日本国召喚 × The new order: last days of europe 作:アレクセイ生存BOTおじさん
中央暦1639年/西暦1963年7月1日午前8時10分
ロウリア王国 王都ジンハーク
パタジンは、片耳を手で塞ぎながら城の中から陣頭指揮を取っていた。
瓦礫と破片が吹き飛んできたことにより、左耳の鼓膜が破けて出血をしていたからだ。
それでも、街中で巡航ミサイルの直撃を食らった者に比べたら、遥かに幸運であった。
司令部が設置されている王城では、既に蜂の巣をつついたような騒ぎとなっていた。
「大聖堂は崩壊しております……内部にいた者は皆瓦礫に埋もれていて……近場の者から救助を急いでいます」
「中央広場で武器配布をしていた軍人、及び民間人の多くが戦死……あまりにも負傷者が多すぎて手に負えません」
「街の建造物の中でも、大きな建物が集中的に攻撃されました……王城以外、無事な建物はございません……」
日本軍は、ロウリア王国が王都での決戦に備えて市民までも動員しているのを察知し、拠点になりそうな建物に片っ端から巡航ミサイルを撃ち込んだのだ。
大聖堂、中央広場、王立魔法大学、小麦などを貯蔵する穀物庫……。
数百人以上を収容可能と判断された建物で、無事な建物はジンハークでは王城以外、既に存在していない。
苛烈ともいえるやり方ではあるが、降伏勧告を無視して戦闘継続を唱えているロウリア34世に責任があるという考え方だ。
戦争とは、美談や勝利の宴よりも惨たらしい赤色で塗装されているのだ。
そして、まだジンハークでは赤色の塗装が足りないのだ。
「魔法大学までも狙ってくるとはな……攻撃は精確だったのか?」
「武器を貯蔵していた大学構内だけではない、学生寮にも誘導魔光弾が着弾した……寮が跡形もなく、木端微塵に吹き飛んだわ……」
「なんと……王都中央銀行においても誘導魔光弾と思われる攻撃によって金庫が破壊された……王都の資金源も失ってしまった……」
「銀行もか……外務省は無事だったのか?」
「外務省は辛うじて南棟が機能を維持していますが……北棟の職員は全滅しました」
マオスやヤミレイなどがそれぞれ担当をしていた施設の被害状況を報告している。
王宮主席魔導師として、魔法大学の名誉教授としても教壇に立つことのあるヤミレイは、大学が既に廃墟同然のように破壊されていたことを知り、愕然としている。
同じく、外務大臣としての役割を担当している宰相のマオスも、経済を担っている銀行や外務省の北棟が破壊されてしまい、既に深刻な被害状況をもたらしていることに恐怖をしている。
それでもなお、ロウリア34世が抵抗を続ける王城を死守するべく、迫りくる日本軍に対して急造ながらも部隊を編成して抵抗を続ける意志がある。
「カタパルト部隊は全滅、見張り台もやられました。強弓兵が辛うじて五百人ほど編成できます」
「魔法を使える者は全て集めた……学生を含めて戦えるのに使えるのは1500人ほどじゃな……」
「あとは可燃性魔石を、王城の至る所に仕掛けるべきでしょうな」
「王都に敵が侵入すれば、防衛騎士団の騎兵隊と重装歩兵大隊による乱戦が期待できます」
「だが……用意できたのは5万人足らずか……」
「……申し訳ございません、現在集められた新兵や志願兵、それに退役軍人にも招集をかけましたが、集まったのはこれだけです」
あまりにも戦況は芳しくない。
王都防衛に担っている57万人のうち、武器の配布が完了したのはその十分の一にも満たない。
ロウリア王国は東方征伐軍を差し引いても40万人もの諸邦軍が健在であった。
しかし、これらの諸邦軍は離反したり日本軍やクワ・トイネ公国の連合軍による攻撃を受けたりして、ほとんどが行動不能に陥っていた。
さらに裏切り者である南部諸邦の有力者の子息に関しては、内通者によって既に王都から脱出させられている始末だ。
これで、南部諸邦の裏切り者すらも見せしめに子息を殺害することもできない。
唯一、戦果を挙げた王都竜騎士団に関しては、戦果報告が見張り員から直接口頭で伝えられた。
「王都竜騎士団は日本軍に対して切り込みを敢行し鉄の羽虫を5体、地面を這う鉄で出来た地竜を1体撃破したとのことです」
「……なんと、誠か?!」
「それは……希望が持てる、鉄竜を使役する彼らとて無敵ではない!」
「そうだな……飛竜を失ってしまったが、それでも奴らが無敵ではない事を証明することが出来たのだ……」
パタジンにとって、王都騎士団による攻撃が無駄ではなかったことが一番の収穫であった。
どんな手段を講じても、日本軍を王都と王城で迎え撃つ。
これを基本方針としてより効果的な作戦を発動するために、作戦を展開していたところ、王城を大きな揺れが襲った。
ジンハーク城の正門が、日本軍の戦車部隊の砲撃によって破壊されたのだ。
終わりの始まりだ