日本国召喚 × The new order: last days of europe   作:アレクセイ生存BOTおじさん

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第三十一話

中央暦1639年/西暦1963年6月30日午前1時

ロウリア王国 王都ジンハーク

 

ロウリア王国は既に風前の灯火であった。

 

大陸を支配しようとしていたこの国に残されているのは、各諸邦の離反と既存体制が破壊されるのをただただ待つだけ。

 

もはや足元だけではなく、手先も既に腐敗した挙句、悪臭を放ちながら腐り落ちていく身体のようであった。

 

圧倒的な破壊力と軍事力を有する国家によって、ロデニウス大陸の支配構造は抜本的に覆された。

 

頭を下げて服従と言われても差し支えない行為をしながらもパーパルディア皇国からの軍事支援を取り付けたが、その努力も空しく、もはや残されたのは王都ジンハークに残されたのは新兵同然の兵士だけだ。

 

ジンハークの城の中では、国王であるハーク・ロウリア34世が一人、薄暗い部屋の中で頭を抱えている。

 

彼の日課ともいえる入浴すらも、ここ三日間行っていない程に、精神の奥深くまで蝕んでいる。

 

「これは……これは何かの間違いではないか……そうだ、そうに違いない……」

 

歯ぎしりをしながら、戦況報告を将軍であるパタジンから聞かされたが、非現実的な戦況報告には流石に蒼白となった。

 

亜人種の殲滅を掲げで侵攻した東方征伐軍は全滅に等しく、海軍戦力は既に小舟程度しかない。

 

ロウリア王国の西部地域では、日本軍のものと思われる大型の飛行物体によって水を掛けても延焼を続ける火の雨が放たれた結果、パーパルディア皇国の支援で建造していた工場群が灰燼と帰した。

 

南部諸邦に至ってはクワ・トイネ公国との断行以前から交流のあった地域であったことから、水面下でクワ・トイネ公国の諜報員と接触を図り、政治的な駆け引きの結果、ロウリア王国を見限ってクワ・トイネ公国側に寝返ることを魔導広域通信で宣言を行った。

 

離脱する諸邦。

 

敗残となって散り散りになる兵士。

 

空路すらも安全な場所がなくなり、本国への帰還すらままならなくなったパーパルディア皇国の使者は部屋に引きこもって己の運命を嘆いている。

 

王国からの離脱と敗戦の責任を逃れようとする東部諸邦地域に対して、クワ・トイネ公国と日本軍の連合部隊が侵攻を開始しており、王国に従属を誓っている東部諸邦は助けを求めているが、派遣するだけの兵力は残されていない。

 

北方の港からも日本軍の鉄の軍団が侵攻を始めており、もはや王都失陥は目前だ。

 

「もはや、ここまでか……」

 

自分の祖先が築き上げた王国の命運が尽きようとしている。

 

圧倒的な力によって、すべてが潰されていくのだ。

 

王国の……そして自分自身の運命が決定された事を確信したロウリア34世は深呼吸をしてから王座から立ち上がり、部屋の外で待機していたメイドを呼びつける。

 

「パタジンを呼べ、余は決めたぞ」

 

5分後。

 

ロウリア34世に呼ばれたパタジンは、彼の目が今までとは違うことに気が付く。

 

怯えていたような目ではなく、武人が覚悟を決めた覚悟をした目をしていた。

 

(陛下……?覚悟を為さったのですか?)

 

パタジンは忠誠のポーズをすると、ロウリア34世は呟いた。

 

「パタジン、侵攻をしてくるクワ・トイネ公国と日本軍を王都での決戦で勝利することは出来そうか?」

「……極めて難しいでしょう、ただ王都に限定すれば僅かですが勝機はあります」

「うむ、それは良かった。ならば余自らも戦場に立って、この戦いに参戦する」

 

パタジンは驚いた。

 

国王が自ら戦場に赴くなど、今までに数える程しかないからだ。

 

先代国王の時代以来であり、国王は王都での決戦に自ら赴くと決めたのだ。

 

そして、王都そのものを槍に変えて戦うことにしたのである。

 

「ロウリア34世が命ずる。王都のありとあらゆる人間を動員し、赤子も老人も武器を持って()()()と戦い、王都を彼らの血で染め上げるのだ。最期は華々しい死によって人生の最期を飾ろう」

 

ハーク・ロウリア34世は、自分の成すべき事をしてから、日本軍との戦いに備えようとしている。

 

パタジンは王の覚悟に感激しつつも、王都を灰燼にしてでも相手を道連れにするために必要なことを行うことにした。

 

王都に残留していた民間人に槍や弓矢を支給しており、攻城兵器であるカタパルトや、生き残った数少ない飛竜に対しては可燃性の魔石を搭載し、低空で飛来する日本軍の鉄竜への体当たり攻撃を敢行するように命じたのだ。

 

ありとあらゆる人間が動員され、王都は一つの軍団となって戦う決意を示した。

 

もはや、今後における王都の生活は二の次である。

 

ロウリア王国という国家が消失することよりも、何もせずに黙って滅ぶ方が恐ろしいからだ。

 

この日の午後7時までには王都全域で戦闘準備が完了し、王都にいる56万人もの人間は赤子から老人まで、全員が兵士となったのだ。

 

武士道と云ふは死ぬことと見つけたり -山本常朝-

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