日本国召喚 × The new order: last days of europe 作:アレクセイ生存BOTおじさん
中央暦1639年/西暦1963年7月1日午前8時30分
ロウリア王国 王都ジンハーク
ジンハーク城の城門が戦車砲によって破壊されると、いよいよ決戦の時が来たと兵士達は息を呑んだ。
誘導魔光弾に関しても数に限りがあると見込んでいたヤミレイにとって、日本軍の猛攻を白兵戦に持ち込めるように、城内には可燃性魔石を含めた爆発物を多く用意している。
ヤミレイはパタジンに言った。
「パタジン殿、すでに魔法が使えるものは城門より近くの持ち場に配置についた。命令があれば何時でも行動可能だ」
「うむ……では、手筈通り……王都騎士団を中心とした防衛を……」
防衛を連携せよと命じようとした時であった。
彼らの耳に聞きなれない重圧を感じる風の音が鳴り響いてきた。
パタジンは直感する。
これが日本軍の鉄の羽虫が羽ばたいている音であると……。
「報告しますッ!日本軍の鉄の羽虫が接近してきましたっ!」
「空と陸から同時に攻撃をしにくるのか?!」
「時間がありません、将軍!直ちに防衛戦闘のご準備を!!」
騎士団の兵士が叫んだ矢先に、再び彼らの常識を壊していく破壊が待ち受けていた。
城の見張り塔が爆発し、作戦会議を行っていた城内でも大きな揺れが起こったのだ。
あまりにも一方的な破壊であった。
攻撃ヘリコプターに搭載されている60mmロケットポッドから、無数のロケット弾が城の城壁や小塔、それに隙間の遮蔽物に身を隠していた兵士達をなぎ倒していく。
連続しておこる爆発と同時に、さっきまで会話を交わしていた相手の腕や身体の内部に蓄えていた内蔵が周囲に四散していくのだ。
破壊魔法ですら、ここまで破壊力のある魔導攻撃を有しているのは列強国のパーパルディア皇国ぐらいだろうか。
そのパーパルディア皇国の破壊魔法ですら、日本軍の鉄の羽虫から放たれていく破壊魔法にはどうすることもできない。
誘導ではなく無誘導……目視による手動攻撃ではあるが、脅威となり得る長弓兵やカタパルト部隊を的確に潰していく。
『こちら剣1、目視で確認できるハーク城の攻城兵器群の破壊を確認した。飛竜の借りを返してもらうぞ』
『剣3より剣1へ、城門近くに白いローブのようなものを身に纏っている連中を確認……あれは魔導師か?』
『魔導師なら魔法攻撃を駆使してくるぞ。目視できるなら排除しろ。剣3と剣4は魔導師たちの排除を行え』
『了解、60mmロケットポッドと13ミリ機関砲で排除します』
『ありったけのロケット弾をくれてやる!剣5の……太田の仇だ!』
『剣1より各機へ、これより予定通り陸上戦力の脅威となり得る敵を排除する。遠慮なくやれ。焼畑農業をやる勢いで構わん』
攻撃ヘリコプターは二手に別れて攻撃を開始していた。
一つは王城周辺の兵器群の破壊であった。
カタパルト部隊など、目に付く敵は隈なく破壊していく。
布で覆いかぶせて待ち伏せをしていた者もいたが、上空から見下ろせるヘリコプターからは筒抜けであった。
「くそっ!鉄の羽虫だ!羽虫が襲ってくるぞ!」
「畜生!あいつら俺たちが見えるのか!」
「詠唱魔法急げ!ファイヤーボールを撃ち込むんだ!」
「早く!早く!」
魔導師たちは、城門から見えにくい位置で隠れていたつもりであった。
少なくとも、荷車やテーブル等で出来上がったバリケードに隠れて、火炎魔法を詠唱し、城門より侵入してくる日本軍の戦車を焼き殺す予定だった。
だが、ヘリコプター部隊が彼らの真上を陣取った時、その作戦は脆くも崩れていった。
『こいつら、杖を構えて……くそっ、戦闘員だ……』
『剣4より剣3へ、こっちは既に戦死者を出しているんだ。遠慮する必要はない、迷わず撃てッ』
『あ、ああ……剣3、攻撃開始!』
『剣4、攻撃開始!食らいやがれッ!』
ヘリコプターが攻撃姿勢を維持したまま、魔導師たち目掛けてロケット弾を撃ち込んでいく。
撃ち込まれた所から赤い液体と身体が四散し、血霧となるのだ。
人間であった証は、一発の爆薬で簡単に吹き飛ぶ。
騎士団も黙っていたわけではなく、重装歩兵部隊が魔導師たちを護衛していたが、鉄で出来上がった防衛用の盾は意味を成さなかった。
敵の戦車や装甲車の装甲板を貫徹する能力を付与されているロケット弾だけに、厚さがせいぜい5mm程度の鉄板は無力同然だった。
さらに味方を飛竜殺されたということもあってか、ヘリコプター部隊の中には攻撃を顕著に示す者も現れた。
『くそっ、ロケット弾の弾が切れた……』
『機長、一旦補給しに戻りましょう』
剣4は、飛竜の自殺攻撃によって仲の良かった剣5のパイロットである太田を殺されて苛立ちを隠さなかった。
ひたすらに、魔導師や重装歩兵が防護しようとしていた陣地に向けて、ロケット弾の発射のトリガーを引き続けた。
ロケット弾の弾が切れる頃には、辺り一面には赤い海が出来上がっていた。
だが、剣4の怒りと戦意は高ぶっている。
副操縦士が補給のために戻ろうと進言すると、ヘルメット越しに右手で殴りつけた。
『馬鹿野郎!それだとまだ戦果が出ないだろうが……があっ?!あの野郎!城壁の狭間から撃ちやがったなァ?!』
『機長!まだ城への攻撃命令は出ていませんよ?!』
『うるせぇ!攻撃してくるのは殺される覚悟のある奴だけだッ!戦闘員は降伏し無い限り殺すんだよ!こうやってな!』
剣4のコックピット目掛けて弓矢を放った人物が城内にいたのだ。
魔法攻撃を付与されていたとはいえ、コックピットの防弾ガラスを貫くことはできない。
しかし、矢の先端が突き刺さったことでパイロットは激高し、ロケット弾ではなく13ミリ機関砲を発射した。
鈍い発射音と共に、城の隙間にあった小さな攻撃用の穴が大きくなり、やがて無数の赤い霧が出た事を確認すると、剣4は城外にいる戦闘員を見つけるために飛び続けた。
過熱する戦場