TSした綾小路ちゃんを転生オリ主が愛でまくる話 作:妄想癖のメアリー
「……それで、最終的な判断は今日の4時に下されると」
「ええ、そうよ。あちら側から提示された案はそれぞれ1週間ずつの停学……正直言って破格の条件よ」
放課後、水無瀬は審議に出ていた綾小路、堀北、佐倉、須藤の4人と話し込んでいた。
相手の想定よりも須藤と堀北は冷静だったため、本来ではありえないほどの条件を提示されたのだろう。
「だが君は須藤の無罪以外は認めず、審議は膠着しているのが現状だね?」
「……ええ、そうよ……確かに相手の案を受け入れれば最小限の被害に抑えられたかもしれない、でも私は譲る気は無い」
ハッキリとした意思でこちらを見つめてくる堀北。そんな彼女の成長を嬉しく思った水無瀬は嬉しそうに同意する。
「ああ、その意気だよ、堀北さん。佐倉さんも大丈夫だったかい? 相手に虚偽の証言だって責められたりとか」
「うん……堀北さんが守ってくれたから」
「そうか、良かったよ。Dクラスとはいえ証言が出ていて、なおかつ須藤も冷静に対処してくれたそうじゃないか? 相手方は今頃、想定と違うと焦っているだろう」
「……ただ現状相手の訴えを退けるほどの決定的な証拠は無い。それが問題よ」
だがやはり彼女は不安を隠せずにいた。当たり前だろう。相手の折衷案を跳ねた時点で無実を証明できなければ須藤の罪が重くなる。
しかしそんな不安をよそに水無瀬はニヤリと笑いながら語った。
「いいや、もう勝ちは確実だ。君たちの頑張りのおかげでね」
「……どう言うことかしら? 水無瀬君」
やけに自信満々に答える彼に堀北は問いかける。
「訴えを取り下げさせれば良いんだよ。この音声を聞いてくれ」
そう言ってとある音声を流す水無瀬。そこには須藤とCクラス3人のやり取りが全て録音されていた。非常に音質が悪いが、会話の内容は全て手に取るように分かる。
「これって……!」
「君たちが必死に聞き込みを行った甲斐があったみたいだね。匿名で審議に出ないという条件で僕の元に届いた。恐らく放課後用事があって立ち寄った時に彼らを見て録音してくれたのだろう」
「こんなにハッキリ取れてる……いつの間にこんなデータが?」
「……録音されてたのか、驚いたぜ」
「これがあれば須藤くんの無実も証明できるね!」
そう語る水無瀬。事情を知っていた綾小路と須藤は驚いた振りをしているが、佐倉は嬉しそうだ。
「じゃあ私と堀北はCクラスの人達に訴えを取り下げるように言ってくるね」
「ああ、頼んだよ」
そう言って教室を出ていく綾小路と堀北。教室に残ったのは水無瀬と須藤と佐倉の3人だ。そんな中佐倉がどこか緊張した様子で語る。
「じゃあ、私も帰ろっかな……皆が頑張ってるんだから、私も頑張らないとね」
「どういう事だい? 佐倉さん」
「私が前に進むために、必要なことがあるから……それをするの」
そう水無瀬が問いかけても、明確な答えは返ってこなかった。しかしその内容の予想がついていた水無瀬は、真剣な顔つきで語った。
「佐倉さん、後で時間あるかい? 少し話したいことがあるんだけど……」
繋ぎ止めるように言葉を絞り出したが、佐倉は小さく首を左右に振った。
「今日はこれから用事があるから、明日でもいいかな?」
「……ああ、分かったよ」
そう言った水無瀬に笑顔を向け、速足で教室を出ていく佐倉。いつもとは明らかに違う様子に、須藤も疑問を持ったように呟いた。
