日本国召喚 × The new order: last days of europe   作:アレクセイ生存BOTおじさん

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第三十二話

中央暦1639年/西暦1963年7月1日午前6時

ロウリア王国 王都ジンハーク近郊 日本軍第七師団野営地

 

「閣下、回答期限時刻を過ぎましたが……」

「返答は無しか……」

「降伏旗の掲揚もありません。魔導通信でも呼びかけをしているみたいですが、返答はありません」

 

師団長である西は、ロウリア王国からの返答が無い事に、少しばかり戸惑っていた。

 

西部地域の工場群を焼き払い、南部は既にロウリア王国からの離脱を表明している。

 

東部諸邦すらも大内田中将率いる部隊によってすり潰されている状態であり、もはやロウリア王国の継続は誰の目から見ても困難だ。

 

それなのに、まだロウリア王国は諦めていない。

 

あれだけの大損害を出しておきながらも、徹底抗戦の意志を示しているのだ。

 

「まるで中国戦役のようだな……敵も技術と物量の差を精神で埋めようとしているのかもしれん……」

 

西の脳裏に浮かんだのは、1937年から1947年の十年間に渡る中国での戦争を思い出した。

 

日本は盧溝橋事件をきっかけにして中国との戦争に踏み切り、十年間にも及ぶ戦いの末に何とか辛勝したのだ。

 

アメリカのジョセフ・ケネディ大統領が中国大陸への介入を早期に打ち切った上に、蒋介石率いる国民党や共産党の毛沢東が重慶の戦いで戦死した後も、中国軍は徹底した遅滞戦術とゲリラ戦によって日本軍を疲弊させた実績がある。

 

技術や物量の差で劣っていても、徹底して戦う意志があるだけでも人間は強くなる。

 

それは日本軍とて同じであり、比較的早期に終結した太平洋戦争よりも、泥沼化した中国戦役における大陸での戦争のほうがとても苦く、恐ろしい事である事を身に染みて理解している。

 

現に、大陸では抗日パルチザン運動が根深く残っており、この世界に転移してくる前には、蒙古国や昭南島で抗日運動とそれに伴うゲリラとの戦いが続いていた。

 

「偵察機からの情報では、市民の大移動は確認されておりません。むしろ兵器庫と思われる場所に行列が出来ております」

「……王都での決戦に向けて、首都の国民を全動員したのか……」

「その可能性が極めて高いです。ほぼすべての市民が武装しているものと推測されます」

「……ジンハークの人口は?」

「推定で65万人程とされていますが、これらの市民が武装化したとなれば極めて厄介です。相手がたとえ剣や槍だけだとしても、人海戦術によって平手押しでくる可能性が高いです」

 

既に敵は圧倒的な技術力の差を、何万人もの人間が斃れたとしても、押し返そうとしている。

 

そこに、クワ・トイネ公国から同行している女性武官の一人であるイーネが尋ねてきた。

 

「西閣下、先ほどロウリア王国の魔導通信を傍受していたところ、興味深い事が判明致しました」

「何か分かったのかね?」

「ロウリア王国の国王であるロウリア34世が演説を行っており、王都にて全王都市民を武装化した上で自ら出陣して迎え撃つとの事です」

「やはり市民を根こそぎ動員したか……そして国王自ら戦場に出陣するというのかね……?」

「はっ、既に傍受したロウリア王国の軍用無線からも同様の通信が絶え間なく入って来ております。彼らは王都で我々を葬るつもりなのでしょう」

 

国王自ら戦場に出撃するということは、西達の歴史では19世紀の普仏戦争以来の出来事だ。

 

それだけ追い詰められているが、窮鼠猫を噛むという言葉もある。

 

油断していれば、それだけ損害も大きくなるだけだ。

 

(国王自ら出撃……であれば、司令塔は国王を守る近衛だけではなく、軍部と魔法を取り扱う顧問団か……)

 

首都の決戦において、敵国の国王が自ら戦うことを鼓舞している事も魔導通信によって把握した西は、脅威となる敵が万全の準備を整える前に、徹底して叩くことを決意する。

 

「北方の港に待機している第一艦隊に連絡……『ロウリア王国は王都にて全市民を根こそぎ動員して抗戦する意思アリ、0700時に海上より脅威となり得る全ての施設に対して支援攻撃を願う』……それと、王都において防衛網の堅いジン・ハーク城を攻略する。全ヘリコプター部隊、及び装甲部隊に出撃準備命令を発令せよ。作戦決行時刻は海軍の支援攻撃と合わせて0700時とする」

 

西は、完全武装した兵士を伴って攻撃命令を発令した。

 

ジン・ハーク攻防戦の幕が切って落とされた。

 

文明の衝突だ

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