Side 羽崎 トウマ
どうも羽崎 トウマだ。
異世界まで来てプラモ作って女学生相手にプラモバトルの相手をしたり、プラモの作り方を教えたりしている。
まあ現実世界でもそんな感じで夢のラノベ作家と言うより企業契約したモデラー(兼サラリーマン?)が板についている状態だ。
いっそモデラー兼業ラノベ作家でも目指そうか?
だが今日は異世界での活動は休業して――リーシャさんの相談相手をする事になった。
事故とは言え、旧帝国の皇子様が風呂現場に落下して女子生徒の体を覗いちゃったらしい。
リーシャ様の場合は身体を押し倒されたながらモロに見られてしまったそうだ。
その後、旧帝国の皇子様はドラグライドまで持ち出してトライアドの三人が捕まえたようだ。
「その場の勢いとは言え、つい決闘だとカッとなって言ってしまってな――何か収拾がつかなくなってしまった」
「それをどうして自分に相談するのか分からないんですけど」
などとリーシャ専用のオタク部屋になりつつある格納庫で言われても困る。
こう言うのは谷村さん辺りが適任だろうに。
「そんなに思い悩むなら、一発ビンタを思いっきりかまして手打ちにすれば良かったんじゃ」
「だけど決闘の事は学園中に広がってしまってな……それに私もビンタ一発で済ませたくない理由がある」
「もう答え出てるじゃないですか。これ自分に相談する必要があります?」
「それを言われたらそうなんだが……」
「まあとにかくなるようになる事を祈りましょう」
「それもそうだな」
話の内容に引っかかる部分、ビンタ一発で済ませたくない理由がある――があったが気のせいかと思いつつあえて泳がせておいた。
☆
決闘準備はあれよとあれよと言う間に進んでいき、学園中の暇な生徒が集結して観戦するお祭りムードになった。
ローマのコロッセオを思わせるような闘技場で女子に交じり、自分も観戦することにした。
対戦相手はルクス・アーカディア。
帝国時代の皇子様で通称、雑用皇子。
何でも屋として生活している一方で機竜での戦いは不名誉な感じで有名らしい。
リーシャさんは神装機竜、ティアマトで行くつもりらしい。
レギオンと呼ばれる浮遊兵器。
セブンスヘッズと呼ばれる巨砲。
そして神装機竜にある特殊能力はスプレッシャーと呼ばれる重力制御能力らしい。
対して相手のルクス・アーカディアはワイバーンと呼ばれる汎用機竜、空戦に特化した量産型の機竜だが。
(重装甲タイプのワイバーン?)
不必要なぐらいの重装甲タイプだった。
ガンダムのトールギスのように推力に手を加えているのだろうか? とも思ったが、そうなると「最弱無敗」の二つ名の意味が分からない。
機体のカスタマイズと言うのは、特に実戦においては勝つためにやるもんだ。
あんな機体の長所を殺すようなカスタマイズは素人だろう。
いっそワイアームでも使った方がいいように思えるが、この世界では機竜と言うのはそう、おいそれとホイホイ手に入る代物ではないらしい。
基本は発掘して仕立て直して使える状態にしている感じである。
その辺で何かしらの事情があるかもしれない。
☆
戦いその物は一見するとリーシャさんが押しているように思える。
対戦相手のルクス・アーカディアは防戦一方だが、カウンター狙いかも知れない。
だが段々とルクスは追い詰められていっている。
機体の性能差やルクスの戦い方もあるのだろうが、リーシャさんも谷村さんや藤崎さんに揉まれて強くなっている。
トライアドの三人だってそうだ。
特にノクトさんのドレイクは谷村さんの手で魔改造が施されているらしい。
一体何をしているんだあの人は。
それはそうと戦いはリーシャさんのコールド勝ちで終わりそうになっていた。
その時だった。
笛の音と獣の咆哮が響いたのは――
☆
この世界には脅威が存在する。
その名もアビス。
平たく言えばこの世界におけるモンスターだ。
今回襲撃してきたのはガーゴイルと呼ばれるアビス。
それも四体。
一体だけでも上級とされる機竜使いが最低三人必要となり、これに対処するには十二人必要となる計算だ。
今は試合で消耗した二人――ルクスとリーシャの二人が対処していた。
教員やトライアドの三人は生徒達を落ち着かせるために動けないでいる。
そして自分はと言うと――
(何でパワードスーツに乗って戦ってるんだ俺は!?)