「……なあ、佐倉の奴なんか変じゃねえか? いっつもあんな感じじゃねえのによ」
「いや、どうだろうね。今日の審議で疲れてるんじゃないかな?」
心当たりがある水無瀬であったが、その内容を教える気は無いようだ。
そしてそのまま続ける水無瀬。
「じゃあ僕も帰ろうかな。じゃあね須藤。また明日」
「おう! 助かったぜ水無瀬! 今頃Cクラスの奴らは焦ってるだろうな」
そう嬉しそうに語る須藤を背に、水無瀬は教室を後にした。
(やっぱりここに来たか……)
そう言って水無瀬が見た場所は家電量販店の搬入口がある場所だった。彼は教室を出て行った佐倉の後を尾行していたのだ。そのまま息を殺しながら物陰に隠れる水無瀬。
彼女と話しているのは、先日修理を受け付けた店員。意を決したように佐倉は強く話しかける。
「もう、私に連絡してくるのはやめてください……!」
「どうしてそんなこと言うんだい? 僕は君のことが本当に大切なんだ……。雑誌で君を初めて見た時から好きだった。ここで再会した時には運命だと感じたよ。好きなんだ……君を想う気持ちは止められない!」
そう。あのブログのコメントをしていた人物は、先日カメラの修理をした時の窓口の男性だったのだ。
鼻息を荒くしながら、佐倉へ掴みかかる勢いで近づく男。
「やめて……やめてください!」
佐倉は叫ぶと、鞄から何かの束を取り出す。それは男から佐倉へ宛てたであろう手紙だった。その数は百に近い。
「どうして私の部屋を知ってるんですか! どうしてこんなもの、送ってくるんですか!」
「……決まってるじゃないか。僕たちは心で繋がってるからなんだよ」
「もうやめてください……迷惑なんです!」
男の一方的な愛情を拒絶するように、手紙の束を地面へと叩きつけた。
「どうして……どうしてこんなことするんだよ……! 君を思って書いたのに! あの男か!? 一昨日君と2人で仲良さそうにしてた男に誑かされたんだろう!?」
「こ、来ないで……!」
男は距離を詰め、今にも襲い掛かりそうな勢いで歩みだす。そして佐倉の腕を掴むと倉庫のシャッターに叩きつけるように押し付けた。
「今から僕の本当の愛を教えてあげるよ……そうすれば佐倉も、わかってくれるだろ!? あんな男のことなんか忘れて。僕の愛を受け取ってくれよ!」
「いや、離してください!」
そう言って抵抗する佐倉を押さえつけようとする男。これ以上見ていることはできないと、水無瀬はそこに割り込んだ。
「──────その手を放せ。下衆が」
「……あ?」
「み、水無瀬君!」
突然登場した水無瀬に驚く男と佐倉。水無瀬は今まで見たことがない強い怒りをその顔に浮かべながら、それでも冷静に佐倉に語り掛けた。
「佐倉さん、下がっていてくれ。もうじき警察が来る……もう大丈夫。安心してくれ」
「うん……!」
男の拘束が緩んだと同時に抜け出した佐倉は、水無瀬の元へと駆けよった。その様子を見て男は激高したように叫んだ。
「またその男か!? なんなんだお前は一体!」
「またそれかい? ただの友達だよ」
「ふざけるな! お前が彼女を、僕の佐倉を誑かしたんだろう!? そうじゃなければ僕の愛を拒否するはずがない!」
顔を怒り一色で染めながら怒鳴り散らかす男。それとは対象に水無瀬は冷めた顔で突き放す。
「愛? 君のそれが、本当に愛だって? ……馬鹿馬鹿しい。君のソレはただの独りよがりだよ、相手の気持ちを踏みにじって、悲しませて。挙句にはこの凶行」
