日本国召喚 × The new order: last days of europe   作:アレクセイ生存BOTおじさん

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第四十二話

中央暦1639年/西暦1963年7月30日午前2時過ぎ

旧ロウリア王国 現ロウリア暫定政府支配地域 ジンハーク

 

以前とは比べ物にならないほどに寂びれつつある都市。

 

ロデニウス大陸随一の軍事大国の王都であったこの場所では、日本軍とクワ・トイネ公国軍による支配地域であり、彼らの傀儡国家である【ロウリア暫定政府】が設置されている場所でもあった。

 

午前2時……。

 

暗闇の街中を明るいライトを照らした車列が走り出していく。

 

トラック、装甲車が車列を成しており、この車列には日本軍の軍事教練を受けたクワ・トイネ公国の憲兵隊が搭乗しているのだ。

 

日本軍のお下がりである三十八式小銃や、五式小銃で武装したエルフやドワーフがトラックに搭乗し、先頭のジープが止まるとトラックも停車して次々と降車していく。

 

「こっちだ!第二、第四班は既に展開完了しました」

「よし……第三班、降車!降車!」

「いいか、建物を包囲してから突入だ!中にいる人間は抵抗するようであれば実弾射撃も構わん!」

 

ジンハークでは、日本とクワ・トイネ公国両国の憲兵隊による一斉捜査が開始されていた。

 

爆撃によって破壊された大聖堂や、魔法大学の跡地にて日本軍の車列が暗闇を照らすように並んでおり、上空からは日本軍の偵察ヘリが建物目掛けてライトを照らしている。

 

捜査の理由は「日本軍やクワ・トイネ公国への攻撃を企んでいる者たちが集結している」というものであり、いたずらの類ではなく精度の高い情報であったことから憲兵隊が出動しているのだ。

 

情報提供を行ったのはロウリア王国からの分離・独立を行い、真っ先に日本・クワ・トイネとの関係を結んだ南部諸邦であった。

 

敗戦国となったロウリア王国は、既に判明しているだけで四勢力に分裂しており、さらに地域ごとに反国王派の部族もいれば、まだロウリア大王が死んでいないと信じて旧ロウリア王国支配地域にて大王を名乗る人物が建国した『神聖ロウリア王国』が存在するなど、混迷を極めていたのだ。

 

かつての大国が瞬く間に崩壊し、国家が無数の地域・部族ごとに分裂している様相に、思わず日本軍兵士は呟いた。

 

「まるでソ連崩壊後のロシアみたいな状況だな……」

「ソ連が崩壊して各地の軍閥支配か……それが諸侯や部族に置き換わったとなればそうだよな……」

「極東に天命シベリア……あとは東部の赤軍派だったか?中央はもうぐちゃぐちゃしていてわからないぐらいに分裂していたな……」

「全く……国が統一するのに何年かかるやら……」

 

彼らのいた世界のソ連はドイツ軍の猛攻によって敗北し、ロシアという国家そのものが大分裂を起こした。

 

独ソ戦の敗戦とそれに続く共産党の残党勢力による反攻作戦が瓦解した事によってソビエト連邦は完全に崩壊し、各地に軍閥支配地域が出来上がった。

 

ソビエト連邦の復興を目指しているソ連共産党もあれば、王族の復活を目指している者、キリスト教の教えによってロシアを復興させようとする者、また犯罪者で構成した軍人が複数の民間人を虐殺した悪名高いナチスドイツの「第36SS武装擲弾兵師団」が支配している場所も存在する。

 

この世の地獄の様相を呈する地域となり、転生前におけるロシアは列強諸国を見ても『戦国時代』と言っても差し支えない場所だった。

 

ロウリア王国はどうだろうか?

 

ロウリア王国の政府上層部は壊滅し、一部幹部を除けばジンハーク城の戦いで戦死した。

 

しかし、まだ中央政府が機能しているという面においてはソ連よりも幸運だった。

 

ジンハークの戦いで辛うじて生きていたヤミレイが日本軍の捕虜となるものの、彼は日本とクワ・トイネ公国の提案によって政府首班の座を担うことになった。

 

その理由としては開戦初期において亜人殲滅を掲げる作戦の立案に参加していなかった事。

 

ロウリア王国の中でも権威ある人物であり、事実上内戦状態に陥ったロウリア王国の再建、及び南部諸邦の関係者ともかねてより友好であったこと。

 

何よりも、政府上層にいたことから情報提供者として彼は首の皮一枚でつながった存在だ。

 

そんなヤミレイは暫定政府首班という地位にいるが、実質的に日本やクワ・トイネ側の提案を拒否することはできない。

 

それをしたら最期、他の人物が後任を任せられるだけだ。

 

事実上の傀儡であり、日本とクワ・トイネの要求や提案を呑むしかない応答機としての役割を担っている。

 

そんな過程において、複数の指名手配されているロウリア王国軍関係者が反乱を企てたとして、日本・クワ・トイネ両国は治安維持を名目にして軍事介入を行っているところだ。

 

クワ・トイネの兵士達の殆どは亜人種である。

 

特にギムでの虐殺行為で家族や親族……友人を失った者を優先して治安維持を担う憲兵隊に配属させており、彼らは喜んで鎮圧作戦に武力を持って行使を行った。

 

家族や親族、友人が無惨な姿で殺された報いと言わんばかりに、彼らは日本軍の指揮官が発した命令を大声で復唱しながら抵抗するロウリア人を鎮圧していく。

 

「憲兵隊だ!直ちに武器を捨てて投降しろ!」

「聞こえないのか?!武器を捨てて投降しろ!」

「止まれ!止まらないと撃つぞ!」

 

建物に突入した彼らは小銃を構えて突入していく。

大半のロウリア人は、ジンハーク城での戦いを目の当たりにした影響もあって、民間人上がりの民兵はすぐに投降したものの、逮捕されたら処刑されると確信している元正規軍兵士達は槍や弓矢で武装し、叫びながら突進を開始した。

 

「「「ロウリア王国万歳!!!!大王様に栄光あれ!!!!」」」

「構わん!撃てッ!!!」

「射撃開始!動くヤツは全員撃てッ!!!!」

 

大聖堂が、魔法大学が……。

辛うじて崩壊を免れていた建物の内部で、小銃の閃光と銃撃音が響き渡る。

 

亜人殲滅を掲げていたロウリア王国は打倒され、亜人殲滅を掲げていた大王とその思想に付き合っている哀れな兵士達は現実を見えないまま、亜人の兵士によって一人、また一人地面に赤い池を作って死んでいく。

 

7月が終わろうとしていても、まだ銃声は鳴り止まない。

 

憎しみの連鎖

ロデニウス国際連合商社の発言権と経営権を握った企業は……

  • 帝都通信工業(現地民との融和的な政策)
  • 足尾産業(競争させ、脱落者は不要)
  • 松芝電機(科学を促進させ、行動させる)
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