TSした綾小路ちゃんを転生オリ主が愛でまくる話   作:妄想癖のメアリー

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こっちも短め


堕落

 

 

 

「ぎゃははははは! お前それバッカ! おもろすぎだって!」

 

 2時間目の授業中、今日も池が大声で談笑していた。その相手は山内である。

 前回水無瀬にやんわりと注意されてから3日ほどは静かなままであったが、土日を挟めばこの通りである。

 

 入学してから3週間、池と山内の2人と須藤を入れ、それをなだめる水無瀬4人は陰で3バカトリオとその保護者という非常に不名誉なあだ名がつけられていた。

 

「ねえねえ、カラオケ行かない?」

「行く行くー! ねえ水無瀬君と清楓ちゃんも行かない?」

「こらこら、カラオケの約束もいいけど今は授業中だから集中して。放課後は2人とも空いてるし、いいかい? 清楓ちゃん?」

「もちろん」

「よし。じゃあこの話は終わりだ。いいね?」

「「はーい」」

 

 

 

 そんなこんなで3時間目の授業が始まる。科目は社会。担任の茶柱だ。授業開始のチャイムが鳴っても騒がしい教室。

 茶柱が入ってくるが、生徒たちの喧騒止むことを知らない。

 

「(……現状ではAクラスへの到達が出来たとて、1シーズン持つかも怪しい。やはりあの選択は正しかったようだね)おはようございます、茶柱先生」

 

「……ああ、おはよう」

 

 内心思っている事とは裏腹に、にこやかに挨拶をする水無瀬。反対に彼女の表情は少しぎこちない。

 そしてそのまま茶柱はクラスに呼びかける。

 

「ちょっと静かにしろー。今日はちょっとだけ真面目に授業を受けてもらうぞ」

 

「どういうことすかー? 佐枝ちゃんセンセー」

 

 そんな愛称で呼ばれた彼女。本当なら池の態度に一言小言を入れても誰も文句は言わないだろう。だが特に反応することはなかった。

 

「月末だからな。小テストを行うこととなった。後ろに配ってくれ」

 

 そう言うと、1人1枚のプリントが回された。それを見た生徒たちは不満を口にする。

 

「そう言うな。今回のテストはあくまでも今後の参考用だ。成績表には反映されることはない。ノーリスクだから安心しろ。ただしカンニングは当然駄目だ……おい水無瀬、何を笑っている?」

 

「……すみません。池が変顔をしていたもので」

 

「してねえよ! いつも静かな奴がそんなこと言ったら、ますますホントっぽく聞こえるじゃねえか!?」

 

 クラスに笑いが起こる。こういう二人のやり取りはすでにちょっとした名物となっていた。

 緩んだ雰囲気を戻すように茶柱は呼びかけ、テストがスタートする。

 

 

 

 

 

 ──昼休み──

 

「水無瀬、今日の昼ごはん食べるとき堀北も混ざっていい?」

 

「いいけど……彼女にちゃんと許可を取ったのかい?」

 

「取っていないわよ。まあ別に一緒に昼食を食べる位。減るものでもないし」

 

 上から順に綾小路、水無瀬、堀北が話す。

 どうやらこの3週間で2人は、理由もなく昼食を一緒に食べる位には仲良くなったらしい。

 

「随分と仲良くなれたみたいだね。清楓ちゃんの幼馴染としても嬉しい限りだ」

 

「……彼女は時々暴走するけど基本はこちらのやりたい事を尊重してくれるの。そこは高く評価できるわ」

 

「『押しつけがましい愛はゴミだ!』って水無瀬が言ってたから。私はそれに従っているだけ」

 

「そんなこと言ったかなぁ……」

 

 3人は机をくっつけて席に座り、弁当を開く。

 

「……その弁当は誰が作ってるの? あなた達、同じのを食べてるみたいだけど?」

 

 自炊をしている堀北的に、そのクオリティの高い弁当の製作者は気になるようだ。

 

「水無瀬が作ってる。水無瀬の弁当は一品。冷めても美味しいし、栄養バランス等の配慮が素晴らしい……その反面怒らせるともれなく大量のピーマンが付属する。いじわる」

 

「今日は野菜の特売日だったね。大量のピーマンを買ってこようか?」

 

「ごめんなさい……」

 

「……もう本当に親と子供みたいね」

 

 

 

 

 

「水無瀬、ちょっと来てくれないか?」

 

「……どうしたんだい。柄にもなく真剣な目をして?」

 

 綾小路たちと昼食を食べ終えた後。いつもはお調子者の池が、いやに深刻な様子で水無瀬に話しかけた。

 その様子に驚いた水無瀬は何事かと思って着いていく。

 

「お前は俺の友だ。正直に言えば許してやるぞ?」

 

「……ごめんどういう事かな?」

 

 水無瀬ににじり寄り問う池。いつの間にか山内と須藤もその場にいて、彼を怪しむ目で見ていた。

 

「綾小路のことについては良い。元からカレカノだったんだろ?」

 

「……ん? ん?」

 

 前提から既に滅茶苦茶で困惑する水無瀬。そんな彼の様子は目に入らなかったのか。怒りに震えるように池は続ける。

 