佐倉はその声を聞いて、背中に冷たいものが走る。それほどまでに恐ろしい声だった。
「君の行いはこれから法によって裁かれるだろう。それだけの事をしたんだ……今彼女に必要なのは君のモノなんかではなく、本物の愛だ。それが分かったのならもう2度と彼女の前に現れるな」
そう言ってその場を立ち去ろうとする水無瀬と、彼の腕にしがみつく佐倉。
「そんな……彼女はそんな子じゃない。お前が、お前が悪いんだ! この悪魔が!」
────その瞬間男は腰に下げていた道具入れから、カッターナイフを取り出した。
「危ない! 水無瀬君!」
「……はあ、ホントに救えないな。全く」
「っが!?」
そのまま向かってきた男の攻撃を躱して、その腹に前蹴りを加えさせた水無瀬。男は地面をに2、3ほど跳ねて壁にぶつかった。
横たわる男に馬乗りになった水無瀬は、彼の首を片手で締め、苦しむ男の耳元で囁いた。
「屑が、もういっそここで死ぬかい? 君みたいなゴミは、消去した方が社会の為だろう?」
「ご、ごめ……! ごめん、なさい! 許して……!」
顔を赤くし、もがきながら許しを請う男に対して水無瀬は言う。
「彼女が辞めてほしいといった時、君はどうした? 辞めたか、ん? ……そんな浅ましい願望は通らんよ」
本格的にまずくなって来たと佐倉が声を掛けようとした時、水無瀬はふと手を離した。這いつくばりながら、肺に空気を入れようと息する男に対して、彼はにこやかに語った。
「……っと言いたいところだけど、人を殺すのは気分が悪いからね……ただ、次同じことをしたらどうなるか、分かっているな?」
「ひっ!! す、すみませんでした!」
そう言って土下座をする男。水無瀬は振り返って、なんて声を掛けようか悩んでいた所で、通りから大きな声が聞こえてきた。
「通報があって駆け付けました! 大丈夫ですか皆さん!?」
「っと、どうやらやっと来たみたいだね」
「うん……」
「大丈夫かい? 佐倉さん。全く無茶をするね君は。一言相談でも入れてくれればよかったものを」
そう言って泣きそうになっている佐倉に優しく語り掛ける水無瀬。彼女は水無瀬の胸に顔を埋めながら涙を流していた。
どこかで見たような光景だと思いながら彼女を撫でる水無瀬。
「ごめんごめん、怒ってるわけじゃないんだよ? 怖がらせちゃったね」
「ううん……違うの、水無瀬君が……水無瀬君が死んじゃうかと思って……!」
そう言ってまた泣き出す佐倉。それを受け止めた水無瀬は困ったように苦笑いをしている。
「大丈夫だよあんなの。鍛え方が人とは違うからね」
「そういう問題じゃないよ!」
そう言ってポカポカと彼の胸を叩く佐倉。どうしたものかと悩んでた時。
「……あのー。事情聴取を行いたいんですけど……」
気まずそうに話しかけてきたのは通報があって駆け付けた警察官てあった。男の方を見てみると、別の警察官が車に乗せている。無事に乗り超えたと息をつく2人に彼は続ける。
「事が事なので、すみませんがよろしくお願いします」
「分かりました。ほら、行こう? 佐倉さん」
「う、うん。ごめんね……」
その言葉で落ち着いたのか、今までの行動を思い出して途端に大人しくなり、顔を赤く染める佐倉であった。
「……それで? 呼び出されてのこのこと行った先で録音データを聞かされて、そのまま尻尾巻いて帰って来たのか? あ?」
水無瀬がストーカーの事件を解決したころ、須藤事件に関与した3人はとある男の前に立っていた。
「そうは言っても……あんなの無理っすよ!
