TSした綾小路ちゃんを転生オリ主が愛でまくる話   作:妄想癖のメアリー

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果たして堀北に語った水無瀬君の過去は、一体どのくらい正しいものなのでしょうか?


それぞれの夢の為に

 

 

 

 櫛田とのいざこざがあった後、水無瀬はいつも通り綾小路たちと食事を済ませ、シャワーを浴びて就寝していた。

 時刻は11時を回った辺り、彼の端末がメッセージの着信を告げた。基本的に眠りが浅い水無瀬は、眠そうに一度唸った後、チャットアプリを開いた。

 

 

 

「……堀北さん? こんな時間に珍しいな」

 

 チャットの差出人は堀北鈴音。基本連絡を取らない彼女がチャットを送ってくる時点で珍しい。

 

『今度時間のある時に家に行ってもいいかしら? 相談したいことがあるの』

 

 この時間帯。さらに相談というキーワードがあった時点で、何かあったと悟った水無瀬は、眠気を訴える体を抑えながら返事をする。

 

『何かあったのかい? 電話でよければ相談に乗るけど』

 

『ごめんなさい。起こしてしまったかしら? 電話に関しては大丈夫。実際に会って話したいし、今は少し肌寒いわ』

 

『外にいるのかい?』

 

『ええ。少し用があって』

 

 最後まで語らなかった堀北だが、水無瀬は何となく状況を把握しつつあった。

 

『明日少し早く部屋を出るから、通学中に話そう。なるべく早い方がいいと思うし』

 

『ええ。ありがとう』

 

『じゃあまた明日。おやすみ』

 

『おやすみなさい』

 

 そんなやり取りを終えた後、水無瀬はいつもより早い時間にアラームを掛けて眠りについた。

 

 

 

 

 

「おはよう堀北さん。風邪ひかなかったかい?」

 

 朝。しっかりとアラーム通りに目が覚めた水無瀬は、寮のロビーにて堀北と合流していた。

 まだ他の生徒が来るには早い時間帯の為か、人影は全く見えない。

 

「おはよう水無瀬君。大丈夫よ。そんなにやわじゃないわ」

 

「あはは……」

 

 堀北の態度に苦笑いを浮かべる水無瀬であったが、長々と話している時間は無いため本題に移るようだ。

 

「それで、昨日言っていた相談って?」

 

 そう問う水無瀬だったが、堀北は苦い顔をして黙ったままだ。

 しかし、数秒ほど時間を置いた後、途切れ途切れ語り出した。いつもはっきりと自分の考えを述べる彼女にしては珍しい。

 

「……兄さんに会ったの」

 

「……なるほどね。何か言われたかい?」

 

 この前のやり取りから、堀北とその兄が複雑な関係だと言う事は知っていたため、慎重に言葉を返す水無瀬。

 

「『少し変わったな』って」

 

「そっか」

 

 思い出したかのように小さく笑う堀北。いつも気難しそうな表情をしていた彼女だったが、その様子は何処か肩の荷が下りたようにも見える。

 

「『今までと何も変わらないと思っていたが、存外いい方向に向かっているな』って。兄さんらしくないわ……中学辺りから、褒められたことなんてほとんどなかったし」

 

「いい傾向なんじゃないかな? 君にとっても、お兄さんにとっても」

 

 堀北の目を見て微笑む水無瀬だったが、肝心の彼女はそっぽを向いてしまっている。今の自分の顔を見られたくないのだろう。

 

「水無瀬君のおかげよ。後綾小路さんも」

 

「そんなついでみたいに言わないであげてよ」

 

「……そうね。ちゃんと感謝してるわ」

 

 鳥の鳴く声とコツコツという2人の歩く音だけが流れる。結局何を相談したいのか、水無瀬は教えてもらえなかったが、特に言及することは無かった。

 それだけ彼にとって、今の彼女は魅力的に見えたのだろう。後ろ向きな理由で動いていた彼女は、今確かに変わろうとしているのだ。

 

 

 

「────私……須藤君に謝ろうと思うの」

 

 少しの間をおいて、語りだす堀北。その数秒の間に、一体どれだけの思いがあったのだろうか。

 

「そっか。須藤も見た目の割に意外と良い奴だから、許してくれると思うよ」

 

 そんな水無瀬の冗談がツボに入ったのか、小さく笑う堀北。

 

「ふふふ。何よそれ……私は、これからも変わらずAクラスを目指す。その……だから、手伝ってくれると、すごく嬉しいわ……ダメかしら?」

 

