TSした綾小路ちゃんを転生オリ主が愛でまくる話   作:妄想癖のメアリー

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区切りいい所にするために短くします!


純愛

 

 

 

「それでは条件が達成され次第契約を遂行しましょう。この内容の通りでよろしいですね?」

 

「……ああ」

 

 目の前の生徒が提示した契約書を見る。

 恐ろしい生徒だ。この学校のシステムをほとんどすべてたったの一週間で把握してしまった。やはり歴代最高生徒と名高いだけあるだろう。

 

「改めて説明させていただきます。私から示す要求は2つ。水無瀬柊、綾小路清楓、坂柳有栖の同棲を認める事。そして綾小路清楓に対して、クラス間闘争に参加する事の強制をしないこと。

 

 そしてあなたが提示した要求は、そのポイントを使ってでの僕らがAクラスへと行く権利のはく奪。ないしAクラスへ行くことの()()()()を負う事。そしてこの契約内容は、何者にも漏らしてはいけない。破った場合のペナルティは、破った側の提示する要求、全てを棄却すること。

 

 この契約は私、水無瀬柊またはあなたのどちらかがこの学校に在籍している限り永久とする。これでいいですね? ────茶柱先生」

 

「……ああ」

 

「分かりました。それにしてもあなたも罪な人だ。教師という立場を利用して生徒に脅しをかけるだなんて。そしてその上こんなめちゃくちゃな契約、普通通ってはいけないはずなのに」

 

 そこが知れない昏い目でこちらを見つめる彼、その心の中を読み解くことは、私にはできなかった。

 

「話はもう終わったか? では失礼する」

 

「ええ、良い取引でした。さようなら先生」

 

「……」

 

 ────私が取引してしまった人間は、果たして天使か悪魔だったのかは。その時は誰も、誰も分らなかった。ただ一つだけ言えることは。彼、水無瀬柊は最も危険な生徒であるという事実のみ。たったのそれだけだった────

 

 

 

 

 

「カラオケに来たのは2回目だよね? 入学してから放課後は基本的にずっと一緒にいたし」

 

 水泳の授業を終え、その後の授業も問題なく終えた放課後。綾小路と水無瀬はカラオケルームへと来ていた。坂柳も誘ったのだが、『面白い方を見つけた』とのことでパスらしい。

 

「……うん。櫛田に誘われて一緒に行って以来。平田は良い子だし、櫛田は天使だと思う」

 

 水無瀬が前回の誘いを断った時の埋め合わせに、彼女もついてきていたのだ。

 大人しそうな見た目に反して、意外と歌が上手いと驚かれていた。

 

「結構大人数で行ったからあんまり順番回ってこなかったけど結構楽しかっただろう?」

 

「ん、楽しかった。でも水無瀬は古い曲ばっかり歌ってた」

 

 当時周りの反応を思い出して水無瀬は苦笑いをしていた。

 

「まあ事情が事情なだけに勘弁してほしいね。それでも割とみんな知っているであろう曲を歌っていたはずなのにすっかり『水無瀬柊は新しい曲を全然知らない』っていうのが定着してしまったよ……っと今回誘ったのは歌うためじゃないんだ」

 

「……歌わないの?」

 

 少しがっかりした顔をする綾小路。それを見て彼は笑って答える。

 

「あははは、歌いたかったのかい? ごめんごめん、じゃあこの話が終わってからだ」

 

 真剣な顔になり語る水無瀬。

 

 

 

「────僕らがこの学校に入学してから1週間。その間僕たち3人は放課後、生活用品を買うために様々なところを巡った。それは覚えてるね?」

 

「うん。水無瀬の布団と、みんなの洋服とかパジャマとか。いろいろ買った」

 

「そこで僕は疑問に思った。山菜定食をはじめとした食料、生活雑貨、衣服等の必要な商品の多くが()()()売られている事に。不思議だと思わないかい? 僕たちは先生の話によると毎月10万円相当のお小遣いがもらえるのに、どうしてそんなに多くの商品が無料なのか?」

 

「でも、それはポイントが減ると言う事で結論付いたはずじゃない?」

 

 それは2日目の時点で予想が付いていたはずだと語る綾小路だったが、水無瀬はそれ以上の情報が欲しかったようだ。

 

「そう。だけどもう少し詳しく知りたくてね。ちょっとこのメモを見てくれ」

 

 彼はおもむろに一つのメモをカバンから取り出す。

 そこには箇条書きでとある情報が書かれていた。内容としては以下の通りになる。

 

 ・毎月振り込まれるポイントは()()()()()()変動する

 

 ・新入生はAからDクラスまで平等に1000クラスポイントが支給され、それに100を掛けた値の分のポイントが毎月振り込まれる

 

 ・Aクラスが最も優秀でDクラスは不良品の集まりとされていて、クラスポイントが高いクラスから順にAクラスとなる。つまり一年のうちにクラスが変わる可能性もある

 

 ・就職、進学先を保証する権利はAクラスにしか与えられていない

 

 ・授業態度、規律違反等基本的な要素はもちろん。定期テストを含めた成績もクラスポイントに影響する

 

