日本国召喚 × The new order: last days of europe 作:アレクセイ生存BOTおじさん
1963年6月13日午前10時
帝都 赤坂高級ホテル
日本との軍事同盟締結は、ロウリア王国の脅威が間近に迫っているクワ・トイネ公国にとって、必要なものであった。
自国の軍隊とは全く異なり、それまで培ってきた常識が吹き飛んでしまいそうになるぐらいに、彼らの目の当たりにした日本帝国の軍事力を見せつけられた。
そして、帝都東京に赴いた彼らが目の当たりにしたのは、高層ビル群が立ち並び、大通りには連結した車両や人々が行き交っている光景だ。
クワ・トイネ公国では絶対に見れないであろう、高度文明が有する技術力の結晶の数々が目の前に飛び込んできたのである。
博多から陸軍の飛行機で帝都の上空を視察した際に、ヤゴウとハンキは帝都東京の光景に圧倒されている。
「博多ですら、あのような高層建築物は無かった……ここが首都と申されていただけのことはある……」
「それに見てください……自動車専用の高架道路まで設置されています……」
「おまけに大日本電波塔と呼ばれている高さ333メートルの建物までも作りあげるとは……いやはや、ここはもう我々の力では及ばぬほどの列強国じゃな……」
自分達が撃墜した鉄竜の同型機であり、輸送機として使用されているYS-11の座席に座っている二人には、帝都東京は間違いなく大都市に見えるだろう。
それも、ただの都市ではなく、自分達の技術と資金力では到底成し得ない程の力を有している国家であることを再認識させられたのだ。
搭乗している乗り物も、地面で豆粒のように動いている人も、空を目指して建築されていくビル群も……。
全てが、圧倒的な力によるもので出来上がった世界なのだ。
そして今、歴史的な会談が実現しようとしていた。
クワ・トイネ公国の外交官と、日本の外務省官僚、及び高木首相が同席した状態で実務者協議が開かれるのである。
帝都でも名だたる高級ホテルにて行われた会談では、ヤゴウとハンキは緊張した様子で挑む。
カナタ首相より授かった親書を高木に手渡し、記者団の前ではカメラに驚きつつも、丁重な対応を行い記者からのインタビューに応えていたのである。
「朝毎新聞ですが、帝都をご覧になられて如何ですか?」
「物凄く発展した都市であると感じております。我が国にはこれほどまでに発展した場所はありませんし、博多に到着した時も初めて自動車に乗りました……。本当に驚きの連続です」
「産業推進新聞の者ですが、今回の同盟締結に向けた意気込みと、我が国との関係はどのようにしていきたいとお考えでしょうか?」
「大日本帝国は圧倒的な力を有している国家なのは間違いありません。是非とも我が国との友好関係を維持し、我々も同盟となればそれに応えられるようにしていく所存でございます」
記者たちは、ヤゴウとハンキの回答に満足したのか、納得した様子でメモを取ったり、カメラのフラッシュを焚いていた。
その様子はテレビやラジオにて生放送という形で伝えられていたこともあり、特に街頭テレビジョンやテレビを設置している店の前には大勢の人が詰めかけており、初めて対面する異世界人との触れる機会であったこともあり、子供達も授業を抜け出して視聴していた程だ。
「へぇ~これがクワ・トイネ公国の人達か……日本語をようしっかりと話すねぇ」
「なんでも世界共通語として我が国の言葉が使われているらしいぞ」
「それはスゴイことだな……未知の言語だったら協議すら出来んのだが……」
「しかし何というか、思っていた以上に欧米人のような顔立ちだな……」
「ワシャてっきり三島先生の言っていたような火星人のような姿じゃないかと思ったんじゃがな……」
「なんでも、向こうにはエルフという耳の長い種族もいるみたいだぜ、そんでもって美人も多いとか……」
「のらくろ少佐みたいな獣人もいるらしいからな……そうした種族も見てみたいのう」
テレビで映し出された異世界人の外交官を見て、視聴していた人々は先ずは安堵した。
一部の週刊誌などでは、異世界人はタコのような見た目をしているのではないか……?とまで言われていた程だ。
特に、軍用機が撃墜された案件に至っては、飛行恐竜のプテラノドンのような姿をしていたという情報も相まって、彼らが竜人のような人外じみた姿をしているのではないかと思われた程だ。
もし空想科学小説として名高い「宇宙戦争」のような人類を襲撃してきた火星人のように、タコのような見た目をした輩であったら、恐らく卒倒する者も出ただろう。
しかし、そうした異端ではなくむしろ欧米人寄りの顔立ちをしていたヤゴウとハンキの姿は、かえって異世界人も元いた世界の人のような姿である事に安心感を覚えたのである。
『赤坂高級ホテルの前には、我々報道陣をはじめとした大勢の人々が詰めかけておりますが、これから高木首相と同盟締結に向けた実務者協議が間もなく始まります。我が国の行く末を決める重要な協議である以上は、我々報道記者としても見守って参りたいと思います』
こうして日本・クワ・トイネ公国の二国間による実務者協議は、午前11時より開催されたのであった。