日本国召喚 × The new order: last days of europe 作:アレクセイ生存BOTおじさん
1963年6月15日午後9時
大日本帝国 首相官邸
「閣下、第一艦隊が敵ロウリア王国海軍を撃滅し、ロデニウス沖の安全を確保したとのことです」
「おお、それは良い知らせだ。これで陸軍の輸送船を安全に運べるな……」
「はい、明後日には第七師団の輸送が開始されます。陸路でギムの町を奪還する部隊と、ロウリア王国の北の港に強襲上陸を行う部隊に分かれて、それぞれクワ・トイネ公国の領土奪還と、ロウリア王国への逆侵攻が可能になりました」
「うむ、伊藤さんには大変よくやったと言っておいておくれ」
高木は部下からロデニウス沖にて、ロウリア王国海軍のほぼ全ての海軍戦力を撃滅したとの報告を受けて、まずは一勝したことに安堵した。
NHKのテレビジョン放送でも、海戦戦果報告が発表され、とてつもない数のロウリア王国海軍の海上戦力を撃滅したというニュースは、転移してから低迷していた日本経済と落ち込んでいた日本国民を勇気づける内容でもあった。
帆船とはいえ、4250隻もの敵の大船団を海軍が撃沈したという話は後にも先にも聞いたことが無い空前絶後の大戦果であった為、多くの国民はその戦果報告が本当なのかと疑う者も出た程だ。
翌日の新聞には、きちんと軍令部で認可された写真が掲載されており、木片が大量に散乱している海上に浮かぶ戦艦大和と武蔵、護衛の駆逐艦が航行している様子が映し出されたことで、納得したのであった。
ただ、高木を含めた政府上層部や軍部にとってこの大海戦の結果は、帝国軍の方向性を決める戦いでもあったのだ。
理由としては国交を樹立したクワ・トイネ公国及びクイラ王国から「魔法」という幻想小説に登場しそうな方法を使い、遅れをとっている科学力をカバーしている事を聞かされた為、ロウリア王国軍が魔法による攻撃をしてくるのではないかと警戒していたのである。
だが、大和と武蔵による対空弾による攻撃によって一撃で250もの飛竜隊が全滅し、さらに46センチ砲による榴弾攻撃と、空母からの攻撃機の活躍で、東方征伐艦隊を無力化することに成功したのだ。
長年培ってきた実弾攻撃が有効であると確信した高木は、次の戦いのための一手を投じるために、陸上戦力で装甲師団を保有している第七師団の投入を決定したのである。
指揮官はロサンゼルスオリンピックにて馬術競技で金メダルを獲得したこともある西*1将軍だ。
「第七師団……か、昭南島の戦いと、マダガスカル共和国の独立戦争にも介入した精鋭部隊だ。それに西将軍が指揮しているのであれば、彼らならきっとやってくれるだろう」
西将軍が指揮しているということもあり、高木には安心して政治に集中することができるのだ。
効果的な戦車部隊の運用や、ヘリコプターを駆使した機動的兵員輸送などの考案などを行っていた西の戦略を高く評価していたのである。
ロサンゼルスオリンピックで軍人として出場し、金メダルを獲得したことから国民からの知名度も高く、また華族出身でもあったことからバロン西の愛称で親しまれていた彼を慕っている国民も多くいる。
(とはいえ……海上での戦闘は上手くいっても、陸上では苦戦するかもしれん。念には念を入れよ……西将軍と通信で話を取り付けておくか……)
高木は念には念を入れる為、時間調整を行ってから西との通話を試みたのだ。
西も電話の相手が高木自ら掛けているのを知ると、高木からの質問などにしっかりと受け答えをした上で、今後の作戦について高木に説明したのである。
「高木首相閣下が仰っている"魔法"に対しては、明日クワ・トイネ公国より魔導士の方々を呼んでもらい、どのような攻撃が想定されるのかを検証しているところです。陸軍としても、あのような幻想小説や漫画に出てくるような術が扱えるとは思えませんでしたよ……」
「どうやら、この世界では魔法というものが日常的に使われていることもあり、本来であれば中世時代の科学力でも、魔法の力によって近世時代までの技術力を誇れる世界のようだからな……」
「ええ、だからこそ検証は必要不可欠です。もしかしたら魔法によって戦車などを無力化できる術を掛けてくる可能性がある以上は、対策を講じる必要があるのは必然ですからね」
魔法は馴染みのないものであった。
空想上ないし、おとぎ話や漫画などにしか登場しないものであると思っていたからだ。
しかし、運用次第では現代の武器や兵器にも匹敵する実力もあり得る攻撃手段があるとして、高木は西に兵士達にも徹底させるように促した。
「あくまでも、これは仮定の話ではあるが……魔法が飛びぬけて上手く扱える者にとって、戦車の主砲に匹敵する攻撃を行うかもしれない……西将軍、今一度全部隊に魔法に関する指導を行ってもらえないか?」
「分かりました。私のほうから兵士達に指導いたします。恐らく彼らも魔法を見た者はいないでしょうし、理解することが重要ですからね……」
高木と西は、魔法に関する脅威について取り組むことになる。
同時に、クワ・トイネ公国の日本大使館にいる田中に対しても、魔法に関する資料を集めるように伝え、従来の軍事戦闘訓練だけではなく対魔法対策なども執り行うことになったのであった。