 何時ぞやの時の様に、強く決意する堀北。しかし、以前のような暗さはなく、何処か前を向いている。

 

「ああ。勿論手伝うよ。自分の中で、しっかりと折り合いを付けることができたんだね」

 

 隣を歩く堀北の頭を撫でる水無瀬。まるで子供を褒める時のようなそのしぐさに、堀北は恥ずかしそうに呟いた。

 

「……子ども扱いしないで頂戴。あと、見られてたら恥ずかしいわ」

 

「っと。ごめんごめん」

 

 以前と違い、恥ずかしそうに下を向く堀北。一体どんな心境の変化があったのか、それは堀北以外には分からない。

 

 

 

 ────だだ。隣を歩く堀北との距離は、ほんの少しだけ縮まっていたことは確かだった。

 

 

 

 

 

 

「須藤くん、話があるのだけど」

 

 朝、授業前に堀北が須藤に話しかける。昨日の一件があった翌日だ、一体何をいう事があるのかと、須藤は不思議そうだ。

 

「あ?」

 

 そんな須藤に対して堀北は続けて語る。その内容は昨日の発言についての謝罪だった。

 

「昨日の勉強会のことでなのだけど。私は感情に任せてあなたに酷いことを言ってしまった。私が悪かったわ、本当にごめんなさい」

 

 頭を下げて謝罪する堀北。

 

「……おう」

 

「昨日あんなことを言ってしまった後で提案しずらいのだけど、もう一度勉強会に参加して貰えないかしら。……私はAクラスに上がるという夢がある。そのために誰1人として退学させたくないの。どうかお願い」

 

 そう言ってもう一度頭を下げる堀北。そんな彼女に須藤も居心地が悪そうに、頭を掻きながら謝罪した。

 

「……まあ、元は俺らが騒いでたせいだしな。すまんかった。ぜひ参加させてくれ」

 

「ええ、よろしく」

 

 そう言って仲直りした2人。その後他3人にも謝罪をした堀北。

 水無瀬の後押しもあり、結果として山内は「櫛田ちゃんが来るなら行く」と言い、他2人は快諾した。

 

 

 

 

 

 そして残りの1人を参加させるため、午前の授業が終わった後、昼休みに堀北は櫛田の元へと向かっていた。

 

「櫛田さん? ちょっといいかしら?」

 

「うん! 何かな? 堀北さん」

 

 昨日の1件があったとは思えないほど元気に答える櫛田。そんな彼女に対しても堀北は謝罪をする。

 

「昨日はごめんなさい。あなたは何も間違っていないのに私はただの憶測で酷いことを言ってしまった。……その、もし良ければ、これからも私たちに協力してくれないかしら?」

 

「協力っていうのはAクラスを目指すことの協力?」

 

「ええ、そうよ」

 

「それ、信じられないって言うか……無理じゃない? あ、別に堀北さんをバカにしてるわけじゃないんだよ? ただなんて言うか……クラスの皆も大半は諦めてるって言うか」

 

「現状のAクラスとのポイント差が激しいから?」

 

「うん……正直、追いつける気なんてしないよね。来月もポイントがもらえるかどうか怪しいしさ。意気消沈って感じ」 

 

 だるーんとテーブルに上半身を倒す櫛田。

 

「水無瀬君もAクラスを目指してるの?」

 

 上目遣いで聞いてくる櫛田。少し間をおいて堀北は答える。

 

「……なぜ彼の名前が出て来るのかは疑問だけど、そうよ。私と彼はお互いに協力を惜しまないつもり。綾小路さんもね」

 

「そうなんだ! わかった。私も堀北さんの仲間に入れてよ。Aクラスを目指すっていう目標に」

 

「ええ、彼との話し合いで、このクラスがAクラスに行くためにあなたは必要不可欠と理解した。改めてお願いするわ」

 

「うん! よろしく!」

 

 

 

 

 

時は放課後。先日勉強会に参加していた全員で作戦会議をしていた。

 

「この間の勉強会で、あのスタイルの勉強方法はダメだと気が付いたの。あなたたちは学業の基礎が出来ていない。それを悪く言うつもりもないし、無理やりやっても頭には入らない。そこで、その問題を解決する策を思いついたの」

 

「どんな方法なんだ?」

 

 茶化さず真剣に聞く須藤。

 

