日本国召喚 × The new order: last days of europe 作:アレクセイ生存BOTおじさん
1963年6月13日午前11時
帝都 赤坂高級ホテル
高木首相は、初めて面会する異世界人であり、クワ・トイネ公国のヤゴウとハンキを手厚く出迎えた。
見た目としては、背丈の高い欧米人のような印象を受けると同時に、彼らの身に着けている服装が、古代ギリシャのような古めかしい衣装であったことにどこか懐かしさすら感じていた。
「こうしてお互いに腹を割って話をする機会を設けようと思いましてね……ささっ、どうぞ座ってください」
「ありがとうございます、高木閣下」
高木の呼びかけに応じ、ヤゴウとハンキは同時に椅子に座った。
ふっくらとした椅子に座り、テーブルを挟んだ向かい側に高木も座る。
(彼は……思っていたよりも鋭い目をしているな……政治家というよりも、まるで軍人のような……)
ハンキは、高木の目つきから鋭い視線を感じ取り、彼が政治家ではなく軍人のような顔立ちであることを見抜いた。
クワ・トイネ公国の政治家もそうだが、基本的に彼らは修羅場というものを経験したことが少なく、どこか気の抜けたような雰囲気である事が多いのだ。
だが、目の前にいる高木は違う。
彼は太平洋戦争を生き延びた軍人の一人であり、その時の経験を生かして政治家に転身を果たした人物だ。
一瞬で空気が変わるのを感じたヤゴウとハンキは、高木から同盟締結に向けたプロセスがどのようなものになるのか注目していた。
張りつめた空気の中、高木がまず最初に話したのはマイハークで撃墜された偵察機に関する件であった。
「まず初めに、貴国の港湾都市マイハークに我が国の偵察機が
ヤゴウとハンキは、てっきり偵察機撃墜の件で今まで以上に恫喝されるのではないかとひやひやしたのだが、帰ってきた答えとしては真逆の回答であった。
偵察機の件に関しては日本帝国はこれ以上の追求はせず、クワ・トイネ公国との関係強化に向けた取り組みを進めたいと申し出たのだ。
これはヤゴウとハンキにとって願ってもないことであった。
それは同伴していた外交官も同様であり、内心ではホッと胸をなでおろしていたのである。
「我が国が必要としている食料に関してですが、我が国としてはその食料を買い取るために、貴国に技術支援を含めた同盟締結に向けた準備を進めて参りたいのです」
「技術支援と申されますと……あの鉄の箱のような乗り物を使って運搬を行うという事でしょうか?」
「そうですね、鉄道に関しては我が国の国鉄や満鉄の職員が技術支援にうかがえるので、貴国の発展として技術を提供致します。勿論、軍事同盟ともなれば軍の装備品に関しても輸出を認めましょう」
そう高木は言った後、後ろに待機していた補佐官らに合図を送り、彼らに
「こっ、これは……?!」
「こちらは、同盟締結がした暁に、クワ・トイネ公国に提供できる武器の数々です。全て軍で使用されていた実銃です。どうぞ触れてみて下さい」
高木が外交官らに見せたのは、大日本帝国陸海軍で使用されていた三八式歩兵銃や九九式小銃などの軍装備品であった。
流石に弾丸などは装填されていないが、軍装備品を一式無償で提供する用意があるのだ。
殆どが軍の予備武器としている武器だ。
これらは大戦中に大量生産されたことも相まって、未だに第二戦線で使われているケースが多かった。
特に、三八式式歩兵銃に至っては1908年から1942年までの間に340万挺も生産されたこともあり、国内だけでもかなりの数が倉庫に眠っているのだ。
その多くをこうした同盟国となる国に送りつけるだけでも相当印象は変わるのだ。
「これが日本軍の武器か……して、これらの武器はどのくらいの値段になるのでしょうか?」
「いえ、これは貴国に対して無償提供をしても良い武器です。貴国の軍隊の兵士の数が五万人とお聞きしましたので、五万挺分……同盟締結と同時に全員に行届く数の武器をお渡ししましょう」
「「えっ?!」」
ヤゴウとハンキは驚いて高木の顔を見た。
予備役を含めた軍人全員に、タダで武器を供与すると申し出たためだ。
ヤゴウとハンキは陸軍基地の視察で射撃訓練を見た際に、一人一人の兵士が熟練の魔導士みたいに、身体の鎧を打ち抜く威力を誇る弾丸の威力を目の当たりにしている。
弓や槍を持った五万人の兵士よりも、全員が魔導士のような威力を誇る銃を五万人の兵士が手にしたとしたら……。
(これはすごい……これだけの武器を全兵士に配備させたら……)
(我が国の軍事力は大きく変わりますな……)
(それにあの戦車や戦闘機が戦力に加われば……)
(間違いなく、我が国も列強国としての立ち位置になるでしょう)
「どうですか?勿論、戦車や戦闘機に関してはこの武器よりも訓練が必要である以上、すぐにはお渡しできませんが……同盟締結後に、そちら側から兵士を派遣していただければ訓練を我が国の軍隊が行いましょう」
高木の提案に、ヤゴウとハンキは同意し、ここに日本とクワ・トイネ公国との間で軍事同盟が成立したのである。
勿論、軍事同盟だけではなく経済協定なども調印されたのだが、この経済協定に関してはヤゴウとハンキは
しかし、そんな見落としよりもヤゴウとハンキが危惧していた事態が、同盟締結の調印式が終わった直後に襲い掛かった。
改革派の閣僚である中宗根が、高木の元に駆け寄ってきて緊急の報告を行ったのだ。
「総理!クワ・トイネ公国より緊急事態発生の報が入ってきております」
「どうしたというのだ?」
「クワ・トイネ公国の隣国であるロウリア王国が越境を開始、国境の街「ギム」が襲撃を受けているとのことです」
「な、なんと……!」
「は、始まってしまったか……!」
日本・クワ・トイネ同盟締結直後、ロウリア王国軍による大規模な軍事侵攻が開始される。
そして大日本帝国は、この世界で初めての戦争に介入することになるのである。
血で赤く塗装されて……