TSした綾小路ちゃんを転生オリ主が愛でまくる話 作:妄想癖のメアリー
4年越しの再会
突然だけど、少しだけ私の出す問いを真剣に聞いて、皆の考えを聞かせてほしい。
──4年間声も姿も見ていない初恋の人を、想い続けることはできるだろうか?
一体何を言っているのか、分からない人もいるのかもしれない。
まず前提として、時間というのは万物に平等に流れる。
どんなお金持ちでも、それは変わらない。
形あるものはいつか無くなるし、人間だってせいぜい100年生きればいい方だ。
話を戻そう。4年、日数にして1461日。
入学したての小学生も、丸4年の月日が経てば10歳になるし、夢の女子大生もOLとして社会の歯車の一部となる。
そう考えてみると、なんとも絶妙な時間だ。
これから4年後となると膨大な時間に感じるが、過ぎてしまえばあっという間だ。
学生であれば人間関係なんてガラリと変わるだろうし、よほど仲が良くない限りは連絡を取るのも気まずくなる。
初恋の人であれば……なおさらだろうに。
……結局お前は何が言いたいんだ! と言われたらちょっと困る。
──私は、4年間全く移ろぐことなく、1人の異性を想い続けてきた。
ほら、微妙な顔をしてる。どうせ初恋拗らせてるとか思ってるでしょ?
「……それ以外どう解釈するのが正解なのかしら?」
私不機嫌ですよー。感丸出しで話すのは、幸運にも私の第一友達に選ばれたツンデレ少女。
名前は堀北鈴音。黒髪ロングの正統派美少女である。
「友達になった覚えはないのだけれど」
……おかしい。入学式の前に会話を交えて、たった今同じクラスの隣の席。
お互いの名前も名乗りあったはずなのに……
「それだけで友達になれたと本気で思っているのなら、中々おめでたい頭をしているわね」
「言葉のナイフが胸に刺さる……」
苦しそうに胸を押さえてうずくまる私を、冷たい目で見降ろす堀北。
ただでさえ先ほどから心臓がドキドキして仕方がないのだ。
4年間も会っていなかった想い人が、
「……あなたみたいな人を、厄介オタクというんじゃないのかしら」
「その手の知識があるなんて、意外とサブカル系?」
「あなたの言葉が何を意味するかは分からないけど、一緒にしないでもらいたいわ。この知識も、クラスで嫌いだった人が騒いでいたのが、耳に入っただけよ」
……意外と会話が成立する。
さっきはとりつく島もなかったが、案外話しかければ返してくれるくらいの優しさはあるらしい。
「はぁ……それで、あなたのその想い人とやらが、このクラスにいるって事なのね?」
「お、堀北から会話を展開してくれるとは」
「勘違いしないで。これ以上自分のことを深堀りされたくないの、あなたは無視しても止まらない質の人間だってことは。この数分の中でよく分かったわ」
心底めんどくさそうに、ため息を吐いて語る堀北。
「だから私に話を振って。矛先が自分に向かないようにすると?」
「察しが良いのね。」「そんなに大事な人なら、私なんかと喋ってないで話しかけに行けばいいんじゃないのかしら?」
──私が、水無瀬に?
たった今女子に囲まれてキャーキャー言われてる水無瀬に?
「急に震えだすのはやめて頂戴。あなたの目線で、何となくそうなった理由も分かるけど、私まで同類だと思われたらたまったもんじゃない」
「……別に、水無瀬がモテモテだからって嫉妬しているわけじゃない」
「私は何も言ってないわよ」
こ、こいつ。かなり手強い……
「というより、4年間丸々会わなかったって、あなた中学生の時ですらあってないじゃない。話しかけてこないってことは、忘れられてるんじゃないの?」
「いや、それは無い」
「……急に止まらないでちょうだい」
絶対にあり得ない。あんな濃密な幼少期を過ごしてて、忘れるはずない。
「……どちらにせよ、私はあなたの恋路なんて興味ないの。当たって成功するなり砕けるなり、どちらでもいいから早くしてくれないかしら」
「いや。私はその時が来るまで待つ。有象無象に邪魔されないタイミングで、一撃で仕留める」
「じゃあ私はその時まであなたの相手をしていないといけないことが確定したのね。……私に話しかけても面白くもなんともないのに」
まるで自分が世界で一番不幸な人間だというように語る堀北。
しかし狩人の私は、一瞬の隙も見逃さない。
女は弱点を突いて落とせと、水無瀬も言っていた。(言ってない)
「私は堀北と話す時間を楽しいと思ってる」
この時相手の目をしっかりと見ることも忘れない。
嘘をついていないと証明するためにだ。
と言っても嘘をついているなんてことはなく、速いペースでポンポンと打ち返してくれる堀北との会話は、新鮮で面白い。
「……そう。物好きね」
デレた! ……っふ。これくらい私にかかれば楽勝。
後はとどめを刺すだけ……!