石崎が焦ったように弁明する。その相手は龍園翔。Cクラスを暴力でまとめ上げた切れ者である。
今回の計画も、彼が全てを動かしていたのだ。
「うるせえな、別に責めちゃいねえよ……ムカつくが今回は相手が1枚上手だったな」
「で、でも今回は運が悪かっただけじゃないんですか?」
「バカが、送られてきた音声を良く聞いてみろ」
「音声ですか……?」
石崎がメールにて送られてきたデータをスピーカーで再生する。
「これがどうかしたんですか?」
「よく聞け。音質が悪すぎて聞き取りずらいが、かすかに布のこすれる音が聞こえる。それに特別棟の廊下なんて見通しの良い所で、バレないように遠くから録音したら響いて撮られるだろうが……恐らくこの音声は
機嫌が悪そうに舌打ちをしながら説明する龍園。
「そんな……!? ありえない! あいつにそんな事ができると思いません!」
「そ、そうですよ! あの須藤が録音するなんて選択肢があるとは……」
ありえないというように否定するバスケ部の2人。日常の須藤を知っている故の意見だろう。
「だからあいつの裏にはいるんだよ。この事件を解決するカードが手元にありながら、聞き込みなんて言うめんどくせえ事をやった
「く、黒幕ですか……?」
「ああ、恐らくこの状況を楽しんでいる奴だろうな。俺らにわざわざデータを送ってヒントを与えるような、気狂いがな」
そう語りながらも龍園は思案する。
「(Dクラス、雑魚の集まりだと思っていたが、面白いことしてくれるじゃねえか……!)おいお前ら!」
「は、はい!」
「次の目標はDクラスだ。その黒幕のニヤケ面たたき割ってやる」
──────そう言ってニヤリと笑った龍園。それぞれの思惑が交差するクラス間闘争は、この時より激化を迎えたと言えるだろう。
「……水無瀬君、ですか?」
「ああ、お前は奴をどう見る?」
場面は打って変わって生徒会室。外には突然になって訴えを取り下げたCクラスの生徒たちと、その担任が焦ったように話し込んでいる。
茶柱は須藤と生徒会の2人を追い出し、堀北と話していた。内容は、Dクラスの中心人物である、水無瀬についてだ。
「どう見るって……非常に優秀な生徒だと思います。兄さんよりも高い評価を受けているのも納得がいきます。実際にこの事件を解決へと導いたのも彼ですし……」
「ああ、その通り。あいつは歴代でも類を見ない傑作だ。だが何故その傑作がDクラスにいる? 疑問を感じたことはないか?」
「それは……」
そう言って言葉を詰まらせる堀北。言われてみれば彼がDクラスなのはおかしいと思っているようだ。
そんな彼女を見ながら続ける茶柱、その表情は苦しいものであった。
「Dクラスは、先も語った通り不良品の要素を持った生徒が集まる場所だ。お前もこの数か月で自分の欠点に気が付いているだろう」
「はい、理解しているつもりです……そしてそれを気づかせてくれたのも水無瀬君でした」
「だったら奴の欠点は何だと思う?」
そう問いかける茶柱。しかし欠点という欠点が堀北の頭に浮かぶことはなかった。
「……分かりません。正直欠点があるとは思えませんが」
その言葉を予想していたのだろう。茶柱は小さく鼻で笑って固い口調でこう言った。
「なら堀北。今のうちに水無瀬、そして綾小路という人間を出来るだけ把握しておけ。そうしないと手遅れになるだろう……私に奴を把握することは不可能だった。それが出来るのは堀北、お前しかいない。Dクラスの生徒は、お前を含め全てあの2人術中に嵌っている」
「……それは。どういう意味でしょうか?」
「何故、水無瀬は表立って協力しなかった。奴は平田と並ぶほどの交友関係を持っている中、それを何故しなかった? 耳障りのいい事だけ言ってクラスを鼓舞し、自分は後ろで何もしない。そこに違和感を感じなかったか? そこにあいつが語る
「それは────」
言い知れぬ違和感を感じる堀北。しかしそれを感じながらも、彼を否定することは感情が許さなかった。
苦い顔をして押し黙る堀北に続ける茶柱。
「ほら、お前も違和感に気が付いて、それでも水無瀬という男を否定できないだろう。それだよ、奴の恐ろしい所は……そしてこれは私個人の見解だが、Dクラスで最も不良品たる生徒は水無瀬柊。あの男だ。あいつは私達凡人では測れない尺度で動いている」
「水無瀬君が……?」
「……いや、不良品というのも適切ではないな。奴は現代の
そう言い捨てた茶柱。その顔には、未知のモノを見る時のような畏怖が浮かんでいた。