谷村 亮太郎が――家庭教師ヒットマン リボーンの白蘭(の劣化版)みたいな存在だと自分自身で語っていたのは覚えていたが、まさか異世界でパワードスーツを作っていた。
しかもガンダムWのリーオーである。
それをパワードスーツとしてスタイルを調整して完成させていた。
しかも武装まで完備している。
ちょくちょくテストパイロットをしていたのだが――それはともかく半ニートな人生を送っていたマダオな社会人がやる仕事じゃねえ。
一方でリーシャさんやルクス君を守りたいと思ったのは確かだ。
大人だからとか、子供だからとかそう言う理由じゃない。
ただ自然に体が動き、待機状態のエンブレムからリーオーを呼び出して戦いに参加していた。
元々は自衛用のためにと持たされていたのだがこうして使う事になるとは。
後でお叱りコースだな。
(とにかく、早く倒さないと――)
などと思いながらマシンガンを発射する。
ガーゴイルの動きや攻撃方法も分かって来た。
谷村さんや藤崎さんも生身で戦いに参加している。
大阪日本橋から見知った顔は避難誘導の手伝いをしていた。
(長期戦に持ち込むのは不味い。それに射撃武器じゃ最悪観客に流れ弾が飛び込む可能性もあるし――接近戦で片をつけるか?)
ガンプラバトルでの接近戦とパワードスーツ越しでの接近戦は天と地ほども違う。
それでもビームサーベルの使用を検討する。
ガーゴイルはそれ程の相手だった。
『トウマか、何をやっている!?』
『すいませんリーシャさん。自分でも分からなくて――ともかく死なない程度に頑張ります!! 以上!!』
生き延びたら生き延びたらでリーシャさんにお叱りを受けそうだ。
本当になにやってんだろうか。
相手はそんな事情などお構いなしに光弾を発射してくる。
このリーオーはインフィニット・ストラトスみたいにシールドエネルギー(ご都合主義バリア)で守られているようだが攻撃範囲が思いの他広い。
早く決着をつけないとダメだろう。
(見た感じ接近戦も相手も出来る感じだが――やるしかない)
ガンプラバトルのように上手く行くかは分からないがやるしかないだろう。
身体に身に纏っているリーオーの動きは大体掴んだ。
『まずは!!』
銃を乱射して突撃する。
相手は横っ飛びに交わす。
そこを猛スピードで突っ切る。
背後を見て――アビスが攻撃を仕掛けようとした瞬間――
『そこだっ!!』
ブーストを利用した宙返り。
そのまま着地ざまにビームサーベルを引き抜き、相手の頭から下半身迄を切り裂いた。
『はあ……はあ……』
敵はこいつだけではない。
周囲を見ると、谷村君や藤崎君は生身でアビス相手に片をつけたようだ。
そして上空ではリーシャのティアマトの大型光線武器、セブンスヘッズが解き放たれガーゴイルの一体を消し炭に変えた。
戦いは終わったがリーシャさんや谷村さんのお叱りの言葉が待っている。
☆
谷村さんからは苦言、小言を言われて「これからは訓練もキッチリ付けるから覚悟したまえ」と笑顔で言われてしまった。
リーシャさんは「なんだかんだで丸く収まった」と喜んだ様子だった。
と言うよりかはリーシャさんが丸く収めたのだ。
ルクス君は独房行きは間逃れて、そして学園に入学する事になったらしい。
だがその前に戦闘のケガもあり、谷村さんや藤崎さんなどが治療して今は安静にさせているそうだ。
学園長のレリィさんからお礼を言われたが、同時に自分達の立場や危険性について言われた上で改めて学園に協力して欲しいと言われた。
俺は「今回みたいな真似はもう二度とごめんです」と苦笑して返しておいた。
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