「堀北はどう? 私との会話、楽しくない?」
「ええ。全然」
──今全然って言ったのか?
……なるほど、全然楽しいってこ……
「言っておくけど、全然楽しくない。って事だから、勘違いしないで頂戴」
何故だ……なぜ私の上目遣い攻撃が効かないんだ!
水無瀬にも『君のその瞳が、僕の心を奪ったんだ』って言われたのに! (言われてない)
「口元がニヤけてるわよ。それに、私はさっきのあなたに似たような人を知ってるの」
……ギャルゲーで言う選択肢ミスを引いてしまった。
現実にロードがないのがもどかしい。
「……私と仲良くなりたいなら、不用意に距離を詰めて来るのはやめて頂戴……別に変なことしなければ、会話くらいはしてあげるわよ」
「……」
「……」
──妙な沈黙が流れる。
「……デレた?」
「……調子に乗ってると刺すわよ」
どうやら、下げて上げて、また下げる選択肢だったようだ。
──最近のギャルゲーは、難易度結構高めみたい。
「ギャルゲーなんかやった事無いくせに」
……心の中の水無瀬が何か言っているが、無視した方が良さそうかな。
「──新入生諸君、私がDクラス担任の茶柱佐枝だ。普段は日本史を担当している。まず初めに言っておくが、この学校には学年ごとのクラス替えは存在しない。卒業までの三年間、私が担任としてお前たち全員と学ぶことになると思う。
入学式の前に、この学校に設けられている特殊ルールについて書かれた資料を配る。目を通しておいてくれ。まあもっとも、以前入学案内と合わせて配布してあるがな」
お、見覚えのある紙。合格発表を受けた後に貰った紙と同じみたい。
……やっぱり不思議な学校だね。だからここを選んだんだけど。
私は事前に頭に入れていた資料の内容と、茶柱先生の説明を照らし合わせていく。
彼女が言っていたのをまとめると以下の通りになる。
この学校は通う生徒全員に、敷地内での寮生活を強制し、在学中は例外を除き、
その反面生徒たちが苦労しないような設備も充実している。60万平米おもの広大な土地の中に数多くの施設が存在する。カラオケ、映画館、カフェ、大型ショッピングモール等……地方の中心都市よりよっぽど充実してるよね。
そしてもう一つ、この学校を語る上で欠かせないのが……
「次に、Sシステムについての説明を行いたいと思う……よし。今から学生証カードを配る。それを使えば敷地内の全ての施設を利用することができ、売店などで商品を購入することも可能となっている。
端的に言えばクレジットカードのようなものだな。ただし消費されるのはこの学校内でのみ流通しているポイントだ。
そう。たった今彼女が言った通り、この
完全にキャッシュレス。時代を先取りしてる。
「施設では機械に学生証を通すか、あるいは提示することで使用できる。非常にシンプルな使い方だろう?
それからポイントは毎月一日に生徒全員に自動的に振り込まれることになっている。新入生全員、平等に一人十万ポイントが支給されているはずだ。
────なお、
……おー。すごい大金。
女子を筆頭に、ざわめき出す教室だったが、無理もないだろう。
なにせ私たちは、たった今10万円相当のお小遣いをもらったんだから。
私たちの反応は織り込み済みだったのだろう。
茶柱先生は特に咎めることなく話を進める。
……ふむふむ。卒業時にポイントは学校側が回収すると、まあ当たり前っちゃ当たり前かな。
他に気になる点として、『いじめ問題にだけは敏感』と。
この流れからして、ポイントのペナルティが発生する感じかな?