「水無瀬君を……彼を化け物なんて言うのは辞めてください。彼がどんな思いでここに来たのか、あなたは知らないからそんなことが言えるんです……!」
5月のあの日。屋上にて語られた彼の幼少期を思い出した堀北。そんな彼女の様子を見た茶柱は、何かを悟ったように小さく呟いた。
「その話は本当なのか?」
「────え?」
「私から見れば、今のDクラスは水無瀬を教祖と祀り上げた宗教団体のように見える。そして奴は明日にでも言うだろうな『今回の事件は皆の頑張りのおかげで勝てたぞ』とな。そしてその結束はより固くなり、教祖様を疑うなんて言う思考は隅へと追いやられる」
茶化したように語る茶柱。呆然とする堀北を差し置いて続ける。
「お前は疑う事を覚えろ。そして水無瀬という人間を知るんだ。あいつが何を考え、何を軸に行動しているのか。そして、奴の語る
思考がまとまらず、堀北がひねり出した質問はとても曖昧なものであった。
「先生は、どうしてそんなこと私に言ったのですか……?」
「……」
────その質問に茶柱が答えることはなく、疑問を残しながら堀北は生徒会室を後にした────
私はその後家について茶柱先生の言っていた事を考えていた。彼が協力しなかった理由も、言われてみれば少しおかしいかもしれない。証拠の音声が届いたのは3日前。でもどうしてそれまで協力をしなかったのか。彼の欠点とは一体何なのだろうか? そして、彼の語る愛とは一体誰に対してのモノなのか。
友達? 家族? それとも────綾小路さん、なのかしら。私はその時に感じた胸の痛みを自覚した時、既に端末を手に取り彼に電話をかけていた。馬鹿馬鹿しい。もう日付が変わったころだ、起きているわけがない。起きていた所で、こんな話できるわけがない。
そう思いながらも、私は電話を切ることができなかった。そして意外にも彼はすぐ電話に出た。
「────もしもし、堀北さん。こんな時間に電話なんて珍しいね。どうかしたかい?」
その声を聞いて、名前を呼んで貰った途端に頭にあった余計なモノが抜けていく感じがする。その後、頭が回らず支離滅裂に語る私に対して彼は優しく提案してくれた。
「一度会って話すかい? 何か悩みがあるんだろう?」
水無瀬君は、やっぱり彼は私のことを大事にしてくれている。そう柄にもなく少しはしゃいでしまった自分を、恥ずかしく思いながら外に出た。
まだ別れてから半日しか経っていないのに、数年越しに大事な人と会ったような形容しがたい感覚に襲われた私は、そのまま走って彼に抱き着いていた。そんな私の頭を撫でながら語る彼の声は、私にとって酷く優しく、甘美な音色だった。
「おっと。どうしたんだ? さっきから様子がおかしいよ……何か嫌なことでもあったのかい?」
「ごめんなさい。私は、私はあなたを疑ってしまったの。先生に言われておかしくなってた。あなたは私をこんなに大事にしてくれているのに……」
「……なるほどね。全く、君も難儀な性格だね。そんなところも愛らしいけど」
そう苦笑いしながら語る水無瀬君。涙をこらえて謝罪する私に、彼は子供をあやすようにしゃがみ込んで私を抱きしめる。
「いいかい? 君は何一つ間違ったことはしていない。大方僕の行動を茶柱先生辺りに指摘されて悩んでただけだろう。大丈夫、そんなことで君を嫌いになったりしないさ。
……やっぱり彼が不良品だなんて嘘に決まってるわ。だって、彼はこんなにも優しくて、素晴らしい人なんだもの。
────その瞬間、私は何を思ったのか真横にある彼の頬にキスをしていた。自分からしたにも関わらず、何故か焦ってしまう私────
「……堀北さん?」
困惑したような、焦ったような顔で私を見つめてくる水無瀬君……ふふっ、こんな顔初めて見た。
「綾小路さんから聞いたわ。初キスは彼女が奪ったって……でも、私も負ける気は無いから。覚悟しておきなさい。あと、私のことは名前で呼んで。分かった?」
そう言って逃げるように速足で歩く私に、彼は困ったように呟いた。
「これで3人目か……参ったなあ」
……綾小路さんが言っていた水無瀬君は悪い男、という言葉の意味がようやく理解できた気がしたわ。
ほぼ同じです!
リメイク前の方を読んだことありますか?
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リメイク前読んだことあるよー
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リメイク後初めて読んだよー