日本国召喚 × The new order: last days of europe   作:アレクセイ生存BOTおじさん

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第十五話

1963年6月11日午前8時

大日本帝国 博多

 

クワ・トイネ公国から外交官数名が派遣されるも、大日本帝国の圧倒的な建造物の数々に度肝を抜かれている最中であった。

 

日本側が手配した客船に搭乗した後、帆船よりも早い速度で博多に到着した彼らは、地方都市いえども公都よりも高い建物がそびえ立ち、大勢の人が行き交っている様子を見て、すぐに列強国たる国力を目の当たりにしているのだ。

 

「旅客船で、マイハークから二日でやってこれたとはいえ……これだけの高層建築物を有する文明とは……」

「田中殿から聞いた話では、ここはかつて朝鮮半島と呼ばれる大陸を繋ぐ場所との連絡網として海底トンネルを有していた都市ということもあり、かなり賑わっていたとのことです」

「今でも十分に発展しているというのに……いやはや、これではもう軍事基地を視察するのにどんなことになるのか想像すらつかないわ」

 

外交官であるヤゴウとハンキは、その圧倒的な国力を誇る日本の技術力を目の当たりにした上で、どのようにして軍事交渉を行うかをホテルのロビーで話し合っていた。

 

「ヤゴウ殿……日本帝国が少々威圧的な対応を取っていたのも、こうした圧倒的な国力を有する国家であった事が理由なのですね……」

「ええ、鉄で出来た船が何隻も港に停泊しておりましたし、道路にも鉄で動く乗り物が行き交っておりました……まさしく、パーパルディア皇国以上の列強国であるのは間違いありません」

「では、一部では弱腰と非難されたカナタ首相閣下の判断は、間違いではなかったというわけですか……」

「そうでしょう……これほどの技術力、それに鉄で動く乗り物を利用している国家です。下手な対応をして日本側を激怒させたらそれこそ、国が滅んでいましたよ……」

「鉄竜の撃墜の件はこちらにも非があるとはいえ、領土割譲を要求してきたのも、国民の怒りを鎮める為でもあったのでしょうか?」

「それはわかりかねますが、いずれにしても今回の軍事交渉はしっかりと行わなければなりません」

 

彼らの行動一つで結果が実を結ぶこともあれば、灰燼に帰すこともあり得る。

そのプレッシャーは凄まじいものであったが、既に日本側が自分達の軍事力を見せつけることを証明するために、陸軍の戦車師団駐屯地と海軍の航空基地の視察を行う予定となっていたのである。

案内はクワ・トイネ公国に駐在することになった田中であり、日本政府としてもクワ・トイネ公国の実情を把握した田中が案内に適任だと判断した為である。

 

「それでは皆さん、こちらの車両に乗ってください。これより、第三戦車連隊が駐屯している陸軍基地に案内します」

「田中殿、この黒い乗り物は……?」

「ああ、これは自動車……皆様の言うところの馬車のような乗り物です。ご安心を、全員が乗っても大丈夫なように設計されています。何と言っても八菱自動車の最新車両ですから。さぁ、どうぞ」

「うむ、では陸軍基地から向かうとしましょう……」

 

外交官らを乗せた自動車は乗り心地も良く、快適な冷房も備え付けられていた。

 

(なんと、馬車よりも快適で……それでいて速く走れる乗り物とは……便利なものよのう)

(船といい、この自動車といい……機械文明が発展した国なのでしょう)

 

ムシムシと熱くなっていた外気ではなく、冷房から送られる冷たい風を受けながら、乗り物についてヤゴウとハンキが語っていた時、彼らの目に飛び込んだのは陸軍基地に鎮座する戦車の群れであった。

 

(これが……資料で見た戦車と呼ばれている乗り物……だが、実力はどのようなものか……?)

 

魔導砲のような長い筒を搭載し、車列を成しているその姿は圧巻であった。

到着して早々、陸軍基地の視察も兼ねてその洗礼を受けることになる。

 

「こちらが帝国陸軍で開発された最新鋭の23式戦車「チワ」です。15式改100ミリ滑腔砲を搭載した車両であり、城門等であれば一撃で破壊できるでしょう」

「……では、早速射撃訓練を致しますので、射撃の際の爆音にお気を付けください」

 

重装備が施された23式戦車が100ミリ砲による射撃訓練を開始する。

轟音と同時に800メートル離れた目標に精確に命中する光景。

その破壊力、遠距離からの命中精度に度肝を抜かれてしまう。

 

(なんだこの威力は……!!!大魔導士が時間を掛けて行う程の攻撃を、()()()()()だけで行えてしまうのか?!)

(ヤゴウ殿……これは恐ろしいことですぞ……)

(この基地だけでも30輌以上はある……では、日本本土だけでどのくらいあるのか想像をつきません……)

 

外交官は、戦車の威力を目の当たりにして、かなり胃が縮こまってしまった。

これほどまでに威力のある兵器を、大日本帝国は少なくとも100輌以上を配備しており、旧式の戦車を含めれば実に1000輌以上が本土に配備されているのだ。

 

(陸でこれなら、空はもっと凄いことになるぞ……)

 

そして、陸軍基地の視察あとに向かった日本海軍築城基地では、旧式ではあるものの本土防空の為に配備されている海軍仕様の中島飛行機製「Ki-201 火龍」のデモンストレーション飛行と、対地攻撃任務訓練として30mmロケットポッドによる攻撃を目の当たりにした。

 

(マイハークに墜落した鉄竜とは違うが……これが非武装ではなく、武装した航空機というものか……!)

(なんという威力!なんという速度……!これでは我が国の飛竜など追いつけるわけがない、成すすべなく撃墜されてしまう……!)

 

先ほどの戦車の砲撃と似たようなものを数発も一斉に地上に向けて掃射する姿を見て、ヤゴウとハンキは確信する。

 

「「日本は大魔導士以上の兵器を多く有する列強国であり、かの国を怒らせてしまった場合、我が国は圧倒的な軍事力を有する国家に立ち向かえるだけの戦力などはなく、戦争が起こればクワ・トイネ公国そのものが崩壊してしまうだろう」」

 

外交官たちは、自分達の国の軍事力と比較し、いかに無力かを思い知らされたのであった。

 

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