日本国召喚 × The new order: last days of europe 作:アレクセイ生存BOTおじさん
中央暦1639年/西暦1963年9月5日午前10時
パーパルディア皇国 第1外務局
普段、異なる外務局同士の者が会合を行うことは殆どない。
それぞれの省庁や政府機関が虎視眈々と相手を陥れたり、自分がのし上がろうとして権力闘争を開始しているからだ。
政治の駆け引きと言っても過言ではない。
パーパルディア皇国が版図を大きくする前のパールネウス共和国時代から、大陸での覇権争いを巡る上で重要であった「如何にして大陸の覇者となるか?」を実践した結果、権力闘争を重視するあまりに汚職と政治腐敗が進んでいるのだ。
そんな状況の中で、第1外務局の局長であり美人として有名なエルトと、第3外務局の局長であるカイオスが複数の資料を持って会合を行っている。
カイオスの顔は決して穏やかなものではない。
破滅に向かっている皇国を何とかして救おうと躍起になっている目であった。
権力闘争に敗れて第3外務局に左遷されたとはいえ、事が事だけにもはや過去の遺恨や権力闘争の事を引きずっている場合ではなかった。
またエルトも、かつての上司であるカイオスが自分のところにやってきて、第3外務局に喧嘩を売りに来た大日本帝国に関する資料を持ち込んできた事で、事の重大さを物語っている。
省庁内での権力闘争であれば、これらの資料を皇帝陛下に報告しておけば確実に出世できる可能性が高い。
しかし、その手段を取らずにエルトの所までわざわざ出向いたという時点で、大きな厄介事が舞い込んできてしまったと彼女は直感で感じ取った。
カイオスは鞄や部下であるタールやバルコに頼んでもらい、束に重なった書類を持ってきている程だ。
「カイオス……一体全体どうしたのよ……」
「いや、エルト……この案件は私一人では到底手に負えるものではない。彼らは間違いなく魔帝と同じぐらいの怪物だ……」
「ま、魔帝……冗談はよして頂戴……そんなおとぎ話の事を言いに来たのかしら?」
「……私もかの国の外交官と話をするまでは信じなかったよ……だが、これを見ればわかるはずだ……」
カイオスが最初に手渡したのは複数の写真であった。
日本の外交官がカイオスに見せたギム虐殺で引き起こされたロウリア王国軍による蛮行の数々を収めた写真だ。
白黒とはいえ、精巧に映し出された写真を見て、思わずエルトの顔も引き攣る。
そして問題なのが、この写真の出処であった。
「これは魔導式念写機ではない写真機を使ってクワ・トイネ公国で撮影されたものだ……第二文明圏の列強国であるムーと同じような機械製品を彼らは
「えっ……これはムーで作られたものではない?!それは本当なの?」
「ああ……彼らは『転移国家』として別惑星からやってきたようだ……信じられないが、大日本帝国はその惑星において三番目の軍事力と経済力を有する超大国であった……」
「でも第三文明圏にそんな国家はないはずだったでしょ……」
「今から三ヶ月程前に本土が転移してきたそうだ……複数の属領や属国であった国々までは転移してこなったそうだが、それでも本土には一億人以上が住んでいるそうだ」
「い……一億?我が国ですら七千万なのよ?」
「……証拠として、複数の日本の写真と映像を向こうの外交官が送ってくれたよ……」
「映像……?もしかして、貴方の部下が持ってきてくれた機材って……」
「……日本側が説得をするのであれば貸すと言ってきたからな……日本の魔導を使わないムーと同じ、機械文明の産物だよ……」
カイオスが日本が列強国たる証拠をエルトに突きつけたのは、複数の都市の写真とフィルム映写機であった。
これは外交官である朝田が政府から許可を貰ってカイオスに貸したのだ。
最も、無償で貸すのではなく、少なくない金額を支払う必要があった。
有償供与という形で貸し出された映像フィルムには、日本の帝都東京や、名古屋の工業地帯、広島の造船所の数々といった機械文明の集大成を嫌という程見せつけられた。
複数の都市や工業地帯を映している場面では、大勢の人間が都市を行き交うだけではなく、ムーで実用化されている自動車が都市の道路を蟻のように行き交っている。
そして朝田曰く『17年前の世界大戦で勝利した列強に許された超大国としての繁栄の結果だ』と言われ、惑星を巻き込んだ世界大戦によって日本はアジアの覇者となった超大国である事を説明する。
エルトにとって、カイオスが嘘を言っているわけでない事は理解できた。
しかし、なぜ魔帝と同じなのかは説明がつかない。
「カイオス、大日本帝国がムーと同じぐらいの列強国相当の力を持っているのは分かったわ。でも、どうして魔帝と同じだと言ったの?」
「それはこれを見れば分かる……ただし、これは皇帝陛下にもまだ言わないと約束してくれるか?」
「……分かったわ、見せて頂戴……」
カイオスは重たそうな箱に同封されていたフィルムを取り出した。
フィルムには日本語で『海軍管轄フィルム 1956年度 ビキニ環礁沖 熱核実験映像』と書かれており、カイオスは慎重にフィルムを映写機にセットして、局長室の壁に映像を投影し始めた……。
もう、引き返せない
パーパルディア皇国内での発言権を握ったのは……
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第一外務局(開戦を決意)
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第二外務局(膝を屈する)
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第三外務局(国内の急進派を排除)
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国家戦略局(謀略を巡らせる)
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皇国軍(クーデターにより軍政政権発足)