「だが二股はさすがに見過ごせねえよなあ!? さあ吐け水無瀬! お前の間違いは友である俺が正してやる!」

 

「ああ、お前は俺の友人でバスケ仲間だ。お前を見捨てたりはしない」

 

「お前だけ可愛い子と付き合っててズルいぞ!」

 

 上から池、須藤、山内、が諭すように問いかける。

 

 一体何事かと他クラスの生徒も含めて大勢が集まってくる。

 池も水無瀬も他クラスとの交流が多い人物である。そんな2人が何やら喧嘩しているような様子だったので、そこには一瞬で人だかりができた。

 

「なになにー? 喧嘩? って水無瀬君じゃん!」

「一之瀬、どうやらお取込み中のようだ。クラスに戻るぞ」

「何でしょうか騒々しい……って水無瀬君?」

「……水無瀬ってあんたが言ってたあの水無瀬?」

「ええ、ふふふ。随分と焦っているように思えます。神室さん、端末のカメラを」

「趣味悪いわよ……あんた」

「ククク……なんだ喧嘩か?」

 

「ちょっ、ちょちょいったん落ち着いてくれないかい池君? どういう事なんだ?」

 

 あくまでも知らないという態度の水無瀬に、しびれを切らしたのか大声で言い放つ。

 

 

 

「────だから! お前綾小路と付き合ってる中、堀北とも付き合ってんだろ!? 」

 

 

 

 空気が凍った。

 

 

 

「ッチ、なんだよただの修羅場かよ。つまんねえな」

「……え? 水無瀬君が二股?」

「落ち着け一之瀬、あれは恐らく池が錯乱しているだけだ。水無瀬のあの顔を見ろ、呆れと困惑が混じって酷いことになってる」

「……ほんとだ。ふふ、かっこいい顔が台無しになってる」

「坂柳? ……大丈夫坂柳?」

 

「どういう事でしょうか? 水無瀬君? 説明してください、私を差し置いて綾小路さんと付き合っているという事実は本当でしょうか?」

 

「あ、有栖ちゃん!? ちょマジで」

 

 予想外の刺客の登場に焦る水無瀬。半月ほど前にあんな約束をして、その上別の女性と二股など、殺されても文句は言えない。

 

「あ! 寮の部屋の子だ! 覚えてる? 俺の名前は山うt「一旦黙ってもらえますか?」はい……」

 

 見覚えがあったのか、嬉しそうに話しかける山内を一蹴した坂柳。

 余りに迫力があったため、山内は食い下がることが出来なかった。

 

「で? 説明してくれるんですよね? 皆気になっていますが? まさかDクラスの人気者である水無瀬君がお付き合い、さらには二股しているなんて冗談ですよね?」

 

 

 

 ────説明後

 

 

 

「ということは綾小路さんと付き合っている事も、堀北さんという生徒と付き合っているということも、全てはそこの彼、池君と山内君の大きな勘違いってことなんですね?」

 

「ああ、そうだよ有栖ちゃん」

 

 何とか弁明を終えた水無瀬。その額には汗が一筋たれている。

 

 

「……全く。とんだお騒がせでした。行きましょう神室さん」

「あっ、ちょっと……!」

「やっぱり神崎君の言うとおりだったね?」

「ああ、流石に綾小路と付き合っていないという情報は初耳だったがな」

「確かにそれ意外かもー!」

 

 騒がしかったオーディエンス達は、蜘蛛の子を散らすように居なくなった。

 

 

 

「────何か言いたいことはあるかい?」

 

 にこにこと語り掛ける水無瀬。しかしその目は笑っていなかった。

 

「もともとは山内が言い出したんだよ! 水無瀬が女で遊んでるって!」

 

「だってしょうがないだろ! 学校から帰ってきた後さっきの子と綾小路と3人で玄関で抱き合っていたんだって!」

 

「そんな話誰も信じてなかっただろ!? 大体お前から言えばよかったじゃねえかよ! それに……」

 

「済まねえ。信じた俺がバカだった」

 

 醜い言い争いを続ける2人に対して、須藤は借りてきた猫のように大人しくなっている。

 

「2人とも?」

 

「「はっ、はい!」」

 

「悪いことをしたらまずはなんていうんだっけ?」

 

「「……ごめんなさい」」

 

「……全く。次からはちゃんと確認を取るなりしてくれよ? 聞かれればきちんと答えるさ……しょうがない、今回だけだよ?」

 

「「「すみませんでした」」」

 

「よろしい」

 

 

 

 

 

 

 

 ────5月1日(朝)────

 

「やはり読みは確実、振り込まれるポイントも少しではありますが減っています」

 

「まあそうだろうねえ。清楓ちゃん。そっちはどんな感じだい?」

 

「ん、1ポイントも振り込まれていない」

 

 彼女の示す端末の数字は、4月最後の夜から変わっていなかった。

 

「恐らく今日、ポイントについての説明が行われるでしょう」

 

「ああ、そうだね。そして始まるよ。()()()()()()()()()()()()がね」

 

 

 

 




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