「今から2週間。あなたたちは平日の授業を、死ぬ気で勉強しなさい」

 

 皆があっけに取られているのを置いて彼女は続ける。 

 

「普段、3人は授業中真面目に取り組んでる?」

 

 少し間をおいて気まずそうに池が答えた。

 

「……いや、授業が終わるのをボーっと待ってる」

 

「そう、あなた達は1日に、6時間無駄な時間を過ごしていると言うことよ。わざわざ放課後に1、2時間確保して勉強するよりも、遥かに膨大で貴重な時間をロスしているということ。これを有効活用しない手はない」

 

「授業の内容なんて、全くついていけてねぇよ」

 

「わかっているわ。だから、更に休み時間を利用して、短い勉強会を開くの」

 

 そう言って堀北は次のページをめくった。そしてどういう仕組みかを書き綴っていく。 要約すると。1時間の授業が終わったら、すぐに全員で集合し、授業で分からなかった部分を報告する。そして10分の休憩の間に、堀北がそれに対する答えを教える。

 

 そしてまた次の授業へ、という流れだ。もちろん、これはそう簡単な話じゃない。 授業についていけてない須藤たちが、短い時間で学習できる保証はどこにもないのだ。

 

「ま、待てよ。なんか頭が混乱してきた。本当に上手くいくのかよ」

 

 池たちも、それが大変なことだとすぐに気づく。

 

「そうだよ、10分の休憩じゃ、分からなかった部分の解説とか無理じゃない?」

 

「心配ないわ。水無瀬君がその授業中、全ての問題に対して分かりやすく解答をまとめておくから。それを綾小路さんと櫛田さん、私の3人がそれぞれマンツーマンで教えればいい」

 

「けどよー……間に合うとは思えねえよ。高校の勉強難しいしさ。わけわかめだし」

 

「1時間で学ぶ授業の内容は、意外と少ないものよ。ノートにして1ページ、精々2ページね。そこからテストに関係のありそうなものだけに絞り込めば、半ページ分の知識を詰め込むだけで済む。どうしても時間が不足する場合にだけ、昼休みを利用する。私は問題を理解してとは言わない。頭にそのまま叩き込んで欲しいだけ。大切なのは授業の時は先生の声、黒板に書きだされる文字だけに集中すること。ノートを取る作業は一旦忘れて」

 

「ノートを取らない、ってことか」

 

「書きながら問題や答えを覚えるのは案外難しいものよ」

 

「……よし、わかった。やってみる」

 

 そう言って受け入れた須藤。今までのやり取りからして、入学前の彼らでは考えられなかった。この1か月でいかに成長したかがよく分かる。

 それを見て 水無瀬が追加で説明する。

 

「よし、これで平日の勉強に関しては以上だね。次は休日、土日の勉強会についてだ」

 

「えー!? 平日だけじゃなくて土日もやるのかよ!」

 

 そう抗議したのは山内。絶対に嫌だという思いがひしひしと伝わってくる。

 

「当たり前だろう? 僕達の目標はクラスの半分だ。平日だけの勉強では足りないよ。それに、みんなで土日勉強するなんて青春だと思わないかい?」

 

「……確かに! 女の子と勉強なんて最高だな!」

 

 水無瀬の言葉に納得してやる気が出て来る山内。わかりやすい男である。

 最も、櫛田以外の女子2人の好意は水無瀬へと向かっているのだが、それを言うのは蛇足だろう。

 

「毎週土曜日の午後1時から休憩挟んで計2時間ほど勉強しよう。その後はそれぞれ自由に遊んでもらって構わない」

 

「……なんか行ける気がしてきた! 頑張ろうぜお前ら!」

 

 池がそう奮い立てる。昨日の事件があったとは思えないほど、良い雰囲気がそこには広がっていた。

 

「よし! じゃあさっそく明日の授業からだ。今日は解散でいいよ!」

 

 ―――水無瀬が手を叩いて解散を宣言する。それぞれの夢のための戦いが、今始まったのである。

 

 

 

 




リメイク前と違い、櫛田が現時点で水無瀬君に好意を持って居ないです。
ここ結構大きな分かれ目。

リメイク前に追いついたら、前の方も公開する予定なので、稚拙な文章ですが読みたい方がいるのであればどうぞ!(って言ってもあっちは赤バーだったんだよなぁ……)

リメイク前の方を読んだことありますか?

  • リメイク前読んだことあるよー
  • リメイク後初めて読んだよー
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