日本国召喚 × The new order: last days of europe 作:アレクセイ生存BOTおじさん
1963年6月15日午後4時
ロデニウス沖
「対空弾、発射準備完了しました!」
「目標……敵性航空飛行生物……大和の射程圏内に入りました!」
「コンピューターによる連動制御よし!いつでも発射できます!」
「一番砲塔……撃てっー!」
伊藤の号令により、戦艦大和と武蔵から放たれた46センチ砲による砲撃音は、艦橋にいたブルーアイの鼓膜を大きく揺らし、遠方にいても音の振動で海面が揺らいでいるのが確認できたのだ。
(なんだこの爆音は!想像していた以上の砲撃力だぞ!)
空気も振動しており、一発が伝説の魔導士でも成し得ないような力を秘めた砲撃音が鳴り響いている。
これほどの破壊力を持っている兵器はブルーアイの知識と魔導をもってしても、存在しないはずである。
しかし、ブルーアイが目の前で起こっている現象を見れば、日本が保有しているこの戦艦の主砲の威力を図る意味では重要な指標となる上に、クワ・トイネ公国と日本が戦争状態になってしまった場合には、この主砲によってマイハークの港は確実に木端微塵に吹き飛ぶことは確定である。
(海上ではまだ水柱が上がる……では、地上に向けて撃ったらどれだけの被害が出るか……想像もしたくないな……)
もし、外交交渉が決裂していた場合には、下手をすれば自分の頭上に大和と武蔵の砲弾が直撃していたかもしれない事を考えれば、背筋が凍る想いであった。
ここに来て、ブルーアイは改めてカナタ首相の政治的判断によって国が救われたのだと再認識したのである。
(もし……カナタ首相閣下の政治判断が誤っていたら……この主砲によってマイハークの海軍司令部諸共、私は木端微塵に吹き飛んだだろう……)
「目標命中!レーダーから消失!本艦隊に接近していた敵性航空飛行生物250体の排除を確認!対空弾により、すべて排除完了しました!」
「あれだけの密集体系では被弾もしやすい……ましてや、三式弾を改良してより対空防衛を重視し、拡散力を強化したものであれば、生身の生き物で防げるものはない」
「本来は戦闘機などの航空機を撃墜するために開発されましたからな……飛竜に多少の防弾能力があったとしても、防げることは無理でしょうね」
「あれでは空中に標的を浮かばせているようなものだ。それに縦ではなく横と奥に密集していれば、尚更被弾を防ぐのは無理だ。ロウリア王国軍は我々を甘く見くびっているな」
伊藤と海原は、まるで演習に参加したように敵のロウリア王国軍の飛竜に対する感想をあっさりと述べていたが、それを隣で聞いていたブルーアイは、完全に固まってしまっていた。
(250騎もの飛竜に動じるどころか……あれを
戦艦による砲撃ですら、ブルーアイには信じ難い戦果をこの時点で挙げているが、さらに驚くべきは榴弾に切り替えてから東方征伐艦隊に向けて砲撃を開始したのだ。
進路を変更せずに突撃を敢行してくる東方征伐艦隊。
しかし、大和と武蔵が砲撃を放つたびに、水面から水柱が噴き上がり、木片が飛び上がるのがブルーアイの目に映る。
それも海底火山が噴火したみたいに、一発一発の砲撃によって海面に着弾するたびに、爆音と轟音が反響して聞こえてくるのだ。
(これは……これではまるで一方的な蹂躙!……4400隻もの大艦隊を一方的に殴りつけている!まさに圧倒的な力で数に勝るロウリア王国海軍を叩き潰しているんだ!)
ブルーアイの表現は的確なものであった。
大和と武蔵が一発の榴弾が着弾するたびに、東方征伐艦隊の船団が50隻以上を巻き添えにして爆風と高波によって無力化していく。
榴弾が直撃した船は、船員諸共跡形もなく吹き飛び、半径300メートルにいた船は高波と横波によって船体が破損し、爆発の衝撃で発生した水柱と濁流に巻き添えを喰らって沈んでいく。
遠距離からの攻撃による一方的な蹂躙となっているのだ。
そして、その蹂躙は留まることを知らない。
大和と武蔵は10分間の間に30発以上の砲弾を東方征伐艦隊に浴びせた後、大鳳と祥鳳に搭載していた艦上ジェット式攻撃機「青龍」による攻撃が開始されたのだ。
60機の青龍に搭載されているのは20mm機関砲と600kg爆弾であり、これらの完全武装した状態で、大和と武蔵による砲撃から逃れた船を次々と攻撃していく。
20mm機関砲を食らった船は、瞬く間に沈んでいき、艦隊の中継局を担っている魔導誘導船などは優先的に爆弾が投下される。
飛竜という、ロウリア軍の対空戦闘用の兵器が消失した中では、速度の出ない帆船やガレー船などは攻撃機の的でしかない。
これらの波状攻撃によってロウリア王国海軍は1時間も経たずに壊滅し、ブルーアイが目の当たりにしたのは、壮絶な戦闘の傷跡であった。
東方征伐艦隊がいた海域には、瓦礫と木片が散乱し、肉片などが千切れて浮かんでいる水兵の死体があちこちで浮かんでいる。
辛うじて息のある者だけが降伏の意図を示す白布を掲げていた為、これらの生存者を第一艦隊は捕虜として救助し、収監させたのである。
「これは……全て、ロウリア王国海軍の残骸ですか……」
「我々の攻撃により、もはやロウリア王国海軍は組織的な抵抗は出来ないだろう。木造の帆船ともなれば、大和の砲撃に直接当たらなくても、爆風で船体が崩壊しますからね」
「それに、青龍によって大和と武蔵が撃ち漏らした船体は粉々になった事でしょう。今回の戦闘では全機出撃させ、反復攻撃も行いましたので、それだけの戦果はあったと思います」
「ふむ……これだけの数の戦闘艦を沈めたとなれば、ロウリア王国軍は再建も困難でしょう」
「あとは、捕虜からの情報収集ですな……それに関しては憲兵隊の管轄下になりますので、我々としては彼らの身柄引き渡しの為に、大鳳の輸送ヘリをマイハークに飛ばしましょう。ブルーアイ殿、調整をお願いできますでしょうか?」
「は、はい……私からも進言して調整を行いたいと存じます」
「……何としてでもロウリア軍の戦力が気になるな……我が国の勝利で終わったとはいえ、後は陸さんの仕事だ……生存者を救出後、一旦那覇で補給を済ませてから再びロウリア王国の本土進攻に向けた陸軍との調整を済ませたい」
ここに、ロデニウス沖大海戦は大日本帝国海軍の勝利によって幕を閉じた。
4400隻もの大艦隊は150隻を残して壊滅し、生存者及び捕虜になった者は180名。
その中には艦隊司令官であるシャークンの姿もあり、彼の身元はマイハークへと送られた。
ブルーアイは、今回の大海戦の結果を粛々と調査報告書としてまとめて、政治部に対して報告するのであった。
それは、あまりにも恐ろしい戦果の報告内容であった事もあり、政治部で紛糾したのであった……。
政治部「この大海戦の結果マジでなんなの?日本側全然傷一つすらついていないとか、こんな相手勝ち目ないじゃん!」