日本国召喚 × The new order: last days of europe 作:アレクセイ生存BOTおじさん
1963年6月15日午後10時
クワ・トイネ公国 政治部会 蓮の庭園
政治部会にとって、夜遅くまで部会での議論や討論を行うということは大変珍しい事であった。
しかし、それほどまでに政治部会において大日本帝国海軍によるロウリア王国海軍東方征伐艦隊の殲滅結果は想像を絶するものであった。
4400隻もの大船団と250騎もの飛竜が、一方的に蹂躙されて大日本帝国海軍側の損害が無傷であったことが、この戦闘において異質であり、異常な戦果報告であったことから、第一艦隊旗艦大和に乗艦した観戦武官であるブルーアイへの質疑応答がひっきりなしに行われたのだ。
「では何かね……あれだけの大船団が日本側の攻撃によって壊滅したというのかね?」
「はい、間違いなく……この目で確認し、戦闘結果報告に関しましても、レポートに書いてある通りです」
「大和の主砲から砲弾が発射されてから約30秒で250騎もの密集していた飛竜を一撃で仕留めたと書かれているが……本当にこれだけ殲滅できたのか?」
「はい、主砲を切り替える際に対空弾を使用しておりました。さらに、1発の砲弾を装填から発射までに約30秒ほどしか掛からなかったこともあり、威力を踏まえても相当な脅威であると存じます」
ブルーアイの報告は、まさに異常なほどの威力を有していた砲弾と、その威力である。
どんなに密集体系で固まっていた飛竜をファイヤーボール等の魔法攻撃によって撃墜できたとしても、せいぜい5騎に当たれば大の字なのだ。
それが一撃で250騎もの飛竜隊が全滅するという報告は、まさに恐るべき攻撃としか言いようがない。
対空弾を使用した結果について語るだけで50分以上の時間が過ぎていき、次に4400隻もの大船団が壊滅した報告もブルーアイとのやり取りを行っていた。
「では……船団が壊滅した際の報告を聞かせてもらってもよろしいですか?」
「はっ、まず大和による榴弾攻撃によって一発放つたびに30隻以上もの船が水柱と共に砕け散り、空母から放たれた鉄竜による攻撃によって大和の攻撃から逃れた船も、容赦なく沈んでいきました……まるで海底火山が噴火した中を突き進んで爆発したような感じに船がバラバラになっていくのです」
船団の殲滅は徹底して行われたこともあり、ロウリア王国海軍の損害は凄まじいものとなっていた。
大和と武蔵による46センチ砲の艦砲射撃は、木造で作られたガレー船などは爆風による風圧だけで壊れていき、大勢の船を巻き込んで海面で砕け散っていく。
着弾地点の至近距離にいた者は肉片となり、離れていても風圧で飛んできた瓦礫に当たって死亡する者も多かった。
30発もの榴弾による攻撃により、この時点で全船団の3分の1が沈没ないし何らかの損傷を受けている状態であったのだ。
艦砲射撃で既に指揮統制が大混乱を来していた中で、艦上攻撃機による機関砲と航空爆弾による攻撃で東方征伐艦隊は瞬く間に船が沈み、海からは巨大な水柱が吹き上がる。
助けを呼んでも、降伏旗である白旗を掲げている船は無かったことから、戦線を離脱した船団の最後尾にいた150隻を除いて、すべて日本側の一方的な攻撃で沈んだのだ。
まさに蹂躙であった。
障壁もなく、いとも簡単に踏みつけていく。
250騎もの飛竜隊も、4400隻もの大船団も……全てが魔導を使わない方法で進化を遂げた軍事技術によって蹂躙されていく……。
ブルーアイの説明からすれば、地面に群がっている蟻を、足で踏みつけていくような光景だったという。
日本側も、今回の戦闘が『この世界にやってくる前の軍事演習と同じぐらいか、それよりも簡単な戦いであった』と述べていたことも話した際、政治部会の面々は一斉に言葉を詰まらせたのだ。
「……あれだけの戦果を挙げておきながら演習と同じ程度だった……だと?」
「この世界にやってくる前はどのような戦いをしていたのだねあの国は……まるで国家そのものが戦いに慣れているみたいではないか……」
「仰る通りです……私も伊藤将軍に話を伺ったところ、かの大日本帝国は世界最大の人口を抱えていた国家であり、傀儡国家を含めると10億人規模の人口と、世界第二位の経済力を有していた国家だったそうです……それも大東亜共栄圏という陣営の盟主だったそうです」
「じゅうおく……人?以前一億人もいると聞いていたが、これは間違いではないのか?」
「いえ、一億人という数値は転移してきた大日本帝国本土にいる人口だけであり。残りの九億人に関しては元の世界の植民地や傀儡国家にいるといっておりました」
10億人規模の国家群を有する超大国……。
そして、経済力でもかつての世界では二位であったという事実を踏まえれば、日本側が強気な姿勢で望んでいたのかをカナタ首相は理解した。
それだけの経済力を生み出す人口と基礎工業力を有しているからであり、本土以外を消失したとしても、国内に多くの生産施設が稼働している為だ。
さらに、ブルーアイは大日本帝国が軍事国家としての地位を確立した経緯についても伊藤将軍から聞いた話を、政治部会の面々に伝えた。
「また彼らの世界では18年前まで世界規模の大戦を経験しており、その際に培った軍事的技術は未だに改良を続けて健在であるとのことです……そして、世界では日本以外にもドイツ、アメリカといった国家と対立し、戦争に備えていたとも語っておりました」
「……過去に大戦を経験し、その後は他の超大国との間にナイフを突き付けているような状態のまま、常に数百万人もの軍人が全面戦争に備えていた武装国家でもあったというわけですか……」
政治部会のメンバーの間には、その報告を聞いて冷や汗を掻いている者が多くいた。
その多くが政治部会でも日本のやり方について異議を唱えてカナタ首相に対して、強硬姿勢を貫くようにと言っていた者達だ。
日本がその気になれば有無を言わずにクワ・トイネ公国を武力制圧することなど容易く行えてしまう国家である事も知ったのだ。
帝国と名乗る事が許される程の超大国国家の盟主であった事、そして百万人規模の動員など容易く行えるほどの国家であった事。
根本的にクワ・トイネ公国の歩んできた歴史からは想像もつかないような社会構造をしていたのである。
政治部会は、ブルーアイの報告を聞き終えた後、各々が背筋が凍る想いをしながら日本主導の軍事作戦プランの全面的な受け入れと、ブルーアイのまとめたロデニウス沖大海戦の詳細をまとめた最終報告書を機密文書に指定し、カナタ首相の認可を取り付けて終了したのである。
太陽の化物