「以上で説明を終わる。何か質問等あるか?」
クラスメイトが戸惑う中、茶柱先生は生徒たちを見渡した。
皆周りの人たちをチラチラと見ている。
こんな状況で質問とか、やりづらいよね。わかる……まあでも
「──先生! 質問よろしいでしょうか!」
ほら来た。絶対質問すると思ったもん。
声変わりしてて凛々しい声になってる……!
落ち着いてる性格に不釣り合いなほど高い声も良かったけど、こっちもいい!
「……水無瀬か。いいだろう、質問を続けろ」
っと、いけない。つい夢中になっちゃった。
どんな質問するのかな?
私だったら、問題行動起こした時のペナルティを聞くけど、多分同じかな。
「ありがとうございます。 先生は毎月1日にポイントが振り込まれると仰っていましたが、振り込まれるポイントは例えば問題行動などで減ったりするのでしょうか?」
お、同じ。やっぱ思考回路とか、あの時のまんまだ。
いたずらっ子の様な笑みを浮かべながら質問をする水無瀬。
絶対演技だろうけど、これはこれでイイ! (もはや何でも似合う)
「なんだ水無瀬、入学早々喧嘩でもする予定か? すまない、冗談だ。質問に答えよう……と言いたいところだが、その質問には答えることはできない。
だが先も言った通り
そう締めくくった先生は、教室を後にした。
「思っていたほど堅苦しい学校ではないみたいね」
「うん。何というか、超自由って感じ?」
寮生活を強いられることや、敷地内から出られない、連絡を取れないと言う制限はある。
けれど無償で提供されるポイントや、周辺施設には不満なんてないだろう。
慣れる事さえ出来れば、楽園と言っても過言じゃない。
「極めつけは希望の進学、就職先がほぼ100%で叶うなんて……優遇されすぎて少し怖いくらいよ」
「何というか……クラスの雰囲気も普通の学校みたい」
普通の学校知らないけど。
堀北との会話を終え、暇になった私は水無瀬の方を盗み見る。
……すっごい楽しそうに頬杖をついて、遠くを見つめる水無瀬。
彼が考え事をするときの癖だ。小さい時から変わってない。
──ということは、この学校には
いいじゃん。楽しくなってきた。
そんな私の思考をかき消すように、1人の男子生徒が声を上げる。
「皆、少し話を聞いてもらっていいかな?」
いかにも好青年といった雰囲気の少年だった。
「僕らは今日から同じクラスで過ごすことになる。だから自発的に自己紹介を行って、一日でも早くみんなが友達になれたらいいなと思うんだ。まだ入学式まで時間もあるし、どうかな?」
────来た、とうとうこの時が。
「ふっふっふ……」
「気持ち悪い笑みを浮かべないでくれないかしら……どうせよからぬことを考えてるんでしょうけど、やめた方が良いと思うわよ」
堀北が何か言っているが、今の私にはどうでもいい。
もう一度10年前のリベンジだ。
あの時は散々な出来栄えだった。だが今は違う。
────有象無象共に、格の違いを見せてあげる。
「じゃあ、その後ろの君! お願いできるかな」
そう話す彼の声と共に、ゆるりと立ち上がる。
……すごい視線の数だ。出てった人を抜いても30人以上いる。
昔の私なら、緊張してロクな声も出せなかっただろう。
いつもみたいに、ぶっきらぼうにならないよう注意しつつ、一言一言丁寧に。
「私の名前は
奇しくもあの日言っていた水無瀬と同じ趣味の私。
女が男の趣味の影響を受けると雑誌で読んだが、どうやらあの情報は正しかったらしい。
……ここまでは順調。水無瀬も感動して涙を流している事だろう。(流してない)
噛まないように、しっかりと息を整える。
「そこにいる水無瀬。水無瀬柊君は
────私の内縁の夫です。くれぐれも手を出さないよう、気を付けてくださいね?」
「!??!!??!」
────水無瀬。4年の時の中で、成長したのはあなただけじゃないんだよ?
時間はこれからいくらでもあるの。だから、私のこといっぱい愛してね?
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たくさんの人に読んでいただくには、タイトルにある程度情報を入れた方がいいと聞いたので迎合させていただきました。元の方が良かったら戻します笑
リメイク前の方を読んだことありますか?
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リメイク前読んだことあるよー
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リメイク後初めて読んだよー