 ・上記の要素のほかに、()()()()が開催されその結果も大きく反映される

 

 ・この学校では文字通り、ポイントで買えないものはない。例として、欠席を帳消しにする権利、定期テストの点数、学校施設の使用権。そして退()()()()()()()()()

 

 

 

 余りにも詳しすぎる情報に、訝し気な顔をしている。出所が気になるようだ。

 

「これは?」

 

「昨日ボードゲーム部に殴り込みに行ったんだ。そこで先輩全員に『先輩が勝ったら5000ポイント払います。その代わり僕が勝ったら一つ僕が聞いた事を教えてください』って言ってね。平たく言えば情報とポイントの賭けだね。鴨がネギを背負ってきたとでも思ったのだろうが、ボッコボコにして色々教えてもらったのさ。そしたら教えられない情報は代わりにポイントで払ってもらうことになっちゃってほら、すごいだろ?」

 

 そういって端末を出す水無瀬、そこには昨日より約3万ほど増えたポイントが表示されていた。

 

「水泳の授業でポイントももらったし、今日は贅沢に焼肉にしようか。明日学校ないからね」

 

「やったー」

 

 そうして坂柳にチャットを送る水無瀬。返事はすぐに帰ってきた。

 

 

 

「……今度私とも2人でカラオケ行きましょうだってさ。そっちじゃなくてどんな肉が食べたいかなんだけど」

 

「ふっ、私は水無瀬と2人で初めてカラオケデートをした。坂柳はぜったい悔しがってる」

 

 4年間の間に2人が行っている可能性は考慮していないようだ。

 

「ほら、ふざけてないで早く歌おう? 清楓ちゃん。時間いっぱい歌い終わったらモールに行って買い物するんだから。その頃になると部屋にお腹をすかせたお嬢様が待ってる。また遅れてドヤされたら大変だ」

 

「わかった……水無瀬は歌上手いんだからもっといろんな曲を覚えたほうがいい。それこの前も歌ってた」

 

 綾小路の言葉にムッとして答える水無瀬。

 

「……別にいいじゃないか大体そんなたくさん曲覚えて何になるんだよ一体。清楓ちゃんも仲間だと思っていたら全然そんなこと無いし」

 

「私は水無瀬とカラオケ行くために覚えた。私の見事なメロディーを聞くといい」

 

 ホワイトルームで鍛えた記憶力がカラオケに使われているなんて綾小路父は思いもしないだろう。

 

「それは結構なことで。よし。このデュエットを歌おう。これは僕も知っている最新の曲だよね?」

 

「……水無瀬。いくら何でも、3年前の曲を最新っていうのは擁護できない」

 

「……今度有栖ちゃんと来るときはしっかりリサーチして来よう」

 

 それを聞いた綾小路が遠い目をしていた彼の頬を両手で包み、こちらへと向けさせる。

 

「む、今は私と歌う。ほかの女の名前を出しちゃダメ。水無瀬は優しいのに女の子の扱いがわかってない」

 

「前も言ったけど、僕は4年間で彼女が出来なかったんだ。そんなんで扱いとか言われてもね……」

 

 水無瀬は苦笑いで答えた。一見完璧に見える人でも、弱点の1つや2つはあるらしい。

 

「私もよくわかんない、だから同じ……ほら曲が始まる。コーンポタージュを飲むと喉の調子が良くなるとネットで書いてあった。もう用意してあるから一気飲み」

 

 渡されたコップを一気にあおった水無瀬。随分とぬるいコーンポタージュだった。

 

「んっ、よし。どうせなら100点目標に歌おっか!」「がんばれー」

 

 

 

 

 

 ────楽しい時間はあっという間に過ぎてしまうもの。2人がちょうど出てくるころには日が暮れていた。────

 

 

 

 

 

 買い物を終え、帰路に就く二人。一歩先を歩く綾小路がふと問いかける。

 

「……水無瀬は女慣れしていないと聞いた。つまり女の子とキスしたり……その……せ、性交渉とかはしたことないの?」

 

 唐突に童貞かどうか聞いてきた綾小路。恐ろしい女である。

 前から聞こえてきた問いかけに噴出して答える水無瀬。

 

「……ッゲホゲホ。……何てこと聞いてくるんだ清楓ちゃん。……恥ずかしながら僕は前世を含めて女の子とキスをしたことも、性交渉もしたことないさ」

 

「本当に?」

 

「……ああ……本当さ」

 

「そっか……」

 

 

 

 

 

 

「────じゃあキスは私が最初だね」

 

 

 

 そう言うと、微笑みながらこちらを振り返る綾小路。

 顔が赤く見えるのは西日のせいなのだろうか? ────それは、神のみぞ知ることであろう。

 上目遣いでゆっくりと歩み寄る彼女に、水無瀬は何もできなかった。

 

 

 

 

 

 ────軽い、軽いキスだった。それこそ言われなければ気が付かないくらいに。ただその時感じたほのかに甘い香りと暖かさは、確かに本物だったといえるだろう。

 

 

 

 

 

「ほら。早く帰ろう? 水無瀬!」

 

 




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