってることはただ自分が抱く感性を押し付けて暴れる迷惑で偏屈な害悪老人野郎なんだよ!知ってるか?日本にはこんな言葉がある。『可愛い子には旅をさせよ』って面白い言葉がな」

 

ユニコーンドーパント「ガキが…!何者なんだ貴様!」

 

Aディケイド「…!またか…。俺は今日あと何回名前を聞かれるんだ…!」

 

 

ユニコーンドーパントに説教とも取れるツカサの主張をぶつけた直後。

警察署で念仏のように何度も何度も聞かされたこのセリフをここでも吐かれた。

細かく自分のことを名乗っても名乗っても、埒があかないことに嫌気がさしていたツカサ。この瞬間、ツカサはとうとう自分のことを名乗るのをあきらめた。

 

 

Aディケイド「通りすがりの仮面ライダーだ!それだけ覚えておけ!」

 

 

 

そう言い放つとAディケイドとユニコーンドーパントの攻防が再び始まった。

AディケイドとWの気持ちが共鳴した瞬間。

この時ライドブッカーに内包されているWのカードに力が蘇るのを小夜は感じ取った。

そんな様を離れたところで見ていた突入部隊の面々たち。

その後方で指示をとるソウキチと倉野。

そして倉野の部下である真刃にも当然ツカサの訴えが耳に届いていた。

 

 

真刃「倉野さん…あのピンクのドーパントは」

 

倉野「ああ。こんな場面2度も見せられちゃあな。お前の言う通り奴も立派な仮面ライダーなんだろうよ」

 

真刃「…はい」

 

倉野「…計画変更だ。全班の隊員たちに告ぐ!我々は今から意識不明の組織の構成員たちを全員タワーから運び出すことにする!仮面ライダー"たち"の戦いの邪魔にならないよう、この場からすぐさま撤退だ!全員心してかかれ!」

 

真刃「倉野さん………!」

 

倉野「俺たちの恩師を救うのは仮面ライダーがやってくれる。そこからが俺たちの仕事だ。俺たちは俺たちで今出来る最上限のことをしよう。なっ。ソウキチ」

 

ソウキチ「…ああ。ここまで通ってきた道には寝ていた構成員はざっと数えて40〜50人。…ふう。楽勝だな」

 

 

風都署の警察官たちからの手厚い援護を受けながらAディケイドとWはユニコーンドーパントに攻撃を仕掛ける。

タワーの倒壊が迫る中ユニコーンドーパントを地に伏せる決定打が見つからない3人。

じわじわとタイムリミットが迫ってきている。

 

 

Aディケイド「ぐっ…!」

 

W(ショウタロウ)「うわっ…!」

 

W(レモーラ)『やばいよショウタロウ!このままじゃ!』

 

Aディケイド「くそ…なんこう一発逆転できる切り札はねぇのか!」

 

小夜「ディケイド!ライドブッカーからカードを!今の貴方ならWの力が使えます!」

 

Aディケイド「え…?」

 

 

小夜に言われた通りAディケイドがライドブッカーを開くと3枚のカードが力を纏って射出した。

 

 

Aディケイド「これは…」

 

W(レモーラ)『どうやら持っていたようだね。切り札ってやつ』

 

W(ショウタロウ)「それで?それ使うとどうなるの。俺たちの力がどうのこうのって」

 

Aディケイド「おい。そんな簡単にノっかっていいのか?怖くないのか。悪魔が使う力だぞ」

 

W(ショウタロウ)「うお。懐かしいな。そのセリフ。なあレモーラ」

 

W(レモーラ)『ふふっ。大丈夫だよディケイド。悪魔と相乗りする勇気。私たちはあるから』

 

ユニコーンドーパント「これで最後だ仮面ライダー!次で息の根を止める…!」

 

 

カードの力をAディケイドは直感的に理解していた。

自分を揶揄してまで自分をも知らない力を使おうとすることに無意識にストップをかけていたのかもしれない。

でもそれをショウタロウとレモーラは受け入れてくれた。

悪魔と呼ばれた自分のことを。

ディケイドの力を授けた門矢小夜のことは全て知ってるわけではない。

この力がどんな物なのかはっきりとはわからない。

でも今はこの2人の受け入れてくれたことに応えようと思えた。

ツカサの中でリョウタとカンナの姿がだぶる。

この2人を思うなら俺がすることはひとつ。

 

 

Aディケイド「わかった。何が起きても吠え面かくなよ」

 

 

Aディケイドはマゼンタ色のバックルを展開するとカードを勢いよく挿入した。

そして。

 

 

『FINAL FORM RIDE ! DA・DA・DA・W !』

 

 

バックルが読み込んだカードの力でWの姿に変化が訪れた。

AディケイドがWの身体に手を差し伸べるとその身体が中央から別れる。

2つの色に分かれていたWが1色に変わる。

そして、1つしかなかったWの身体が『セントラルパーテーション』から2つに別れた。

 

 

 






次回。仮面ライダーアナザーディケイド。


「これがWとディケイドの力…」

「次でとどめだ」

「ああ。だが…」

「この揺れ相当大きいぞ…。急いでここから脱出しなきゃ」

「ダメだよ。今私がX bickerから完全に離れたら、街は…」

「だめだそんなこと!他に方法はあるはずだ!」

「さよなら。ショウタロウ」


第9話 Wの世界/ウィンドタウン・ブルース


すべてを破壊し、すべてを繋げ。
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