日本国召喚 × The new order: last days of europe 作:アレクセイ生存BOTおじさん
中央暦1639年/西暦1963年7月8日正午
大日本帝国 霞が関
ロデニウス大陸におけるクワ・トイネ公国の時局を決める戦争が終結したことを踏まえて、霞が関では日本の政治家が主導する官民一体の大陸への進出事業が加速度的に進んでいた。
特に、満洲国での開拓事業やノウハウを活かして政府内部で発言権を有していた岸は、この進出事業に関する話題に関しては右に出る者は居なかった。
岸にとって、この進出事業のプレゼンを行うのに必要な事は企業の実績とノウハウがどれだけあるか……そして、彼らが自社の利益優先主義に走るのではなく、大陸に根を広げる上で必要不可欠な人脈となる必要があるのだ。
ここに集まれられた企業は、日本の四大財閥である「靖田」「八菱」「四井」「国友」ではなく、日本の傀儡国家であり日系企業による独占的な利益が確保されていた広東国で名だたる新興財閥の者達であった。
それぞれ帝都通信工業、足尾産業、松芝電機の代表取締役社長たちであり、彼らもまた日本が転移した際に帝国本土にいた矢先に巻き込まれてしまった不幸な者達であった。
先に、岸は帝都通信工業の社長である盛田に声を掛け、国内における帝都通信工業の状況を聞いた。
「盛田さん、現在本土内にある工場はどのくらい稼働できそうですか?」
「……わが社では生産拠点のほとんどが広東にありました。今現在稼働できるのは長野と金沢にある組立工場だけです」
「成程……帝都通信工業としては、今までのように活動するのは困難な状況であるのは間違いないですね……」
「ええ、残念ながら仰る通りです。ただ、わが社だけではなく……ここに集められた足尾産業や松芝電機も同じ状況であるのは否定できません」
盛田にとって、本土は企業買収や旧友との仲違いをした忌々しい場所でもあった。
本土ではなく、新しく出来上がった広東国で一肌脱いで事業を立ち上げ、移住してきた日本人だけではなく現地の中国人との協力によって、彼の作った企業は共栄圏でも名前の知らない人はいないまでに成長できたのは、まさに奇跡のような出来事であった。
しかし、靖田財閥が起こした不祥事をキッカケに発生した経済危機により、彼の歩んできた栄光への懸け橋は崩れてしまい、辛うじて首の皮一枚で繋がっている状態だ。
経済危機による対応を協議するため、帝都にて各財閥企業を集めた対策会議に参加していたことで、盛田は転移現象に巻き込まれてしまったのだ。
会社を一緒に支えてくれた家族だけではなく、優秀社員として愛着を持っていた現地民や中国人の殆どは広東国に残したままだ。
盛田に残されたのは、国内に二箇所ある組立工場と本土での販売を管理している帝都通信工業支社のオフィスビルだけだ。
そして、盛田だけではなく他の足尾産業や松芝電機にとっても同じ状況であることも事実であった。
「……貴方たちは新天地において、企業を共栄圏でも随一の大企業へと発展させた実績がある。政府としてはロデニウス大陸において日本の影響力を高めるためにも、様々なアプローチを試みる必要がある……これから渡す資料に目を通して欲しい……」
岸は部下に命じて資料をそれぞれ配布させた。
そこに書かれていたのは、盛田をはじめとした新興財閥にとっては驚きの文字が綴られていた。
【ロデニウス国際連合商社】設立に伴う旧広東国企業の統合化にむけた取り組み
そう、既に日本は四大財閥を中心にクワ・トイネ公国に植民を開始している。
しかし四大財閥だけでは不十分であると感じた岸は、日本の影響圏の拡大と窮地に追いやられている技術革新の目覚しい広東国の企業を救うために提案を申し出たのだ。
既に広東国における工場や人員を喪失している彼らにとって、このままもがいて窒息死するのは避けたい事態だ。
そこで広東国の名だたる三大企業を経営統合し、新しい企業統合を行って再起を図るというものである。
この企業統合化に向けた動きの中で着目しているのは、統合化する前に各企業において軍事装備品や輸出品をクワ・トイネ公国やクイラ王国、現地の植民作業を行っているマイハークにプレゼンし、その中でも優れた商品の輸出を執り行うものだ。
要するに、三大企業の中でも大陸での実績を挙げた企業が、この新設される企業の経営権を握ることが出来るというものだ。
ただし、好き勝手にやれるわけではなく、統合化に向けて国が出資を行う関係上、政府に対する無碍な行為は許されない。
商品の製品化に伴うコストや人件費、出願特許権で生じた利益のうちの5%は国への納金が義務化される上に、会社の重役ポストには国から派遣される人材を雇用したり、活動する地域で得られた情報に関するものも全て報告するという義務が生じるのだ。
監視されるデメリットも大きいが、統合化した企業の実権を握れば新大陸の経済利権を享受することが可能になるのだ。
ハイリスク・ハイリターン……。
だが、これに参加をしなければ会社は潰されてしまうだろう。
盛田はペンを握り、ロデニウス国際連合商社の立ち上げの参加人として署名を行う。
残りの足尾産業と松芝電機の社長もサインを執り行ったことで、ゆっくりと政府による企業の支配が浸透していくのであった。
ロデニウス国際連合商社の発言権と経営権を握った企業は……
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帝都通信工業(現地民との融和的な政策)
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足尾産業(競争させ、脱落者は不要)
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松芝電機(科学を促進させ、行動させる)