日本国召喚 × The new order: last days of europe   作:アレクセイ生存BOTおじさん

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第二十五話

1963年6月16日午後1時

ロウリア王国 王都ジンハーク

 

ロウリア王国軍がパーパルディア皇国から屈辱的とも思えるような条件を呑んで建設された文明圏外でも最大規模を誇る東方征伐艦隊と250騎もの飛竜隊が、ロデニウス沖にてクワ・トイネ公国と同盟を結んだ大日本帝国の海軍と交戦し、成すすべなく一方的に敗北したという報は、ロウリア王国にて大きな衝撃をもたらした。

 

いくら非文明圏と言われていても、飛竜にかんしては中小国の飛竜を蹴散らすほどの数を有し、海軍に至っては4400隻という大船団を有していたこともあり、魔導砲などを保有している列強国のパーパルディア皇国でも決して無傷では済まされない規模の大船団だ。

 

それが一方的に砲撃を受けて壊滅させられただけではなく、逃げおおせた150隻を除いて全滅したという話が伝わるや否や、上層部は大騒ぎとなったのである。

第一報を聞いたパタジン将軍は、その報告が間違っていないかチェックするために、宰相であるマオスと情報収集を行ったのだ。

 

「い、いくら何でも250騎の飛竜と、4250隻もの船が1時間で沈んだというのは何かの間違いではないのかね?一方的にやられて数百隻を失ったというのならまだ分かるが……」

「帰還した船団は北の港まで戻ってきましたが、搭乗員はほぼ全員が錯乱しております。ヤミレイ氏ら王宮主席魔導師らが沈静魔法を行ってようやく落ち着きましたが……取り調べでもかなり怖がって話しておりましたぞ」

「では……シャークン海将を含めた東方征伐艦隊は"壊滅"したという認識を持たなければならないな……何という事だ……」

 

パタジン将軍の顔色は悪い。

何故ならこの大海戦で、ロウリア王国海軍が再建出来ない程の致命的損害を被ったことを、国王であるハーク・ロウリア34世に報告しなければならないからだ。

 

国王は滅多な事では怒ることはないが、そうであったとしてもパーパルディア皇国から莫大な資金と資源を融通してもらって建設にこぎ着けた飛竜隊と大船団がたったの一時間程で全滅するというあってはならないような事態が生じた事を説明も交えて報告する義務があるのだ。

 

大海戦における当事者であるシャークン海将が行方不明となってしまっている以上、事の詳細をしっかりと整理した上で報告を行わなければならない。

パタジンは、水兵らから魔法を使って情報を聞きだしたヤミレイが王都に帰還したのを見計らい、ジンハーク城の中でも防音性に優れた密室で、宰相のマオスと会議を行ったのだ。

 

「ヤミレイ殿、東方征伐艦隊の水兵たちの状況はどうでしたか?」

「いやはや……あれほどまでに恐ろしい状況はないの……水兵たちは恐怖のあまり、錯乱しておったわ……耳を掻きむしって血を流しても砲撃音が耳から離れないと泣きながら喚いていた水兵の数は数十名以上おったわ……あれほどまでに酷い現場は早々ない……」

 

ヤミレイは憔悴した様子で答えていた。

 

魔導士である彼が目撃したのは、赤子のように泣き叫び、大海戦の末に精神までもおかしくなってしまった兵士達の姿である。

 

医師ではなく優秀な魔導士として勤めていた彼にとって、今回の現場は精神医療が必要なほどに、凄惨たる状況であったことから、彼自身にとってもこれはただならぬ事態であると同時に、兵士達をここまで追い詰めてしまう事態が発生したことは揺るぎない事実であった。

 

「他の魔導士も治療を行い……比較的話が出来る者と大海戦の結果を聞き取り調査をしたが、まさに一方的にやられたとしか言いようがない戦いであったわ……このヤミレイにしても、兵士達が語るような技術力や魔導研究が進んでいる国家など聞いたことが無い……」

「それは……例のクワ・トイネ公国と同盟を結んだ大日本帝国という国家ですね」

「ああ、どうやらその大日本帝国の海軍艦艇より攻撃を受けたらしい……最初に飛竜隊が攻撃を受けて一撃で全滅し、さらにその後は遠く離れた場所から相手の砲撃が一方的に受け、鉄で出来た竜による攻撃も加わった結果、東方征伐艦隊は蹂躙されたようだ……一矢報いることも出来ずにな……」

 

もはや、戦いといっても一方的なものであり、赤子を大人が絞殺すような状況であったという。

爆音と同時に水柱が上がり、周辺の船まで巻き込んで沈んでいく光景は、悪夢としか言いようがない。

 

さらに、シャークン海将が搭乗していた船が沈むと同時に、船団の魔導通信を担っていた船も、鉄竜によって爆弾を投下されて沈められてしまい、連携が取れずに各々が逃げ出したという。

 

「相手の船が一発砲撃をするたびに30隻以上の船が沈められて辺り一面が大きな水柱と共に破壊されたそうだ……」

「一発で30隻……?!いや、パーパルディア皇国の魔導砲による攻撃でも一発では密集していたとしてもせいぜい3隻ぐらいが関の山でしょう?!30隻以上が一発で撃沈されたのですか?!」

「本人たちはそうだと言っておる……それに、シャークン海将が行方不明……恐らく戦死した事を考えるに、敵の海軍力は強靭だ……」

 

戦況報告は、ロウリア王国にとって悪夢としか言いようがない結果だ。

ただでさえ、これほどの損害を出したからには国王に説明をしなければならない。

しかし、あまりにも荒唐無稽のような内容であったことから、報告を行うことに慎重を要したのだ。

 

「分かった。直ちに報告書をまとめて大王様にご報告しましょう」

 

パタジンはヤミレイから渡された生存者の状況報告書を見て、嘘偽りなく午後8時までに国王であるハーク・ロウリア34世の元に報告を行う。

しかしながら、そのあまりにも凄まじい損害と被害状況を知ったロウリア34世は、叱責をするというよりも、本当にその報告が正しいものなのか再調査をするように命じたのである。

そして、パタジンが退室した後に王座に座り、恐ろしい怪物を相手にしているのではないかと想像し、ガタガタと身体が震えはじめたのである。

 

恐怖

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